大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 10月31日 R163(2)

2017-10-31 18:10:40 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月31日 R163(2)




 私を乗せた車の運転手は黒い服を着て帽子を被った男の人でしたが、顔は暗くてよく見えませんでした。
私は親と会話するみたいに、ごく普通に男の人と会話をしました。
 今思えば気付かない方がおかしいと思うくらい変な状況なんですが、その時は本当にその人を親だと思い込んでいて、何の違和感もなく、他愛もない日常会話をしていました。
 車内はうちの親の車よりも随分と小奇麗で、車内にはラジオみたいなのがかかっていて、前方のスピーカーから女の人がぼそぼそ喋っているのが聞こえました。
 私は何故かそのラジオが気になって、

「 ラジオ聴きたいから、音おっきくして。」

と何気なく言いました。
 男の人は、

「 うん、でも長男が起きるから大きい音はあかんわ。」

と言って音量を上げてはくれませんでした。
それから男の人は、私が何を言ってもぼそぼそと聞き取れない言葉しか返してくれなくなりました。
 その時の私は、

“ 私が何の連絡もせず終電での帰宅になってしまったので、機嫌が悪いんだ。”

と思っていました。












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日々の恐怖 10月29日 R163(1)

2017-10-29 21:12:11 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 10月29日 R163(1)





 危ない体験っていうか、ひと月ほど前の夜に体験した出来事なんです。
長くなりますが、もし同じような体験された方がいましたら、ご意見きかせて頂きたいです。
 私の実家はかなり田舎の田園地帯にあって、駅から徒歩で30分から40分くらいかかるので、夕方以降はいつも最寄りの駅まで親に迎えにきてもらってるんです。
それで、その日もサークル終わりで終電帰りになっちゃったので、最寄り駅のちょっと手前くらいで、迎えに来てもらえるよう親に連絡しました。
 それから駅に着いて、いつも通り何の躊躇いもなく迎えに来てくれた親の車に乗ったんです。
ところが、私が乗った車は親とは別の人の車でした。
 この時私は歩きながらスマフォの画面をずっと見ていたので、親の車かきちんと確認せず乗車したのですが、駅といっても田舎町で終電でも殆ど人はおらず、大体うちの車しか止まっていないことが多かったので、全く疑ったりもしなかったんです。
私を乗せた車はいつものようにそのまま発進しました。
 いつも自分が乗っている車の雰囲気くらいは分かりますし、全く知らない赤の他人の車に乗ってしまっているなんて、普通は絶対気づくと思うんですが、その時は何故か心の底から本当に親の車だと思っていて、ごく普通に車に揺られながらスマフォを触っていました。










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日々の恐怖 10月28日 池を掘る

2017-10-28 18:53:52 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 10月28日 池を掘る





 彼の母君は園芸を趣味としている。
しかし彼に言わせると、

「 ありゃ園芸が趣味というより、本当は土木工事が趣味なんだな。」

と言うことだった。
 彼の家を訪れたとき、

「 私が造ったのよ。」

と嬉しそうに見せられた物を思い出した。
 コンクリート塗りの、それなりに立派な池がある。
中身は何もないけれども、異常に大きな温室がある。
なぜか葡萄もぶら下がっている、だだっ広い藤棚がある。
なるほど、確かに土木作業が好きな様子だ。

「 凝ってるよ。
どこからかフネ借りてきて、手練りでモルタル練ってるんだ。」

件の池もそうやって一人で造り上げたらしい。
 屋敷自体は人里から少し離れた山の中腹にあるので、まぁ誰にも迷惑はかけないだろうと、家族からは黙認されている。

 この前久しぶりに彼の家を訪れると、池が潰されて更地になっている。
ボウフラでも大発生したのかと聞くと、

「 幽霊が出たんだ。」

と事も無げに言われた。
 池に水を張ってしばらく後、夕暮れ時の水面に佇む影が出るようになったらしい。
ぼうっと霞んでいるので、

“ 何だろう・・・・・?”

と近よると、黒髪の無表情な女が見えたのだ。
 彼も一度見たというが、

「 とにかくゾッとした。」

のだそうだ。
 家族会議で、ちょっとした問題になった。

「 さしたる因縁など何もない土地なのに、何故うちにあんなモノが出るのか?」
「 家族の誰かが、酷く恨まれるようなことをやらかしたのではないか?」
「 というか、そもそも、あれって本当に幽霊なのか?」

皆が頭を抱える中、ただ母親だけは、

「 あの池は潰す!」

ときっぱり宣言した。

「 さすがのお母さんも、そんな怖い池は潰すしかなかったのか?」

そう聞いてみると、意外な返事があった。

「 違う、幽霊が美人だったのが気に入らなかったんだってさ。」

母君は池をザシザシ埋めながら、

「 透けて見えるくせに、生意気だ!」

とプリプリ怒っていたという。

 現在、池の跡地には、大きな生ゴミ処理器が二つ置かれている。
白い影は、あれから二度とその姿を見せていない。

「 徹底しているよな、うちのお袋・・・・・。」

そう言って彼はどこか遠い目をした。












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しづめばこ 10月27日 P508

2017-10-27 18:25:36 | C,しづめばこ



 しづめばこ 10月27日 P508  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 10月17日 夜桜

2017-10-17 23:32:05 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月17日 夜桜




 山中の町へ仕事で出かけた帰り道のことだった。
その道中に桜で有名な寺の公園があることを思い出した。
すっかり暗くなってはいたが、せっかくだからと言うことで夜桜を楽しもうと思いつき、そのまま車で乗り入れた。
 山裾を少し分け入ったその公園には、時間が遅いせいもあってか誰もおらず、一人ベンチに腰掛けて桜を眺めていた。
何も思案すること無くしばらく呆っとしていると、突然身体を激しく揺さぶられた。
 驚いて我に返ると、壮年の男性が怖い顔で肩をつかんで揺すっていた。

「 あんた、こんな所で一体何しているんだ?」

そう問われて、

「 え、いや・・・、ただベンチで夜桜を楽しもうと・・・・・・?」

など答えた時、自分が見覚えのない空間に座っていることに気がついた。
 四方が白い壁に囲まれた狭い場所だ。
微かに悪臭がする。
 いつの間にか、薄汚れた洋式便器に腰掛けていたのだ。
慌てて男性と一緒に外へ出た。
 公園の隅にある小さなトイレだった。
その大用の一つに、いつの間にか、自分でも知らぬ間に籠もっていたらしい。

「 驚いたよ、側を通りがかると、トイレの中から唸り声が聞こえてくるんだから。
てっきり怪我でもしているのかと。
具合でも悪いのか?」

 そう言った男性の足下で、犬が尻尾を振っている。
どうやら夜の散歩の途中だったようだ。

「 いや、あそこのベンチに腰掛けていた筈なんですが、気がついたらあなたに声をかけられていた状態で・・・。」

そう説明しながら、自分でも訳のわからない説明だなぁと感じていた。

「 それなら構わないけど・・・。
ここのトイレ、過去に二人ほど自殺してるからなぁ。
お節介だとは思ったけど、ちょっと不安になって声を掛けたんだよ。」
 
 自殺という言葉に思わずドキッとする。
身体を調べてみたが、幸い、特に体調の悪いところも見当たらない。
 男性に礼を述べてから、すぐに公園を出た。
その後、その公園には一人で訪れないようにしている。












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しづめばこ 10月5日 P507

2017-10-05 19:24:12 | C,しづめばこ



 しづめばこ 10月5日 P507  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 10月3日 ゴーヤの牛

2017-10-03 19:06:13 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 10月3日 ゴーヤの牛





 田舎の叔母が病で亡くなり、私は通夜と葬式の手伝いで4日ほど叔母宅に泊まり込んだ。
余命宣告があったので、家族は皆覚悟は出来ていて、しんみりとしながらも冷静だった。
 葬式の仕度もひと段落した3日目の昼、私は庭に面した小部屋に寝転がって休憩していた。
ウトウトする私の耳に、庭から叔父と従弟妹の声が聞こえてくる。
家庭菜園の話をしているようだ。

叔父「 コレがキュウリ、コレはトマト。」
従妹「 ゴーヤは?ここに植えようって言ったじゃない。」
従弟「 肥料どうする?また取り寄せる?」
叔父「 いや今年は、○○さんちで買うことにした。」
従弟「 ○○さんって、あの、ナスいっぱい植えてる○○さん?」
従妹「 窓にゴーヤのカーテンするの流行ってるのよ、緑のカーテン。」
叔父「 そうそう、去年でっけえナスくれた○○さん。」
従妹「 ここ西陽が強くていられないって、お父さん言ってたでしょ。」
従弟「 あ〜、あれデカかったな、洋ナスかと思った。」
従妹「 ゴーヤ植えれば電気代の節約にもなるって、○○さんも言ってたよ。」
叔父「 さて、今何時だ?1時に△△の叔母さんたちが来るんだ。」
従妹「 ゴーヤ植えようよ。○○○センターにまだ苗あるよ。」
従弟「 え、聞いてないよ!もう1時になるよ!」

もっと色々長々話してたが、まあ記憶にある限りではこんな感じだった。
 私はウトウトしながらも、従妹の言葉が妙にハブられてるのが気になっていた。
と、その時、玄関ドアの音がした。
次いでドタドタと足音がする。
ドスンと荷物を下ろす音が聞こえた。

「 ただいま〜、いないの?お父さーん?」

従妹の声だ。

“ あれ・・・・?”

足音が近寄ってきて言った。

「 あ、私ちゃん、寝てたの?お父さんたちは?」

私は完全に目が覚めて上体を起こしたが、何と言っていいか混乱していた。
 叔父が窓から顔を出し、

叔父「 おう、ここだ。今トマト見てた。」
従弟「 昼飯買ってきた?もうすぐ叔母さんたち来るって。」
従妹「 え?お昼食べて来るかなあ?」

従妹は、叔母と声が良く似ていることを思い出した。
 私は従妹が庭にいると思い込んでいた。
昼食の席で、ゴーヤは植えないのかと叔父に話を振ってみた。

叔父「 あっ!そうだゴーヤ忘れてた!お母さんが植えたがってたな、しまったなあ!」
私「 ○ナントカセンターってとこに、まだ苗あるって。」
叔父「 ○○○センター?ああ、あそこならまだあるかもな、行ってみよう。
良く知ってるなあ、私ちゃん、誰に聞いたの?」

 ○○○センターは叔父宅からはちょっと離れた所にある大規模な苗専門園芸店だそうで、地元じゃない私がそんな情報を持ってるのが意外だったようだ。
従妹も不思議そうに私を見ていた。
その年の新盆、祭壇にはキュウリの馬と太ったゴーヤの牛がいた。











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