大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 10月31日 ヘルパー(5)

2016-10-31 18:16:46 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月31日 ヘルパー(5)




 それらの、物の隙間に、女の子が身を隠してるように見えた。
驚いたのと、逃げるのと、一番階段側の部屋のドアに、紺のトレーナーとジーパン履いてる女の人が立ってたのは同時だったように記憶してる。
 私とその女の人はかなり近接してたはずなんだけど、不思議と記憶では5、6歩離れてるように感じられた。
 もう、超ダッシュ。
一目散に階段駆け下りて、駆け下りてる最中、そっと肩に手を置かれたような気もしたけど、わき目も振らず。
 靴を履いて、戸を引き開けて、何も見ないようにしてるつもりだったけど、戸を閉めるときに、チラッと見てしまったんだ。
玄関の上がり口に、女の人が、猫が伸びをしてるような姿勢でいるのを。
 不思議と、2階で見たときは顔がのっぺらぼうっていうか、顔だけぼかしがはいってるようにしか思い出せないのに、玄関の上がり口では、黒髪に肩までくらいの長さで、ムースか何かで結構かっちりウェーブがかってて、顔の形や表情まではっきり思い出せる。
 その日はそのまま、

「 もう仕事できない!」

って言い張って、別のヘルパーが時間をずらして訪問したらしい。
 私はそのままその会社を辞め、二度とホームヘルパーをやる気はない。
制服とかあったから、クリーニング出して会社に戻しに行った。
同行した先輩ヘルパーさんがいて、気まずかったけど、挨拶した。
 そのときに聞いた話。
あの家では何人か怖い思いをしてて、おばあちゃんはいい人なんだけど、いけるヘルパーが限られてしまう家らしい。
詳しい事情は知らないけど、仏壇には若い女の人と小学生くらいの女の子の遺影が飾ってあるらしいです。













童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月30日 ヘルパー(4)

2016-10-30 21:01:02 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月30日 ヘルパー(4)




 自分の靴しかなかったのを見て急に物凄く怖くなって、一刻も早く自分の車に戻ろうって、靴を履くアクション起こした。
まさにそのときだった。

「 ウ・・・・。」

って女の人のうめき声とも含み笑いともつかない声が聞こえてきて。
 そして、2階から、今度は、

“ ガタンッ!”

って結構な音が聞こえてきた。
 ピタッと固まって、もしかしたらおばあちゃんが2階で何かやってて、急変が起きたんじゃないか?と。
 相変らず怖かったけど、そんな正義感って言うか、責任感って言うか。
ヘルパーとして入ってたから、職業意識があったんだと思う。
絶対に人だって、生きてるおばあちゃんに何かあったんだってくらいのリアルさだったし。

「 ○○さん!」

って、2階に駆け上がったんだ。
 だけど、拍子抜けした。
シ~ンとしてる。
拍子抜けしたと同時に、びびった。
 だけど、部屋の中で何かあったかもしれない。
声かけてみたんだ。

「 ○○さん、いるの?」

って。
何にも返ってこないの。
声も、音も。
 2階は4部屋あって、廊下の両サイドに2部屋ずつ。
廊下の突き当たりに本棚とかカラーボックスが置けるくらいのスペースがあって、イスやら色々置いてあった。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月29日 ヘルパー(3)

2016-10-29 17:48:36 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月29日 ヘルパー(3)



 それで、寝室を覗いた。
だけど、誰もいない。
寝室はそこで終わりじゃなくて、居間から一番近い部屋を寝室にしただけで、押入れ以外にも襖があって、襖の向こうは和室になってて、物置部屋と化してる。
 襖はきちんと閉まってたけど、念のために開けて見てみた。
もちろん一声かけた。

「 ○○さん、ヘルパーです、開けますよ?」

 返事はなかったけど、開けた。
やっぱり誰もいるはずない。
 急に気味が悪くなって、一刻も早く家から出たくなった。
私が家捜ししたみたいに思われるのも嫌だったから、それでも襖はしっかり閉めた。
 玄関に行くまでの間に、トイレがある。
トイレの戸もしっかり閉まってたし、覗かなくても人はいないって思った。
私がここを覗いたのは、

“ おばあちゃんの安否確認目的ですよ。”

って、心の中で盛んに説明した。
 寝室を出て、居間を出てシ~ンとしてる家のどこかから、また、

“ ガタッ。”

て音がした。

“ どこから?”

って見回しても、どこから音がしたのかわかんない。
 もう、心の中では、

“ 勘弁してよ・・・。”

って悲鳴状態だった。
 でも、もしかしたら、家の中のどこかにおばあちゃんいるかもしれない。
その家1階と2階あわせて、8部屋あるような結構な広さだった。
 なんだか、勝手に上がったのを、この家のご先祖に怪しまれてるような気持ちになって、

「 ○○さん? 
へルパーです、いらっしゃるんですか?」

って声をかけて、様子を伺った。
 相変らず返事なし。
そのときになって、玄関に靴なりつっかけなりあったかなって気がついた。
自分の靴しかなかったような気がして、玄関まで小走り。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月28日 ヘルパー(2)

2016-10-28 18:52:06 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月28日 ヘルパー(2)




 もう一度、大きな声で、

「 すいませ~~~ん!」

って声かけたけど、返事なし。
どうしようって思った。
 鍵は開いてるけど、誰も出てこないし、テレビの音はしないけど、水は出てるみたいだし。
私はヘルパーだし、入っていいってことになってる人間だけど、今日は初めて一人で来たわけだし。
 前回同行のときはおばあちゃんが居間から返事してくれて、お出迎えなくても先輩ヘルパーと上がったお宅だったんだけど、なんて言うか出迎えのない他人の家に、許可なく無断で入るのってすごい躊躇した。
 よっぽど会社に電話しようと思ったけど、鍵は開いてるし。
意を決して、

「 上がりますね、お邪魔します。」

って入った。
 真っ直ぐ居間に向かったけど、おばあちゃんはいない。
どうしようって立ちすくんだ。
 近所に回覧板でも置きに行ったのかもしれない。
主のいない家を勝手に歩き回るのも気が引けたけど、台所の水を出しっぱなしにしておくのも何だし、止めた。

“ 困ったな・・・。
このまま居間で、おばあちゃん戻ってくるの待つのもな・・・・。”

と思った。
 やけに長い数分、その場所でキョロキョロと立ちすくんでいたけど、おばあちゃんがいないのはわかったし、水も止めたし、なら車の中でおばあちゃんが帰ってくるの待つかなって。
 戻ろうと回れ右したとき、居間の向こう側から、

“ ガタッ。”

って物を置くような音が聞こえた。
 居間の向こうは寝室。

“ もしかしたら、具合が悪くてベッドで寝てるのかな?”












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月27日 ヘルパー(1)

2016-10-27 19:20:33 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月27日 ヘルパー(1)




 ホームヘルパーってあるでしょ?
年寄りの家に行って、ご飯作ったり、掃除したり、オムツ交換したりする仕事。
好きな時間に働けるって聞いて、資格持ってると心強いし、結婚退職して暇持て余して、資格取りに行って、少し働いてみようて思って。
 初めは同行って言って、先輩ヘルパーに仕事教えてもらうんだけど、次からは一人で行かなきゃいけない。
 一人立ちして3件目のお宅は、広いけど古い家に一人で住んでるおばあちゃんの家。
掃除してご飯作って帰るって仕事だったけど、古いだけに、

“ ここで一人で掃除するの、怖っ・・・・。”

って思ってた。
 同行したときも先輩ヘルパーに、

「 ここ、気持ち悪いでしょ、陰気臭いし・・・・。」

って言われたし。
 でも、おばあちゃんの居室と寝室はインチキフローリング敷き直して床暖だったし、トイレも数年前に改装したとかで生活空間部分は明るかったから、まぁいいかって。
掃除も、おばあちゃんの生活空間部分だけって話だったし。
 それで、初めてその家に一人で訪問したんだけど、いくらチャイム鳴らしても出てこないのよ。

“ あれ・・・?”

って思って、その家の玄関の戸、引き戸っていうの?
横にガラガラ開けるタイプの。
 ためしにちょっと横に引いてみたら、鍵はかかってなかった。

「 こんにちわ・・・?」

って呼びかけても返事がない。
ただ、水が流れる音がする。

“ トイレ?台所?”

と耳を済ませると、どうやら蛇口からただ水が出てるだけみたい。

“ 台所で何かしてる音はしないし、水を止め忘れたのかな?”













童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しづめばこ 10月26日 P458

2016-10-26 19:24:34 | C,しづめばこ



 しづめばこ 10月26日 P458  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。



小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”



大峰正楓の小説書庫です。
大峰正楓小説書庫


童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月25日 怖いもん(5)

2016-10-25 19:14:37 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月25日 怖いもん(5)




 そこまで話して作業に入った俺は、客も退けた深夜に件の出来事をオーナーに作業をしながら話した。

俺:「 いや実はね、大体5時過ぎに来るおばさんがいて・・・・。」

そこまで言うとオーナーの顔つきが変わった。

オ:「 何!?あのおばはん、まだ来とんか!?この店!!」
俺:「 いや・・・・、え?知ってんすか?」
オ:「 何時頃や!来んの!?」
俺:「 5時、過ぎぐらいっす。」

オーナーはおもむろに豚まん二つを袋に取りだすと、

オ:「 後捨てといて!!食いたかったら食ったらええし!!」

そういうと雑誌コーナーの写真週刊誌と共にバックに消えて行った。
 仕方無く、一人で淡々と作業をこなす事数時間。

“ ピポピポン・・・。”

来客を知らせるチャイムが店内になり響く。

俺:「 いらっしゃい、ま・・・・。」

あのおばさんだ。
いつものようにカゴに水風船を詰めている。
 暫くしてレジに来た。

俺:「 合計で○○円になります。」

しばらくしても、いつものように代金が出て来ないので顔を上げた。

俺:「 っ・・・!!」

 俺は言葉を失った。
何故か顔が泥だらけで、おばさんはニヤニヤ笑ってる。
おもむろに、おばさんはレジ横に置いてある割り箸を掴むとマイクのように持ち、

“ ややご・・、悲しいややご・・、仕事をしておくれ・・、ふぁ・・・・・。"

自作っぽい気味の悪い歌を歌い出した。
 ボー然と立ちつくす俺の目の前で、割り箸を置きニタニタ笑ってこう言った。

「 兄弟がイーッパイいるからねぇ。
気ぃつけんと。
私イーーーーーッパイイィイイイイ!!!」

 相方は頭も良いし、人当たりもいい。
おもしろいし遊びも知っている。
ルックスも良い、仕事の要領も良い。
その反面どこか人を見下したような感覚があり、特に女に対してはそうだった。
 その報いを受けたのかどうかは知らない。
その後相方はどうなったのかは知らないし、一切連絡は取って無い。
オーナーに聞いても、

「 気にするな。」

の一点張りで何も教えてくれない。
 いまだにそのおばさんはうちの店に来ては相変わらず、

「 子供がね、イーッパイいるんよ、イーッパイ。
機嫌のええ時は、いいんやけどね・・・。」

と訳のわからない事を呟いている。
 おばさんの言う呪いで相方に天罰が下ったのかどうかは知らないが、最近おばさんは何故か、やたらと大量のライターまで買うようになった。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月24日 怖いもん(4)

2016-10-24 20:42:51 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月24日 怖いもん(4)




 おばさんはその言い付けを頑なに守っていたそうだが、ある日貧乏をバカにする同級生の女の子に我慢が出来ずに、トンネルの事を教え連れて行った。
結果何も起きずに笑われて終わりだったそうだが、数日後にその子は病気になりやがて亡くなった。
 そんな事があって以来、そのおばさんは気に食わない事があると、そのトンネルに人を連れて行っては呪い殺して来たそうだ。

俺:「 で、どうなったの?」
相:「 おばはんと一緒にトンネル往復して・・・。
 なんか途中でお菓子バラまいてましたね、頭おかしいっすよ。」
俺:「 それからなんとも無いの?」
相:「 全然。
 俺、小さい頃はそういうの見えてた気ぃするんすけど、あのおばはんは多分偽物っすよ。」
俺:「 あのおばさんがよく言う兄弟って、その幽霊の事なんかな?」
相:「 さぁ・・・、中華まん、もう捨てます?
 どうせ売れないでしょ?」
俺:「 食っていいよ。
 10時間以上経ってると思うけど。」

そんな話だったが、俺が、

「 それ祟られて、やばいんじゃないの?」

と相方に言ってもヘラヘラ笑ってるだけだった。
 本人が何とも無いと言うのだし、多分そのおばさんも怖がらせるつもりでやったんだろうと思っていた。
 それから数日経って、その相方とのシフトの曜日になったが、時間になっても相方が来ない。
いつもは一時間前ぐらいに来て店内の雑誌をバックに持ち込んで読んでいるヤツだったんだが、その日に限って5分前になっても来ない。
 電話しようかと思った矢先、オーナーがひょっこり顔を出した。

俺:「 あれ?オーナー、どうしたんですか?○○は?」
オ:「 あー、あの子なぁ・・、辞めた。
 というかクビにした。」
俺:「 店内不正ですか?」
オ:「 いやなぁ、なんかあの子に孕ませられた女の子の親が怒鳴り込んで来てなぁ。」
俺:「 あらぁ・・・。」
オ:「 そうこうしてたら、二人組の若い姉ちゃんが入って来てその片割れが、

“ ここに○○言うヤツおるやろ!?
そいつ出せ!!
この子、赤ちゃん出来たんや!!”

 と・・・・・。」
俺:「 奇跡のバッティングですね。」
オ:「 そしたらTちゃん(休日の昼間に入ってるバイトの女子高生)が泣き出してなぁ。

“ ○○君、私と付き合ってんのにぃ?!!!”

 やとさ・・・・。」
俺:「 ワガママな息子持ってたんですね、あいつ。」
オ:「 んで、とりあえずあいつ辞めた事にして客帰らせて、あいつに電話して、

“ 今日付けでクビ。”

 と。」
俺:「 大変ですね、オーナーも。」
オ:「 何を他人事のように・・・、ワシ腰やってるからレジしかやらへんで。」
俺:「 ハァ!?ちょっ!!」











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月23日 怖いもん(3)

2016-10-23 18:43:08 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月23日 怖いもん(3)




 横から覗きこむとミミズが這ったような線で地図らしきものが書いてあった。
それから数日経ったある日、その事を相方に聞いてみた。

俺:「 え!?行ったのお前!?」
相:「 ハイ暇だったんで、バイクで。」

おでんの具を仕込んでいる俺の斜め前で、相方はホット飲料を補充しながら普通にそう答えた。

俺:「 よくやるね。
 で、おばさんいたの?」
相:「 いませんでした。
 それで、帰ろうかと思って振り返ったらババア登場。」
俺:「 怖っ!!」
相:「 さすがにビビリましたよ。」
俺:「 で?どうなったの?」

コンニャクの水切りをしながら、俺は背中で話を聞いていた。

相:「 よう来たね。
 私はあんたが今日ここに来る事を分かっていた、なんちゃら、かんちゃら・・・・。」
俺:「 気味悪りぃな。
 で、トンネルがなんちゃらって・・・?」
相:「 あぁ、それなんすけどね。
 俺も初めて知ったんすけど、ホントにトンネルがあったんすわ。
 多分、昔に使われてたかなんかじゃないですかね?」
俺:「 で、どうしたのそれから?」

浮かんでくるコンニャクをつつきながら、興味津々に俺は聞いた。

相:「 おばはんが言うにはですね、そのトンネルは・・・・。」

 以下、相方がおばさんから説明された事を掻い摘んで説明すると、そのトンネルはその昔 、配送のトラックが主に使っていたトンネルで、ある時人身事故が起こった。
 それで、後はお決まりのパターンで、それ以来幽霊が出るとの噂が立った。
しかし、そのおばさんはそのトンネルを通らない事にはかなり迂回して通学せねばならず、どうしても使う必要があったため、その手のことに詳しい近所の拝み屋のおばあさんに親子で相談した。
 すると、

「 あそこは霊の溜まり場になっているから、

“ 今はあなた達の居場所だが元は皆のもの、私は通学に使うだけだから騒ぐ事は無いし悪さもしない。”

トンネルに一人で行って、入り口でそう頼みなさい。」

と言われたそうだ。
それで、おばさんは言われた通りにした。
 その後、その事を拝み屋さんに伝えると、拝み屋さんはおばさんに向けてこう告げた。

「 霊達は、

“ このトンネルを通る時は一切声を出さない事、通る時は必ず一人で通る事、この二つを条件として、その子がトンネルを使う事を許す。
もし声を出せばお前を呪い殺し、誰かと通れば傍にいるものを呪い殺す。
誰かと通り、声を出せば全てを呪い殺す。”

そう言っている。」










童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月22日 怖いもん(2)

2016-10-22 20:43:03 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月22日 怖いもん(2)




 突然のおばさん強い口調に、俺も相方もギョッとした。

相:「 ハイ?」
お:「 イーッパイ、イーッパイ悲しい。
 あんたあかんよ。」

・・・・・・・・・。(二人沈黙)

お:「 うちが喋り出したら皆そんな顔しよる。
 うちが日本語使えへん思てるんちゃうか?」

相方が俺の方を見て人差し指をコメカミ辺りに当ててグリグリやり出した。

“ このおばはん、やっぱ頭おかしいっすよ!”

そういうジェスチャーだった。
 俺は同意する事も咎める事も出来ず、おばさんに目線を移した。

お:「あんた、怖い思いしなあかん。
 気ぃつけた方がええよ。
 イーッパイ兄弟おるから。」

“ また兄弟の話しだ。
兄弟ってのは一体なんなんだろう。
自分の親戚の事か子供の事か、はたまたヤクザの親分の嫁さんだったりするのだろうか?”

そんな事を考えて、ポカーンとしていると相方がおばさんに向かって、

相:「 怖い事ですか・・・?
 良いですねぇ、僕好きですよ、そういう系統。
 おばさん、あっちから来たでしょ。」

そういって左の方向に指を指した。

相:「 おばさんの家って、施設でしょ?」

 施設というのはいわゆる店の近辺にある大きな介護施設の事で、日曜の昼間は決まって付き添いの人と一緒に老人がお買いものに来る。

俺:「 おい、お前な・・・・。」

さすがに焦った俺が相方を咎めようとすると、

お:「 あんたトンネル連れて行く。」

おばさんが急にそう言いだした。

相:「 ハァ?トンネルっすか?
 心霊スポット??
 まぁ、いいっすわ、施設に電話入れるから。
 おばちゃん、そこおっちん(座っておけの意)しとき。」

相方が電話の子機に向かって歩きはじめると、おばさんは財布から二つ折の紙をレジに置いて出ていってしまった。

俺:「 お前なぁ・・・。
 これ、おばさんなんか置いていったぞ。」
相:「 お、ラブレターっすか?
 ついに熟女キラーの境地に辿り着いた俺を褒めて下さいよ。」

相方は相変わらず軽口を叩きながらその紙を開いた。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月21日 怖いもん(1)

2016-10-21 21:29:20 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月21日 怖いもん(1)




 うちのコンビニに週3回毎朝5時過ぎにやってくる初老のおばさんがいる。
週3回全て俺が入ってる日、決まって俺が店内で一人で作業してる時に来る。
 雨の日でもズブ濡れになりながら来る。
毎回水鉄砲、水風船、関連性の無い漫画やレディコミ、お菓子をカゴ一杯に詰めてレジにやってきては、

「 子供がねイーッパイいるんよ、イーッパイ。」
「 ○○言います、私。」
「 機嫌のええ時はいいんやけどね、また、かんしゃく起こすさけね。」

などと、聞いてもいないのに訳の分からない事を一人で喋っている。

“ あぁ、若年層の認知症かなぁ・・・。
自分の子供が小さい時の事で、時間が止まってるんだろう。”

そんな事を考えて適当に接客していた。
 ○○円になります、と言うとピタっと話しを止めて、キチンと代金は支払うし店にとって害は皆無だった。
 なぜかそのおばさんが来店する前後には他の客が来店しない、おばさんが帰ると日が昇り始める。
不思議はあったが所詮偶然だろうと思っていた。
 その事を相方に話すと、

「 今度、その人が来たら呼び出しボタン押して下さいよ。」

と言うので、ある日そのおばさんが来た時にレジに付いている呼び出しボタンを押した。
 バックから相方が出て来て、俺のレジ補助につく形でおばさんのお買い上げ商品を袋詰めをし出した。

お:「 あんた初めて見るねぇ。」

突然おばさんが相方に話し掛けた。

相:「 あ、○○と言います。
 いつも一応店の中にはいるんですょ。」

 相方はかなり明るいヤツなので、いつもの調子で悪く言えば馴れ馴れしい口調で話し出した。

俺:「 ○○円になります。」

 そう俺が言うとおばさんは財布から1万円札を取り出してレジに置き、相方を見てこう言った。

お:「 あんた、怖いもん見た事ないやろぅ。」












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月20日 小さい祠(2)

2016-10-20 19:06:58 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月20日 小さい祠(2)




 真っ暗な道を、ライトも無しにどんどん進んでいく女。
ビビリながら必死でついていく俺。

“ 何で俺こんな事してんだろう・・・?”

“ 大人しく家に帰ってりゃ良かった・・・。”

後悔の感情が浮かんでは消え浮かんでは消える。
 ようやく女が立ち止まると、物心ついてから遊び場だった俺の庭とも言える裏山なのに、初めて見る場所だった。

“ こんな所があったのか・・・?”

とか、その時は妙に冷静だった。
 そこは、周りには木が無くて、森の中にポツンと穴が開いたような場所だった。
目を引くのは月が浮かんだ池。
その前に女は立っている。
 どれくらい見てたのか、なんか女が自殺でもするんじゃないかと思ってハラハラしてた。
ずっとその女から視線を逸らさなかったんだが、不思議な事に突然フッと消えてしまった。
 ビックリして身を隠してた木から出て、池の周りを半泣きになりながら探した。
波も立ってないから身投げした訳でも無さそうだし、周囲にすぐ隠れられるような所も無い。
 なんか段々怖くなって来てさ。 
逃げた。 
走って逃げた。
 泣きながら家に飛んで帰って、神主やってるじーさんに成り行きを話した。

「 すぐその場所に案内しろ。」

って言われてさ。
 俺も分からないままなのは怖いし、じーさんも一緒にいれば安心だろうと思って、案内した。
凄く怖かったんだけどな。
 それで、さっき来た道を引き返して行くんだけど、どうもおかしい。
ついさっきの事だから、分からないはずは無いんだが、どうしてもその池が見つからない。
 結局慣れた裏山で一時間程探し回って、ようやくそれらしい所を見つけたんだが、池なんか無かった。
ただ、小さい祠が一つだけ。
 着いた時、じーさんはなんか悟ったみたいで、持ってきた道具で儀式みたいなのをやってた。
終わった後、帰り道で何を聞いても無言で、結局何にも教えてもらえなかった。
その三日後、じーさんはぽっくり逝った。
結局あれが何だったのか、未だに分からない。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しづめばこ 10月19日 P457

2016-10-19 19:36:34 | C,しづめばこ



 しづめばこ 10月19日 P457  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。



小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”



大峰正楓の小説書庫です。
大峰正楓小説書庫


童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月18日 小さい祠(1)

2016-10-18 15:09:48 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月18日 小さい祠(1)




 これは、俺が学生の頃の話です。
俺の故郷って糞が付くほど田舎なんだ。
冗談抜きで今の時代にコンビニも無い様な所でな。
で、実家は糞が付くほど田舎の、更に廃れたきったねー神社なんだよ。
 俺、学校に行くのにバス使ってたんだ。
田舎だからバス停の目印になるような物がうちくらいしか無くてな。
俺にとっては結構便利なんだが、何せ田舎の山奥でバス使う人間も限られててな。
乗る時も降りる時も俺一人だし、バスに乗ってる人も知ってる人ばっかりなんだよ。
 だけどその日は少し違った。
学校の帰りにバスに乗るとさ、いつもは俺の貸切なんだ。
だけど珍しく人がいる。
いつも乗り降りに便利な先頭にさっさと座るから、あんまり良くは見てなかったんだが女の人みたいでな。

“ 珍しいなぁ・・・・。”

なんて思ったけど、部活の疲れもあってそれ程気にしないでイヤホンの音に意識を預けた。
車窓に流れる景色を眺めながら、もうすぐ家だって所まで来たから降車ボタンを押した。
 うちの前のバス停に停まって、俺は定期を見せてバスを降りる。
いつもなら俺が降りたらすぐ発車するんだけど、発進する音がしない。

“ 何だ・・・?”

って思って後ろ振り返ると、女が降りてくるのが見えた。
 うちの周りってさ、人家が無いんだよ。
ホント村落の外れも外れにポツンとある神社だからさ。
いよいよもっておかしくないか?
 この先に在るのなんて、せいぜい小さい滝か池くらいだ。
田舎なんて日が落ちるのも早いし、外灯もある訳じゃ無し。
俺が部活終わった時間なんて19時過ぎてる。
そんな時間に女が一人で行って良いようなトコじゃない。
 一旦家に帰って玄関に鞄とかダーッと置いて、心配だったからすぐ様子を見に行ったんだよ。
そしたらその女、神社の裏山に入っていく。
獣道しか無い、舗装されてない山道だ。
 俺も少し不安になってきてさ。
慣れてる道ではあったんだけど、怖さもあってこっそりついてった。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 10月17日 ユニットバス(2)

2016-10-17 18:48:25 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月17日 ユニットバス(2)




 実はこの階にある部屋は全て禁煙で、煙草の匂いがすると言うことは、誰かが部屋の前で煙草を吸うこと以外に考えられないのだが、こんな夜中にしかも禁煙の部屋しかない階で、しかも一番端の部屋の前に来て、煙草を吸うなどと言うのはありえないことのように思える。
 ここで耐えきれずに目を開け、ベッドに座った状態で照明を点け、辺りの状況をしばらく伺っていたが、煙草の匂いは、どうもユニットバスの中から漂ってきてるようで、気は進まなかったが、ユニットバスの中を確認する必要があると思うようになってきた。
 今何時かと思い時計を見ると、まだ夜中の午前2:53だった。
ベッドから立ち上がり、ゆっくりユニットバスのドアを開けようとドアノブを回したがノブが回らない。
どうやら内鍵が、かかっているようだ。
 当然、寝る前に使った時は問題なく開閉できて、施錠してドアを閉めると言った凡ミスは犯していない。
意味不明にガチャガチャとドアノブを回したが、やはりドアはビクともしない。
 煙草の匂いはついに部屋の中に充満し、部屋の中かユニットバスの中で誰かが煙草を吸っているような気がする。
さすがに気味が悪くなり、部屋を飛び出そうかとも思ったが、何もしないまま時間だけが過ぎて行った。
 すると突然、ベッドの脇あるアラームが午前3:00を指して鳴り出した。
疲れきっていたので、部屋備え付けのアラームを確認せずに寝ていた。
 ビックリしてベッドに戻り、アラームを消した。
すると、不思議なことにさっきまで充満していた、あの煙草の匂いが嘘のように一瞬で消えた。
壁の向こうの騒音も、ひそひそ話す声も聞こえてこない。
 それで、もしやと思い、ユニットバスのドアを急いで開けてみると、これも何事もなかったかのように開閉できる。
中に煙草の匂いもない。
 狐につままれたような感じだったが、耳を澄ますとホテルの同じ階に設置してある自動販売機の冷凍機のブーンと言う音が聞こえ、この階全体が普通になったと言う実感が湧いてきた。
 翌朝、睡眠不足のままホテルを経つことになったが、フロント係にあの部屋について尋ねたところ、しばし考えた末、就職して間もないから分からないと言う回答が返ってきた。
 結局、ドンドンと言う騒音が何なのか、話声の正体は何だったのか、煙草の匂いは何処から来て何処に消えたのか等、謎ばかりが残ったが、何となく、わざと誰かがアラームを午前3:00にセットし、怪現象が止むようにしたようにも思えてしまった。
伊丹空港周辺で、格安ホテルに宿泊するとき、同じような現象に遭ったらこの話を思い出して下さい。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------