「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

価値判断 vs 現在の瞬間

2016年08月10日 21時25分08秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の日記からの続き)
 
●指示
 
 10分間、 邪魔されない部屋で 落ち着いて座りましょう。
 
 深呼吸し、 目を閉じてリラックスしてください。
 
 自分の身体の重さに 注意を集中させます。
 
 足の重さ,手や腕の重さ,頭の重さを感じましょう。
 
 頭からつま先までチェックし、 どんな感覚にも注意を向けましょう。
 
 [ここで1分間、 間を置いてください。]
 
 身体の緊張に注意し、 それが溶けていくのを想像してください。
 
 [ここで1分間、 間を置いてください。]
 
 焦点を 思考と価値判断に移しましょう。
 
 それらが浮かび去っていくようにします。
 
 はまり込まずに、 それらを手放しましょう。
 
 時間をかけてこれを行ない、 ゆっくりと深呼吸を続けてください。
 
 [1分間、 間を置いてください。]
 
 部屋の外の音に注意し、 それが何か 心に留めてください。
 
 次に、 部屋の中の どんな小さな音にも 注意してみましょう。
 
 思考によって注意がそれたら、 焦点を聴覚に戻します。
 
 [1分間、 間を置いてください。]
 
 もう一度、 思考と価値判断に 焦点を当て直します。
 
 先ほどと同じことを 繰り返してください。
 
 [1分間、 間を置きます。]
 
 焦点を嗅覚に当てます。
 
 匂いに気付かない場合は、 鼻から吸う空気の流れを 意識しましょう。
 
 [1分間、 間を置きます。]
 
 再び思考と価値判断に 焦点を当て、 同じことを繰り返してください。
 
 [1分間、 間を置きます。]
 
 触覚に注意を向け、 何かに触れましょう。
 
 椅子や自分の身体でも 構いません。
 
 それが滑らかか、 ざらざらしているか、 硬いか、 柔らかいかに注意します。
 
 [1分間、 間を置きます。]
 
 もう一度、 思考と価値判断に焦点を当て、 同じことを繰り返します。
 
 [1分間、 間を置きます。]
 
 ゆっくりと目を開け、 深呼吸を続けてください。
 
 視覚に焦点を当てましょう。
 
 明るいか、 暗いか、 部屋の中の 様々な色に注意します。
 
 自分が部屋のどこにいるかに 注意を向けましょう。
 
 [1分間、 間を置きます。]
 
 目を開けたまま、 思考と価値判断に 焦点を当て直します。
 
 焦点を当てる物を いくつか選んでください。
 
 生じてくる思考と価値判断に 注意し続け、 浮かび去らせましょう。
 
 目を閉じる必要があれば、 そうして構いません。
 
 思考と価値判断が浮かび去っていったら、 目を開け、 部屋に焦点を戻してください。
 
 思考と価値判断をモニターし続け、 はまり込まずに手放し続けてください。
 
 時間をかけて行ない、 ゆっくりと深呼吸を続けてください。
 
 タイマーが鳴ったら、 ゆっくり深呼吸をし、 部屋に焦点を戻します。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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価値判断しないことと 日常の経験

2016年08月08日 19時17分06秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 価値判断を手放す練習は すればするほど容易になってきます。
 
 そのとき、 真に徹底的受容を用いているのです。
 
※ 練習4-5 価値判断 vs 現在の瞬間
 
 思考, 感情, 感覚にマインドフルになることと、
 
 価値判断に対してマインドフルになることの、 ふたつを組み合わせる練習です。
 
 マインドフルに焦点を当てて、 価値判断と身体感覚に 交互に注意をシフトさせます。
 
 思考や価値判断に縛られてしまうと、 世界 (世の中) がどうあるべきかと、
 
 空想の中で 自分を見失いやすくなります。
 
 しかしこれらの空想は、 失望や苦痛に繋がることが多いのです。
 
 価値判断と空想を認識し、
 
 その瞬間に現に起きていることと、 それらを分けて捉えることが 重要です。
 
 それには、 身体的感覚 (五感) にマインドフルになることです。
 
 これを  「クランディング」 (根づかせること, 地に足をつけること)
 
 と呼んでいます。
 
 自分自身を身体感覚に根づかせることは、
 
 価値判断で頭が一杯になってしまうのを 防いでくれ、 また、
 
 現在の瞬間起きていることに マインドフルになるのに役立ってくれます。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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価値判断 (2)

2016年08月06日 19時54分12秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
 練習を始める前に、
 
 「否定的な価値判断の練習」 と 「初心者の心の練習」 で 書いた
 
 記録も見直してください。
 
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65272769.html
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65275184.html
 
 次の指示を読んでください。
 
 レコーダーに録音して、 聞きながら練習することもできます。
 
 タイマーを 3~5分セットしてください。
 
 慣れてきたら8分, 10分と 延ばしていくことができます。
 
● 指示
 
 邪魔されない部屋で、 落ち着いて座ってください。
 
 ゆっくり数回深呼吸し、 リラックスして目を閉じてください。
 
 価値判断が生じては消えるのを 見るために、
 
 小川のそば, 野原, 部屋の中, または他の場所でも、
 
 想像上の場面に 自分を思い描くことに ベストを尽くしましょう。
 
 その後、 自分の価値判断を意識し、 観察し始めてください。
 
 思考を止めようとしないでください。
 
 どんな価値判断を持っていても、 自分を批判しないでください。
 
 ただ 価値判断が生じるのを観察し、
 
 あなたが選んだ方法で、 価値判断が消えていくのを見ましょう。
 
 過去の練習の記録を 参照しても結構です。
 
 目を閉じて、 それらの価値判断が 浮かび去っていくのを見てください。
 
 呼吸を続け、 アラームが鳴るまで、 価値判断が生じて 消えるのを観察しましょう。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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価値判断 (1)

2016年08月05日 21時01分49秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
◎ 価値判断とレッテル
 
・ 価値判断は、 圧倒されるような感情を誘発しうる。
 
・ 価値判断は、 しばしば 失望や苦痛につながりうる。
 
・ 価値判断は、 現在の瞬間 マインドフルであることを妨げる。
 
 価値判断と批判は、 いとも簡単に 思考を占領してしまいます。
 
 そのとき、 マインドフルにはなっていないでしょう。
 
 それらの強迫的思考は、 圧倒されるような感情を いとも簡単に誘発してしまいます。
 
 次の練習も、 価値判断をモニターし、 価値判断を手放すのに役立つでしょう。
 
※ 練習4-4 価値判断を鎮める
 
 この練習は 強迫的思考を解放するもので、
 
 既述の  「思考を和らげる」 練習に似ています。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65218416.html
 
 価値判断が生じるのを観察し、 それにはまり込まずに、 手放します。
 
 価値判断を分析することなく、 それが無害なまま 漂い去って行くのを、
 
 イメージや言葉で視覚化します。
 
・ 価値判断が 雲に乗って浮かび去っていくのを、 野原で見ているのを想像する。
 
・ 価値判断が 葉っぱに乗って流れていくのを、
 
 小川のそばで見ている 自分を思い描く。
 
・ 価値判断が ひとつのドアから入ってきて、 もう一方のドアから出ていくのを見る。
 
 その他にも 自由に自分の方法を 考えてください。
 
 目的は、 価値判断にしがみついたり、 それらを分析したりせずに、
 
 生じては去っていくのを 視覚的に観察することです。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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初心者の心

2016年08月04日 20時42分18秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
※ 練習4-3 初心者の心
 
 徹底的受容と初心者の心を 使う練習をします。
 
 この練習を 少なくとも1週間続けてください。
 
 自分のする肯定的, 否定的な価値判断の 両方を意識し、
 
 その判断をいつ, どこでしたか、 その判断は何だったかを 記録しましょう。
 
 記録するのが早いほど、 徹底的受容するのが早くなるでしょう。
 
 (注: 記録ができたら、 後で出てくる 「価値判断を鎮める練習」 で使うため、
 
  取っておいてください。)
 
初心者の心の記録 【例】
 
 [金曜日 12:00]  [A子さんとの昼食で]
 
 [「A子さんは決して間違えない、 信じられないほど才能がある人だ」 と思った]
 
 [金曜日 14:30]  [職場で]
 
 [5時までに仕事が終わらないと思い、 自分を 「無能」 と呼んだ]
 
 [金曜日 14:45]  [職場で]
 
 [電話で母と話した後、 母がいかに 自分をろくでなしに育てたか と考えた]
 
 [金曜日 17:30]  [バーで]
 
 [バーテンダーが親切そうで、 とてもよい夫になるタイプだ と考えた]
 
 [土曜日 14:30]  [ショッピングモールで]
 
 [店の男の一人が、 とても不細工に見える と考えていた]
 
 [土曜日 15:00]  [ショッピングモールで]
 
 [自分のスタイルが最高に見える  「完璧な」 ジーンズを見つけた]
 
 [土曜日 16:15]  [ショッピングモールで]
 
 [ジーンズのサイズが 合わないと分かり、 怒って自分に 「馬鹿」 と言った]
 
 [土曜日 21:00]  [家で]
 
 [雑用を手伝ってくれなかった 彼氏に腹を立てた]
 
 [土曜日 22:30]  [家で]
 
 [明日がいかに 完璧な日になるかを 考えていた]
 
 
初心者の心の記録
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 ……………………………………
 
 ……………………………………
 
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
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徹底的受容と初心者の心

2016年08月03日 19時41分10秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 徹底的受容とは、
 
 自分や他人を 価値判断したり批判したりせず、 状況を観察することです。
 
 しかし、 肯定的な価値判断もまた、 問題である可能性があります。
 
 圧倒されるような感情を持つ人は、
 
 相手が自分によくしてくれるときは その人を好きですが、
 
 彼の気分を害することをすると、 彼は怒り、
 
 その人に  「悪い人」 というレッテルを貼ります。
 
 私たちは、 信頼している人に 傷つけられることもあります。
 
 完璧な人やものなどはないので、
 
 誰かを100%よい, 信用できると判断してしまうと、 失望しやすくなるのです。
 
 だからといって 誰も信用すべきでないというのではありません。
 
 人や状況に対して、 よいか悪いかなど、
 
 肯定的, 否定的な価値判断をせずに アプローチするべきということです。
 
 これは 「初心者の心」 と呼ばれます。
 
 どんな状況や関係にも、
 
 それらを全く初めて見るかのように 入っていくべきだという意味です。
 
 この繰り返し起こる目新しさが、
 
 現在の瞬間に 以前の価値判断を 持ち込むことを防ぎ、
 
 マインドフルでいることが可能になるのです。
 
 状況を新鮮なままにしておくことは、 感情をよりよく 管理する点でも役立ちます。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
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否定的な価値判断

2016年08月02日 21時19分06秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
※練習 4-2 否定的な価値判断
 
 最初のステップは、
 
 自分が価値判断的で、 批判的になっていることに 気付くことです。
 
 以下にあるのが、 否定的な価値判断の 記録の例です。
 
 これから1週間、
 
 あなたがする全ての 否定的な価値判断と批判を 記録してください。
 
 新聞やテレビで見たこと, 自分自身や他人についての 価値判断などが含まれます。
 
 例に従って、
 
 価値判断を [いつ] [どこで] [何を?] 行なったかを、 記録してください。
 
 (注: 記録ができたら、 後で出てくる  「価値判断を鎮める練習」 で使うため、
 
  取っておいてください。)
 
否定的な価値判断の記録 【例】
 
 [日曜日 14:00]  [家で]
 
 [「日曜日は嫌いだ。 いつも退屈する」 と思った。]
 
 [日曜日 18:30]  [家で]
 
 [ガールフレンドに、 彼女の着ているシャツが 気に入らないと言った。]
 
 [月曜日  8:30]  [通勤中、 バスの中で]
 
 [馬鹿みたいな運転をする人たちを、 どれだけ嫌いかを考えていた。]
 
 [月曜日 11:00]  [職場で]
 
 [毎日 同じ質問をする同僚が いかに馬鹿げているか考えた。]
 
 [月曜日 12:30]  [職場で]
 
 [スペックの低いPCを 買う上司を、 いかに嫌っているか考えた。]
 
 [月曜日 13:45]  [職場で]
 
 [ミスをした自分に腹が立ち、 自分を 「馬鹿野郎」 と罵った。]
 
 [月曜日 14:30]  [職場で]
 
 [新聞で首相の記事を読んで、 首相に対して頭に来た。]
 
 [月曜日 16:15]  [職場で]
 
 [自分がいる部屋の 壁の色がひどいと思った。]
 
 [月曜日 17:15]  [帰宅中、 バスの中で]
 
 [乗客に、 ラジオの音が大きくて 失礼だと告げた。]
 
 [月曜日 23:00]  [家で]
 
 [遅くまで起きていて、 睡眠時間が短くなる自分に いらついた。]
 
 
否定的な価値判断の記録
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 [いつ]  [どこで]  [何を?]
 
 ……………………………………………
 
 ……………………………………………
 
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
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徹底的受容

2016年08月01日 20時24分08秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 マインドフルネスの定義は、 自分自身や自分の経験を、 価値判断したり批判せずに、
 
 現在の瞬間における 思考, 感情, 身体的感覚, 行動から逃げずに、
 
 ありのままに受け入れる能力です。
 
 徹底的受容は、 マインドフルネスにおける 極めて重要なスキルです。
 
 それは、 価値判断したり、 変えようとせずに
 
 ありのままに認め、 受け入れることです。
 
 価値判断が苦悩への近道であるのは、 他人を価値判断すれば 腹立たしくなり、
 
 自分自身を価値判断すれば 落ち込むからです。
 
 徹底的受容で 最も難しいことのひとつは、
 
 自分が価値判断しているのを 認識することです。
 
 これには練習が必要です。
 
 次第に考えは変わってくるでしょう。
 
 誰もが過ちを犯すことがあり、 それでも構わないということに 気付き始めます。
 
 よりマインドフルになり、 日常的経験に集中し、
 
 より健康的な選択をするのに 役立つでしょう。
 
 ただし、 徹底的受容は、
 
 有害または危険な状況に 黙って耐えるということではありません。
 
 例えば 虐待的な関係にあるなら、 抜け出してください。
 
 自分に起こることを 無条件に容認したりしないでください。
 
 徹底的受容を用いるのは 確かに難しいことです。
 
 しかし、 実際にはそれによって
 
 より多くの自由が 与えられることに気付くでしょう。
 
 徹底的受容は間違いなく 学ぶ努力に値するものです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
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