大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

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☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道33

2008-03-30 20:00:58 | E,霧の狐道
 外は天気が良くて、気持ち良さそうだった。

“ カァ~、カァ~・・・・。”

体育館の外でカラスの鳴き声が聞こえた。

“ あ、カラスが来た!”

 俺は、一人横を向いて体育館の上の窓を見上げた。
体育館の上の窓の外には、窓を守るための金属の横棒が三本ある。
一つの窓だけ、横棒が二本外れ、残った一番上の横棒にカラスがこちらを向いてとまっていた。

“ お、あそこにいるぞ・・・。”

たぶん俺は、口を開けて見ていたと思う。
これは、アホだからではない。
人間、上を見ると口が開くもんだ。
 青い空をバックに真っ黒なカラスがこちらを見ていた。
俺は、カラスと眼が合った気がした。
カラスは、ニコッと笑った。
そして、突然、金属棒で大車輪を始めたのだ。

“ うお~、すげぇ~!!”

 俺が感動して窓を見ていると、後ろのヤツが俺の背中を突付いた。
俺は、そいつを無視して、カラスの大車輪を見ていた。
すると、また、後ろのヤツが俺の背中を突付くのだ。
俺は思った。

“ もう、うるせぇ~なァ!”

でも、まだ、そいつは俺を突付く。



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霧の狐道32

2008-03-28 19:06:55 | E,霧の狐道
 校長は、俺に言った。

「 神谷貴志君!
 また、何か悪いことをやって、ここに立たされているんでしょう!」
「 いえ、そんなことはありませんよ、ハハ・・・。
 いやだなァ~、校長先生。」
「 ホントかなァ・・。」

 この校長は、俺の名前を知っている。
前の校長は式辞の話も短くて良かったのに、今年赴任して来たこいつは話が長く、さらに自分の自慢ばかりするからヨロシクナイ。
こいつが赴任して来た最初の式辞で、俺は眼を付けられてしまった。

 四月の始業式のことだった。
体育館で、やたら長い、こいつの式辞が始まった。

「 ・・・で、なんやらかんやらで、ガハハハハハ、それでワシは・・・・。
 ・・・で、このとき、ワシが手助けをしてあげたから、今の立派な・・。」

“ あ~、つまんねぇ~。
 おまえが、助けなくったって、そいつは立派になってらァ~!!”

 確かに途中までは、話を聞いていた。
でも、あまりに話がくだらないので、話を聞くのを止め体育館の窓の外を見始めた。

“ ああ、いい天気だなァ・・・。”



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霧の狐道31

2008-03-26 19:48:22 | E,霧の狐道
 山下先生が見えなくなってからも、水の音が聞こえている。

“ ちょっと、様子を見てみるかな・・・。”

俺は、トイレの扉を開けてソッと中を覗いた。

「 ギョエ~!」

 トイレの中は、ホウキやモップが床に散乱していた。
そして、驚いたことには棚にあった残り二つの液体洗剤の容器が、ノズルの先から液体洗剤をピュッピュッ、ピュッピュッ飛ばしながら空中を舞っていたのだ。

“ 洗剤が空中で踊っている・・・。”

俺は、思わずトイレの扉を閉めた。

“ 何だ、あれは・・・・。
 ホントに、変なものを見てしまったぞ・・・。
 それに、ホウキやモップは用具箱から出してなかったけど・・・・。”

俺がトイレの前で、ボ~ッと突っ立っていると、声が聞こえた。

「 ここで、何をしているのかな?」
「 あれは、何かの錯覚かな・・・。」
「 錯覚がどうかしたのかな?」

俺が、ハッとして顔を上げるとバーコード頭の小太りの校長が立っていた。

“ ワオッ、これはマズイ!”

俺は、ホントにマズイヤツに会ってしまったと思った。





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霧の狐道30

2008-03-24 19:44:23 | E,霧の狐道
 俺は山下先生に捕まったままトイレまで戻った。
そして、トイレの扉の前で俺は山下先生に言った。

「 先生、落ち着いている場合じゃないっすよ。
 もう、大変なんですから!」
「 おまえは、林家三平か!
 おまえの大変は、いつも大したこと無いんだよ!」

 俺は、トイレの扉を開けた。
覗いた山下先生の声が大きく響いた。

「 ギョエ~、大変だ!」
「 だから、大変だって・・・。」

 山下先生は俺の声を無視してトイレに飛び込んで行った。
俺は、水飛沫がイヤだったので、ソッと扉を閉めた。
トイレの中から、山下先生のギャ~とかワァ~とか戦っている声が聞こえる。
そして、山下先生は最後の言葉を言った。

「 こりゃ、もう、ダメだァ!」

俺と同じことを言っているなと、俺は暢気に思った。

“ バ~ン!”

 山下先生はトイレから飛び出して来た。
そして、俺に言った。

「 用務員さんじゃないとダメだ!
 水道の元栓から閉めないと、これは止まらん!
 神谷、誰も入らないように、ここで見張ってろ!
 俺は、用務員さんを呼んで来る!」

山下先生は、廊下をバタバタ走って行った。



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Photo Lounge60 止まれ

2008-03-23 19:57:54 |      Photo群

Photo Lounge60 止まれ 画像


    Photo Lounge60 止まれ 

        「 ま、いいか・・・・・。」          

   
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霧の狐道29

2008-03-21 19:01:04 | E,霧の狐道
 俺は、抜けた栓を放り出して、トイレから脱出した。
ズボンの裾や服のあちこちが濡れて気持ち悪い。

「 先生を呼ばなくっちゃ・・・。」

俺は、廊下を職員室に走った。

“ タタタタタタタ・・・。”

「 あらっ?」

“ ダダダダダダダ・・・。”

「 後ろから、誰かが走って来る音がするぞ・・。」

俺は、後ろを振り向いた。

「 ゲッ、山下先生!
 うわっ!」

俺は山下先生に捕まって羽交い絞めにされた。

「 コラッ、逃げるなって言っただろ!」
「 いや、先生を呼びに・・・。」
「 嘘を吐くな、このォ~。」
「 いや、それより、トイレが・・・。」
「 また、誤魔化そうとしてるな!」
「 ホントですよっ!」
「 それじゃ、トイレに行こう。」



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霧の狐道28

2008-03-19 19:37:43 | E,霧の狐道
 俺はホースと空の洗剤容器を放り出して、蛇口に急いだ。
そして、右手で力いっぱい蛇口の栓を捻った。

“ ポロッ!”

「 うわ~、抜けたァ!」

 蛇口の栓は、何故か、いっぱいまで開くに捻ってあった。
そして、さらに、俺が開くの方に捻ってしまったので、栓が抜けてしまった。
俺の手には、虚しく抜けた栓だけが残された。

“ ブシュ~!!”

 天井に向けて噴水が噴き上げている。
噴き上げた水は、天井に反射して散らばり、一部は霧のようにトイレに渦巻いている。
そして、渦巻いた霧は蛍光灯の光に照らされてキラキラ輝いていた。
頭には細かい飛沫も降り注いでいる。

「 うお~、冷てぇ~~!!」

 トイレの中が暴風雨警報だ。
個室からは、泡と汚水がドンドン流れ出している。
床も壁も泡だらけだ。

「 こりゃ、もう、ダメだァ!」


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霧の狐道27

2008-03-17 18:27:57 | E,霧の狐道
逆流した多量の汚水と泡が便器から溢れ出した。

「 ギャ~!
 泡が、泡が・・・。」

汚水は洗剤と混じって茶色い泡を吹き始め、俺に迫って来た。

“ 押し返さなきゃ!”

 俺は、左手のホースの先を指でギュッと摘んで、流れ出る水を強くした。
そして、便器から流れ出る泡に向けて放出した。
ホースの水と茶色い泡が混ざって、益々泡が溢れ出した。

「 うわ~!」

俺は、ホースを握る手をさらに強めた。

“ スポッ、ブシュ~!!”

 ホースの水は出なくなった。
でも、遠くに、ほとばしる水の音が聞こえる。
それに、大便器自体の水は止まっていないので、汚水が足元にヒタヒタと押し寄せて来る。

「 うお~っ、足が濡れそう!!」

俺は、個室の汚水から逃げ出した。
そして、手洗い場のホースの抜けた蛇口を見て驚いた。

「 うわ~!」

手洗い場の蛇口から水がすごい勢いで流れて、水飛沫をあげている。

「 止めなきゃ!」


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美術絵画35 E.Runci ポール・マッカートニーの別荘

2008-03-16 18:46:55 |      絵画群



美術絵画35 E.Runci ポール・マッカートニーの別荘



ポール・マッカートニーの別荘  E.Runci

1911年ロンドンにて生まれる。
セント・マーチン美術学校で絵画を学ぶ。
現代イギリス絵画運動の一員として活躍した。
サザランドに師事。
1982年に亡くなるまで、イギリスの古典絵画の復興に尽力した。
修復画の権威でもある。
1990年ポンピドーセンターで回顧展をし、絶賛を受けた。
44×55


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霧の狐道26

2008-03-14 18:58:47 | E,霧の狐道
 用具箱にあった丸いスポンジタワシが1個、縦に回転しながら転がっている。

“ コロコロ、ポチャ!”

転がって来たスポンジタワシは、目の前の便器に落ちた。
そして、スポンジタワシも勢い良く流れている水に押され、便器の穴に流され行く。

“ 用具箱に置いてあったスポンジが、何で転がって来たんだ・・・?”

便器の穴に吸い込まれて行くスポンジを見ながら俺は思った。

“ これって、かなりマズイんじゃ・・・・。”

 俺は、ホースの水を便器から外した。
水は壁の下の隙間から隣の個室に流れる。
でも、レバーが外れているので、大便器自体の水は止まらない。
瞬く間に便器から反応が現れた。

“ ボコボコボコボコ・・・。”

「 便器の穴から音がしているぞ・・・。」

俺が、穴を眺めていると、突然、水が穴から迫り出して来た。

“ ボワッ!”

「 ギャ~!
 スポンジが詰まったぞ!
 逆噴射だァ~!!」



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霧の狐道25

2008-03-12 19:47:22 | E,霧の狐道
 多量の洗剤が容器からドボドボ流れ、床に広がった。
そして、空になった容器が右手に残った。

“ コロコロコロ、ポチャ!”

ノズルの方は、容器から外れて、便器に転がり落ちた。
そして、勢い良く流れている水に流され、便器の穴に吸い込まれて行った。

「 ノズル、流れちゃった・・・。
 穴に入って見えないから、取り出せないぞ・・・。
 もう、完全に流して仕舞うしかない!」

 俺は個室の中で、左手に水の流れ出すホースを持ち、ホースの水を便器に流し、右手には空になった洗剤の容器を持って、足でレバーをガンガン踏み付けた。

“ ポロッ、コロコロコロ!”

強く踏み過ぎたのか、レバーが外れて床に転がった。

“ ゲッ、外れた・・・。”

大便器の水は流れたまま、止まらなくなった。

“ コロコロコロ・・・。”

俺の足元に、何かが後ろから転げて来た。

「 あらっ?」



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霧の狐道24

2008-03-10 18:40:45 | E,霧の狐道
 俺は、二つある個室の片方に入って水洗のレバーを足で踏んだ。
大便器に勢い良く水が流れ出した。
俺は、水が止まらないようにレバーを踏み続けた。

「 洗剤、洗剤!」

 俺は洗剤容器を便器に向けて、ギュッと握った。
でも、洗剤は容器から出て来ない。

「 あらっ?
 洗剤が出ないぞ。
 おかしいな・・・?」

二、三回振って、握って見たが出て来ない。

「 参ったな・・。
 ノズルが締まり過ぎているのかな・・。
 よし!」

俺は、洗剤容器の先端に付いているノズルを少し緩め、便器に向けて容器を握りながら思いっきり振った。

“ シュボッ!”

ノズルが外れて床に落ちた。

「 うわっ!」



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Photo Lounge59 タカ

2008-03-09 20:21:50 |      Photo群

Photo LoungePhoto Lounge59 タカ 画像


    Photo Lounge59 タカ 

「 あらっ・・、あそこに・・・、何か・・・、いるな・・・?」          

   
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霧の狐道23

2008-03-07 19:08:49 | E,霧の狐道
 水の出方が強くなったり弱くなったりしている。
出方に波があるのは、どうも変だ。
俺は足元を見た。
ホースを踏んではいない。

“ おかしいな・・・。
 ホースが途中で折れているのかな?”

 俺は、ホースを辿って見た。
ホースは手元から床に落ち、蛇口の手前の床で数回トグロを巻いて蛇口に繋がっている。
ホースは、何処も折れているところは無い。

“ 何か、おかしいな・・・・。”

手元のホースから、水は、最初出した時よりも元気良く噴出している。
俺は、流れる水量には満足していた。

「 でも、勢いよく出てるから、まあ、いいか!
 よし、やるぞっ!!」

 俺は、ホースから出る水をところ構わず撒き散らした。
小便器や床は水でビチョビチョになった。
それに先程撒いておいた洗剤と混ざって、床は泡だらけだ。

「 おう、調子、出て来たぞっ!
 個室もやらなくっちゃ。」



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霧の狐道22

2008-03-05 18:53:18 | E,霧の狐道
 俺は柄付きタワシを一旦壁に立て掛け、用具箱にあった液体洗剤を一本出して、蓋を取った。
そして、右手で持ってノズルを下にして握ってみた。

“ ピュッ、ピュッ!”

液体洗剤はノズルの先から飛び出した。

「 よし、これだ、これだ!」

 俺は、右手に持った液体洗剤を小便器や床に撒きまくった。
そして、左手に持ったホースで液体洗剤の上から水を撒く。
水は泡立ち、泡立った水は、勢いで奥に流されて行く。

「 泡だ、泡だ!
 でも・・・、迫力が無いな・・・。
 水が少ないかな・・・・。」

ホースから流れ出る水が、チョロチョロとさらに小さくなった。

「 あらっ、水が止まってきたぞ・・・。」

俺は、ホースの出口を少し上に向けて眺めた。
そのとき、左手に持ったホースに重みを感じた。

「 おっと!」

俺はホースの向きを床に変えた。
突然、ホースから水が、眼いっぱい勢い良く噴き出した。

“ ビシュ~!!”

水が床にぶち当たって飛沫が飛び散っている。

“ 危なく水が顔に掛かるところだった・・・。”


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