日々の恐怖 12月22日 跳ね返り(5)
その日もその日で、やはりBさんはA君に絡んでいた。
もうそれしかやる事がないというように、A君の一足一投に反応する。
俺は前日に聞いた話もあり、いつも以上に気を遣って2人の距離を保とうとした。
仕方ない事なんだが、みんなA君の肩を持ち、Bさんを冷たい目で見るようになっていた。
今までは周りから若干スルーされても、逆に嘲笑っていたBさんだが、さすがに同僚達の視線にピリピリしている。
そこで俺が間に入って仲裁しようとしたとき、Bさんのがキレた。
Bさんは、
「 何なんだよ、お前ら!
そうやってそいつの肩持つのかよ!
こいつがうちに来てからろくな事がない!
お前うぜえ、邪魔なんだよ!
お前が息してるだけで、こっちはストレスなんだけど?!
わかる?
自分がどんだけ迷惑かけてるか?!」
と、顔を真っ赤にしてまくし立てた。
周囲はその勢いに圧倒されて、口を噤んだ。
A君も俺も呆然としてしまった。
言うだけ言ったBさんは荒い鼻息のまま、どすどすと部屋を出て行った。
しばらくの沈黙の後、誰かが、
「 何あれ、意味わかんない。」
と言ったのを皮切りに、
「 Bさん、ないわ~。」
みたいな悪口と、A君への慰めが始まった。
A君はまだ唖然としていた。
数分が経ち、騒ぎも収まると、各々仕事に戻っていった。
A君が、
「 僕は平気です。」
とみんなに言いながらも、不安げなA君を俺は気にしていた。
そして、そのときBさんのことを忘れていた。
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