日々の恐怖 4月9日 ワイの話(1)
ワイは今でも3歳くらいの時の記憶がある。
一番古い記憶は雪が降る冬の寒い日に父親が躾と称し、半裸でワイを外に放り出した日の事を今でも覚えている。
次に古い記憶はワイが5歳くらいの時の記憶だ。
ワイには歳が近い妹が居る。
ちなみに、顔はワイが父親似で。妹はマッマ似なので顔はあまり似ていない。
ある日の夜、妹と一緒にベッドに入って居ると妹がワイに質問してきた。
「 おにいちゃんのよこに、おにいちゃんとおなじかおのおんなのこがいるけど、だれ?」
妹は何も無いワイの背後を指差して、不思議そうな顔で何かを見ていた。
「 ねぇねぇ・・・・・?」
と聞いてくる妹を叩いて黙らせて、ビビりのワイは妹にピッタリと近づいて、その日は必死に眠った。
翌日、ワイは妹から言われた話をマッマに話すと、マッマはかなり驚いていた。
「 実はね、本当ならワイにはお兄ちゃんか、お姉ちゃんが居たかもしれないのよ。
でも、お腹の中で死んじゃって・・・・・。」
当時のワイはまだ子供で、あまりその話がどんな事だったのかは理解出来なかったが、マッマが泣いているから、それは悲しい事なんやなと思った。
そして、幼いながらにワイは漠然と、妹はワイには見えない何かが見えているんだ、と何故か確信した。
それからしばらく、ワイは夜、一人でトイレに行けなくなった。
ワイはビビりである。
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