大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 12月24日 高校球児の朝は早い(8)

2017-12-24 19:50:48 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 12月24日 高校球児の朝は早い(8)





 その日の夜、またあの声が聞こえた。
起き上がり電気をつけようとすると、部屋の隅になにかいる。
ピョコピョコと妙な足取りで近づいてくる。

“ まじかよ!”

布団をかぶり大声で叫んだ。

「 うわァ~~~~~~!!」

 父と母が飛んできて、何があったのか聞いてくる。
ありのまま話すが、やはり信じてくれない。
 一人ではとても寝れないので父の部屋で一緒に寝ることにした。
父と一緒でも寝付くことができずにいると、またあの声が聞こえてきた。

“ もう勘弁してくれ・・・・。”

布団をかぶり、

「 ごめんなさい、ごめんなさい・・・・。」

横で寝ている父がこれはもう尋常ではないと悟ったらしい。


 翌日、学校を休み病院へ行くように父に言われた、精神科へ。

“ 精神科って・・・。
俺を病気扱いですか・・・。
幽霊を見たら病気ですか・・・?”

 かなり反抗したけれど、とにかく行くように言われ、母と一緒に近くの総合病院の精神科へ行った。

“ 行ったところで、どうなるものでもない・・・・。”

 先生に今までのことをすべて話すと、PTSDと診断された。
老婆に対するストレスと老婆に対して言ってしまった言葉、それにより老婆が死んでしまったと自分を責める気持ち。
それらによって幻覚を見聞きしていると言われた。

“ 幻覚・・・・?
そんなわけない。
あんなにはっきり聞こえた。
見えた。
あれが幻覚のわけがない。
だから、行ったところで無駄だと言ったんだ!”

それでも、なんだか訳のわからない薬を貰って帰ってきた。












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日々の恐怖 12月18日 高校球児の朝は早い(7)

2017-12-19 00:10:36 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 12月18日 高校球児の朝は早い(7)





 学校から帰宅。
老婆はいない。
 母に今朝のことを話すと、母はインターホンの音が聞こえなかったらしい。
まぁ、寝てたんだから、あたりまえだろう。
一応、翌朝は一緒に起きてくれることになった。


 翌朝。
朝御飯を食べているとインターホンが鳴った。
それで、急いで玄関を開けたが誰もいない。
 母がびっくりして、

「 どうしたの・・・?」

と聞いてくる。
母にはインターホンの音が聞こえなかったらしい。
 俺は、

「 いやいや、絶対鳴った。」

と主張した。
 でも、母は、

「 鳴ってない。」

と言う。

“ どういう事だろう?
まさか、老婆の幽霊が・・・?”

その日はずっとそのことが頭から離れなかった。


 学校から帰ってきてからも、ずっとなんだか嫌な感じがして夜寝付けずにいると、声が聞こえてきた。

“ あの老婆の声だ!?”

あのセリフが聞こえる。
 はじめは小さかったが、だんだんはっきりと聞こえてきた。

“ どうしよう・・・・・。”

体は動くけど、動いたら何かが起こりそうで動けない。
 とにかく、じっとして朝を待った。
麻が来て、声はいつの間にか聞こえなくなっていた。

“ 母に話そうか・・・・。”

いや、頭がおかしくなったと思われる。













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日々の恐怖 12月16日 高校球児の朝は早い(6)

2017-12-16 18:04:41 | B,日々の恐怖






  日々の恐怖 12月16日 高校球児の朝は早い(6)






 こんな風に書いてるけど、当時は本当に参ってて、そのとき感情が爆発した。

「 いいかげんにしろよ、クソババァ!
てめぇのせいで、こっちは頭がおかしくなりそうなんだよ!!
勝手に死ねよ、っていうか死んでくれよ!!!
もう俺の前に現れないでくれ!!!!」

こんな感じのことを言ったと思う。

「 そう・・。
死ねって言うの・・・。
わかった・・・・。」

そう言って老婆は妙な歩き方で帰って行った。


 翌朝。
四時半起床。
高校球児の朝は早い。
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。
 しかし、老婆の姿はそこにはない。
帰りの時間にもいない。
 その翌日も、老婆はいない。
そして、あの日以来、老婆は来なくなった。


 普通なら喜ぶべきことなんだけど、俺は異様に不安だった。

“ もしかして、老婆は本当に死んでしまったんではないか?”

こんな事考えるほうがおかしいんだけど、当時はそう思っていた。

“ あれだけしつこく来てたのに、急に来なくなるのはおかしい。
かなりひどいことを言ってしまったし、もしかしたら・・・。”

毎日そんなことを考えていた。


 老婆が来なくなってから一週間ほど経ったある朝のことだった。
インターホンの音が聞こえた。
 朝五時前である。
嫌な予感がして窓から玄関を見るが、誰もいない。
 またすぐインターホンが鳴る。
窓から玄関を見る。

“ 老婆だ。
あの老婆がいる。
生きてたか・・・・・。”

玄関を開けてみると、誰もいない。

“ 逃げたか・・・・?”












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しづめばこ 12月14日 P513

2017-12-14 18:19:37 | C,しづめばこ



 しづめばこ 12月14日 P513  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”



大峰正楓の小説書庫です。
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日々の恐怖 12月12日 高校球児の朝は早い(5)

2017-12-12 17:39:28 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 12月12日 高校球児の朝は早い(5)





コスプレした砂掛けババアなんだよ。


 それから1週間ほど、毎日同じ時間に老婆はうちの前にきて同じセリフを俺に言う。

「 王子様、キスしてください。」

もう近所でもかなり話題になっていた。


 ある日の帰宅時。
やっぱり老婆はいる。
いつも通り無視して家に入ろうとすると、

「 話を聞いてください。」

いつもと少し違う。
立ち止まって話を聞いてみることにする。

「 私、呪いをかけられて今はこんな・・・・。」

いやそれは初めに聞いたよ。

「 今日キスしてもらえないと、私、明日死ぬんです。」
「 ??? 」
「 王子様、お願いです。
私にキスしてください。」
「 えええええ!!!」

マンガとかアニメなら、

「 ファーストキスをこんな婆さんに捧げることになるなんて、とほほ・・・。」

とか言って、キスしちゃうんだろうけど。
 いや、アニメ見ないからしらんけど。
というか、俺ファーストキスすでに経験してたけど。
 現実はそうはいかない。
まぁ当たり前だけど。
ていうか、キスしたが最期、王子様からダーリンに昇格する可能盛大だし。

朝五時。
「 ダーリン、おはようだっちゃ。」
夜八時。
「 ダーリン、おかえりだっちゃ。」

もう、どうにもなんねぇ。
もう、どうにもなんねぇよ。









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日々の恐怖 12月11日 高校球児の朝は早い(4)

2017-12-11 21:12:21 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 12月11日 高校球児の朝は早い(4)





 でも僕は男なわけで・・・。
高校球児なわけで・・・
で、まぁまた帰宅するわけで・・・。
家の前に老婆がいるわけで・・・ 。
同じセリフを言われるわけで・・・。
家に急いで入るわけで・・・。

 さぁ本当にどうしよう。
母に相談。
明日の朝に、もしもいたなら警察に相談しようということになった。

 翌朝!
四時半起床!
高校球児の朝は早い!
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。
の前に窓から家の前を見てみた。
というか、まぁ起きてすぐ見た。

 朝四時半!
家の前!
老婆!
また同じ格好!
スペア!

 母はまだ寝てたけど、老婆がいることを伝えて出発した。
玄関から猛ダッシュで老婆をスルーする。

 また8時頃帰宅するとやっぱりいる。
迷った挙句、ちょっと話してみる。
やはり、止めて置けばよかった。

「 本当に迷惑なんです。
もうやめてください。」
「 お願いですからキスしてください。」

もう会話にもならん。

 母が警察に相談したらしいが、時は90年代。
ストーカーという言葉がまだ一般的ではない時代。
実害がない以上、警察としてはどうすることもできないらしい。
 たしかに実害はないので、俺も母もほっとくことにした。
無視してればいつかいなくなるだろうし、何かしてきても高校球児の俺が70過ぎの小さなの老婆に負けるわけがない。
 まぁ本当のこと言うと俺はかなりビビってたし、ガチの喧嘩になってもまったく勝てる気がしなかった。
いやだって、もはや妖怪の域に達している。
もう本物見たら、絶対ビビるよ。
こんなやつに勝てるかよ。











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日々の恐怖 12月1日 高校球児の朝は早い(3)

2017-12-01 21:20:27 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 12月1日 高校球児の朝は早い(3)





 母が玄関に来て、

「 あんた何もされなかった? 」

と聞いてくる。
 どうやら夕方ぐらいからずっと家の前にいるらしい。

“ マジっすか!?”

朝の出来事を母に話すと、

「 お父さんに相談しましょう。」

とのことだった。
 父が帰ってきて、老婆のことを話す。

「 何にもされてないんだろ?
じゃあ、ほっとけよ。」

これで終了してしまった。



 翌朝。
四時半起床。
高校球児の朝は早い。
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。

“ 今日も元気にがんばるぞ~・・・って、あの・・・、老婆がいるよ・・・。”

 朝五時。
家の前。
老婆。
昨日と同じ格好。

“ スペアがあるのか?”

それで、また来たよ。

「 王子様、お願いです。
キスしてください。」

 やっぱり同じようなセリフ。
もうカンベンしてください。
 また駅まで猛ダッシュ。

“ でもどうしよう・・・・。
これ、いつまで続くんだろ?
警察に言おうか?
 でも、何にもされてないし・・・。
老婆にキスしてくれと付きまとわれる・・・。
う~ん、決定打にかけるなァ・・・・。
 男女が逆ならどうだろう。
70過ぎの老人が小学生の格好で女子高生にキスしてと付きまとう。
あれ・・・?
逮捕だろ、こんなジジィ。
許せねぇよ。”












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