大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

しづめばこ 7月30日 P387

2015-07-30 20:49:31 | C,しづめばこ


しづめばこ 7月30日 P387  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 7月29日 Sからの電話(1)

2015-07-29 18:15:55 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 7月29日 Sからの電話(1)


 友人のKとSから聞いた話です。
Kが大学に進学し、アパートで一人暮らしを始めて2年目の頃です。

 近々雪も降りそうな初冬の深夜、Kは部屋に電気をつけたままコンビニへ行った。
新刊雑誌を立読みし、飲み物を買って部屋に帰った途端、携帯電話が鳴り出した。
 時計を見ると、午前2時半だった。
誰かと思い着信を見ると、友人のSだった。
 Sは、Kと高校で同じクラスで、お互いに本を貸し借りする仲だったが、進学先がKの学校から遠く離れた専門学校だったこともあり、疎遠になっていた。
 Kは戸惑った。

“ 何故こんな時間に、久々に電話をかけてきたのか・・・?”

とにかく、久しぶりのSとの会話ということで、Kは電話に出た。

「 もしもし、Sか?
なんでこんな時間に?」
「 Kか、お前、今どこだ?
まだコンビニか?」

いきなり、切迫した声でSが聞いてきた。

「 え、いきなり何だよ、コンビニって?
ひょっとして、お前このへんにいるの?」
「 まだ外か?
部屋に戻ってないのか?
だったら絶対戻るな!」

 Kは唐突なSの命令に驚いた。
すでに部屋に戻っているので、それもできない。

「 いや、今、もう部屋にいるけど・・・。
何、どうしたの?」
「 もう部屋にいるのか・・・。
じゃ、俺の言うこと信じて部屋から出てくれ!」

Kが戸惑っていると、Sがさらに奇妙なことを言ってきた。

「 お前の部屋の奥に本棚あるだろ。
何か変わってないか?
本が2冊落ちてないか?」










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日々の恐怖 7月28日 芸大(2)

2015-07-28 18:19:37 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 7月28日 芸大(2) 



 うちの大学は、毎年学園祭でワンフロア全部使ってのお化け屋敷が恒例のイベントです。
それがまた毎年何かしら不可解な出来事が起きるので有名です。
一応作業開始前と撤収後に神主様にお祓いをしてもらってるんだけど、前回の学祭でもいろいろあったらしい。
そのうちの一つで、俺の友人が体験した準備期間中の話です。

 その日も例年のごとく大人数で夜作業時間ぎりぎりまで準備作業を行っていた。
大方は自分の荷物を持って外付けの階段から一階まで降りたんだけど、先生と残り数名は機材確認してから全員で一気にエレベーターに乗り込んだ。
 エレベーターの扉を閉める前に先生が、

「 おーい、もう誰もおらんなー?」

とフロア全体に響くように声をかけたところ、

「 はーい!いまーす!」

と奥の教室から声がした。
一応フロアの電気を落とす前に先生が確認に回ったはずだが、確かに誰かの声がした。

「 俺、確認してきます!」

そう言ってエレベーターの手前の方にいたA君がフロアの確認に行くことになった。
 しかし、走って出て行ったA君がいつまでも戻らない。
仕方なしに先生がフロアの確認に回るも、返事をした生徒も、A君もいない。

“ 先に階段で降りてしまったのか?”

と首をひねりつつもみんなで一階に降りると、そこにはA君の姿があった。

「 お前先行くなら声かけてけよ!
みんなエレベーターで待ってたんやからな!」
「 えっ、俺みんなと一緒に階段で降りていきましたけど・・・・?」

他の生徒に聞いても、先に一階に下りた生徒とA君はずっと一緒にいたとのことだった。
そしてエレベーター組に確認すれば、A君は自分たちと一緒にいたという。
 しかもさらに話を聞くと、先生がフロアに向かって声をかけた時、返事が返ってきたという人が半分、何も聞こえなかったという人が半分だった。
 作業時間過ぎていたので長々と検証もできず、どっちにいたA君が本物で、声の主は誰だったかもわからず終わってしまったそうです。









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日々の恐怖 7月27日 芸大(1)

2015-07-27 19:21:39 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 7月27日 芸大(1) 



 俺は芸術系の大学に通ってるんだが、そこで体験した話です。
夏の初めくらいの時期だったかな?
舞台学科の友人と夕飯に行く約束をしていたんだが、友人がまだ授業があるとかで俺は一人自分の学科棟で暇をつぶしていた。
 六時過ぎたころ、校内放送が流れた。

「 本日六時半より、C棟二階・stadio-cにて舞台学科によります演劇が行われます。
入場無料です。」

結構雑音混じりの放送だったのでちゃんと聞き取れなかったが、おおよそそういった内容だった。
 そういう演劇だとか、パフォーマンスだとかはしょっちゅう学内で行われていたので、今日も何かやるんだな程度にしか思わなかった。
 演劇ならたぶん二時間かからないくらいだろう、ちょうど暇つぶしになる。
長いようなら途中で抜ければいい。
そう思って見に行くことにした。
 大体演劇っていったら入口に受け付けがあって、芳名帳とパンフレット、他の演劇のチラシなんかが置いてあるものだ。
しかし、俺がスタジオまで行ったときには受け付けはあるものの、受付係がおらず、芳名帳があるだけだった。
もう始まってしまったのか?と思ってとりあえず芳名帳に名前だけ記入した。
 中に入ると演目は始まっていて、席はほとんど埋まっておらず、端っこの方に数人ばらけて座っているだけだった。
とりあえず通路側・後ろ寄りの席に座って見始めたはいいものの、何とも言えないつまらない内容だった。
サイレント映画みたいな無音の劇で、延々と戦時中の一家の一日を演じているだけ。
あ、もんぺを履いていたし日本国旗の小さい旗があったから戦時中だと思ったんだけど、もしかしたら違ったかもしれない。
 俺は早々に飽きて居眠りをしてしまったのだが、七時すぎたくらいに友人からのメールで携帯が震えて目が覚めた。
授業がもう終わったとのことなので、演劇は終わりそうにないが途中退場して待ち合わせ場所に向かうことにした。
劇は一家の飯のシーンだった。
 友人と合流し、早速さっきの演劇の事を話題に出したのだが、友人曰く今は演劇をやってるはずがない、そもそも放送なんて流れてなかったと言われて驚いた。

「 明日は俺の学科のやつがあのスタジオでパフォーマンスするから、今は事前準備で扉閉まってるはずやで・・。」
「 じゃあ俺、リハとかにもぐりこんでしまったんかな・・・・?」
「 さあなァ・・?」

あまり友人は興味なさそうだったので、そこで話題は終わってしまった。
 俺は翌日のパフォーマンスとやらを見に行ったが、ダンスパフォーマンスのみで演劇ですらなかった。
あの放送を聞いたという人もついぞ見つからないままだ。
 俺はいったい誰の劇を見に行っていたのか、いまだにわからない。
割とよく心霊現象が起きる大学なんで、これもその一種なのかもしれん。









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日々の恐怖 7月26日 黒いソファー

2015-07-26 18:59:18 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 7月26日 黒いソファー



 高校生のとき、親元を離れ家賃2万の風呂無しアパートを借りて住んでいた。
その部屋には何故か黒いソファーが備え付けてあった。
 6畳の部屋には似合わない本皮のどっしりとした大きなソファーで、大家の爺さんが言うには前の前の前くらいの住人が、

「 いらないので。」

と置いていったとのことだった。
 住人が引っ越す度に、

「 持って行けよ。」

と言うのだが、

「 いや、いらないです。」

と断られるらしい。
 それを聞いた自分は、

“ うわあ、オカルト話でよくあるヤツかも・・・。”

なんて思ったけど、貧乏でテーブルしか持っていなかったので、ありがたくベッド代わりに使わせてもらうことにした。
 ソファーは左側の壁にピタリと寄せて置いてあり、動かそうにも一人ではビクともしなかった。
住み始めて数日経った夜、ソファーで寝ていると突然背中に痛みを感じた。
チクチクと爪楊枝で刺されてるような嫌な痛み。

“ 何か虫?”

と思いながら体を起こし、電気をつけてソファーやTシャツを確認してみたが何も見当たらず、そのうち痛みもなくなった。
 その日から不思議なことが起こるようになった。
背中のチクチクに加え、金縛り、うめき声、モヤモヤとした黒い影が部屋に入ってくる、誰かが背中に顔をベタリと付けてくる、包丁で刺される等の夢を見る。
 すべてソファーで寝ている時に起こる。

“ やっぱりこのソファー・・・。”

と思い、引越しを考えたがそんな金があるわけもなく、仕方なくソファーにシーツを掛け、なるべくソファーに近づかないように生活をしていた。


 ある朝、便所に行こうと廊下へ出ると大家さんと大家さんの孫と出くわした。

「 あ、おはようございます。
あれっ、どうしたんですか?」
「 いやあ、隣のAさんから急に電話来て、もうアパートに戻らないから片付けてくれだってよ。」

 自分はそれを聞いて思わずガッツポーズをしそうになった。
何故ならこの隣のAさん、かなりアレな人だったからだ。
 40歳~50歳くらいの太った眼鏡のおばさんで、もう10年以上住んでいるらしいんだけど、挨拶も無し、少し物音をたてただけで壁をドン!、ドアに「うるさい!」とか「掃除しろ!」と書かれた張り紙をしてくるなど酷かった。
 一番鮮明に覚えているのが、廊下でAさんが突然こけた。
偶然近くにいた自分が、

「 大丈夫ですか?!」

と駆け寄り、手を差し伸べるとバチーンとすごい勢いで弾かれた。
そのときは、

“ なんだコイツ・・・。”

と思った。
そんな人だったので、引っ越してくれてありがとう、と心から感謝していた。
 鼻歌交りに部屋に戻りダラダラしていると、隣が何やら騒がしい。

“ 何かあったのかな?”

なんて思っていると、

「 B君(俺)!ちょっと来て!」

と大家さんの孫が呼ぶ声が聞こえた。

「 どうしたんですか?」

と隣の部屋に行くと、大家さんの孫が血相を変えてどこかを指差している。
 パッと指差した方を見てめちゃくちゃビックリした。
壁に釘が何十本もぶっ刺してあった。
 呆然と見ていると大家さんが、

「 色々書いてあるな。」

と言うので近寄って見てみると、釘のぶっ刺してあるところを中心に壁にバーっと細かい字が沢山書いてあった。
 字は、

“ ○○死ね。”

というが沢山あって、俺の名前もあったのに驚いた。
そして、大家さんは字を確かめながら、

「 B君の前の住人たちの名前もあるな。」

と言っていた。
 それを見て何となく気付いた。
この壁の向こうって丁度ソファーがあるあたりだ。
あの現象ってソファーが原因だったんじゃなくて、これが原因だったんじゃないかな。
恐らく前の住人たちはこの事実を知らずに、ソファーに原因があると思って置いて行ったんだろうと思うと複雑な気持ちになった。
 Aさんがアパート出て行ってから、しばらくぶりにソファーで寝てみたが何も起こらなかった。
やっぱりあれが原因だったのかと思った。
 ちなみに大学を出るまで住んで、出るときに大家さんに、

「 ソファー持ってくか?」

と聞かれたけど、

「 いや、いらないです。」

って断った。
だって、でかいんだもん。









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しづめばこ 7月25日  §27 五階 P386

2015-07-25 19:49:41 | C,しづめばこ


しづめばこ 7月25日 §27 五階 P386  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 7月23日 旅館(6)

2015-07-24 17:46:44 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 7月23日 旅館(6) 


 その後もラジオから変な声が聞こえたり、色々あって結局寝付いたのは2時過ぎでしたが、そのあたりの経験は省きます。
 以下は、翌日失礼のないように、女将さんから聞いた話です。
一昨年の丁度今頃、中年の夫婦が3連泊の予定で泊まりに来たそうです。
特に不審な様子もなかったそうですが、二人は最後チェックアウトをした後に、旅館近くの崖から飛び降り自殺を図ったそうです。
男性の方は即死でしたが、女性の方が亡くなったのは翌日でした。
 女将さんの話では、二人の霊はこの旅館に居付いているのではなく、お客さんが連れてくるのではないかとのことでした。
感性の強い方のようで、お客さんが来たとき、連れてきた場合はなんとなく予感がするそうで、最初私たちを断ったのもそのためだったとのことでした。
年に数回妙なことがあるそうで、どうしたものかと悩んでおられました。
 私が一つだけ理解に苦しんだのは、私の足をつかんだ理由です。
恐らく湯の中に引きずり込もうとかではなく、何かを訴えたかったのではないかと考えています。
女将さんの話を聞いてそのように思いました。
私たちは野生の草花でしたが花束を作り、自殺したと思われる場所に置いて3人で手を合わせてその場を後にしました。









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日々の恐怖 7月22日 旅館(5)

2015-07-22 20:13:58 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 7月22日 旅館(5) 


 誰かに恨まれるようなことはないか、旅の途中変なことはなかったか、など私たちは話し合いましたが思い当たる節はありませんでした。
女将さんに相談することも考えましたが、あまり失礼なこともできません。
自分で言うのも何ですが、私たち3人は皆比較的穏やかな性格でした。。
 たぶん一番怖い思いをしたのは私だと思いますが、悪いことをしていなければ何も恐れることはない、という信念がありましたので、二人にそう言い聞かせて、とにかく一晩頑張ろうということになりました。
この時、私は幽霊というかそういうものの存在を少し信じるようになっていました。
 ちなみにテレビはありましたが、離れのためか室内アンテナで映りが悪く見られません。
何か人工的なものがないと怖かったので、これも雑音がひどかったですが、ラジオをかけっぱなしにしていました。
 気がつくと外は雨になっていました。
窓を打つ雨の音、時折聞こえるヒューという風の音。
普段はなんのことはない音ですが、こういう時は結構恐怖なもので、誰かが窓を叩いているような、そんな錯覚に陥りそうでした。
 11時を過ぎ、私たちは電気を消してみな布団に入り、話すともなく話をしていました。
そのうち村田が会話に入ってこなくなりました。
多分寝入ったのでしょう。
 私もいつの間にか睡魔に襲われて、うとうとしだしていた時、突然金縛りにあってしまいました。
それまで金縛りは幾度となく経験がありましたが、この時は格別に恐怖でした。
なぜなら初めて幻聴を聞いたのです。

「 ぎゃぁーーー、ぎゃぁーーー、ぎゃぁーーー、ぎゃぁーーー。」

 体が動かず息もできない状態で恐ろしい女の声だけが繰り返されていました。
うまく表現できませんが、キャーではなく肉体を切り裂かれたときに出すような悲鳴でした。
 金縛りは不思議なもので、その時は夢ではないと思っているのですが、ふと目が覚めるのです。
心臓はバクバク状態で、とにかく早く上体を起こさないと再び金縛りに入るのは過去の経験でわかっていましたので、頑張って体を起こしました。
 肩で息をしていたと思いますが、田中が異変に気がついてくれて電気をつけ私を気遣ってくれました。
私はまだ、金縛りがもたらした幻聴であって幽霊がどうのとかは断定はできないと思っていましたので、必要以上に怖がらすようなことはしませんでした。









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日々の恐怖 7月21日 旅館(4)

2015-07-21 18:03:34 | B,日々の恐怖


  日々の恐怖 7月21日 旅館(4) 


 夕食は地の山菜と川魚が主で、大変美味しかったです。
私はどうしようか迷いましたが、汗をかいていましたのでお風呂に入ることにしました。
今考えると馬鹿なヤツだと思いますが、私は信じない人でした。
 脱衣室の様子から、誰もいない事がわかりました。
貸し切りだなと思いましたが、戸を開ける時は流石に少しびびりました。
が、誰もいませんでした。

「 そりゃそうだろぉ~!」

と、私は誰はばかることなく大声を出して湯船へ向かい、貸し切りの湯を満喫していました。
 両足をのばし、頭にタオル、目をつぶって放心状態でいた時です。
急に、誰かが私の足首をつかんだのです。
ヌルっとしたとても嫌な感触でした。
 引っ張られたかどうかは覚えていませんが、私はパニックになり、両足であたりかまわず思い切り蹴りまくりました。
バタバタ暴れながら、とにかく湯船を出て上から見渡しましたが、そこには誰もいませんでした。
 信じてもらえないかもしれませんが、こんな怖い思いをすれば叫びながら裸で浴場を飛び出ていきそうなものですが、恥ずかしい思いは時に恐怖心を上回るのか、私はとりあえず手短に体を洗い終え、流石に湯船には入らず浴場を出ました。
鏡はできるだけ見ないようにして洗いましたが半泣きでした。

 部屋に戻ると布団がきれいに敷かれていて、二人は普通にくつろいでいたようでしたが、戻った私を見て何事もなかったか聞いてきました。
私は最初に起きたことと、今浴場で起きたことを二人に話しました。
 仕事柄もありますが、私たちは今までの出来事を整理しました。(SEは論理的に物事を整理して考える癖みたいのがついているのです)

1.最初に私のからだをゆすったヤツ(夢の可能性あり)
2.血だらけの顔でもがいていた女(夢の可能性あり)
3.湯船につかっていた男(二人が見ている)
4.鏡に映っていた男(村田が目撃)
5.私の足をつかんだ手(男湯だから男?)

少なくとも複数の幽霊らしきものが、立て続けに出没したことになります。









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日々の恐怖 7月20日 旅館(3)

2015-07-20 18:18:21 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 7月20日 旅館(3)



 彼らは湯を出て体を洗いはじめましたが、村田は長湯をしている男のことが気になっていたので、時折気づかれないようにチラチラと見ていたそうです。
良くは見えなかったものの、俯いていた男が突然顔を上げて、なんとなく目があったような気がしたそうです。
さりげなく目をそらし前を向いた時、自然と目に入った鏡に、じっと自分を見つめている男の顔が映っていたというのです。
 横には田中がいます。
村田は、

「 うわっ!」

と悲鳴を上げてイスから転げ落ちました。
 振り向いても誰もいません。
湯船には、まだ男がいます。
気の毒そうに笑う田中に、小声で今の事を話しましたが、

“ まさか・・・・。”

みたいな感じで最初は信じられなかったそうです。
 気を落ち着かせ、村田がまだ頭を洗っていた時、田中の方は洗い終えて、再び湯船へ向かいました。
その時、

「 おいっ、さっきの人いないぞ!」

田中の声が浴場に響き渡りました。
音も立てずに、二人に気づかれないように風呂から出られるわけがない。
 二人の話というのはそこまででした。
特に村田が相当怖がっていましたが、私はごり押ししてせっかく泊めてもらったのに今更キャンセルもないだろうと思いました。
一応、私が代表みたいな立場でしたので。
 ですから、

「 まぁ、古い旅館だとそんな事もあるかもねぇ・・。」

みたいな感じで彼らに同調を見せながらも、

「 今更・・・。」

と話をしていたとき、夕食が部屋に運ばれてきました。
 賄いさんはまだ20台後半と思われる女性でした。
7時にお願いしていましたので、その時間だったと思います。
そんな流れから、私達は食事の誘惑にはかなわず、風呂の一件は棚上げとなりました。
 食事をしながら、村田は懸命に恐怖を力説していましたが、話しているうちに落ち着いてきたのか、終いには楽しい夕食になっていました。
私は内心、

“ さっきの自分の方がよほど怖かったぞ!”

と思いましたが、それを話すと、また帰るとか言い出しそうだったので止めました。









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しづめばこ 7月19日 §27 五階 P385

2015-07-19 20:24:16 | C,しづめばこ


しづめばこ 7月19日 §27 五階 P385  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 7月17日 旅館(2)

2015-07-18 20:47:10 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 7月17日 旅館(2)



 私は畳の上に枕を出してすぐに寝入ってしまいました。
突然、体を揺すられて目が覚めたのですが、誰もいません。
 二人にからかわれるのもしゃくに障るので、

「 お前ら何やってんだ!」

っとハッタリをかけたましたが反応はなく、シーン。
肩か背中を揺すられた生々しさだけは体感として残っていました。
妙な感覚でしたが、夢か何かか、さほど気にも止めず再び眠りにつきました。

 ふと目が覚めた時、後ろに誰かがいるような気配を感じました。
ヤツらがまた脅かそうとしているのだろう、逆に脅かしてやろうと思い勢いをつけてバッと寝返りをうった時です。
 私の目に飛び込んできたのは、顔面血だらけの女が両手をもがくようにガリガリしている姿でした。
私はもんどりうって、

「 ぐうわぁぁぁぁ!」

と叫んだ時、その自分の声で目が覚めたのです。
 まわりを見ても誰もいません。
瞬間何がなんだかわからず、心臓がバクバクしながらも冷静になろうと上体を起こし息を整えました。
 そしてまもなく二人が帰ってきたのですが、二人の表情が強張っていて神妙です。
田中が、

「 ここはやばいかもしれない、キャンセルしてここを出よう。」

と言い、村田も無言で頷いています。
 話を聞くと、二人が風呂に入った時、一人の男が湯船につかっていたそうです。
湯気で良く見えなかったそうですが、彼らは、

「 失礼します。」

と挨拶しながら湯船に浸かり、雑談しながら旅の醍醐味を満喫していました。
かなり長湯していたそうですが、奥の男は俯き加減のまま身動き一つしなかったそうです。
 聞いていて、私はついさっきの事もあり、恐怖な雰囲気になってきたので、

「 ま、でも裸の幽霊というのも聞いたことないよね。」

とちゃかしましたが二人は笑いません。









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日々の恐怖 7月16日 旅館(1)

2015-07-16 18:27:02 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 7月16日 旅館(1)



 前に会社の友達3人と東北に車で旅行に行った時の話です。
会社はソフトハウスで、とあるシステムの完成祝いでした。
 閑散期だったので予約はせず行き当たりばったりです。
最悪はエスティマの中で寝ましょうね、という小旅行でした。
 かなりの山奥で旅館の看板が目にとまり、よし今夜はここにしようという事になりました。
 到着すると、年季の入った規模の小さな旅館でした。
旅館に入ると年配の女将が出て来ました。

「 ごめん下さい、予約していませんが泊めていただけますか?」
「 申し訳ありませんが、うちはご予約のお客様だけでございます。」
「 食事がなくても、泊まれるだけでもいいんですが、どうにか・・・。」
「 今、当日予約ということで・・・、ダメですか?」
「 そういわれましても・・・・。」
「 お願いします。」

と、ごり押しして、離れの部屋で良ければということで、どうにか泊めてもらえることになりました。
 部屋に通され、とりあえず座卓に座って一段落です。
離れというのは本館に廊下1本でつながっている別館でした。

「 離れって、何だろ、混んでいるのかな?」
「 若い女性客でもいるといいねぇ。」

みたいな話をしていましたが、少なくとも車は私達の1台だけで、ロビーも閑散とした雰囲気で静かでした。

二人は風呂に行くといい、私は一休みしてあとで一人でゆっくり入ることにしました。











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日々の恐怖 7月15日 同乗者

2015-07-15 19:49:53 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 7月15日 同乗者



 金曜日の夜、突発的に土・日と連休だし久々に実家に帰ろうと思った。
実家は現在住んでいる市内から車で1時間半程度、途中山一つを越えなければならない道程だ。
 実家に電話をした後、所用を済ませ夜9時頃に家を出た。
出発から約40分、強い雨も止み峠に向かって上り道を快調に進んでいくが、濃い霧が出てきてスピードを落として走っていると後ろに県外ナンバーの車が近づいてきた。
 さっさと追い抜けばいいものの、後ろにピッタリくっついてゆるやかな蛇行で、さっさと行け、とばかりに煽って来る。
スポーツカーに乗った二人組がニヤニヤと笑っている様子がルームミラーで見える。
抜かせようと左に寄せても抜かないのでどうしようかと思っていたら、良い考えが浮かぶ。
 増々霧が濃くなってきた頃、前方のトンネルに向かってスピードを上げて後ろの車を振り切った。
トンネルに入らずに、今は使ってないその隣にある旧トンネルのほうに素早く入ってライトを消した。
案の定、こちらに気づかずトンネルを通過していく様子が見えた。
 旧トンネルを出て国道に戻って進んでいると、濃い霧の為スピードを出せないのかさっきの二人組のスポーツカーに追いついた。
峠道も下りに差し掛かった頃、いたずら半分でスポーツカーに接近してみた。

“ トンネルで消えたと思った車が後ろにいたら驚くだろうか?”

 少し霧が晴れてきて視界が良くなってきた。
車を後ろに接近させてしばらく走っていると運転している方がこっちの車に気づいて模様、助手席の男に合図している。
 ルームミラー越しに前の車の二人と目があった。
するとものすごく驚いた顔でこっちを見ている助手席の男、ミラーではなく身を乗り出してこっちを見ている。
 その直後、スポーツカーは猛スピードで峠の下りを走り始めた。

“ ちょっと驚くかな、とは思ったが、ここまで驚くほどのことか?”

 前を行くスポーツカーは霧の中どんどんスピードを上げて見えなくなって行く、地元民のオレから見ても明らかなオーバースピード。
霧が無くなっていく視界の中、遠くで、

「 ドーン!」

という音が聞こえた。
 どれだけスピードを出していたのか。
数百メートルほど坂を下った先でゆるやかな右カーブのガードレールを突き抜け、運良く下の水田に落ちた様子。
 近くの農道に車を停めてスポーツカーの様子を見に行くと、水田の泥の圧力でドアが開かないらしく、窓から這い出てくる2人の男の姿があった。

「 お~い、大丈夫か~?」

と声をかけると、ビクっと恐怖に顔が歪む2人の男。
その目はオレでは無くオレの乗っていた軽自動車を見ている。
 水田の泥の中で震えながらオレの車を指さす2人。

“ ん・・・・?
オレの車の助手席になんか人が乗ってないか?”

 オレにはぼんやりとしか見えないが、血だらけの男が助手席に座っている。
スポーツカーの二人が驚いていた原因はこれか。
 だが、不思議とオレにはぼんやり見える人影は怖くないし、どこかで見たことがあるような気がした。

“ ああ、小さいころ事故で亡くなったオレの父親だわ。”

そう確信した。
 突発的に実家に帰ろうと思い立ち、その前に済ませた所用は、市内の納骨堂で先祖にお参りをすること。
これは父親が一緒に実家に帰るつもりで、オレをそういう気にさせたのだろう。
平気で車に乗り込むオレを見て恐怖に顔を歪める男たちを残し、実家への家路を急ぐ。
オレの気分は妙にスッキリしていた。










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日々の恐怖 7月13日 気のせいだと思うけどね

2015-07-14 18:51:23 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 7月13日 気のせいだと思うけどね



 昔、バイトしていたころ知り合ったKさんから聞いた話です。
Kさんは小学生の頃怖い話が好きで、読書も好きだったようでした。
 Kさんは当時30代後半で、子供の頃は夏休みのお昼に“あなたの知らない世界”みたいな心霊番組をよくやっていた時代だった。
 霊感に関しては、

「 ないない、そんなのないよ~。」

と笑って言うが、霊らしいものはたまに見えたような気がしたと言っていた。
 それで、“見えたような気がした”って、なんなんだと聞いてみると、ドライブ中の山道で首吊ってるスーツ姿の男が道端にいたとか、自転車ですれ違った女性の肩におっさんの顔だけ乗っかってたとか話し出した。
 それでも霊感が無いと言い張るのは、

「 だって、見えたものが霊なのか気のせいなのか、どっちかわかんないから・・・。」

それで、基本的に気のせいかもで済ませているようだ。
 自転車で肩におっさんの顔がのっかってたのは、

「 二人乗りしてて、後ろに乗ってたのかも・・・・。」

と自分に言い聞かせていた。
 そして、振り返って確認したりはしない。
それも、確認するのは絶対にしないとのことだった。
 不思議に思って、

「 どうして?」

と聞いてみたら、

「 過去に確認しようとして、怖かった経験があったから。」

と言うことだった。
それで、その確認して怖かったときの話を教えてもらった。


 小学生の頃のKさんは、怖い話の本をよく読んでいた。
子供向けの本で小説の文庫サイズだけど、ものすごく分厚い○○大全集みたいなヤツだ。
もしかしたら、今でもそういった大全集的な本は古本屋で売ってるかもしれない。
 10年位前にあったライダー大全集という本が置いてあったのを見て、

「 こういう感じの本で、恐怖大全集みたいなのがあったんだよ。」

と教えてくれた。
 当時は夏休みにあなたの知らない世界とかやっていたから怖い話がはやってたからなのか、その手の怖い話シリーズがいくつかあった。
内容はオーソドックスな怖い話や都市伝説、芸能界ネタのレコーディングスタジオでの怖い話や録音したものに声が入ってるとか言ったもの以外に、一般人の恐怖体験や不思議な体験等が書いてあるものだった。
 その中に金縛りになったとき霊を見る方法だか、金縛りになった原因になる霊を見る方法が書いてあった。
その方法は金縛りになったら、部屋の四隅を順番に見ると最後にみた隅っこにその霊がいるというものだった。
 Kさんがある日、寝ていると金縛りになった。
それで、そのときその方法を思い出して試してみることにした。
ただ、自分が寝ている近くに霊を見るのは怖いから、一番遠くを最後に見るようにした。
 そのときは、6畳の部屋で寝ていた。
部屋の入り口から見ると正面に窓がある。
右側は壁で左側も壁である。
 部屋の出入り口から対象になる窓際にベッドがあった。
それを図示すると、だいたいこんな感じである。


 入り口__________ 押入れ
|            |
|            |
|         ______|
|         |  | 
|         |  | 
|         |  | 
|         |  | 
 ̄ ̄窓窓 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


Kさんは、窓側を頭にベッドに寝ていたので、見る順番は、

1、まずは足下の先にある押入れ付近を見る。
  ↓
2、自分の枕元の隅をみる。
  ↓
3、頭側の壁づたいの窓際の隅を見る。
  ↓
4、自分から一番遠い出入り口のある隅を見る。

にした。
 本に書いてあるように確認できるのなら、最後に見た入り口に霊がいるはずだが、いなかった。

“ あれは嘘だったのか。
な~んだ、やっぱ見えないのか~。”

と考えながら目線を自分の真上の天井に戻した。
 そこにも何もいなかったが、天井を見ていたとき、視界の端に何かが見えた。
ベッドは壁に片面がピッタリくっついた状態で置いてあったのに、自分の顔の右横に何かが見えた。
 体は相変わらず金縛りで動かないから視線だけをそちらに向けると、自分が寝てる敷き布団から女の人が生えていた。
自分の顔の真横に、漫画とかで水面から人が出てきてるような感じで布団から、頭のてっぺんから目の辺りまでの女の顔が出てきていた。
そして、その女と目があった。

“ 本には最後に見た場所って書いてたのに、二番目に見た場所なんて!
本の嘘つき!”

と思いつつも、目をそらそうとするがなぜか目が離せない。
そして、女は目までだったのが、鼻が見えるまでゆっくりゆっくり布団から上がってきた。

「 それからどうなったの?」

と聞くと、

「 気付いたら朝だった。」

と言われた。
 Kさんは、

「 気を失ったのかもしれないし、夢だったのかもしれない。」

と言う。

「 だって、シングルベッドで顔のすぐ近くだったから、超怖かった。
だから、確認とかは二度としない。
怖い話ばっかり見てたから、夢にまで見ちゃったけど、もし本物だったらいやだもん。」

Kさんの言いぶりから、もう夢と決め付けている。
 他にも話しかけられたとか、もしかしたら霊だったかも、というのはいくつか聞いたけれど、すべて、

「 気のせいだと思うけどね。」

のセリフで話は終わってしまった。









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