俺が眼を覚ましたことに気付いた龍平が、俺の方に向き直って言った。
「 なんちゅういびきや。
ホント寝られん。
貴志、おまえ、よく寝られるなァ~。」
「 いや、その・・・・。」
俺は、ずっと寝ていたのか寝ていないのか、どうもよく分からなかったので返事のしようが無い。
俺は試しにお揚げ婆さんとヘビ次郎について、龍平が何か知っているかどうか訊いて見ることにした。
「 龍平、ちょっと訊くけど、何か見なかった?」
「 ん・・・・?」
「 いや・・・、龍平は俺より早く起きていただろ。」
「 ああ。」
「 だから、俺が起きる前にさァ、この病室で何か怪しいヤツとか見なかった
かなっと思って・・。」
「 怪しいヤツ・・・・?」
「 その、さあ・・・。
ええっと・・、お揚げ婆さんとかヘビ次郎とか、そんな感じのヤツ・・・?」
「 何、言ってんだよ、貴志。
真面目な顔して冗談かァ?
その、お揚げ婆さんって誰だよ?
ヘビ次郎って、何だよ?」
「 いや、お揚げ婆さんはお揚げ婆さんと言う婆さんで、ヘビ次郎はガマ太郎
の弟のヘビ・・・・。」
「 どうして婆さんに、お揚げが付いてるんだよ??
頭にお挙げを乗っけた婆さんか?」
「 いや、お揚げの取り合いをした婆さんなんだけど・・・。」
「 貴志が、か?」
「 そう・・・。」
「 何時?」
「 この病院に入る前・・・。」
「 で、そいつに恨まれてるってことか?」
「 たぶん・・・。」
「 それって、かなり怪しい格好をしてる?」
「 うん、かなり怪しい。」
「 じゃ、そんなヤツ、夜中に入って来れないぞ。
守衛さんに、玄関で阻止されてるよ。」
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