俺は窓にオデコをくっ付けて、窓の真下を見ようとした。
でも、建物の真下は、窓を開けて乗り出さないと見えない。
ちょうど真下は見えなかったが、病院の建物に沿って遥か下に、建物に垂直に駐車場の白い線が付けてあり、その白い線の間に自動車が建物の方に頭を向けて何台も止まっていた。
利用者が外来か職員かは分からないが、空きも無くズラッとたくさんの自動車が停めてある。
その一つ一つの自動車全体は見えないが、自動車の尻の先の並びだけは見えた。
ちょうど、おもちゃのミニカーの尻が箱からはみ出したみたいな感じだ。
俺は病院の敷地から、徐々に外の世界を眺めた。
建物から順に外に辿ると、自動車の駐車場、駐車場の通路道、低い木々が左右に繋がって、その向こうが金網のフェンス、フェンスの外は2mぐらいの小さいドブ川があって、その向こうに太めの道が左右に走っている。
幹線道路なのか、たくさんのちっこい自動車たちが、引っ切り無しに左から右へ、右から左へとセコセコ走っている。
道の向こうの並びは、病院の付属施設らしい建物やマンションや民家が並んでいる。
そのマンションの一階はコンビニや喫茶店が入っていて、人の出入りも見える。
左に顔を振ると、病院の玄関前のような感じのところがあった。
左右に伸びたフェンスの真ん中辺りに広めの橋があって、自動車や外来の人の行き来が見える。
橋の向こう袂にはバス停がある。
“ あれって、きっと山藤中央病院前って名前だろうな・・・。”
当たり前だが、遠すぎてバス停の丸い看板の名前は見えない。
そして、橋の病院側の袂には門衛さんの建物が建っていて、警備員の格好をした人が人の出入りを見張っている。
“ 出入り口はあそこだな。
俺はカラオケ趣味の爺婆の軽トラで、荷物みたいにあそこから運び込ま
れたんだなァ・・・。
来たときは夜だったし、体がヨレヨレだったから、病院の外の状態をゆ
っくり見てられ無かったからなァ・・・。”
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