大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 9月28日 曰く付き物件の日常(2)

2021-09-28 19:31:42 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月28日 曰く付き物件の日常(2)




(2)入居して1ヶ月

「 地震が来るよ。」

楽しそうな、いたずらした時の含み笑いのような声に目を覚ます。
 空耳かと思ったが、違った。
激しい揺れ。
 東北の大地震の影響で、勤め先のプロジェクトが軒並み頓挫し、いきなり仕事を辞めることになった。
まぁ、天災では仕方ない。
室内で視線や、シャワー時に歩く気配を感じるが、全て新生活のストレスだろうと思っていた。
 酷いのは台所の天井付近のところだった。
照明が届かなくて異様に暗いので、照明の傘を外すことにした。
密閉されていて湿度が高い気がするので、常に風呂場は換気扇を回しておくようにした。


(3)入居して3ヶ月

 新しい転職先が決まって、働き始めて一週間。
家に帰って、

「 ただいま~。」

とドアを開ける。

「 おかえり。」
「 は~い、ただい・・・・、え?」

明かりを点けるも誰もいない。
少し怖くなり始めた。
 なんか最近ツイてないことが多い。
寝てる時に皿やコップが落ちて割れる。
余震の影響だろうと考え、置き場所を変える。
 妹や友人が週末遊びに来るようになった。
泊まっていってくれるので、怖さや不安は半減した。
ただ、泊まると必ず怖い夢を見るというので、妹はたびたび飛び起きる。
 そのうち、隣の一軒家の解体が始まり、新築工事がスタートした。
騒音がひどく、日中は家に居たくない。
半年くらいの工事日程が書いてあった、引っ越したばかりなのに・・・・。








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日々の恐怖 9月25日 曰く付き物件の日常(1)

2021-09-25 11:27:46 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月25日 曰く付き物件の日常(1)




 職場の同僚に指摘されるまで、曰く付き物件だと確信できなかったため住み続けていました。
日記に記録が残っていますので、時系列で話します。

 数年ほど前のことですが、都内1Rに一人暮らししていました。
線路沿いの踏切近く、1階奥の角部屋で家賃は6万ほどです。
 一本路地を入っているので、窓さえ閉めていれば電車の音は全く聞こえない。
大きな仕事に携わることになったため、急いで引っ越さなくてはいけなかった。
今思えば、下見も不十分だったと思うし、一人で行くべきではなかった。
 契約前の、

「 一人で住まわれるんですよね?」

と、ベランダ先のぼろぼろの放置バイクが気になったぐらい。
放置バイクは撤去するよう呼びかけているとのことだった。
 質問に答えた。

「 一人暮らしで探してるんだから当然じゃないですか。
たまに家族が泊まりに来る程度だと思います。」
「 そうですか、ならいいんです。
問題ありません。」
「 ・・・・?」

その時は単純に契約確認で、2人入居だと金額が変わるからだろうと思っていた。


(1)引越し当日

 物件探しの時から、

「 曰く付きだけは絶対紹介しないでください。」

とお願いしていた手前、引っ越しを手伝ってくれた友人達の、

「 なんか・・・、暗くない・・・?」

という発言も笑ってスルーした。
 確かに、今思い出すと、

” 入居前と比べて暗いな・・・?”

と違和感は感じていた。









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日々の恐怖 9月22日 置物(3)

2021-09-22 13:29:14 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月22日 置物(3)




 知人は、何なのかさっぱりわからないが、不気味で不思議なものだから、捨てて何かあると嫌だからと、引き取りをKさんが相談された。
 何故だか、

” まあ、いいか・・・・。”

と思ったKさんが承諾すると、一週間かからずKさんの手元に、これが届いたと言うことだった。
 Kさんは、

「 特に今まで何も被害はないけど・・・・。」

と言って、実際届いてからも彼自身には特に被害らしきものは未だに無いようだった。
 ただ、Kさんが東京に住んでた頃のマンションの隣の部屋が、届いてから一ヶ月以内で首吊り、下から一日中騒音が始まった。
 Kさんは偶然だと思ったようだが、話を聞くうち、届いてから三ヶ月以内に起こったことが異常じゃないかと感じた。
 別に引っ越しシーズンではないのに、四部屋が引っ越しした。
別の一部屋は火事、部屋内だけで済んだようだ。
救急車騒ぎが別に三件、Kさんは興味がなかったから内容までは知らないようだが、五階建ての15部屋位のマンションで起こった。
 Kさんもさすがに、このマンションは何かあるのかも、と考えたようだ。
それで、かねてからの憧れの田舎暮らしのために、この地元に引っ越してきたと言うことだった。
ただし、置物については、自分が大丈夫だから、原因では無いと考えているようだ。
 Kさんが引っ越してから、まず置物の中身のメノウみたいな塊をドライバーで砕いてみたそうだ。
何層かになってたみたいだが、比較的砕きやすい材質と、お湯で流すと錆のような色をして溶ける事を発見したそうで、近くの川に紐で結わえて二週間程放置してたら、中が綺麗になくなっていた。
 真実は謎だが、Kさんは言った。

「 多分、メノウみたいな塊は血だったんじゃないかなァ~。
やかんほどの大きさの置物に、長いことかけて一人分じゃないかもしれない血を何層にも固めて貯めて、なんかを呪ってたのかもね、ハハハ!」

ここまでKさんの話を聞いている間、私はずっとその置物を手に持ったままだったので生きた心地がしなかった。
しかも地元の川に、もしかしたらおぞましい呪いが掛かった血を洗い流すとは・・・・。
 私はそそくさと置物をテーブルに戻した。
私に被害は、一応、今のところ、まだ無い、あったら困る。








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日々の恐怖 9月19日 置物(2)

2021-09-19 12:33:12 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月19日 置物(2)




 こちらの部屋の明かりが、真っ暗な隣の部屋の木製のテーブルを照らしていた。
そのテーブルに置かれたヤカンみたいな置物を見た瞬間、なんかよくわからんが、

” ゾクッ!”

とした。
置物の周りは、布と竹串みたいので作られた囲いがあった。
 Kさんは、当たり前のようにその囲いから置物を拾い上げて、私に手渡して見せてくれた。
私は、それを両手で受け取って繁々と眺めた。
 大きさはやかんなんだけど、やかんから取っ手と注ぎ口を無くして、素材は鉄器、蓋付きの壺みたいな容器だった。
すごいというほどではないけれど、まぁまぁ古そうな感じがした。

「 なに、これ・・・?」

って聞いてみたら、

「 俺もよくわからないけど・・・・。」

と言う前置きで、Kさんの知人が中国へ転勤したときに、借りた家にそれが置いてあったと教えてくれた。
 Kさんの知人は、転勤してから家族が身体に不調が続いたり精神的に不安定になったりと、誰かが死ぬなんてことはなかったけど、何故か家族全員がこの置物を酷く嫌がるってことで、はじめは捨ててしまおうとしたみたいなんだけど、試しに蓋を開けてみるとメノウみたいな塊が見えて、それを見た瞬間にその知人は、ひっくり返って気を失ったそうだ。








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日々の恐怖 9月16日 置物(1)

2021-09-16 11:54:47 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月16日 置物(1)




 私は九州の田舎に住んでます。
仕事は少し離れた町にある居酒屋ですが、そこに一年半くらい前に東京から移り住んできたKさんがバイトに入ってきた。
 それで、結構気さくな人ですぐに仲良くなって、独り暮らししてるっていう一軒家に招待してもらった。
Kさんはかなりお酒が強いみたいで、こっちがかなり酔いが回ってんのに飄々と缶ビールを開けていた。
 飲んでいた部屋は六畳ぐらいで、奥に襖が閉まっていた。
押入れでも無さそうだし、 飲んでる部屋の続き間があるんだと思った。
 酔いの影響もあったのか、襖の向こうが気になって、

「 あっちの部屋は?」

って聞いてみたら、

「 使ってない部屋だよ。」

と返事が返って来た。
 飲んでる部屋もベッドとパソコンだけだ。
なんか生活感薄いというか、テレビもない。
それで、

「 見てもいいか?」

と聞いてみると、少し考える素振りを見せてから、

「 どうぞ・・・。」

と襖を開いてくれた。
なんで見てみたいと思ったのかよく分からないが、多分酔いのせいか。








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日々の恐怖 9月12日 小さくて白っぽい動物(4)

2021-09-12 16:42:55 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月12日 小さくて白っぽい動物(4)





 私はAさんのそばを離れると、先ほど見た小さな動物のことを少し思った。

” あれは、なんだったんだろう・・・・?”

しかし、そんな疑問はすぐに日常に忙殺されてしまい、その日の夕方には、不思議なものを見たことすらも、忘れてしまっていた。

 1月も半ば頃、退勤時に更衣室で隣のユニットの職員とたまたま顔を合わせた。
彼女は、新年会の時に貧血で倒れた職員だった。

「 今更だけど、大変だったね、もう平気なの?」
「 もうすっかり。
注目集めちゃって、恥ずかしかったです。」

彼女は今から夜勤のようで、照れ笑いをしながら手早く着替えをしていたが、ふと思い出したように言った。

「 そういえば、Bさんってわかります?」
「 利用者さんの?
わかるけど、どうしたの?」
「 最近、調子がいいんですよね。
年末は声も出せなくて、もう危ないかとも思ったんですけど・・・。
年が明けてからは食欲も出て、かなり遅れましたけど、昨日なんて新年の挨拶をしてくれたんですよ。
わたしが担当してる方だから、嬉しくて。
あちこちで自慢してるんです、わたし・・・・。」

本当に嬉しそうに笑う彼女を、介護士の鑑だなと私も微笑ましく思った。
しかし一方で、年明けにAさんから聞いたイヌの話を思い出し、まさかとは思いつつも、うすら寒くなったのだった。











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日々の恐怖 9月9日 ワクチン

2021-09-09 12:33:00 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月9日 ワクチン




2021年3月だった。

あの頃ワクチンを打てば、
感染することはないと言われていた。
でもそれは嘘だった。
接種者も感染はする。

あの頃みんなでワクチンを打てば、
集団免疫ができると言っていた。

でもそれは嘘だった。
ワクチン接種率が、
高いほど感染者が増えている。

あの頃一度打てば、
当面は大丈夫だと言っていた。

でもそれは嘘だった。
イスラエルの首相は3度目を打たないと、
死に直面すると警告している。

あの頃変異種にも効くと言っていた。

でもそれは嘘だった。
あなたが打つ予定のワクチンモデルは、
初期武漢型のものだ。
デルタ株には効かない。

あの頃金属が入ることなんて、
デマだと言っていた。

でもそれは嘘だった。
あやしい原因究明のまま打たせようとしている。

あの頃、そして今も不妊なんてデマだと言う。

本当にデマなんだろうか?
ADEなんて起きないと言っていた。
でも多くの医者や研究者が、
ADEが起きていることを、
認めざるを得なくなってきた。

あなたがこれまで飲んできた薬は、
すべて開発から発売まで10年以上かけて、
多くの時間をかけて作られた。
最終段階の第3相試験まで来ても、
9割は承認されないほど治験は厳しい世界だ。

だからこそ、あなたが飲んできた薬は安全なんだ。

今のワクチンはたった10ヶ月で作られたもので、
日本でも世界でもこれだけ、
短い時間でできたワクチンは存在しない。
今まであなたが信用して、
飲んできた薬たちすべてを冒涜する馬鹿げた時短だった。

そして案の定当初の謳い文句からは、
大きく離脱した残念な結果だった。

このワクチンを信用するのかな。

大事な身体に入れる、
そして人に一番大事な免疫に関わる新薬だ。

後もう少し様子見しても、いいんじゃないかな。









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日々の恐怖 9月8日 小さくて白っぽい動物(3)

2021-09-08 18:59:48 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月8日 小さくて白っぽい動物(3)




 イヌ科と言われればそうかもしれないが、あれはどう見ても犬には見えなかった。

「 あれ、犬なんですか?」
「 そうよ。
あれは、昔から隣のBが使うんじゃ。」

Bさんは隣のユニットの寝たきりの利用者だった。
 話が変な方向に行きつつあると感じながらも、そのままAさんの話に耳を傾ける。

「 あれは、若い者のイキをちっとばかり盗んでいくんじゃ。
そして、Bはまた少し生き永らえる。
あんたも、気をつけんといかん。
あいつは何もできん優男な風をして、腹黒いやつだから。」
「 イキって、なんですか?」
「 命のことよ。」

そこまで言うと、久しぶりのおしゃべりが堪えたのかAさんは目を閉じ、それ以上口を開くことはなかった。
 私は驚きを隠せなかった。
しかし話の内容を信じた訳ではない。
認知症の方の話を否定しないのは基本中の基本だが、だからといって、Bさんが式神のようにイヌとやらをとばして命を少しだけ奪うなんて話、鵜呑みにする訳はない。
寡黙なAさんがここまで話をしてくれたことと、それが先ほど私が体験した不思議と合致していたことに驚いたのだった。
 AさんとBさんは家が近く、確か昔からの顔なじみのはずだ。
しかし今の口ぶりからすると、二人の仲はあまり良くなかったのかもしれない。
昔からのそんな関係性が、攻撃的な言葉として今、発露されているのかもしれなかった。








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日々の恐怖 9月3日 小さくて白っぽい動物(2)

2021-09-03 17:52:16 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月3日 小さくて白っぽい動物(2)




 イタチに似ていたが耳が尖っており、何よりイタチよりも一回り小さかった。

” なんでこんなところに動物が・・・・?”

と思ったが、その動物に注目している職員は誰もいなかった。
 気が付いていないだけかとも思ったが、足の間をああもスレスレですり抜けられて、気が付かない方がおかしい。
どうやら、動物の姿が見え、なおかつ驚いているのは私だけのようだった。
 動物は職員の足の間をチョロチョロとした動きでホールの出口に向かい、やがて見えなくなった。
私はそれを目で追いすぎ、あのような場でキョロキョロと落ち着きがなかったと、新年会終了後に現場主任からお叱りを受けた。
 主任のお小言の後は、いつも通りの仕事が待っている。
私は特別養護ホームに勤務しているので、盆も正月も関係ない。
それは利用者にしても同じようなもので、いつもと変わらないメンバーに苦笑しつつ、今年もよろしくお願いします、と一人ひとりに挨拶をして回った。

「 イヌが出たな。」

私の挨拶に唐突にそう返したのは、普段口数の少ないAさんだった。
 彼は元々の寡黙な性格に加え、軽度の認知症だったため、職員の声かけにすぐに応えることの方が少なかったのだが、今回の予想外の言葉に私は首を傾げた。

「 はい?」
「 イヌが出たろう。
あんた達が話を聞きに行っているときだ。
こんな小さいのが、出たろう。」

こんな、とAさんはぎこちない手でバレーボールくらいの大きさを示した。
それを見て、私は先ほど見た小さな動物のことを思い出した。









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