俺はベッドから足を下ろしながら言った。
「 わかった、散歩に行こう。」
龍平はニヤッと笑って言った。
「 ああ、天気はいいぞ。」
俺は車椅子に乗り、龍平が車椅子の後ろを押して病室を出た。
俺と龍平は部屋を出るとき、山本爺の方を見ないようにしていた。
でも、山本爺は眼だけで俺たちの動きを追っていたのは確かだ。
車椅子は通路を進む。
「 談話室に行くで!」
「 うん、分かった。」
通路の突き当たりにあるエレベーターの左手前に談話室がある。
そこは通路から独立した小部屋で、扉もあるから話すにはちょうど良い。
昨日の話を早く聞きたかったが、ここは我慢だ。
俺は成り行きを龍平に任せた。
龍平は談話室に人がいないことを確かめてから、車椅子を押して中に入った。
日が差し込み、談話室は明るい。
外の景色が見える窓際に車椅子は進み、龍平が椅子を引っ張って来て、俺の前に座った。
俺は昨日の夜の話を聞きたくて、ウズウズしていた。
龍平は顔を近付け言った。
「 あのな、昨日な。
あれから、エレベーターで5階に行ったんや。」
「 それで、それで・・・。」
「 部屋に戻って寝た・・・。」
「 えっ・・・・?」
俺がキョトンとした顔をして龍平の顔を見ていたので、龍平は笑い出した。
「 アハハハハ、嘘やがな!」
「 おまえなァ~、続き、続き、つ・づ・き!!」
「 ムフフフフフフ、続きが聞きたいかァ~♪!!」
「 聞きたい、聞きたい!
つ・づ・きィ~♪!つ・づ・きィ~♪!」
「 ア、つ・づ・きィ~、つ・づ・きィ~♪、ア、ホレ、つ・づ・きィ~♪!!
あ、こらァ~~~~!!
何をさすんや、思わず踊ってしもたがな。」
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