日々の恐怖 12月24日 高校球児の朝は早い(8)
その日の夜、またあの声が聞こえた。
起き上がり電気をつけようとすると、部屋の隅になにかいる。
ピョコピョコと妙な足取りで近づいてくる。
“ まじかよ!”
布団をかぶり大声で叫んだ。
「 うわァ~~~~~~!!」
父と母が飛んできて、何があったのか聞いてくる。
ありのまま話すが、やはり信じてくれない。
一人ではとても寝れないので父の部屋で一緒に寝ることにした。
父と一緒でも寝付くことができずにいると、またあの声が聞こえてきた。
“ もう勘弁してくれ・・・・。”
布団をかぶり、
「 ごめんなさい、ごめんなさい・・・・。」
横で寝ている父がこれはもう尋常ではないと悟ったらしい。
翌日、学校を休み病院へ行くように父に言われた、精神科へ。
“ 精神科って・・・。
俺を病気扱いですか・・・。
幽霊を見たら病気ですか・・・?”
かなり反抗したけれど、とにかく行くように言われ、母と一緒に近くの総合病院の精神科へ行った。
“ 行ったところで、どうなるものでもない・・・・。”
先生に今までのことをすべて話すと、PTSDと診断された。
老婆に対するストレスと老婆に対して言ってしまった言葉、それにより老婆が死んでしまったと自分を責める気持ち。
それらによって幻覚を見聞きしていると言われた。
“ 幻覚・・・・?
そんなわけない。
あんなにはっきり聞こえた。
見えた。
あれが幻覚のわけがない。
だから、行ったところで無駄だと言ったんだ!”
それでも、なんだか訳のわからない薬を貰って帰ってきた。
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