大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月29日  ピポッ!(1)

2020-11-29 16:48:24 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 11月29日  ピポッ!(1)



 いつも会社の戸締りを任されているんだけど、昨日も19時に仕事が終わり、社内には自分とオカルト好きの同僚だけになったんで、居残って怖い話をしてた。
 で、20時になってその同僚も帰り、自分も片付けて、

” さぁ帰ろう・・・。”

と思った時、ポケットに入れているスマホから、

” ピポッ!”

って音がした。

「 ん・・・・・?」

聞き覚えのある音だ。
これは、音声認識の確認音。

” おかしいな、手が当たったのか?
でも、いつもポケットに入れる前にロックをかけるはずなんだけどな・・・。”

ポケットから出して画面を見てみると、やはり音声認識が作動したようだ。
 で、検索結果に、

『あああああああああ』

と出ていた。

「 うわっ!」

思わず画面を消した。
 会社には誰もいないし、有線の音楽も切っていた。
一人だったので、もちろんしゃべったりもしていない。
会社はほぼ無音状態だった。








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日々の恐怖 11月27日 障子(2)

2020-11-27 10:36:28 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月27日 障子(2)




 その夜、親戚皆で弁当を食べていたら、その子が話しかけてきた。

『 ねぇ、おじさんがね、ずっと見てたよ、お兄ちゃんをずっと見てたよ。』

 その子曰く、中年男性が障子の下部分に取り付けられたガラスから俺をずっと見ていたらしい。

” 弔問客の誰かによる悪ふざけだろう。”

と思った俺は、その話を半ば聞き流していた。
 そして昨日、誰も住まなくなって4年経った祖父母の家に気まぐれに入った俺は、親戚の子が青ざめていた訳を知った。
障子の下部分のガラスは床から数cmしか間が無く、そしてその縦幅も10cm程度しか無かったからだ。
 異常な体勢で、自分をずっと見つめている人間の姿を想像した俺は怖くなり、部屋中を見返した。
壁に取り付けられた曾祖父の絵と目が合った気がして、走ってその家から出た。
今考えてみると、障子を開けた先は、不審者が目撃された廊下だった。







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日々の恐怖 11月25日 障子(1)

2020-11-25 21:11:54 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月25日 障子(1)




 十数年前、母が、

『 紫色のセーターを来た男が家の廊下を走っていった!』

と騒いだ。
 その時まだ幼かった俺は、近鉄バッファローズの帽子を弄りながら、家に来た警察を見ていた記憶がある。
 それから数年後、今度は父が、

『 そこの廊下に不審者がいた!』

と騒いだ。
その時は通報しなかった。
 父が開業するに伴って俺と俺の両親は引越し、その家には祖父母だけが住む事になった。
そして今から4年程前、祖父母のお通夜の時の話。
 俺と向かい合って正座していた親戚の子(3歳下)が真っ青な顔をして、顔を上下させていた。

” 体調でも悪くなったのかな?”

と思ったが大して気にしなかった。
慣れない正座で足痛かったし。







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日々の恐怖 11月23日 仏壇

2020-11-23 10:42:13 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月23日 仏壇




 娘が赤ちゃんだった時、私の祖母が亡くなった。
通夜・葬儀を通して4ヶ月だった娘はぎゃんぎゃん泣いて、未だに実家の近所では、お葬式ですごく泣いてた子と呼ばれている。
 幼稚園に上がった頃だったかに帰省したとき、

「 おばあちゃんに、ご挨拶しようね。」

と、仏壇の前に座らせた。
 ちっちゃな手を合わせて、神妙な様子の娘に、私も母も妹も、なんだか和んでニコニコしながら、

「 おばあちゃん、なんて言ってる? 
大きくなったね、って・・・・?」

と訊いたら、娘が一言、

「 出て来られない、って言ってる。」

空気が凍った。








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日々の恐怖 11月21日 日記

2020-11-21 11:10:28 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月21日 日記




 登山好きの知り合いの話です。
冬山で、遭難した登山者が見つかった時のことで、捜索隊に加わっていた人から、こんな話を聞いたという。
 遭難者はメモ帳に、死ぬ寸前まで日記をつけていたらしい。
日記の最後の方は飢えと寒さのためか、字が乱れていて読めたものではなかった。
 しかし、日記の最後に書かれた二行の文章だけは、はっきりと読むことができた。

おとうさん おかあさん もうかえれません ごめんなさい
たのまれたので かきました 

まるで子供が書いたような下手な字で、平仮名だけが使われていた。
 字は強い筆圧で書かれており、遭難者の書いた字体とは明らかに違っている。
遺族にメモ帳を渡す時には、最後の一行は破りとったということだ。








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日々の恐怖 11月17日 張り紙(2)

2020-11-17 09:32:23 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月17日 張り紙(2)




 かすかに確認できる子供の髪型が先ほど見かけた子供と同じ坊主頭で、余計に気味が悪く感じてしまいました。
 急ぎ足で祖父家まで帰り、祖父に張り紙の事を聞いてみましたが何も知らないとのことでした。
小さな村なので子供がらいなくなったりしたら耳に入るはずなのです。
 その張り紙を見た年の翌年、少し遅めの正月の挨拶をしに祖父家を訪れました。
酒を交わしながら祖父と話していると、例の張り紙の話になりました。

「 お前が言うてた張り紙みたいなん見つけたんで、取っておいたで。」

と言われ、一枚の張り紙を差し出してきました。
 何で取っておく必要あるのかとは思いましたが、好奇心があったのも事実だったのでまた拝見しようと受け取りました。
ひと目見て前回見た張り紙との変化に気付きました。

” この子達を探しています ”

と書いてあるの文字の上から赤字で、

” 見つかりました ”

と上書きされていました。
 あまりの気味の悪さに、張り紙は知り合いの寺の方に無理を言って預けてきました。
これを一人で取ってきた祖父の鋼の精神力にも恐ろしさを感じました。
イタズラにしてはあんな人気の無い場所でする必要はありませんし、かといって本当に人捜しだとしても、山奥の一本の木に張り紙をする必要も無いと思います。
これといって実害などはありませんでしたが、あれは何だったのか今でもたまに思い出しては鳥肌が立ちます。








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日々の恐怖 11月14日 張り紙(1)

2020-11-14 10:49:45 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 11月14日 張り紙(1)




 夏休みなどを使って毎年遊びに訪れていた祖父家は、M県の山中にありました。
主に目的は川遊びで、モリ突きや釣りなどをして楽しんでいました。
 夏といえど1時間程川に入っていると体が冷えてくるので、川べりの岩の上で小休憩を挟みつつ、モリ突きで遊んでいた時のことです。
あまり人も来ないような場所だったのですが、気付けば200m程上流に、二人の子供(遠目でしたが多分小学生くらい)がいました。
村の小学校は廃校になっているような所だったので、この村にもあんな小さい子がいるんだなぁ、と思いつつ眺めていました。
 程なくして彼らは川を上って行きましたが、私がモリ突きをしていた場所は、その川でもかなり上流の方で、来る時も車で山を登ってきたほどでした。
親御さんとかが上に居るのかな、と考えながら私も帰り支度を始めました。
 荷物を置いてある木陰で着替え等していると、一本の木に少し古ぼけた張り紙がありました。
張り紙には写真がプリントされておりラミネートしてありました。
 写真は、母と思われる女性と子供が二人並んでいる写真でした。
その下には、

” この子達を探しています ”

と1行あるのみでした。
 その張り紙を見て気味が悪いと思ったのは写真のせいでした。
写真の女性の顔の部分はマジックか何かで黒く塗りつぶされており、子供二人の顔はヤスリをかけたように薄くぼけていました。







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日々の恐怖 11月11日 妹(2)

2020-11-11 20:57:43 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月11日 妹(2)




 妹が成人した頃には、彼女の様子に違和感を感じることもなくなったという。

「 いい話じゃないですか。」

私は心からそう言った。
しかし、Kさんはどこか浮かない顔でため息をついた。

「 先日、久しぶりに妹に会ったんです。
今度結婚するんだと言うので、祝いに飲みに行ったんですよ。
少し照れくさかったけど、意外に話が盛り上がって、お酒も進みましてね。」

楽しい話のはずなのに、Kさんの顔はますます暗くなり、私は不安を感じた。

「 子供の頃の思い出話で盛り上がっていた時です。
妹が、

『 お兄ちゃん、昔大怪我して、頭を縫ったことがあったよね。』

と言い出しました。
 怪我は何度もしましたが、頭を縫うほどの怪我をしたのは、七歳の時の一度きりです。
妹は続けて、

『 玄関でふざけて飛び降りて、段差で頭打っちゃったんだよね。
私近くで見てて、びっくりしたよ。』

と。
怪我の原因はその通りでしたが、妹はその時、生まれてないんですよね。」

 他人から聞いた話を、あたかも自分で経験したかのように思い違いをすることは、ままあることだ。
妹も、両親などから聞いた兄の怪我の話が心に残り、そのような勘違いをしていたのではないか。

私がそう言うと、

「 そうだといいんですが・・・・・。」

とKさんはもう一度ため息をついた。

「 僕が怪訝そうな顔をしたからでしょうね、妹は、しまったというような顔を一瞬だけしました。
その時の顔にね、久しぶりに例の違和感を感じたんです。
僕の妹は、こんなだったかなって・・・・。
まぁ、酔っ払いの感覚なんて、あてになりませんよね。」

Kさんはそう言って、力なく笑った。







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日々の恐怖 11月8日 妹(1)

2020-11-08 16:18:50 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月8日 妹(1)




 Kさんに聞いた話です。
彼には八歳離れた妹がいるのだが、その妹について、彼は子供の頃から不思議な感覚を持っているという。
時折、妹が妹でない時がある、というのだ。
 どこがどう違うのか、それを説明することはできない。
ただ、朝起きて「おはよう」と言った時、食事中、歩いている後ろ姿、何気なくこちらを向く仕草、あくびの後、眠っている最中でさえ、「今は、違う」という違和感を感じるのだという。
両親にそれを告げても、意味がわからないと相手にされなかった。
 彼自身、意味がわからなかったのだから、仕方のないことだった。
妹が妹でないと感じる時間は、一瞬の時もあれば、長くても三十分程度だった。
なので、そのうちKさんも気にしなくなった。
 妹の違和感について、Kさんは心当たりがあったという。
実は彼と妹との間には、妹が生まれる五年前に、性別も分からぬうちに流れてしまったもう一人のきょうだいがいたのだ。
妹が生まれるずっと前に、「もうすぐお兄ちゃんだよ」と父親に頭を撫でられた記憶、肩を落として静かに泣く母親の記憶が、おぼろげに残っているという。
 一目会うこともできなかったそのきょうだいは、きっと女の子だったのだろう。
普段は妹に寄り添い見守ってくれていて、妹が妹でない時は、きっとその子が妹に変わって世の中を見ているのだろう。
Kさんはそう思っていたという。
年の離れた兄妹は、Kさんが進学して家を離れたことを機に、会う回数がぐんと減った。










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日々の恐怖 11月5日 バンガロー

2020-11-06 16:10:44 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月5日 バンガロー




 昔、友人数人と山にキャンプに行き、バンガローに泊まったときのことです。
山といっても、一応ちゃんとした施設もあり、一日色々遊んで楽しかったです。
それで漸く夜、さあ寝ようかという時間になりました。
 就寝の支度をしていると、友人Yが結構ガマンしていたみたいで、トイレの大に行って来ると言って出て行きました。
みんな疲れていたようで、支度が終わると瞬間で寝ていました。
自分も寝そべりながらウトウトしていました。
 その時、不意にバンガローのドアが強めの勢いでガタッと開きましたた。
さっきトイレに出掛けたYが、ドアから顔だけ出してこちらを覗いていました。
 それが、どうも様子がおかしいのです。
服装や髪型はどう見てもYですが、目が不自然に垂れているのです。
人間の目を、位置はそのままで角度だけハの字にしたみたいでした。
 自分が、

「 Y・・・?」

と声を掛けました。
 それとほぼ同じタイミングで、そいつがこう言いました。

「 何で助けてくれへんかったんや。」

それは、Yの声でした。

「 え?何が・・・・?」

と思う間もなく、そいつはドアを閉めました。
 タッタッタと走り去る音が聞こえました。
他の友人は誰も起きていないみたいで、俺は意味不明で怖くてしばらく眠れませんでした。
 しばらくすると、またドアが開いて人が入ってきました。
恐る恐る見ると、Y本人でした。

「 いや~、漏れそうで危なかったよ。」

と笑いながら布団に包まりました。
意を決して顔を見ましたが、間違いなく俺の友人のYでした。
 翌朝、Yにそれとなく、昨夜トイレに行った時と帰りに、誰かとすれ違ったりしなかったかと聞いてみましたが、別に誰とも会わなかったとのことでした。
俺は特に誰かを見捨てたりした経験もないし、あの言葉の意味がまったく分からなかったです。
 目が異様に垂れ下がったあの顔は、今でもたまに夢に出てくる時があります。
誰かが間違えて入ってきたのか?そうだとして、あれは本当に人間だったのか?
Yはもちろん今も健在で、たまに会ったりしていますが、この話は彼にはしていません。










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日々の恐怖 11月2日 壁(3)

2020-11-02 19:46:29 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 11月2日 壁(3)




 そしたら次は、とうとう家のドアの前に現れた。
ドアと話してるからドア開けられないし、一旦逃げようとコンビニへ行った。
戻ったら、いなかった。
 次の日は家の中に現れた。
冷蔵庫と話してた。
 家には出ないと思ってたから、流石に怖くて、キッチンの塩ふってみたけど効果無し。
諦めて寝ようとしても、怒鳴り声が煩くて眠れない。
すっかり寝不足になった。
 ムカついたから、

「 うるせえんだよてめえ!消えろ!」

と怒鳴りつけた。
 次の日寝てたら顔のまん前に現れて、ブツブツブツブツ。
精神的にかなり参ってたと思う。

「 なんなんだよてめえ!
俺がなにかしたのか?
ふざけんなよ!」

と、そいつが現れる度に怒鳴ってた。
 それで、ある日それを友人に見られまして、

「 お前、壁と話してたよ・・・・。」

と言われました。
 だから俺は、

” ああ、なんか合点がいった、そういうことか・・・・。”

と思った。
 直ぐさま、病院へ行きました。
精神病だと思ったんだ。
 でも、結果は脳の血管がふさがってなんちゃらかんちゃらで、バイパスが出来て助かったけど危なかったと言われました。
あれが幽霊なのか、幻覚なのかは分からず仕舞いです。







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