大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月30日 ワイの話(20)

2020-05-30 16:24:38 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月30日 ワイの話(20)




 卒業後、ワイは周囲の反対を押し切って、地元からかなり離れた場所で就職した。
この時からマッマや祖父母とは離縁したような状態になってしまったが、妹や弟とは今までと変わらず、たまに連絡を取っていた。
 新生活を始める前に、ワイは会社の近くで新たに借りる部屋を探す時、地元から妹を呼び、部屋探しを手伝って貰った。
二人で不動産屋に行くと、大抵夫婦に間違われ、広めの部屋を勧められた。
その都度、妹だと説明する要らない労力もあったが、それよりもこれから自分の住む部屋に幽霊がいるよりはマシだろうと思った。
 無事に部屋探しを終えて、妹が地元に帰る前にワイに尋ねてきた。

「 お兄ちゃんって今、付き合ってる人、いる?」
「 いると言えばいる、かな~。
多分、春からは遠距離になるから、近い内に終わると思うけど・・・・。」
「 その相手の人って髪の色、緑?」

ぶっ飛び過ぎた質問に、ワイは思わず噴き出しながら、

「 違うよ。」

と妹に答えた。
 今まで金髪に差し色でピンクや、黒髮に差し色でシルバーという個性的な髪色の女性とは付き合ったことはあったが、流石に緑色なんてぶっ飛んだ髪色の女性とワイはお付き合いしたことは無い。








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日々の恐怖 5月28日 ワイの話(19)

2020-05-28 16:29:43 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月28日 ワイの話(19)




 話をまとめるとこうだ。
ワイの部屋に泊まった日の夜、妹の枕元に女の人の霊が妹を頼って話し掛けて来たらしい。
 その女性は一生懸命、妹に何かを話して説明しているようだったが、妹には分からない言語だったので、何を言っているかも全然理解出来なかった。
唯一、マレーシアだけは聴き取れたようで、妹はその女性の霊はマレーシア人だと分かったようだ。
 泊まってる間、妹はずっと話し掛けられていたようだったが、

「 言葉が分からなくて、力になれなかった。」

とポツリと言った。

「 都会だと、あんなこともあるんだね!」

 何だか部屋にいるのがマレーシア人の女性の霊だと分かると、怖さよりも面白さの方が優って、どうでも良くなった。
 電話の終わり際に、妹が言う。

「 お兄ちゃんは、すぐに女の人に頼られちゃうから、付き合う人には気をつけるんだよ!」

あんなに小さかった妹が、ワイの交際関係を心配するまでに大きくなったのか、としみじみと思った。
 しかしマレーシア人の女性(しかも霊)に頼られるような関係は全く身に覚えが無い。
残念ながら、今まで一度もワイは幽霊を見たことが無かったので、話を聞いた後も部屋に気配を感じたりすることなど、全然、全く無かった。
 後日、朝、目を覚ますと枕元に一本のかなり長い髪の毛(超ロング)が落ちていた。
ワイは直感的に、

“ これはマレーシア人の物だ!”

と理解し、しばらく友人の家に入り浸った。
そして、無理をしてでも、その部屋から引っ越したのは言うまでも無い。










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日々の恐怖 5月26日 ワイの話(18)

2020-05-26 11:35:54 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月26日 ワイの話(18)





「 姉ちゃんが言うには、兄ちゃんが今住んでる部屋に幽霊がいるみたい。」
「 ふぁっ・・・・!?」

ワイはゆっくりと部屋を見回した。

「 兄ちゃん・・・?」
「 お、おう。
そうか、分かったわ、じゃ!」

ワイは、すぐに電話を切る。

“ ピッ!”

前にも話したが、ワイは見栄っ張りなのだ。

“ 弟に情けない姿は見せない!兄だから!”

そして、ワイは直ぐに妹に電話を掛ける。

“ ピリピリピリピリ・・!”
“ ピッ!”

妹が電話に出た。

「 もしもしー?お兄ちゃんどしたのー?」
「 今、電話大丈夫か?」
「 んー?大丈夫だよー!」
「 お兄ちゃんの部屋に、幽霊いるって、マジ・・?」
「 えっ?マッマから聞いたの?」
「 弟から聞いた、マジなの?
ねぇ?マジなの?」
「 ちょっと、お兄ちゃん落ち着いて、ね?」
「 どこにいるの?
ねぇ?マジ、どこーーー!?」
「 大丈夫だから、お兄ちゃん、まず落ち着いって、てばー!」

ワイはキョロキョロしながら、ビビり散らしていた。

「 大丈夫?落ち着いた?」
「 あぁ・・・、とりあえず今日は友人の家に泊まりに行くわ。」
「 はぁー。
だから、かーちゃん(弟)には、お兄ちゃんに言うなって言ったのに、もう・・・・!」
「 ・・・・、一応、確認しときたいんだけど、どんなのが部屋にいるの?」
「 ・・・・・・・。」
「 ねぇ?悪い奴?悪い奴なの?」
「 もう・・・、お兄ちゃん、落ち着いてってば!」
「 ねぇ?悪い奴?悪い奴なの?」
「 分からないけど、心配しなくても大丈夫だと思うよ。」
「 ねぇ!?どんな!?
やばそうなら、すぐに家から出たいんだけどーーー!!!」
「 女の人の霊だよ、ちょっとよくは分からないけど大丈夫だから!
お兄ちゃん落ち着いて!」
「 女の人・・・・?
やば。こわ。
もうやだ、引っ越す!」
「 う~~~ん・・・・・。」
「 それに、ちょっとよく分からないけど大丈夫って、なに?
それ、大丈夫じゃないよね?
ねぇ?」
「 私も分かんなかったの!
マレーシア人で、話してる言葉が分からなかったから!」
「 えっ・・・・・・・??」








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日々の恐怖 5月22日 ワイの話(17)

2020-05-22 16:42:35 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 5月22日 ワイの話(17)





 それから数日後、弟から電話が掛かってきた。

「 兄ちゃん!今度は俺も、そっちに行くから!」
「 おう、マッマの許可降りたらな~。」

 お土産に買ってきて欲しかった服が無かったとか、姉ちゃん(妹)は自分の物で頭いっぱいで弟の物を忘れていたとか、ワイはたわいもない愚痴を聞かされた。
 大きくなっても、

“ ぽけらっー。”

として抜けてる妹は、

“ 小さい頃とあんまり変わらないな~。”

とかワイが思っていると、電話越しの弟が急に真面目なトーンになった。

「 ちょっと、兄ちゃんに話したいことがあるんだけど・・・・・・。」
「 どした?」
「 姉ちゃんが帰ってきてから、家族会議があったんだけど・・・・・。」
「 家族・・、会議・・・・?」

少なくともワイが実家にいる時には無かった制度に、

“ 何事か・・・・・??”

と疑問符が浮かぶ。
 弟が続けた。

「 姉ちゃんは、兄ちゃんには絶対に言うなって言ってたんだけど・・・・・。」

ワイは、

“ 何のことだ・・・?”

と微妙に不安になる。

「 マッマも兄ちゃんが怖がるから話すな!って言ってたけど、多分知らない方が兄ちゃん怒るだろうから、さ?」

 流石、弟だ。
弟がまだ赤ちゃんの頃、ワイがおしめを替えてやるくらい面倒見ていたからか、弟はワイを兄としてかなり慕ってくれているのだ。
 ワイは、

「 よし、話せ!」

と太っ腹に答えた。
そして、ワイは忠臣から報告を受けるような気持ちで、家族会議のことを聞いた。










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日々の恐怖 5月19日 ワイの話(16)

2020-05-19 20:17:02 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月19日 ワイの話(16)




 月日が経ち、あれから特に不思議な事が起きなくなった。
マッマ曰く、

「 もう多感な時期を過ぎたから、妹ちゃんはみえなくなったんじゃない?」

と言っていた。
まぁ、人にはみえないモノをみえると言わない方が良いって事を知るくらい妹も成長し、大人になったのだろう。
 ワイは進学を機に、ど田舎から脱出し、独り暮らしを始めた。
長い休みになると様子見と称し、実家から妹が遊びに来た。

「 行きたいお店があるの!」

見せられた紙には、数点の服屋の名前があった。
 もちろん、妹は場所を知るはずも無いので、ワイがナビして買い物に付き合う。
割と都会(当社比)なので、地元のど田舎にある古い服屋では出来ないような買い物に妹は終始、楽しそうにはしゃいでいた。
 ワイはいつも妹や弟がいる実家を疎ましく思っていたが、独り暮らしを始め、いざ一人になると結構寂しかったので、久しぶりに妹の顔を見たワイも、この時はかなりはしゃいでいたと思う。
妹は数日間滞在し、田舎へと戻って行った。








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日々の恐怖 5月17日 ワイの話(15)

2020-05-17 13:18:13 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月17日 ワイの話(15)




 怖がる妹をワイは後ろから押し、曽祖母のベットに近づけて、二人で一緒に曽祖母の手を握った。
曽祖母の手は細く冷たかったので、ワイは手を摩るように動かす。
妹も真似て、手を摩ると曽祖母は頷くように小さく頭を動かしていた。
 あのお見舞いから、日がそれほど経たない内に曽祖母は亡くなった。
マッマは病室で言われた通り、祖父母の家にある、以前曽祖母が使っていた茶箪笥を調べて、また驚いていた。

「 これね、マッマが小さい頃に、おばぁちゃんがお守りだって渡してくれたのよ。」

 聞くと、その金の指輪は曽祖母の結婚指輪だったらしい。
マッマも小さい頃は妹と同じように不思議な体験をしていて困っていたが、曽祖母からこの指輪を渡されてから、徐々にその不思議な体験が減っていったとか。
 ただ、曽祖母から譲り受けた物で大事にしていたはずなのに、ある日、いつの間にかマッマの手元から指輪は消えてしまった。
マッマもかなり探したようで何故今頃、こんな所から出て来たのかと酷く驚いていた。
 そんなこんなで曽祖母の遺言通り、その金の指輪は妹が持つ事になった。
もちろん、サイズが全然合わないので、紐でチョーカーのように妹は身に付けていた。
 妹はワイに絶対話さないが、マッマから聞いたら、どうやら曽祖母の金の指輪を持っていると怖いモノが近づかなくなるようで、それから妹はまた学校に通えるようになったようだ。
ワイは、何かあったら、妹から曽祖母の金の指輪を奪って身に付けようと思った。









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日々の恐怖 5月15日 ワイの話(14)

2020-05-15 11:27:34 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 5月15日 ワイの話(14)




 妹が小学校の高学年になった頃、また妹が学校を休みがちになった。
お守りとして付けていたキーホルダーがいつの間にかどこかに消えてしまい、ワイも何度か一緒に探したが結局、キーホルダーが出てくる事は無かった。
 そんな時、入院している曽祖母がもうあまり先が長くないというので、マッマとワイと妹はお見舞いに行った。
曽祖母は随分前から施設に入っていて、少なくともワイが記憶している限り、その病室でしか曽祖母を見た事が無かった。
以前お見舞いに行った時、曽祖母はワイのマッマを見てバッバの名前を言っていた。
 ワイをひ孫と認識していないようで、ワイら兄妹が病室を訪れても叔母や叔父の名前ばかり言っていた。
そんな状態なのでバッバやマッマはあまり曽祖母の話をせず、お見舞いに行く回数も非常に少なかった。
ワイは子供ながらになんとなく、バッバやマッマが曽祖母をいないものとしているように感じ、曽祖母の事を深く聞く事は無かった。
 しかし、その日お見舞いに行った時の曽祖母はいつもと違っていた。
もう話す力も残っていないはずなのに、妹を見るなりハッキリとこう言った。

「 妹ちゃんだね、大丈夫、全部持ってくから、安心せい。」

マッマは酷く驚いていた。
そして続けて、曽祖母は、

「 部屋の茶箪笥の上を見なさい。」

と言った。
ずいぶん前から、まともに話せる状態じゃなかった曽祖母が、しっかりと妹の方を見て話していた。









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日々の恐怖 5月10日 ワイの話(13)

2020-05-10 17:44:12 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月10日 ワイの話(13)




 ポチは、ワイより妹に懐いていたから、ワイはそれをあまり面白く思っていなかった。

「 もしその子の首輪が残っていたら、小さく切ってキーホルダーにして妹ちゃんに持たせてあげて。」
「 きっと、またその子が妹ちゃんを見つけて守ってくれるから。」
「 ただ、その子もずっとこの先も一緒にいる事は出来ない。
いえ、あまり長い間、止まらせては酷だから。」
「 それまでに、妹ちゃんが対処を憶えてくれれば大丈夫だけど・・・・。」
「 もし、また妹ちゃんが困ったら、いつでも相談して下さい。」

マッマとバッバが、

「 ありがとうございます。」

と礼を繰り返す中、ワイも拝み屋さんに話し掛けられた。

「 妹ちゃんも優しくて頼られるけど、君は女の子に頼られるから気を付けなさい。
妹ちゃんには優しくて、ね?」

そのおばさんが帰り際に、玄関でバッバが包んだ謝礼を渡そうとしているのをワイは見た。

「 そういう物は一切、受け取りません。」

それでもバッバは、

「 助けて頂いたから・・・・。」

と、割と強めに渡そうとしていたが、最後まで拝み屋さんはそれを受け取らなかった。

「 過去の私と同じ様に困った人がいたら、ただお節介をしているだけなので・・。」

ワイは、拝み屋さんが最後に言ったその言葉を、今でもハッキリと覚えている。
 後日、マッマが妹に少し汚れた赤い革のキーホルダーを、お守りと言って渡していた。
ポチの付けていた首輪と同じ色のキーホルダーをランドセルに付けてから、妹は学校へまた通える様になった。
それからワイはなんとなく、登校する友達グループに妹も加えて、一緒に登校するようになった。
 あの後に、一度だけ妹に聞いた事がある。

「 どうしてあの時、ワイに学校でお化けが見えて怖いって話さなかったのか?」
「 おにいちゃん、なにかみえてもいうなっていったから・・・・。」

妹はどんなに怖くても、昔、ワイが言った約束を律儀に守っていたのだ。
 ワイは、急に情けなくなった。
犬のポチでさえ、妹を守ろうとしているのに、兄であるワイは何をしているんだ。
離婚して今は小さい弟を除けば、家に男はワイしかいない。

“ 妹もマッマも、ワイが守らないといけないんだ。”

その日、幼いながらもワイは決意した。









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日々の恐怖 5月7日 ワイの話(12)

2020-05-07 17:43:02 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月7日 ワイの話(12)




 それから数日後に親戚でも無い、ワイが覚えている限り、まったく知らない見たことも無いおばさんが祖父母の家に来た。
 マッマはワイに、その人はバッバが頼って呼んだ“拝み屋さん”だと説明してくれた。
これからマッマとバッバがその拝み屋さんと話すから、寝ている妹を見てて欲しいとワイは頼まれたが、ワイも話を聞きたいとゴネゴネとゴネて、その話に同席した。
 拝み屋さんは、寝ている妹をしばらく、

“ ジッ。”

と見つめた。
 そして、拝み屋さんは、順に話し始めた。

「 ○○(妹)ちゃんは優しくて、周りの良くないモノから頼られてしまう。」
「 昔、犬を飼ってましたね?」
「 ちょっと前までは、その子が妹ちゃんを良くないモノから守っていた様だけど・・・。」
「 今は家が変わって、その子が妹ちゃんから離れてしまったみたい。」
「 それで、学校にいる良くないモノが妹ちゃんに近寄る様になって、妹ちゃんは怖がっているようね。」

ワイは驚いたと同時に小さいながらも直感的に、

“ あぁ、この人は本物だ。”

と直ぐに感じた。
 もちろん、マッマもバッバも今日がこのおばさんとは初対面で、以前の家で犬を飼っていた事を、この人は知るはずもない。
 ポチ(仮名)は妹が小学校に上がる前に死んでしまったが、老衰で立てなくなるまでワイと妹が、ほぼ毎日散歩に連れて行っていた。
特に妹はポチを可愛がっていて、ポチも妹の姿を見ると、

“ ブンブン。”

と尻尾を振って喜んでいたのをワイは覚えている。









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日々の恐怖 5月5日 ワイの話(11)

2020-05-05 19:46:21 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月5日 ワイの話(11)




 学校に入ると妹は火を付けたように泣き出し、ワイにはもう手が付けられなくなった。

「 大丈夫、兄ちゃんがいるから怖くない!
○○(妹)は、何が怖いのか兄ちゃんに言え!
そいつを直ぐに、兄ちゃんがやっつけてやるから!」

何度妹に言い聞かせても、妹は怖いと繰り返し怯えるばかり。
 狼狽しながらワイは助けを求めて職員室へ行こうとしたのだが、妹は、

「 怖い!怖い!」

と抱きついて離れないので、妹を引きずるようにワイも半泣きで担任を頼るために職員室へと続く廊下を歩いた。
 途中で妹がゲロを吐いて気を失った。
ワイは妹が死んでしまったと思い、一人で半狂乱になりながらダッシュで職員室へと駆け込んだ。
 最強に面倒な兄妹だったが、ワイの担任は非常に優しかったので嫌な顔を見せずに、ゲロまみれで倒れる妹を保健室まで運び、マッマが迎えに来るまでワイと妹に付き添ってくれた。
当然、ワイは家に帰ってからマッマにこっぴどく怒られた。
 流石に傍若無人のガッキワイも妹に悪い事をしたなと思い、ワイは妹に無理矢理学校に行かせた事を謝った。

「 兄ちゃんが妹をいじめるてる奴をやっつけてやるから!名前を教えて!」

妹は、

「 ありがとう。」

と言うばかりで、ワイにそれ以上を話す事は無かった。







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日々の恐怖 5月3日 ワイの話(10)

2020-05-03 11:29:01 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月3日 ワイの話(10)




 妹が不登校になって2週間くらいが過ぎた頃、遂にワイは、

“ このままでは、ワイまで馬鹿にされる!”

という身勝手な焦燥感から無理矢理、妹を学校に連れて行こうとした。
 妹が小学校に上がった直後は兄貴風を吹かし、慣れるまでは登下校を共にし面倒を見ていたが、次第に妹と一緒に登下校するのが嫌になり、ワイは友達と通学するようになっていたが、その日は嫌がる妹を怒鳴りながら準備させ、迎えに来たワイの友達と一緒に学校へと向かった。
 道中、

「 もし誰か妹をいじめてる奴が居るなら兄ちゃんが守ったる!」
「 勉強が分からないなら兄ちゃんが教えたる!」

とワイはとにかく妹に言い聞かせた。
 ワイの友達と皆んなで学校に行くのが楽しいのか、妹はまるで遠足に行くみたいに登校を楽しんでいた。
 だか、学校に近づくにつれて妹の表情が曇る。
校門近くになると、遂に妹は泣き出してしまった。
 ワイはなんだか恥ずかしさがあり、友達に、

「 先に学校に行って!」

と伝えてから、しゃがみ込んで泣いている妹を無理矢理立たせて職員玄関のある裏門へと妹を引き連れて向かった。







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日々の恐怖 5月1日 ワイの話(9)

2020-05-01 09:47:17 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月1日 ワイの話(9)




 弟が産まれてから、数年後に両親が離婚した。
DVもあったので親権はマッマになった。
だが父親は長男で、その長男であるワイだけは田舎特有の家督重視な習わしを持つ父方の祖父母が手放したくないと、かなり揉めたようだった事をワイは後に知る。
ワイ自身、暴力を振るう父親が大嫌いだったので、初めからマッマについて行くと決めていた。
 暫くはマッマの祖父母の家で暮らしていたが、離婚を含めた環境の変化が原因なのか小学校低学年の妹はかなり情緒不安定になり、学校に行くのを嫌がるようになった。
 ワイは片親だからと周りから言われないように学業を頑張ったが、学校に行かない妹に次第にイライラを感じていた。
元々、妹はアホなのかワイはいつも妹の宿題に付き合い、勉強を教えていた。

「 はぇー、おにいちゃんすごい!」
「 先生の話を聞いてれば、テストなんて100点取れて当たり前や!」

 ワイは通知表に毎回、

『 授業中もっと落ち着きましょう。』

と書かれていたが、妹も同じ様に、

『 授業に集中しましょう。』

と書かれていた。
 妹は、口から産まれたんじゃないかと思うくらい良く喋るワイと違って、物静かで口数も少ない。
大らかでボッーとしてる事が多かったので、ワイとは違った意味で授業に集中していないんだなとワイは妹のお世辞にも良いとは言えない通知表を自分の物と見比べて悦に浸っていた。









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