大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月29日 20歳(1)

2021-04-29 21:28:14 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月29日 20歳(1)




 小4の時の話です。
Tちゃんのお姉さんは中学生で、首に腫瘍ができるとかいう小4にはよくわからない難しい病気で入退院を繰り返していました。
家に遊びにいくと、たまにお姉さんもいて、こんにちは、くらいは話したことがありました。
髪が長くて、いつもなんだか顔色が悪く、喉の少し下がぼっこりと膨らんでいたのを覚えています。
 そのうち、Tちゃんがクラスでいじめられるというか、特別視されて孤立していくようになりました。
二人組を作るとあぶれてしまう、みたいな。
 悪い噂で、Tちゃんもそのうちお姉さんみたいに首に気持ち悪いコブができてくるらしいよ~とか、Tちゃんのお父さんもお母さんも首に気持ち悪いコブがあるらしいよ~気持ち悪いね!とか・・・・。
 Tちゃんと仲の良かった私はお母さんにも会ったことがあったし、そんなことないのは知っていたけど、お姉さんの様子は確かに小4の私にはちょっと怖い、気味の悪い感じだったので、周りに合わせて少しTちゃんからひいていました。
 ある日、Tちゃんから、

「 新しいゲームを買ったからうちに来ない?」

と誘われました。
Tちゃんと遊ぶのはひさしぶりでしたが、お姉さんのこととかクラスの子に見られたらどうしようとか考えて、

” う~ん・・・・。”

とためらいましたが、Tちゃんのことが嫌いなわけではないので行くことにしました。








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日々の恐怖 4月25日 公民館(2)

2021-04-25 16:40:33 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 4月25日 公民館(2)




 でも、公民館の中は真っ暗だった。
もちろん倉庫も真っ暗だったので、

” 肝の据わった子だな・・・。”

と感心してた。
 で、もう一度電気をつけて倉庫に向かった。
扉を開けると、誰かがいる気配はなく、さっきまでの物音は嘘のように静まり返っていた。
でも、物音の原因を確かめるためには、中を見てまわるしかなかった。
 一通り子供が隠れそうなところを見て、誰もいないことを確認した。
最後に跳び箱に目がいった。
と同時に、

” ギョッ!!”

とした。
 持ち上げるときに手を入れる隙間から手が出ていた。
出てるって言っても指までだった。
人一人分の指が隙間から出ていた。
 ちょっとびびったけど、指は子供の指だったので、

” ああ、やっぱり隠れてたんだな!”

と思い、声をかけて跳び箱に近づいた。
 すると、

” スルッ!”

と指は跳び箱の中に入っていった。

” 見つかったんだから、声ぐらい出せばいいのに・・・。”

と思いながら、跳び箱を持ち上げた。
 中には誰もいなかった。
びびりすぎて、なにも言えなかった。
パニックになりかけたけど、そっと跳び箱を元に戻して、足早に扉まで向かって電気を消した。
 扉を閉めようとしたとき、音からして明らかに跳び箱が持ち上がる音がした。
もうその後は一目散に逃げた。








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日々の恐怖 4月21日 公民館(1)

2021-04-21 18:09:09 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月21日 公民館(1)




 何年か前にちょっとだけ、ボランティアというかお助けで、地元の公民館に週2で行っていた。
昼過ぎから夜まで子供たちが学校帰りに遊びに来るんで、その監視と片付けを手伝っていた。
 で、そこにはおもちゃとか室内用の一輪車とかけっこう豊富にあるんだけど、その中でも一番でかくて、貫禄があるものがあって、それが跳び箱だった。
 10段くらいあって、

” なんで跳び箱がここに・・・・?”

って最初は思った。
 それは薄汚れてて、おもちゃ入れる倉庫の隅にぽつんとあった。
近くの廃校になった学校から譲り受けた物と聞いた。
 2年くらいお手伝い続けてたけれども、事情があって引越すことになった。
その日が最後のお手伝いっていう日に、子供たちは手紙とか折り紙で折ったお花とか、お別れの挨拶とかしてくれた。
 それで、

「 閉めますよ~。」

って言って、子供たちが全員出たことをいつもの様に確認して、電気を消して、公民館を閉めようとした。
 すると、おもちゃをしまってる倉庫から、

” ガタン!”

と音がした。
 その後も、

” ガタガタ!”

と間をおいて物音がする。
 今までそんなこと無くて、自分が来るのが最後だから、

” 子供が隠れて悪戯でもしてるのかな・・・・?”

と思った。







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日々の恐怖 4月18日 下流(2)

2021-04-18 20:28:35 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 4月18日 下流(2)



 友人は、

” 見つかる前に医者が到着してしまったか・・・・。
先輩に、いびられないといいけど・・・・・・。”

と思いながら、車一台通れるくらいの小さな橋をくぐって下流へいくと、草むらの中に欠損した足を見つけた。

「 すみませんねえ!」

医者の声に、

「 いえいえ、どうもありがとうございます!」

と言い、川からあがった。
 すると、医者がいない。

” 向こうと合流したのか・・・?”

と思い部位を持っていくと、医者はまだ着いてないとのことだった。
 友人はもしやと思い、死体の持ち物から免許を見せてもらった。
暗くてよく見えなかったが、眼鏡をかけた男だった。

” 似てるわ・・・・。”

 医者は明るくなってからようやく来たが、その後、家族などと連絡を取り、調べて行くうちに、自殺者が薬品販売の営業マンと言うことが分かった。
開発畑から営業に回され、厳しいノルマでノイローゼ気味だったらしい。
 遺族にこの体験を話すと、本人は医者志望だったようで、

「 白衣の方が良かったな~。」

と口癖の様に言っていたそうだ。
 友人は、

「 医者と見間違えた白衣の男は、白衣を着ていたかった自殺者だったのかもなぁ・・・・。」

と、俺に向かって言った。








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日々の恐怖 4月16日 下流(1)

2021-04-16 10:13:22 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月16日 下流(1)




 同級生で柔道部仲間だった友人なんだけど、そいつは警察官やっていて、仕事がらみの話を聞きました。
高卒からすぐ警官になったそいつは、幸か不幸かすごい上司に気に入られていて、何かにつけては現場に駆り出されたそうで、その日も非番なのに深夜に携帯がなった。
 線路の飛び込みがあり即死、死体の欠損がひどくて、踏切そばの川に部位が落ちてる可能性があるから、川をさらえとのことだった。
 春先の水もまだ冷たい時期、

” 最悪だわ、マジで・・・・。”

と思いながら現場へ飛ばして、着いた時は深夜の3:30くらいだった。
 既に到着してる先輩方は案の定くわえタバコで駄弁っていて、川の中へは誰も入っていなかった。

「 医者が来て死亡確認する迄にみつけてね~。」

とか言われて、友人は探し始めた。
 死体は轢かれた後に車輪に巻き込まれ、両足が膝から下がなかった。
右足と靴は見つかったが、左足が見つからない。

” こりゃあ、明るくなる迄は無理かな・・・・。”

と思ったら、川の上から、

「 もっと下流ですね、橋からもっと下流!」

と声が聞こえて、見上げると医者が指をさしてる。

「 ご苦労様です、すぐ見つけます!」










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日々の恐怖 4月14日 井戸の底(2)

2021-04-14 10:38:41 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月14日 井戸の底(2)





 そこはおかしな空間で、半径1.5mほどの茶筒の底のようで、1mくらい水が溜まった中に私は立っています。
回りの壁は平らでつるつるしていて、しかも真珠のような色と光沢で内部から光っているのです。
 一番不思議なのは、真上10mくらいのところに手水鉢と思われる穴があり、水がゆらるらとゆらいで見えることです。
しかし私自身の顔は空気中にあり、下半身は水の中にいるのです。
 私が浸かっている水はまったく濁りがなく透明で、さして冷たくはありません。
底の方を見ていると、足元に20cmばかりのイモリがいるのに気づきました。
それだけではありません。
イモリは一匹の小さな青蛙を足の方から半分ほどくわえ込んでいます。
蛙はまだ生きていて、逃れようと手をばたつかせますがどうにもなりません。
その状態が長い時間続いているようです。
 私はふと、その蛙の姿が工場の資金繰りに行き詰まってもがいている自分のようで、かがんで手を伸ばし助けてやろうとしました、
その時、頭の中に声が聞こえたのです。

「 そうだ、その蛙はお前だ。
ただし今のお前ではなく、自死したのち罰を受けているお前の姿だ。」

私は、

” あっ・・・・!”

と思いました。
 次に、

” がつん、ばしゃっ!”

という衝撃があり、気がつくと手水鉢の縁に頭をぶつけていました。
 少し血が出ました。
血は神社の境内では不浄と思ったので、ハンカチで押さえながら急いで鳥居の外に出ました。
体は少しも濡れたりはしていません。
そしてその時には、あれほど頭の中を占めていた自殺という考えはすっかりなくなっていたのです。
 郷里から帰った私は奮闘し、工場の経営を立て直しました。
そして毎年その神社へのお参りはかかしていません。










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日々の恐怖 4月12日 井戸の底(1)

2021-04-12 16:08:24 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 4月12日 井戸の底(1)




 昔、不思議な体験をしたので話します。
もうだいぶ前のことになりますが、当時私は金属加工の小さな工場を経営していて、折からの不況もあってその経営に行き詰まっていました。
そしてお恥ずかしい話ですが、自殺を考えたのです。
 もう子供たちは成人しておりましたし、負債は生命保険で何とかできると思われる額でした。
今にして思えば何とでも道はあったのですが、精神的に追い詰められるとはあのことでしょう。
その時は、それしか考えられなくなっていました。
 五月の連休の期間に、家族には告げずに郷里に帰りました。
郷里といってももう実家は存在していなかったのですが、自分が子供の頃に遊んだ山河は残っていました。
 この帰郷の目的は、裏山にある古い神社に、

「 これから死にます。」

という報告をしようと思ったことです。
 昔檀家だった寺もあったのですが、住職やその家族に会って現況をあれこれ聞かれるのが嫌で、そこに行くことは考えませんでした。
 神社に行くまで少し坂を上りますので、鳥居をくぐったときにはだいぶ汗ばんでいました。
この神社は村の氏神のようなものですが、過疎化の進んだ昨今は常駐する神主もおりません。
例祭のとき以外にはめったにお参りする人もいないような所です。
 大きな石に山水をひいた手水鉢で手を清めようとして、ふとその底をのぞき込んだときに、くらくらと目眩がして、水に頭から突っ込んでしまいました。
深さは五十センチ程度だったと思うのですが、私の体はストーンとそのまま手水鉢の中に落ち込んでしまいました。
そしてかなりの高さを落ちていった気がします。
 私は、

” バシャッ!”

と音をたてて、井戸の底のような所に落ち込みました。
ショックはあったのですが、そのわりには体に痛いところはありませんでした。








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日々の恐怖 4月9日 伊藤君の部屋(3)

2021-04-09 19:45:32 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 4月9日 伊藤君の部屋(3)




 俺が見た物は、壁に描かれた気持ちの悪い絵だった。
左下(床下から2~10センチあたり)に、推定5~6歳の子供が赤いクレヨンで描いた顔の絵。
顔の上には、おかあちゃんと書いてあった。
それは妙に歪んで、赤い雫が下に垂れている苦しそうな顔だった。
 描いてある位置も下過ぎる。
子供と言えど、いくら寝そべって絵を描いても、もっと視線は高いはずだ。
普通は脛~膝より高い位置しか子供は落書きしない。
 俺が異常を感じたのは、クロスの右下の赤クレヨンの文字だった。
おかあちゃんとたぶん同じ筆跡で、 やまなかまさ子 六十二さい。
 俺は、

” 雑巾で拭けば、消える程度のものなのに・・・。
何故、これを消さずに残してあるんだろうか・・・・?”

と不審に思った。
 さらに、直ぐに消せるのも拘わらず、クロスで隠してあるのも何か変だ。
兎に角それは、長く見ている気も起こらず、直ぐにでも隠してしまいたい気分だった。

 伊藤君が両面テープを買ってきて、クロスを張り直してたら、当然伊藤君が聞いてきた。

「 何かあった・・・?」

何もなかったと言ったら、伊藤君は剥がして自分で確認するだろうなと思った。
だから、左下だけ捲って見せて、

「 前の住人の子供が落書きしてたんだよ、それだけのこと。」

伊藤君はそれでも気持ち悪いと、壁紙を捲ることもせず、近くのワンルームに直ぐに転居した。  
 その翌年、大学関係で斡旋されて、あのアパートに同じサークルの1年生が1人入った。
そいつの部屋は伊藤君の部屋ではなかったが、可哀そうに伊藤君の部屋に入った新入生が他にいたようだ。
 その同じサークルの1年生から聞いたところによると、伊藤君の部屋に入った新入生は、1年の後期に入った頃からおかしくなり始めて、夜中の2時3時にアパート中のドアを殴って、

「 うおぉぉおおおぉぉお!助けて!助けて!殺されますぅお願いです助けてぇ!」

と叫び出して、大騒ぎになったようだ。
そして数日後、親が引き取りに来て、その後、退学。

 数年前帰省して、レンタカーで大学時代の思い出をたどった。
あのアパートはもう無くて、そこに立派な民家が建っていた。
俺は小さな声で、

「 ここに住んでいる人は、無事かな・・・・・。」

と呟いた。
それは、

” あの絵にあったようなヤツが、そこの土地に住み着いているかも・・・・。”

と思ったからだ。
それにしても、つらつら思うに、あのとき伊藤君が壁紙を捲ることもせず、近くのワンルームに直ぐに転居したのは正解だったんだろうと今でも思う。








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日々の恐怖 4月5日 伊藤君の部屋(2)

2021-04-05 18:48:10 | B,日々の恐怖

 

 日々の恐怖 4月5日 伊藤君の部屋(2)




 閉まって行くドアの隙間から、

「 隣の部屋にいるし~~~~。」

と伊藤君の声が聞こえ、ドアが閉まると部屋がシーンと静かになった。
 残された俺はかなり不愉快だったけど、仕方なく押し入れの中を調べることにした。
いや・・・、調べるも何も、彼が言った”貼ってある存在”が目の前に見えていた。
それは、壁紙用の60センチ四方のクロスだった。

「 なんで、こんなもんが怖いのか・・・・?」

俺はぶつぶつ言いながら、腹を立てつつ身を屈めて調べる。
 普通クロスは住宅用のノリで全面キッチリ貼ってある。
しかし18歳にそんな知識はない。
 それは真ん中あたりが浮いていた。

” これは・・・・・・?”

と周辺に爪を立てると、クロスの四辺を両面テープでくっつけているだけだった。
 少し引っ張ると、クロスはすぐに落ちた。
壁を見て全身に鳥肌が立った。
 俺は一回押し入れ&部屋から出て、隣室の同級生の家に避難していた伊藤君に、

「 あれ、はがしちゃったから、文房具屋さんで両面テープ買ってきて~~~。」

と、引きつり笑いと共に声を掛けた。
 伊藤君が、

「 じゃ、取り敢えずコンビニ行って、両面テープ買って来るよ。」

と言って部屋を出て行った。
 そのとき、隣室の同級生が、

「 え、なになに・・・・?」

と怪訝な顔で聞いてきたが、

「 大したこと無い・・・。」

と一応答えておいた。








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