大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道252

2009-08-28 19:04:00 | E,霧の狐道
 他の患者さんが扉から入って来かけて立ち止まり、変な顔を一瞬した後、クルッと向きを変えて出て行った。

「 おまえなァ~、変なことをさせるなよなァ~。
 人格、疑われるやろ~。」
「 勝手に踊ったのは、おまえだろ。」
「 そら、まあな・・・・。
 それでやな・・・・。」

 龍平は右手を上下に振って俺を呼んだ。
で、俺は顔を近付ける。

「 ふんふん!」
「 エレベーターで5階に上がってやな、屋上への階段をそ~っと登って行っ
 たんや。」
「 それで、それで・・。」
「 階段の上にはな、小さな踊り場と屋上に出る扉があるねん。
 でもな、扉を、そ~っと押して見たんやが、開かへんねん。
  扉にはガラス窓があるんやけど、曇りガラスで向こうが見えへん。
 下手に扉をガタガタ言わせたらマズイかなっとも思ったし・・・。
 それで、ど~しょうかなァ~と思って扉を見たら、扉に嵌めてあるガラス窓
 の左端の角っこが、これぐらい欠けていて穴があるねん。」

龍平は右手の人差し指と親指で小さな丸を顔の前に作った。

「 それで、ここから外を見たんや。」

そして、龍平はその穴から俺を覗いた。

「 それで、それで・・・。」

俺は、丸から見える龍平の目玉を覗き返した。




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Photo Lounge80 Find X

2009-08-26 19:30:25 |      Photo群

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              “ ここ!”
        



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霧の狐道251

2009-08-23 17:46:03 | E,霧の狐道
 俺はベッドから足を下ろしながら言った。

「 わかった、散歩に行こう。」

龍平はニヤッと笑って言った。

「 ああ、天気はいいぞ。」

 俺は車椅子に乗り、龍平が車椅子の後ろを押して病室を出た。
俺と龍平は部屋を出るとき、山本爺の方を見ないようにしていた。
でも、山本爺は眼だけで俺たちの動きを追っていたのは確かだ。
 車椅子は通路を進む。

「 談話室に行くで!」
「 うん、分かった。」

 通路の突き当たりにあるエレベーターの左手前に談話室がある。
そこは通路から独立した小部屋で、扉もあるから話すにはちょうど良い。
昨日の話を早く聞きたかったが、ここは我慢だ。
俺は成り行きを龍平に任せた。
 龍平は談話室に人がいないことを確かめてから、車椅子を押して中に入った。
日が差し込み、談話室は明るい。
 外の景色が見える窓際に車椅子は進み、龍平が椅子を引っ張って来て、俺の前に座った。
俺は昨日の夜の話を聞きたくて、ウズウズしていた。
 龍平は顔を近付け言った。

「 あのな、昨日な。
 あれから、エレベーターで5階に行ったんや。」
「 それで、それで・・・。」
「 部屋に戻って寝た・・・。」
「 えっ・・・・?」

俺がキョトンとした顔をして龍平の顔を見ていたので、龍平は笑い出した。

「 アハハハハ、嘘やがな!」
「 おまえなァ~、続き、続き、つ・づ・き!!」
「 ムフフフフフフ、続きが聞きたいかァ~♪!!」
「 聞きたい、聞きたい!
 つ・づ・きィ~♪!つ・づ・きィ~♪!」
「 ア、つ・づ・きィ~、つ・づ・きィ~♪、ア、ホレ、つ・づ・きィ~♪!!
 あ、こらァ~~~~!!
 何をさすんや、思わず踊ってしもたがな。」



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霧の狐道250

2009-08-18 18:20:36 | E,霧の狐道
 俺は山本爺の声の調子を聞いて思った。

“ あ、山本爺、結構、大丈夫なんだ・・・。
 と言うことは、龍平も大丈夫ってことだな・・・。”

しばらくして、ピッと言う音がして、看護婦さんが山本爺に言った。

「 あ、ちょっと熱があるね。
 先生に言っとくわ。」

看護婦さんはそう言い放つと、呆気無く病室から出て行った。
 俺は、山本爺の方を見た。
山本爺は、充血した目だけを布団から出してこちらを見ていた。
俺と山本爺は視線が合う。

“ うっ!?”

お互い何の言葉も無い。

“ ちょっと怖いな・・・。”

俺は山本爺から眼を逸らせた。
 そこに、龍平がスタスタと病室に入って来た。

「 よっ、貴志!」
「 お、龍平!」

俺は龍平の元気そうな顔に安心した。

「 貴志、ちょっと車椅子に乗れよ。」
「 どうした?」
「 散歩に行くんや。
 外は気持ちがええで!」
「 えっ?
 ん??
 ・・・・???」

龍平は山本爺の方をチラッと見た。

“ そうか、山本爺がいる所では話が出来ないんだ。”




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霧の狐道249

2009-08-13 19:00:54 | E,霧の狐道
 トイレで用を足しながら、俺は思った。

“ ここは病院なんだ。
 誰もが、生きて退院出来るとは限らんのだ。”

 トイレを出ると、通路は静かで田中爺はもういなかった。
田中爺の体操は無事終了したようだ。
 俺はトイレから病室に戻るとき、もう一度、遠くにあるベッドを見た。
ベッドは一つ、ポツンと寂しそうに、そこにあった。
 部屋にも田中爺はいなかった。
何処かに出張したようだ。
 俺は部屋に入ってベッドに戻った。
そして、ベッドに仰向きになって、天井を睨みながら思った。

“ そう、ここは、病院なんだ・・・・。”

俺はまたもや複雑な気分になって、廊下のベッドの光景を思い出していた。

“ ガタン。”

しばらくして、ワゴンの音と共に、若い看護婦さんが病室に入って来た。
そして、山本爺のところに行った。

「 山本さん、熱を測るね。」
「 うん、うん・・・。」

山本爺の声が聞こえる。




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霧の狐道248

2009-08-10 19:03:17 | E,霧の狐道
 田中爺は、俺の視線が自分を通り越していることに気が付いて後ろを向いた。
そして、向こうを向いたまま言った。

「 ああ、一人、いってしもたんやな・・。」
「 いってしもたって・・・?」
「 ここは病院やで。
 あれは、もう、ベッドが必要無くなったんや。
 明け方まだ暗かったんやけど、ワシがトイレに行きとうなって病室を出たら、
 あそこの辺りで医者や看護婦やオッチャンやオバチャンがウロウロしてたわ。」

田中爺は俺の方に向き直って言った。

「 生きて退院出来るとは限らんがな。
 まあ、そう言うことや。」
「 ・・・・・・。」

田中爺は俺にニッと笑って、横を向いて体操を再開した。

“ 俺が寝てしまった後、そんなことがあったのか・・。”

俺は複雑な表情をして田中爺の体操をしばらく見ていた。
 田中爺は、横でボーッと自分を見ている俺に横目で言った。

「 トイレか?」

俺は自分の用事を思い出した。

「 あ、そうです。」
「 早く行かな、漏れるで!」
「 あ、ハイ。」

俺は車椅子の向きを変え、ベッドと反対側の通路の奥にあるトイレに急いだ。




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霧の狐道247

2009-08-07 18:52:33 | E,霧の狐道
   10月18日(日)

     報告

“ 朝だ、あさだァ~よォ~、朝日がのぼォるゥ~♪”

 次の日、俺は田中爺の例の歌声で眼が覚めた。
遅くまで起きていたから、かなり眠い。
 俺は山本爺のベッドを見た。
ベッドは人の形に膨れている。
少し動いたような気がした。

“ あ、山本爺、大丈夫・か・な・・?”

俺はひと安心して、次は、龍平が気になった。

“ 龍平の方は、どうなったんだろう?”

田中爺の歌声は廊下で続いている。

“ トイレに行きたいな・・・。”

俺は車椅子に乗ってトイレに行くことにした。
 病室をノコノコ出て行くと、体操をしている田中爺と眼が合った。
田中爺は体操を中断して俺に言った。

「 よっ、早いなっ!」
「 おはようです。」

俺は田中爺と挨拶を交わしながら、通路の向こうの方を同時に見た。

“ あれっ・・・?”

田中爺の向こう、遠くにベッドが一つ廊下に出ているのが見えた。

“ ベッドがある・・・。”

昨日の夜、通路をウロウロしていたときは無かったのだ。



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霧の狐道246

2009-08-02 19:30:08 | E,霧の狐道
 看護婦さんがトイレの外から言った。

「 もう、出た?」

俺は、一応、形をつけた。

「 あ、いっぱい出た。」
「 じゃ、病室に帰って、寝るのよ。」
「 うん・・・。」

俺はごそごそとトイレから出る。
看護婦さんが車椅子の後ろに回り込みながら言った。

「 消灯後は、ウロウロしないの!」
「 うん・・・。」
「 返事は、ハイよ。」
「 あ、ハイ。」
「 よろしい。」

その後、俺は車椅子ごと病室に放り込まれ、ベッドに入った。
 看護婦さんが出て行っても、俺は眠らなかった。
龍平が帰って来ると思ったからだ。
でも、いつまで経っても龍平は戻って来なかった。
俺は龍平を心配しながらも徐々に眠くなって、そのまま寝てしまった。




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Photo Lounge79 ART 

2009-08-01 18:50:20 |      Photo群

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        Photo Lounge79 ART 


            “ ホント、よくやります。”
        



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