大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月27日 ワイの話(8)

2020-04-27 16:18:55 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月27日 ワイの話(8)




 それで、ワイが大人になってから、たまたま路肩で怪しい姓名判断士を見かけた時の話だ。
正直、ワイは姓名判断なんて胡散臭いと思いながら、冗談半分にからかうような気持ちで、

「 近々、子供が産まれるので・・・・。」

と嘘をついて占って貰った。
それも、ワイの名前で・・・・・。
 要約すると、

「 もし、この名前を長男に付けようとしてるなら、絶対に辞めた方が良い。」
「 考えられる限りの中で、一番最悪なくらい良くない。
女運も壊滅的に悪い。
もし名前に拘りがあるにしても、長男にだけは絶対に付けては駄目。」
「 全体的に悪いけど、特にこの名前だと長男は家を守らず、必ず外に出て行き、家が壊れる。」

だった。
 話を聞いたワイは、動悸が止まらなかった。
あまりにも、今のワイに当てはまり過ぎて、軽く恐怖すら覚えた。
 占い師が言った。

「 他に考えている名前の候補はある?」

嘘で子供の名前なんて最初から考えていなかったので、テンパってワイは弟の名前を書いてしまう。
 占い師が、

「 あ~~~~!」

と、驚いたように何度も頷く。
 それで、

「 凄く良い。
長男に付けるのはもちろん、例え長男以外だったとしても、家を守る役割をしてくれる。」
「 代案が出ないくらい、姓名判断的には文句無しの名前だと思うよ。」

と解説してくれた。
 偶然なのか必然なのかは分からないが、その時にワイは直感的に改めて妹の不思議な力をまた実感した。









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日々の恐怖 4月25日 ワイの話(7)

2020-04-25 09:17:25 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月25日 ワイの話(7)




 ワイが小学生になったくらいの時に、マッマのお腹が大きくなった。
赤ちゃんがいるとマッマに教えられ、よく妹と二人でマッマのお腹に話しかけていたのを覚えている。
 妹は何度教えても、赤ちゃんを舌ったらずな感じで『かーちゃん』といつも呼んでいた。
ワイは妹よりも一緒に遊べる弟がずっと欲しかったので、まだ性別が分からない頃から、しつこくマッマに、

「 ねぇ?弟?」

と何度も何度も聞いていた。
 マッマは、

「 まだ分からないよ~。」

と言っていたが妹は何故か、

「 かーちゃんは弟だよ!」

と笑ってマッマのお腹に話しかけていた。
 それから暫くしてワイはまたお兄ちゃんになった。
産まれてきたのは弟だった。
 名前の一文字目を取ると『か』ーちゃん。
妹はお腹にいる時と同じように、今でも弟をかーちゃんと呼んでる。








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日々の恐怖 4月22日 ワイの話(6)

2020-04-22 12:12:06 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 4月22日 ワイの話(6)




 妹は小さい時、舌ったらずな話し方だった。
何度教えても『ヘリコプター』を『へこぷたー!』と言ったりしていた。
 ある日、家で妹と遊んでいると急に妹は怯えて怖がり、泣き出した。
人形を使ってヒーローごっこをやっていた最中、悪者役の怪獣(妹)が途中で抜けてしまったので、ヒーロー(ワイ)は激おこだった。
 ワイは、

「 続き、はよやるぞ!」

と妹に怒鳴るが、妹は怖がって泣くばかり。

「 何が怖いんだよ!?」

ブチギレて妹に問い詰めると、妹は窓を指差す。

「 ぼうしをかぶったひとが、こっちみてるの!!!」

ワイも窓を見る。
 窓は閉まっていて、外の様子はまったく見えない。
でも妹は窓を指差し、泣き続けている。
 ワイはすぐに妹の手を引いて、ダッシュでマッマのいるキッチンへと移動した。
ワイはすぐ、マッマに、

「 誰かが窓から覗いている。」

と話し、外を確認して貰う。
 再び遊んでいた部屋にマッマと戻ると、マッマは人影さえ映っていない窓を見て、

「 誰もいないから大丈夫だよ。」

とワイと妹の頭を撫でた。
 安心させる為にマッマは窓を開け、

「 誰もいないから大丈夫!」

と再度、説明してくれた。
 後日、テレビを見ている妹が、

「 あ~~~~!」

と声を上げた。

「 へんたいさん!へんたいさん!」

興奮した様子で、テレビに映る軍服を着た人を指差す妹。

「 このまえ、まどからみてたひと!」

ビビりのワイは、それから暫く、窓に近付けなくなった。










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日々の恐怖 4月19日 ワイの話(5)

2020-04-19 11:39:40 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月19日 ワイの話(5)





 祖父母の家に向かう途中の道で、必ず妹が泣き出す場所がある。
そこは見通しが悪いカーブで、地元でも事故が多発する場所として有名だった。
 そのカーブに近づくと、妹は怖い怖いと毎回、泣き出す。
妹がまだ赤ちゃんだった時から、ここの道に近づくとぐずりだして大変だった、とマッマは言っていた。
毎回、この道を通る度に泣き出してうるさかったので、正直、ワイは鬱陶しく思っていた。
 ある日、あまりにも車内で泣き叫ぶ妹に、ブチギレたワイは泣く理由を問い詰めた。
しかし、妹は泣き叫ぶばかりで理由を言わない。

「 言えよ!泣き止め!」

と何度もワイは妹を叩く。
ガッキのワイ、カスだった。

「 言わないと怒るぞ!」

と、既にブチギレながら怒るワイに妹は、

「 言ってもいいの・・・?」

と何度も泣きながら、逆にワイに聞いてきた。

「 言えや~!」

と、なかなか話し出さない妹の頭を叩いていると、遂に妹は限界を迎えたのか泣きながら叫び出した。

「 くろいひかりのたまが!
くろいひかりのたまが、いっぱいあるのぉ~~~~!」

 その日から、魔のカーブに近づくと泣き出す妹+その妹を見て恐怖するワイで、車内が動物園状態になり、暫くしてマッマは祖父母の家に行く道を変えてくれた。
 その後、ワイが小学校の高学年くらいの時に授業で、昔、この辺りに防空壕があった事を知る。
そこは丁度、魔のカーブがある場所だった。










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日々の恐怖 4月17日 ワイの話(4)

2020-04-17 10:06:08 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月17日 ワイの話(4)




 後日、ワイは妹が何も無い空中を手で払うような動きをまたしていたので、黒い玉の事を聞いてみると、どうやら妹はたまに光るフワフワした玉のようなものが見えるらしい。

「 白い光の玉は良いヤツで、黒い光の玉は悪いヤツ。」

他にも緑や黄色の光の玉も見えるようだが、他の色についてはよく分からないと妹は言っていた。
 ワイはどうして妹が白い光の玉がいいヤツで黒い光の玉は悪いヤツだと分かるのかと聞くと妹は以前、黒い光の玉がワイの身体に入っていくのを見た後、ワイが病気(水疱瘡)になったからと言っていた。
他にも腕に黒い光の玉が入っていった時は、ワイが金網に腕を引っ掛けて怪我をしたりと黒い光の玉が見えた時は良くない事が起きるので、妹は黒い光の玉=悪い奴だと思うようになったようだ。
 因みに、白い光の玉は黒い光の玉が身体に入ろうとすると守ろうとするみたいに戦って黒い光の玉を追い払うから、白い光の玉=良いヤツだと妹は認識しているようだった。

「 じゃあ緑と黄色の光の玉は何?」

と妹に聞くと妹は、

「 よく分からない。」

と答えた。
 たまに黒い光の玉を緑や黄色の光の玉が追い払う時もあるみたいだけど、黒い光の玉と合体して消えたり大きくなったりしたりと妹自体、あまり分からない様子でその説明を受けたワイも全く理解出来なかった。

“ とりあえず幽霊じゃないから怖くないな!”

と思っていたワイだったが、数週間後に祖母が肺を悪くして入院した。
 ワイは妹に、

「 もし黒い光の玉がワイに入ろうとしていたら絶対に追い払って!」

と半泣きで妹に命令した。
 でも、怖いから、

「 見えても、絶対にお兄ちゃんには言うなよ!」

と何度も念押しした。









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日々の恐怖 4月15日 ワイの話(3)

2020-04-15 19:02:15 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 4月15日 ワイの話(3)





 妹はたまに、何も無い空中を手で払うような仕草をしていた。
ある時、祖父母の家で妹は火が付いたように泣きながら、祖母の近くで必死に腕を振り回していた。
マッマがなだめて、

「 どうしたのか?」

と妹に聞いても、妹は泣き叫ぶばかりだった。
 泣き疲れて眠り、妹が目を覚まし落ち着いてからマッマが再び、泣いていた理由を聞くと妹は思い出したようにまた泣き出す。

「 ばぁちゃんのからだに、わるいくろいたまがはいってく!」

何度も何度も妹は、

「 悪い黒い玉が~!」

と泣き叫んでいたが、ワイには意味が分からずに困惑するばかりだった。
 妹曰く、バッバの胸に黒い玉が入ろうとしていたのを妹は防ごうとしていたのだが、黒い玉はバッバの身体に入ってしまったらしい。
 マッマが黒い玉の事を妹に聞いても、妹はうまく説明が出来ないようだったが、終始、

「 黒い玉は悪い奴!」

と怖がり、泣くばかりだった。










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日々の恐怖 4月12日 ワイの話(2)

2020-04-12 10:05:09 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月12日 ワイの話(2)




 そして、ワイは見栄っ張りでもあったので、

“ 絶対におねしょはしない!お兄ちゃんだから!”

という謎の自分ルールを守るために、夜トイレに行きたくなったら妹を無理矢理叩き起こしてトイレまで付いて来るように、しばらくの間命令し続けた。
 見栄のために妹を頼る時点で既に支離滅裂だし、何より妹はワイには見えない何かが見えている。
もしトイレに行く途中で、

「 おばけがいる!」

とか言われたら怖すぎてトイレに行けなくなり、ワイはおねしょお兄ちゃんになってしまうだろう。
 だから、ワイは、

「 何か見えても、お兄ちゃんにはもう絶対に言うな!」

と半泣きで妹に言い聞かせ、約束させた。
 しばらく経ち、やっとまた夜に一人でトイレへ行ける様になったワイは、ずっと気になっていた事を妹に聞いてみた。

「 ねぇ・・、お兄ちゃんに似た女の子って、今、どんな顔してるの・・・?」
「 ん~、わらってるよ!」

その時は、

“ いたかもしれないお姉ちゃんの分まで、ワイが妹に優しくしなきゃ!”

と思ったが、小さい頃のワイは暴虐無人で次の日にはすっかりその思いを忘れ、妹を子分の様に連れ回しては滅茶苦茶に扱っていた。










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日々の恐怖 4月9日 ワイの話(1)

2020-04-09 19:41:24 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月9日 ワイの話(1)




 ワイは今でも3歳くらいの時の記憶がある。
一番古い記憶は雪が降る冬の寒い日に父親が躾と称し、半裸でワイを外に放り出した日の事を今でも覚えている。
 次に古い記憶はワイが5歳くらいの時の記憶だ。
ワイには歳が近い妹が居る。
ちなみに、顔はワイが父親似で。妹はマッマ似なので顔はあまり似ていない。
 ある日の夜、妹と一緒にベッドに入って居ると妹がワイに質問してきた。

「 おにいちゃんのよこに、おにいちゃんとおなじかおのおんなのこがいるけど、だれ?」

妹は何も無いワイの背後を指差して、不思議そうな顔で何かを見ていた。

「 ねぇねぇ・・・・・?」

と聞いてくる妹を叩いて黙らせて、ビビりのワイは妹にピッタリと近づいて、その日は必死に眠った。

 翌日、ワイは妹から言われた話をマッマに話すと、マッマはかなり驚いていた。

「 実はね、本当ならワイにはお兄ちゃんか、お姉ちゃんが居たかもしれないのよ。
でも、お腹の中で死んじゃって・・・・・。」

 当時のワイはまだ子供で、あまりその話がどんな事だったのかは理解出来なかったが、マッマが泣いているから、それは悲しい事なんやなと思った。
そして、幼いながらにワイは漠然と、妹はワイには見えない何かが見えているんだ、と何故か確信した。
それからしばらく、ワイは夜、一人でトイレに行けなくなった。
ワイはビビりである。







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日々の恐怖 4月5日 村(7)

2020-04-05 10:14:16 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月5日 村(7)




 目を動かし様子を伺う。
暗さに目が慣れたのか、先程物音がした方を再び見ると井戸が見えた。
 蓋が地面に落ちている。
そして、その井戸から、こちらを見ている女の顔が見えた。

「 うわぁっ!!」

思わず声が出た。
 その瞬間、体が動くようになった。
メットをひっ掴み、全力で来た道を駆け戻る。
懐中電灯を使う事も忘れ、月の光を頼りに森を走った。
 脇腹が痛くなるまで走り、あとは歩き続け朝になるのを待った。
東の空が明るくなるのと、町に辿り着くのと、ほぼ同時だった。
 もう気力も無くなり、その日の始発バスに乗って帰ることにした。
バイクは地元の業者に引き上げてもらい、廃車になった。
体もあちこち打撲だらけだった。
 後ほど、この廃墟を撮影した写真を確認したが、幽霊らしきものは写っていなかった。
ただ、当時気が付かなかったが、廃墟の後ろの一段高くなった場所に、苔むした墓石が何柱かフラッシュに浮かび上がっていた。











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日々の恐怖 4月2日 村(6)

2020-04-02 10:06:54 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 4月2日 村(6)





 いつの間にか月が顔を出し、不気味に廃墟群を浮かび上がらせていた。
急に自分の置かれている状況がひどく恐ろしいものに感じられた。
当然だ、こんな時間にこんな山奥の廃墟に人など居るはずがないからだ。
 心拍数が跳ね上がるのが分かる。
得体の知れない何かが、すぐそばに居る。

“ ゴトッ。”

今度は少し離れたところから音がした。
 目をやるが、何も見えない。
緊張感からか、身動き一つ取る事が出来ない。
 額から汗が流れる。
初めて金縛りを経験した。
目だけを動かし周りを見渡す。
 すると俺の今居る場所の正面、少し低い場所にある家の窓を月明かりに浮かんだ黒い影が、

“ スッ。”

と横切るのが見えた。
 また少し間を置いて、横切る。
影が往復しているように見えた。

“ 歩き回っているのか・・・・?”

俺の背後の家からも、相変わらず音が聞こえている。
 もはや俺の中の恐怖心は耐え難いものになっていたが、なにしろ身体が石の様に固まって動けない。
それに少しでも動いてこの廃墟の中に棲む何かに存在を悟られれば大変な事になる気がする。








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