大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道48

2008-04-30 19:26:23 | E,霧の狐道
 俺は、これ幸いと教室から逃げ出した。
そして、下靴を履いて校舎から外に出た。
 日が暮れてくると急に涼しい風が吹いて来る。
外は薄暗く、玄関先にあるイチョウの葉っぱが風に吹かれてパラパラ散っていた。
 グランドに出ても、誰も人はいなかった。
俺は、溝に転がっていたサッカーボールを拾い上げ、ゴールに蹴っ飛ばして時間を潰していた。
夕日の射すグランドに立っていると、再び、俺の頭の中で、何かがキ~ンと音をたて始めた。

“ あ、まただ・・・。”

音はどんどん大きくなり、体が揺れる感覚に襲われた。

“ 前は、しばらくしたら収まったな・・・。”

俺は、しゃがんで眼を瞑り、じっと音と揺れが収まるまで待った。

“ ・・・・・・・。”

少し時間をおいて、音と揺れは徐々に収まり、静まった。

“ ああ、やっぱり収まった・・・・、良かった。”

俺は音と揺れが収まったことにホッとして、眼を開けた。
 グランドの砂の粒々が妙に鮮明に見える。
眼を少し上げて校舎を見ると、校舎の手前に植えてあるサルビアの赤が眼に染み込んで来る。

“ ここから見える風景って、こんなのだったかなァ・・・。”

 俺は左右をキョロキョロ見た。
そして、遠くに眼をやると、太陽は山にほとんど沈み、西の空は夕焼けの終わりに近い、暗い赤に染まっていた。

“ 気分は悪くないが、何かちょっと変・・・。”

変と言っても、何がどう変なのかは分からない。

“ ま、いいか・・・。”


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Photo Lounge61 りす

2008-04-29 19:47:41 |      Photo群

Photo Lounge60 止まれ 画像


    Photo Lounge61 りす 

      「 また、こんな所で寝て・・・・・。」          

   
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  Photo Lounge目次

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霧の狐道47

2008-04-28 19:53:38 | E,霧の狐道
  2、キツネ

 職員トイレ逆噴射事件の後、ようやく俺は教室に戻った。
由紀ちゃんは俺を見て言った。

「 もう、遅い、遅い!
 何、やってたのよ・・・。」
「 いや、いろいろ事件が起こって・・・・。」

 俺は、由紀ちゃんに今までのトイレの経緯を話した。
でも、ゆらゆらしたヤツの話はしなかった。
由紀ちゃんは、俺の話を聞きながらゲラゲラ笑った後、一言言った。

「 ホント、バカねぇ~、フフ・・・。」

 俺は由紀ちゃんが笑ってくれて満足した。
机の上を見るともう原稿は半分出来ている。
明日までに、コメントが欲しいと新聞係りに言われて仕方なく学校に残って作文をする破目になってしまった原稿だ。

「 じゃ、俺、ウサギ小屋のカットを描くよ。」
「 ええ、お願いね。」

 由紀ちゃんは、原稿の残りを書き始めた。
初めの頃こそ、カットを描いていたのだが、俺はだんだん飽きてきた。
 時間が経つに従って、俺は気乗りのしない仕事を放り出して、原稿用紙に向かって奮闘している由紀ちゃんの周りをうろうろしながら、どちらかと言うと作業の邪魔をしていた。
俺のしょうも無い歌声が教室に響いた。

「 フン、フン、フン、フン、鹿の糞♪
 フン、フン、フン、フン、ウサギの糞♪」

由紀ちゃんが口を尖らせて言った。

「 あのね、何、訳の分からない歌を歌ってんの!
 カットの絵をほったらかして・・・。
 気が散って仕方ないじゃないの。
  もう、私一人でやった方が早いわ。
 日が暮れてしまう。
 玄関で待っててよ、ホント、もう・・・・・。」



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霧の狐道46

2008-04-26 19:20:15 | E,霧の狐道
 校長が窓の方を向いている間に、俺はソッと校長室を脱出した。
今度何かが起こったら、それこそ致命的だ。
俺は廊下を歩きながら思った。

“ あのゆらゆらしたヤツ、何処に行ったんだろう?
 ソファの影に入って、その後は見失ったし・・・・。
 まだ、校長に何か悪さをしているかも知れないな・・・・。
  ま、それは、いいか・・・・・・・。
 掃除をサボったのを、家に連絡されないだけでもメッケモノだし・・・。”

もちろん、俺の頭には校長の話なんて一言も残っていない。
 俺は校長室から教室へ向かう途中、職員トイレの前を通過した。
職員トイレの前は、水溜りがまだ少し残っている。
でも、職員トイレの中は、もう、静かになっていた。

“ 片付いたみたい・・・。
 なかなか、スゴイ騒ぎだったけど・・・・。
  あれだけ大洪水が起これば、隅々まで汚い所も洗い流せるし、大掃
 除が出来たと思えば、それは、それで良かったとも思えるし・・・・。
 ま、良しと前向きに考えて・・・・・。”

俺は、職員トイレの中がちょっと気になったが、中を見るのは止めて置くことにした。
こんなところでマゴマゴしていて山下先生に見付かったら、また説教が初めから始まりそうだ。
 俺は職員トイレを後に、教室に急いだ。
由紀ちゃんとの約束に、大幅に遅れているからだ。

“ マズイなァ・・・。
 もう、一時間も経っているぞ。
 由紀ちゃん、怒ってるだろうなァ。”

このとき、職員トイレの前の水溜りを過ぎて、俺が歩いていた後ろの廊下には、小さな動物の濡れた足跡が点々と付いていたことに、俺は気が付いていなかった。
そして、その小さな濡れた足跡は、時間とともに乾いて消えて行った。




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霧の狐道45

2008-04-24 20:05:13 | E,霧の狐道
 校長は垂れ下がった髪を右手でサッと直し、俺を睨んだ。
俺は、校長の迫力に押されて、ゆらゆらしたヤツの方に眼を逸らした。

“ ピョン!”

ゆらゆらしたヤツは、ソファの背あてを飛び越して、ソファの後ろに入って見えなくなった。

“ あれは、何だ・・・・?”

俺が不思議に思って首を傾げたとき、校長の灰色の声が聞こえた。

「 見たな・・・・。」

俺は、ハッとして答えた。

「 いや、見てません!」
「 何、見てない・・・・。
 そ、そうか、見てないのか・・・。
 うん、見てなかったのか・・・・。」

俺は思った。

“ 何が、‘見たな’だ。
 誰が見ても、校長の頭の状態は分かるだろォ~。”

校長は続けた。

「 うん、そうだな・・・・。
 人、それぞれ、人に知られたくないことはあるもんだ。
 神谷君が掃除をサボったことは、家に知らせないでおいてやろう。
 ワシは寛大な心を持っているからな。」
「 それって、スゴク、ラッキーです。」
「 そうじゃろ、そうじゃろ。
 校長室であったことはすべて忘れて、真面目に生きるのだ。」
「 ハイ、そうしますです、ハイ。」
「 うん、うん。
 そして、ワシのように立派な人間になるんだ。
 分かったな!」
「 ハイ、分かりました。」
「 じゃ、山下先生には、ワシが指導したと言っておくから、この件は
 もうお仕舞いだ。」
「 ハイ、また、明日から、勉強します。」
「 よし、帰ってよろしい!」

 俺は、ゆらゆらしたヤツは何処に行ったのか気になって、校長室をキョロキョロ見回した。

“ おかしいな、何処に行ったのか・・・。
 見失ってしまったな・・・。”

校長は湯飲み茶碗を見て言った。

「 あれっ、お茶が無くなっているぞ。
 全部、飲んだのかな?
 あ、窓を閉めなきゃ、隙間風が入って頭がす~す~する。」

校長は、窓に歩いて行った。

「 あれっ、窓は閉まってる。
 風が入って来たと思ったが・・・・?」

校長は、窓の鍵を閉め直した。



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霧の狐道44

2008-04-22 20:17:18 | E,霧の狐道
 校長は、お茶を飲むのも忘れてさらに熱を込めて話し出した。

“ 弱ったな・・・。”

俺は、校長の顔から眼を逸らせ、テーブルを見た。

“ あらっ?”

 テーブルの上が波打っている。
何か透明で凸凹したものを通して見ているようにテーブルがグニュグニュ揺れているのだ。

“ ゆらゆらしたヤツだ!”

ゆらゆらしたヤツは、湯飲み茶碗に近付いた。
俺は、湯飲み茶碗を見た。

“ あら~。”

 湯飲みのお茶が見る見る少なくなる。
そして、無くなってしまった。
校長は気が付いていない。

“ まさか、俺が飲んだなんて言わないだろうな・・・。”

 俺は校長の顔を見た。
校長は、熱に浮かれたようにまだ喋っていた。

“ ゆらゆらしたヤツが、校長に近付いているぞ・・・。”

ゆらゆらしたヤツは、テーブルからソファに移り、校長の横でソファの背を伸び上がった。

“ フッ!”

俺には聞こえたような気がした。
 突然、校長が声を上げた。

「 あっ!」

 校長の頭のバーコードが、ハラリと風に舞い上がって、次に顔の横に垂れ下がった。
チョンマゲを切られた落武者のようだ。
 俺は校長と眼が合った。
そして、俺は校長の険しい眼にたじろいた。



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霧の狐道43

2008-04-20 18:42:21 | E,霧の狐道
 校長は、湯飲みを掴んで、お茶を一口飲んだ。

“ グビッ!”

そして、再び、自分の話に酔い始めた。

「 それで、ワシはおまえと違って正直に言って謝ったから・・・・。」

俺は、頷きながら湯飲みを見ていた。

“ なんか、この湯飲み、動いたぞ・・・。”

 俺は、ジッと湯飲みを見続けた。
少し俯き加減だから、反省しているように見えるだろう。

“ 動かないな・・・・。”

 俺は、湯飲みを見るのに、くたびれ始めた。
校長は、俺を見ながらパクパク口を動かしている。
そして、校長は再び湯飲みに手を伸ばした。

“ ス~ッ!”

湯飲みは、大きく右に動いた。

“ あっ、動いた!”

 俺は、思わず湯飲みに手を伸ばした。
校長の手は空を掴み、校長は湯飲みに眼を落とした。

「 あらっ?」

俺は湯飲みを掴んでいた。
校長はそれを見て、険しい顔で俺に言った。

「 どうして、ワシの湯飲みを移動させるのだ!」
「 いや、勝手に動いて・・・・。」
「 湯飲みは勝手に動かない!
 そうか、さっき湯飲みを掴めなかったのも、おまえの仕業だな。」
「 違いますよ!」
「 ワシはおまえのためを思って話しているんだぞ。
 ちゃんと、ワシの顔を見て、話を聞きなさい。」
「 ハ~イ。」

 俺は、一応、元気よく答えた。
でも、“おまえのためを思って・・・”と言うフレーズは、いつも何か胡散臭さを感じる。



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霧の狐道42

2008-04-18 19:13:35 | E,霧の狐道
 俺は校長の話を聞いている振りをした。
聞いている振りがバレないように、時々、ウンウンと相槌を打つ。

“ これで、完璧だ・・・。”

でも、予想よりも校長の話は長かった。

“ 長い・・・・。”

 俺は欠伸を噛み殺した。
今も、校長の話は続いている。

“ 参ったなァ~。”

 校長は、昔の自慢話を絶好調にベラベラ話している。
そして、俺の顔を見ながら、話し過ぎて喉が渇いたのか、右手で湯飲みを取ろうとした。
俺は校長の顔は見飽きたので、テーブルの湯飲みに眼を落とした。

“ スッ!”

湯飲みは少しだけ右に移動した。

“ ん・・・。
 誰も触っていないのに、湯飲みが勝手に動いたぞ?”

校長の右手は湯飲みの元あった場所を掴んだ。
でも、湯飲みは、もうそこには無かった。

「 あらっ・・・?」

 校長は、テーブルを見た。
そして、湯飲みが掴んだ位置より左にあることに気が付いた。

「 あ、ちょっと、違う所を掴んだな、ハハハ・・・。」



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霧の狐道41

2008-04-15 19:50:56 | E,霧の狐道
 俺は、校長が段々俺を疑い始めていることを感じた。
校長は自分が期待した答えが返ってこないと不機嫌になる。
そして、徐々に、ネチネチ嫌な言い方を投げ付けて来るようになった。
 俺は、かなりウンザリし始めていた。
でも、耐えるしかないと思っていた。
しばらく問答が続いた後、校長は険しい顔で言った。

「 ワシは、誤魔化そうとするヤツは嫌いだ。」

俺は思った。

“ 誤魔化そうとしているんじゃないけど・・・。”

校長は、ソファに座り直して言った。

「 そもそも、ワシの若いころは・・・・・。」

 俺は、“ウワッ、始まった”と思った。
この“ワシの若いころは・・・”が始まると、グダグダした眠くなる展開となる。
ネチネチとグダグダの二重奏だ。
始業式や終業式の、貧血で倒れる子が続出する“死にそうに長くてくだらない話”がこれから始まるのだ。

“ 俺は、この話に、至近距離で耐えられるだろうか・・・。
 う~ん・・・・・。
 そうだ!
 まともに話を聞かないようにすればいいのだ。”


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霧の狐道40

2008-04-13 18:52:42 | E,霧の狐道
 校長室に入って、俺は校長に促されて応接ソファに座った。
フワフワして尻が落ち着かない。
 向かいの壁の上には歴代の校長の写真が掛けてある。
俺は歴代校長全員に睨まれているように感じた。
テーブルには、飲みかけのお茶が入った湯飲み茶碗が置いてあった。
 校長はテーブルを挟んで向かいに座った。
そして、校長はテーブルから茶碗を取って、お茶を一口飲んだ。
俯き加減に茶碗を取った拍子に、校長のバーコード頭が至近距離で見えた。
頭の真ん中は毛が無く、両側には毛がある。
左側の毛を伸ばしてバーコードのように頭の真ん中に被せてある。

“ どうして、頭から髪がパラッと落ちないんだろう。
 接着剤で付けてあるのかな・・・?
 いや、頭の油で貼り付いているんだろな・・・。”

 校長は、湯飲み茶碗をテーブルに置いて俺を見た。
そして、俺に質問した。

「 どうして、掃除をサボったのかな?」
「 体育館の通気口を見に行ったのです。」
「 どうして?」
「 ウサギが小屋から昨日逃げて、それで通気口に逃げ込んだんで、
 ニンジンを置いたら出てくるかと思ったから・・・。」
「 ウサギが昨日逃げたと言う話は聞いていないが・・・。」
「 それは、ウサギ小屋に、六匹全部いたからです。」
「 全部いたのに、どうして一匹逃げるんだ?」
「 そのときは、七匹いて、一匹を俺が逃がしてしまったんです。」
「 ウサギはもともと六匹だろ?」
「 いや、六匹だけど、七匹です。」
「 ・・・・?」



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霧の狐道39

2008-04-11 19:00:28 | E,霧の狐道
 話を聞いて、俺は思った。

“ 山下先生、自分の掃除当番を俺にやらせたのか・・・。
 とんでもないヤツだ!“

そして、校長は静かに山下先生に宣言した。

「 後で、ちょっと、お話しましょう。」

俺は、校長の影に回って、校長に見えないように山下先生にVサインを作って見せた。

“ ムフフフフフ、怒られたァ~。
 ザマァ~ミロ!!”

山下先生は、チラッと恐い顔をしてこちらを見た。

“ おっ、恐い・・・。”

そのとき、突然、校長はこちらを振り向いた。
俺は、サッとVサインを止めた。
 校長は、俺に向かって言った。

「 神谷君、ちょっと、校長室に来なさい。」
「 ゲッ!」

校長の後ろで、山下先生が俺に見えるように声を出さずに大きく口を動かした。

“ バ~~~カ!!”

俺は校長の顔を見ながら思った。

“ マズイコトになってきたぞ・・・。”

俺は思わず義務教育に退学があるのか考えた。

“ あ~あ、最悪だ・・・。”

そして、山下先生をトイレの前に残して、俺は校長に校長室へと連行された。




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霧の狐道38

2008-04-09 19:03:52 | E,霧の狐道
 山下先生が言った。

「 こらっ、何処に行く?」
「 いや、元栓が何処にあるかと思って・・・。」
「 ダメだ、おまえは、ここに居れ。」
「 でも・・・。」
「 また、逃げようとしているな・・・。」
「 そんなこと無いですよォ~!」
「 ダメダメ。」

そして、校長が山下先生に言った。

「 トイレは、水が止まってから作業するとして・・・。
 山下先生、これは、一体、どう言うことですか?」

山下先生は、俺を見ながら言った。

「 はあ、・・・・。
 こいつが今日、掃除をサボったので、代わりにここを掃除させてる
 んですけど・・。」

俺は、ビクッとして山下先生を見た。

“ 話はマズイ方向に進んでいる・・・。”

そして、俺は校長の顔を横目で見た。

“ 山下先生、俺が掃除をサボったことを校長にバラしてしまった・・・。”

でも、校長は山下先生の方を見て言った。

「 児童のトイレは、児童が使うから児童が掃除をする。
 職員トイレは、職員が使うから、職員が輪番で掃除をする、じゃな
 かったのかな?」
「 はあ、それは、そう言うことになっていましたが・・・。」
「 それに、今日は、山下先生が当番じゃなかったんですか?」
「 じ、実は、そうです・・・・。」


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霧の狐道37

2008-04-07 20:01:47 | E,霧の狐道
 そこに、山下先生と用務員さんが走って戻って来た。

“ ダダダダダダダダダ!”
“ ダダダダダダダダダ!”

校長は、山下先生と用務員さんに言った。

「 こらこら、廊下は走ってはイカンと児童に言ってるのに・・。」
「 いや、それどころではないんです!」

山下先生が、トイレの扉を少し開けた。

「 ホラッ!」

校長と用務員さんが扉の隙間から中を覗いた。

「 うわっ!」
「 うわっ!」

用務員さんが、叫んだ。

「 元栓を閉めなきゃ!!」

用務員さんは、廊下を走って行った。
 俺は思った。

“ 元栓って、何処にあるんだろう?”

俺は元栓が何処にあるのか知るため、用務員さんに付いて行こうとした。



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霧の狐道36

2008-04-05 19:01:10 | E,霧の狐道
 俺が前にあったことを懐かしく思い出していると声が聞こえた。

「 何を、ぼ~っとしているんだ、神谷貴志君!!」

俺は、校長の声に意識を戻した。

“ あ、校長を忘れていた。
 ・・・・・・・、ここで掃除をサボったなんて言ったら、こいつから
 酷い眼に遭わされるぞ・・・・。”

校長は俺をジロッと見て言葉を続けた。

「 こんな所に立っていると、トイレに入れん。」

俺は思った。

“ このトイレを見られると、かなりマズイ状況になるなァ・・・。
 校長を、あっちに行かせよう!”

俺は校長に言った。

「 あ、今、ここ入れません。
 あちらのトイレに行って下さい!」
「 どうして、入れないのかな。」
「 え~っと・・・・。」
「 あれっ、中から水の音がしているようだが?」
「 あ、故障です、故障・・・・!」




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霧の狐道35

2008-04-03 19:10:53 | E,霧の狐道
 始業式のあと、直ぐに俺は山下先生に呼ばれた。
山下先生は俺に言った。

「 おまえ、時と場所を考えろ。」
「 ・・・・?」
「 おまえ、校長が話しているとき、ずっと横を向いていただろ。」
「 はァ・・・。」
「 それを見つけた校長が、おまえに言ったんだよ。」
「 何を?」
「 “校長の話とカラスの鳴き声と、どちらが重要か言って見なさい”だ。
 そのとき、おまえは“カラス!”って言ったんだぞ。
 バカか、おまえは。」
「 アハハハ、それホントのことだけど・・・。」
「 あとで、おまえの名前を校長に聞かれたよ。」
「 まさか、言ったんじゃ・・・・?」
「 バカか、おまえは!
 言ったよ。」
「 そんなァ~。」
「 相手は、校長だぞ。
 それに言って悪いことは無いだろ。」
「 でも、名前を覚えられると、ろくなことが無いし・・・。」
「 それは、おまえが悪いことをするからだよ。
 悪いことをしなければ、問題ないだろ。
 ちょうど、いいじゃないか。
 これから、悪いことをしないって心掛けるようになるから・・・。」
「 悪いことなんてしてませんよォ~、いつも・・。」
「 ダメダメ、おまえの悪行は前の担任から聞いている。」
「 前の担任の先生の湯飲み茶碗に、カエルを入れたことですかァ?」
「 なにィ~、おまえ、そんなことしたのか?」
「 えっ、これじゃ、なかったのか・・・、ハハ。」
「 う~ん、ホント、ろくでもないことをしでかす・・・。」

“ このあと、俺は山下先生に続いて、校長からも散々油を絞られたなァ・・・。”

でも、このときのことは、山下先生は親に連絡しなかったから、ホント、ラッキーだったと俺は思っている。


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