大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月30日 女子4人部屋

2021-11-30 11:08:03 | B,日々の恐怖


 日々の恐怖 11月30日 女子4人部屋




 あるガンで入院して手術受けることになった。
大きな病院だし、4人部屋だし、同室の人たちはみんな同世代で手術日も近かったし、ある意味気軽でちょっとした旅行気分な感じだった。
 術前検査とか色々あってOP前何日かあったんだけど、

「 お昼は静かにしましょうね。」

と言われるくらい楽しかった。 
 でも、毎夜誰かが頬を冷たい手で撫でていく感じがする。
真夜中の3時過ぎ。
 こっちも半分寝ぼけてるから、

” ナースさんの見回りかな?”

と、思って気にしてなかったんだけど、3日目の朝、はじめにOPする子が、

「 毎晩おばあさんみたいな人がほおずりするの、怖くて怖くて・・・。」
「 あたしも冷たいものが触ってたわ。」
「 え?ナースさんかと・・・・。」
「 ちがうよ、浴衣着てたわよ。」

全員「 マジ~?」

「 ふと目が合ってしまって その顔がこっちを凝視してて・・・・。」

全員「 え~、いや~!!ぎゃ~!」

ナース「 はいはい!皆さん病室では静かにしてくださいね~。」

全員「 すみませ~ん。」

もうOPも明日やあさってに迫っていたので、その夜からみんなライトつけたりTVつけたりして
2時~4時ごろまで寝ずに頑張ってたら、来なかったのです。
 安心して私のOPも済み、最後におばあさんを見た子が何故か先生の都合で4日遅れてOPに行きました。

「 そろそろ戻ってもいいんだけどね~。」
「 あれ?まだICUかな?」
「 もう5日たつね。」
「 個室に入ったかな?」

 ナースさんのお話だとまだICUらしいとのこと。
私は術後の回復も早く、1週間ほどで退院したのですが、仲間がまだ入院していたので診察日に顔を出すと、その子が神妙な顔をしてこっそり話してくれた。

「 廊下の右の彼女、亡くなったんだって・・・。」

手術中に急変したらしく なかなか意識が戻らずそのままだったようです。
 皆さん入院しても夜中の訪問者の顔は見ないように。
目を合わせてはだめです。
マジな体験記でした。
術後8年目、再発無しで、ほっとしてます。








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日々の恐怖 11月27日 ろろく石(4)

2021-11-27 09:38:17 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月27日 ろろく石(4)




 そして、今にして思えば骨董蒐集の最後になったのが、江戸時代の幽霊画でした。
これはずいぶん高価なものだったはずです。
 それは白装束の足のない女の幽霊が柳の木の下に浮かんでいる絵柄で、高名な画家の弟子が描いたものだろうということでした。
 親父は、

「 この絵はお前たちは不気味に思うかもしれんが、実に力を持った絵だよ。
この家の運気を高めてくれる。」

と言っていました。
 そして、その絵が家に来た晩から、小学校低学年の妹がうなされるようになったのです。
妹は両親と一緒に寝室で寝ていたのですが、決まって夜中の2時過ぎになると、

「 ひ~っ!」

と叫んで飛び起きます。
そして聞いたこともない異国の言葉のようなものを発し、両親に揺さぶられて我に返るのです。
もちろん病院に連れて行きましたが、何の異常も認められないとのことでした。
 家の者はまた骨董のせいではないかと疑っていましたが、それを親父に言い出すことはできませんでした。
獅宝堂が来ていたときに親父がこの話をしたら、

「 おお、それはいよいよ生まれるのですな。」

と意味不明のことを言っていたそうです。
 そしてその日の夜のことです。
やはり2時過ぎ、妹はうなされていましが、突然白目をむいて立ち上がり、叫び声とともに、大人の拳ほどの白い透明感のある石を、大量のよだれとともに口から吐き出しました。
次の日、獅宝堂が来て、その白い石をかなりの高額で買っていったそうです。
 親父はこのことを契機に獅宝堂とのつき合いを断ち、骨董の蒐集もすっぱりやめてしまいました。
親父は、

「 ようやく分かったよ。
家族には迷惑をかけられないからな。
みんなの健康が何よりだよ。
これからは庭いじりでもやることにする。」

と言いました。
そして我が家の異変は完全に収まりました。










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日々の恐怖 11月21日 ろろく石(3)

2021-11-21 18:44:03 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月21日 ろろく石(3)




 ある日のことです。
当時自分は中学生でしたので和室に入る用などめったになかったのですが、たまたま家族が留守の時、学校で応援に使ううちわが和室の欄間に挿されていたのを思い出して、取りに行ったのです。
すると家の中には誰もいないはずなのに、なぜか人の話し声が聞こえてきます。
 ごく小さな声ですが、和室の中からです。
ふすまの前で聞いているとこんな感じです。

「 これで収まったと思うなら浅はかな・・・。」
「 ただ臭いものに蓋をしたにすぎないだろ・・・。
今に、もっとヒドイことが・・・。」

どうも二人の人物が会話をしているようです。
 コミカルな声調だったのであまり怖いとも思わず、一気にふすまを開けて見ました。
しかし当然ながらそこには誰もいませんでした。
 ただ床の間の絵を見たときに、なんだか2人の僧の立っている位置が前とは違っている気がしました。
そしてそれから2,3日後、夜中に家に小型トラックが突っ込んでくるという事故が起きたのです。
塀と玄関の一部を壊しましたが、幸い家族にケガ人はありませんでした。
 親父はこの事故のことでずいぶんと考え込んでいましたが、それからはますます骨董買いに拍車がかかりました。
古めかしい香炉、室町時代といわれる脇差、大正時代のガラス器などなど。
 そしてそのたびに家に変事が起こり、また収まり、そしてもっとヒドイことが発生するといったくり返しになりました。
骨董に遣ったお金もそうとうな額にのぼったと思います。

「 あっちを収めればこっちの障りが出てくる、考えなきゃいけないことが十も二十もある。
こらたまらんな・・・・。」

親父はノイローゼのようになっていました。









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日々の恐怖 11月16日 ろろく石(2)

2021-11-16 16:38:28 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月16日 ろろく石(2)




 その頃、親父は獅宝堂という骨董屋の主人と親しくなりました。
その人は小柄な老人で、親父が金があると目をつけたのか、ちょくちょく家に尋ねてくるようになったのです。
 ある日、親父は家族に向かって、

「 この間から、家の中がちょっと変だったろう。
どうもあのサンゴの根付けが原因らしい。
獅宝堂さんから聞いたんだが、ああいうものはお女郎さんの恨みがこもってるかもしれないってね。
だが、そういうのを打ち消す方法もあるって話だ。
それで、これを買うことにしたよ。」

と言って、一幅の掛け軸を見せました。
 それはよくある寒山拾得(中国唐代の2人の禅僧)を描いた中国製で、それほど高い物には思えませんでした。
そしてそれは和室の床の間に飾られることになりました。
 掛け軸が来てから家の中の異変はいったん収まったようでした。
相変わらず猫は書斎へは入らないものの、植木は元気を取り戻し、物が腐りやすいということもなくなったのです。
 親父は、

「 古い物はほとんどが人間の一生以上の歴史を持っていて、中には悪い気を溜め込んでしまっている物もある。
そういうのの調和を取るのが骨董の醍醐味だと、獅宝堂さんから聞いたよ。」

と悦に入っていました。








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日々の恐怖 11月13日 ろろく石(1)

2021-11-13 16:45:36 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月13日 ろろく石(1)




 自分の親父と骨董の話です。
親父は紡績の工場を経営していましたが、何を思ったか50歳のときにすっぱりとやめてしまい、経営権から何から一切を売り払ってしまいました。
これは当時で十億近い金になり、親父は、

「 生活には孫の代まで困らんから、これから好きなことをやらせてもらう。」

と言い出しました。
 しかしそれまで仕事一筋だった父ですから、急に趣味に生きようと思っても、これといってやりたいことも見つからず、途方に暮れた感じでした。
あれこれ手を出しても長続きせず、最後に残ったのが骨董品の蒐集でした。
 最初は小さな物から買い始めました。
ありがちなぐい呑みや煙草の根付けなどです。

「 初めから高額の物を買ったりして、騙されちゃいかんからな。
小遣い程度でやるよ。」

と言って、骨董市で赤いサンゴ玉がいくつか付いた根付けを買ってきました。

「 何となく見ていてぴーんとひらめいたんだよ。
このサンゴ玉は元々はかんざしに付いていたのかもしれないね。」

などと言って、書斎に準備した大きなガラスケースに綿に乗せて置きました。
 これが我が家の異変の始まりです。
まず親父になついていたはずの飼い猫が書斎に入らなくなりました。
親父が抱き上げて連れて行ってもすぐに逃げ出してしまうのです。
 さらに家の中の物がなんだか腐りやすくなりました。
梅雨時でもないのに食パンなどは買ってすぐに黴に覆われてしまったりして、台所は常に饐えた臭いがするようになりました。
 それから家には小さいながら庭もあったのですが、全体的に植木の元気がなくなり、中には立ち枯れるものも出始めました。
また屋根の上の一ヶ所につねに黒い煙いのようなものが溜まり、何人もの通行人に火事ではないかと言われたりもしました。
しかし、はしごをかけて屋根に上ってみてもそこには何もないのです。







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日々の恐怖 11月11日 措置室

2021-11-11 13:38:31 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月11日 措置室




 友人が昔働いていた病院では、措置室というものがあり、統合失調症(昔は分裂症といってた)の患者などが、発作を起こした時に入れられていた。
当然、自殺防止のために窓は鉄格子つき、何もない6畳ほどの鍵付きの部屋だった。
 だが、友人が働いていた10年ほどの間に、そこでは二人の患者が死んでいた。
一人は、靴下をほぐしてひもをつくり、鉄格子にかけて首吊りだった。
もう一人は、靴下の中に隠し持っていたカミソリの刃で、頸動脈を切断した。
 その後、その部屋は開かずの間となり、長いこと使われなかったが、ある日、急患で運ばれてきた患者がいた。
 その患者は女性で、分裂病の発作を起こし暴れるから、家族の要請で運ばれてきた。
しかし、一時的に収容する部屋がふさがっていたため、仕方なくその死人が出た措置室に入れようとしたところ、激しく抵抗し、

「 怖い!こわい!この部屋は嫌!」

と叫びだした。
 何も知らない新人の看護士が、

「 何が怖いの!?」

と、聞いたところ、

「 女が血まみれで死んでる!」

と、部屋を指差し絶叫しました。
事情を知ってる古い看護士たちは、唖然としたそうです。
 友人いわく、

「 運が良ければ霊能者になれて、悪ければ一生病院暮らしなんだろうね、ああいう人って・・・・。」

その病院は北九州にまだあります。









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日々の恐怖 11月10日 溜息

2021-11-10 09:56:26 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月10日 溜息




 高野山でのことです。
母の従弟が建築士で、あるお寺の修繕をしていたとき、そこの老僧が静かに、

「 貴方の御親戚に殺された方がいらっしゃいますか?」

と尋ねられた。
 彼の姉が実は自殺をしていたので、

「 殺されてはいないが、自死している姉がおります。」

と言ったら、老僧が溜息を吐いて、

「 貴方の背後にいる女性が殺されたと訴えていますよ。」

と教えてくれて真っ青になった。
 下山してから親戚一同集まって、こう言われた、ああでないこうでないの議論が始まり、そういえば亡くなる前なのにきちんとご飯の支度してたわ、綺麗にお化粧してたわと、小さな子ども二人いて、責任感の強いあの子が自殺だなんて、と色々噴出して疑念が残ったままとなった。
 数年後、再婚した姉の元亭主が後妻を殺し、四国のある鉄橋から投身自殺というニュースがあって、親戚一同愕然。
やはり高野山の僧侶の話は本当だったのかということになりました。








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日々の恐怖 11月1日 曰く付き物件の日常(9)

2021-11-01 19:44:48 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月1日 曰く付き物件の日常(9)




(11)退去日

 荷物をまとめている間も衰弱していて、引越し業者に支えられて辛うじて立てた。
家を出るとき、業者が言った。

「 あの、まだ玄関、誰かいませんでした・・・?」
「 いません。
いるはずないです。
一人暮らしです。
開けますか?」
「 いえ・・・、そうですか、ですよね。」
「 単身引越しで、来てますんで。」
「 朝、お電話の時、にぎやかだったので・・・・。」

余裕がなくて、キレ気味に話してしまった。
 部屋を最後に出るときにまで、誰かいる感覚があった。
幻覚じゃなかった。
笑った。
電話の時ってなんだよ。

 住人は入れ替わりが激しく、毎年何人か引っ越していた気がする。
確かに、即死するような曰く付きではない。
ではないが、人が住めるのだろうか?
 その日、自宅のそばの踏切を久しぶりに渡った。
比較的新しい卒塔婆が加わり、並んでいた。
電柱にはいつも事故証言募集が貼られていたのに、同じ踏切でたくさん事故があるということに、俺は何故か気付かなかった。
 ここ数年の事故のことも。
半年ほど前の事故のことも。
 思い返せばタイミングに心当たりは多い。
そもそも物件下見の時さえ。
 事故物件サイトで見たバツ印と踏切事故の記憶を重ねると、近所は真っ赤だ。
これだけ起こっていれば、お札一枚で3ヶ月保っただけマシだったのかもしれない。
ゴキブリホイホイだって、中身がいっぱいになったら意味が無い。
 人身事故が多発している駅の踏切。
そのすぐ近くに住んでいると理解したのは、退去した日のことだった。

 入居前には、近くの踏切や噂などもよく調べることをオススメしたい。
幽霊なんて見たこと無いって人はいるでしょう。
自分もそうでした。
 パソコンもスマホもある時代に、幽霊なんかいるわけがないと思いたい。
いや、でも、あれは幽霊だったかどうかは、今でも俺にはわからない。
ただ実感としてあるのは、大なり小なり曰く付き物件は確かに存在するし、何らかの悪影響は確実にあるということだ。
 怪我や災難を、全てを曰く付き物件のせいにするつもりはありません。
運が悪かったんでしょう。
 ですが、俺は聞きたい。
どこまでが気のせいだったのか?
 和菓子職人さんには悪いが、餡子入りの和菓子は何故か今でも美味しいと思えない。
あの時だけは何よりも美味しいと感じたのに。
 俺が好きなのはカスタードだ。
今川焼きのクリームは好きだ。
変わったことといえば、和菓子のきんつばが好きになったことくらいだ。










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