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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 10月31日 白い手

2013-10-31 17:58:42 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 10月31日 白い手



 私は心霊現象には無縁だと思っていました。
でも、後々思い出してみてアレ?と思った話が一つだけあります。
 子供の頃住んでいたアパートは出ると有名だったらしく、クラスのアホ男子に、

「 お前、あのユーレイマンションに住んでんだろ?こえ~!」

と度々からかわれていました。
 実際アパートの住民にも見たと言う人は多く、上の階に住んでいた母の友人は、母と話している最中に突然“女がこっち見てる”、などと言いながらガタガタ震えだしたりしていたようです。
彼女は見た時手のひらに金粉が浮くらしく、つい先ほどまでまっさらだった筈のその手のひらがいつの間にやらうっすら金粉に覆われている様を母は何度も目撃していると言っていました。
 姉も、よく、非常階段に女の霊がいると怯え、決してその階段を使おうとはしませんでした。
そんな環境で育ちながらもなお何も見えなかった私はというと、そんな話を聞いた後も暢気に非常階段をお気に入りの遊び場にしていました。
それで、何となく、私はこのまま一生心霊体験などせずに死ぬのだろうと、子供ながらに漠然と予想していました。

 そんな中、小学三年生の頃のことです。
給食の時間、誰よりも早く給食のお盆を受け取った私は、自分の席でぼんやりと窓の外を眺めていた。
他の小学校がどうだかは知らないですが、私の学校では、給食時は近い席の生徒と6人の班を作らなくてはならないのです。
縦2列、前後3列の生徒同士、机の向きを変えてぴったり向かい合うように座ります。
 その当時、私の席は窓際から数えて2列目だったため、班を作る際は窓際の席の生徒と向かい合えるよう机の向きを変えていました。
つまり、窓と向き合っていた状態です。
 私の班のほかの生徒たちはまだ配膳の列に並んでいる最中で、お陰で私の視界を遮る物は何もありませんでした。
おなか減ったな~などと考えつつ、見るともなしに窓を眺めていたその私の視界に、白い子供の手が飛び込んできました。
 それは窓ガラスの向こうに唐突に現れました。
私に見えるのは手からひじの辺りまでで、そこから下は壁に遮られて見えません。
その手は何か白いボールのようなものを握っていて、おもむろにそれを上方へと放り投げました。
 ボールはまっすぐ飛び上がり、一度窓と天井の境目に消えると、やがて重力に従い落ちて来て、白い手はそれを綺麗にキャッチし、ひゅっと素早く下へ引っ込みました。
 そのとき、私はすぐに思いました。

“ 誰かが校庭に出てボール遊びしてる、いけないんだ!”

当時は、給食が終わり昼休み開始のチャイムが鳴るまでは校庭に出てはならないと言われていました。
それを破った生徒は教師から厳しく怒られます。
 クラスでも仕切り屋の部類に入っていた私は、すぐさまその生徒を注意しようと思い、席を立ち窓へと駆け寄りました。
ところが、ボールで遊んでいたと思われる生徒の姿は校庭にはありませんでした。
校舎は左右に伸びているので、すぐに隠れられそうな所は無いのです。
変だなとは思ったのですが、“まあ素早く校舎のどこかに逃げ込んだのだろう”と、そのときは思いました。

 私自身が経験したことといえばこれくらいで、相変わらず心霊体験の無い私は鈍く元気に暮らしています。
 出ると噂されていたあのアパートからはとうに引っ越していましたが、今でも家族間でその話題が上ることがあります。
弟に聞いたところ彼もあのアパートで霊を見たことはないと言っていましたが、姉は、下半身の潰れた女性が腕組みして手すりに寄りかかりながら非常階段から下の駐車場を見下ろしていたと言っていました。
なんにせよ、私はこの先一生心霊的な恐怖を味わうことなく一生を終えるのだな、と漠然と思っています。
 ついでですが、あのアパートに住んでいた頃の話で怖かったことがあります。
朝、登校しようと家を出たら、先に仕事に行ったはずの父親が大慌てで戻ってきて、

「 エレベーターを使うな、階段を使え!あいつらが来た!」

と、私と弟を非常階段まで引っ張って行ったことがあります。
 後から近隣の人に聞いたところ、何でもエレベーターホールの入り口に黒スーツの男達が誰かを待ち伏せているような様子で仁王立ちしていたと言うことです。
その時の記憶の方がはるかに鮮烈で、洒落にならんほど怖かったと思います。
何しやがったんですか、お父さん?














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日々の恐怖 10月30日 案山子

2013-10-30 18:21:42 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 10月30日 案山子



 大学で、地方のド田舎から来ていた友人の話です。
この友人は、俺ってド田舎だからなァ、と言うのがいつもの口癖です。
 それで、こいつの祖父はこいつよりもう一つ山奥の村に住んでいるのですが、案山子作りの名人として有名だって、ある日聞かされました。
そのとき、“案山子作りの名人って、何・・・?”と、不思議に思って尋ねた会話です。

「 そんなモンに名人とかあるのか?
造作が上手いとか、仕上げが綺麗とか?」

『 これがあるんだとさ。
何でもうちの爺ちゃん、見た目綺麗な案山子を作るとかじゃなくて、とにかく良く効く案山子を作るんだ。』

「 良く効く案山子?」

『 例えば、鳥を追い払う能力っていうの、そういう面で秀でてるとか。
爺ちゃんの案山子を置いた田圃の周りにゃ、雀とか滅多に近よらないんだ。』

「 へえ、そいつは凄いね。
鳥の苦手な匂いでも仕込むのかな。」

『 いや理屈はわからんけど、匂いじゃないな。
その田圃の周りじゃ、雀の死体がごっそり見つかるんだ。
仲間の死体が多く転がってたら、鳥の類は近よらないらしい。
“鳥頭っていってもそう馬鹿にしたモンじゃねえ”、って爺ちゃん言ってた。』

「 死体?
まさか殺鼠剤とか使ってるんじゃ・・・。 」

『 そんなモン使ってないよ。
作るの見てたことがあるからわかる。
 素人考えだけども、ありゃどう考えても薬とかの作用じゃない。
ひどい時にゃ田んぼの上を飛んでた鳶が、急にパタッて落ちて死んだのを見たし・・・。
あん時ゃ、“アハハ、やり過ぎちまった”、って爺ちゃん苦笑してた。
雀追い払うだけなら、大したパワーは要らないんだと。』

「 案山子というより、まるで呪いだなソレ。」

『 あのな、昔こんなことがあったんだ。
爺ちゃん、年甲斐もなく村の若い衆と派手な喧嘩をやらかしてな。
その直ぐ後に案山子作ってた。
ブツクサと相手を罵りながら。
 んで、それをボコボコにド突いて沼に投げ棄てたんだけど、その直後に喧嘩した相手が車で事故って、まさにその同じ沼に飛び込んだんだよね。
幸い死なずに済んだけど、大怪我してしばらく入院してた。』

「 思うんだけどさ。
爺さんが作ってるのって、実は案山子じゃないんじゃないの?」

『 かもしれない。
というか、多分、皆そう思ってる。
陰じゃ“祟り爺”って呼ばれて恐れられてるみたいだし。
こちらが悪ささえしなけりゃ、気の良い爺ちゃんなんだけどなぁ・・・。』

困ったような顔で友人は言っていました。
















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日々の恐怖 10月29日 説教

2013-10-29 18:05:08 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 10月29日 説教



 大昔、付き合ってた彼女のお兄さんの話です。
彼女と付き合うまで知らなかったんだが、彼女のお兄さんは中学~高2までK市では有名な暴走族だった。
 が、高2の夏から、突然暴走族をやめて品行方正になった。

「 なにがあったの?」

と彼女に聞いても、にやにやしながら、

「 兄貴に聞いてみなよ。」

と教えてくれない。
 ある日、彼女の家に遊びに行ったらお兄さんがいたので、思い切って聞いてみた。

「 なんでツッパリをやめたかって?
うーん、おまえなら教えてもいいか・・・。
 俺さ、高2になってから学校には全然行かないで、毎日ゾッキー(注1)やってたんだよ。
本気でヤクザになろうと思ってたからさ、鑑別所・少年院上等ってな感じで。
 で、夏休みのある日、夜中の3時ぐらいに家に帰ってきたら、居間に誰かいるんだよ。
おふくろかと思ってチラッと見たらよ、死んだオヤジなんだよ。」

彼女のお父さんは、彼女が小学校低学年、お兄さんが中学の時に亡くなっている。

「 でさ、そん時、俺はトップク(注2)着てたんだけどさ、『親父?』と思った瞬間、金縛りにあっちゃったんだよ。
声出したくても声出ないし、逃げたくても指一本動かないんだ。
親父は居間の食卓に座ってさ、だま~ってタバコ吸ってんだよ。
で、ゆっくりとこっち振り向いてさ。
たった一言。

 『 いい加減にしろ。』

それだけ。
それだけ言うと、親父はタバコの煙と一緒に消えてった。
 俺、金縛りが解けたと同時に尻もちついちゃって、そのまま朝を迎えたんだ。
朝、お袋が起きてきて、

『 あんた、そんなところで何やってんの?』

って言うから、

『 今まで心配かけてきてごめん。
もう、族やめる。』

って、その場で宣言したよ。
 次の日、仲間のところ行って、

『 親父の霊に説教されたから、やめる。』

って言ったら、他のヤツらにすんげー大笑いされたけどな。
でも、マジで怖かったんだ。
今思い出しても、鳥肌が立つくらい怖かった。」

その話を半信半疑で聞いたのち彼女の部屋に入ると、彼女がこんな話をしてきた。

「 兄貴がお父さんのオバケ見る前に、私、お仏壇で毎日お願いしてたんだよね。
『お兄ちゃんが暴走族をやめますように。真面目になりますように』って。
その頃私、いじめられててさぁ。
原因は兄貴。
K市のヤンキーなら誰でも知ってるような、大不良の妹だからって。
もう、悲しくて悲しくて、これも兄貴のせいだ、いや、兄貴を育てたお父さんのせいだって恨んでたの。
だから、兄貴の話聞いた時、ざまぁみろって思った。」

 結局、その2年後くらいに俺は彼女と別れて、彼女は違う男と結婚した。
でも別れたばかりの頃は、彼女の親父さんが現れるんじゃないかと、夜中はすごく怖かったっけなぁ。


(注1、ゾッキー=暴走族構成員)
(注2、トップク=特攻服)













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日々の恐怖 10月28日 ホタル

2013-10-28 18:09:09 | B,日々の恐怖





    日々の恐怖 10月28日 ホタル





 大学生の頃、I県の半島の中央を友人4名と旅行した。
友人は、イニシャルでIとOとKとTにしておく。
 自動車1台、バイク3台で、俺ともう1人が自動車組。
後は、それぞれバイクだ。
 旅館は予約せず、強行軍で走ったため泊まる場所が中々見つからなかった。
辛うじて見つかった旅館で、料金を聞くと素泊まりでも非常に高かったので、寝袋持ってきたヤツ二名が外、残りは自動車の中で寝る事になった。
 幸い、小高い丘にある神社の前の駐車場兼空き地っぽい場所を見つけ、そこに泊まる事にした。
当然寝苦しく、みんな睡眠が浅かったのだろう。
深夜3時ぐらいに、何か人の足音みたいなのがして、全員が目を覚ました。
 お互い、仲間が起きてトイレでもしているのかと思ったのだが、誰も欠けていない。
田舎だから、朝から虫取りとか、お参りしてから仕事とか、色々有るんじゃないかなんて感じの話をしてたのだが、Oが足音が消えた方(神社の方)を調べに行った。
 そして走って戻ってきた。
息が荒い。

「 小さな赤い光が空中を滑っているよ。」

これは面白いかもと思い、全員で行くことになった。
 低い山なので、神社まではすぐだった。
せいぜい50mぐらいだろうか。
本殿が工事中らしく、仮殿が横にあった。
その前付近でみんな立ち止まり、「なんだ、あれ?」とか、「動いているよな?」だの話し出した。
 だが、俺には何も見えない。
みんなで俺を担いでいるんじゃないかと思って、前に出てみんなの言う場所を懐中電灯で照らしつつ、みんなの視線を見たら、同じような場所に集中して、少しずつ動いている。
 だが、目をこらしてもやっぱり何も見えない。
なんか怖くなって、戻ろうかと言う前に、全員の視線がすっと俺に注がれた。

「 大丈夫か?」

Iが心配そうに言うが、なんの事か分からない。
 IやOが言うには、俺の肩付近まで光が近づいてきて、 その後すっと消えたらしい。
TやKには、赤い光には見えてなくて、白い煙みたいな感じだったらしいが、同じく俺の方に向かって行ってその後消えたとか。

「 背筋が寒くなる話はやめてくれ。」

そう言って、自動車に戻った。
 実は5人とも今までその手の経験はなく、ホタルか何かじゃないかって結論になった。
翌日特に何もなく、全員無事に帰宅した。
 帰宅してから知ったのだが、俺の財布に安産祈願のお守りが入っていた。
勿論、安全祈願と間違って親が買って来たやつなんだが、何か効果があったのかもと思っている。
意味もなく、親に感謝した。












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日々の恐怖 10月27日 タクシー

2013-10-27 18:00:43 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 10月27日 タクシー



 K子さんは新宿から私鉄で一時間ほどのところに住んでいる。
その日は連続していた残業が終わり、土曜日の休日出勤という事もあって同僚と深夜まで飲んで終電で帰る事になった。

 K子さんの通っている駅前には普段からタクシーが少なく、深夜近くなるとタクシー待ちの列が出来ている事が多い。
いつも利用してるバスの最終は早く、この一週間ほどは帰宅時間が遅くて毎晩タクシーを利用していた。
 覚悟して駅前に行くと、珍しくタクシー待ちの列が無い。
中年の女性が一人立っているだけだ。

“ そうか、今日は土曜日だっけ。”

ホッとしてタクシー乗り場へ向かおうとすると、階段を駆け降りてくる足音が聞こえ、K子さんを追い越してサラリーマン風の男が中年女性の後ろに並んだ。
 あっけにとられると同時に少しムッとしたが、まあ二人だけだし、そんなに待たずにすぐにタクシーに乗れるだろう。
K子さんは男の後ろに並んだ。
 程なく一台のタクシーがやって来て中年女性を運んで行った。

“ よし、あと二台だ。”

一台目が去って15分も待った頃後ろで駅の階段のシャッターが大きな音を立てて閉った。
振り向くと駅員が点検しながら事務所へ入って行く。

“ 私がタクシー待ちしてる間に電気が消えたりするのだろうか?
駅員さんとかいなくなるのだろうか?”

携帯で自宅に連絡したK子さんがそんな事を考えているとタクシーのヘッドライトが見えた。
やって来たタクシーにサラリーマンが乗り込む。
 駅前から遠ざかるタクシーを見送りながら、K子さんはふと思った。

“ このタクシーが来るのに20分、普段より待ち時間が長いな。”

いつもはもう少しタクシーの回転数は早くなかっただろうか。
最初のタクシーが黒で今のタクシーも黒。
いつもは白いタクシーもいなかったかな?
休日なので、まさか一台のタクシーで使い回し?

 20分程経つとタクシーがやって来た。
黒のタクシーだった。
やはり、一台きりで営業していたのだろう。
K子さんはタクシーに乗り、行先を告げた。

「 ○○町まで。」

 K子さんは自宅に近づいたので、目印になる某有名メーカーの建設機械置き場を運転手に告げた。

「 ××重機へお願いします。」

K子さんの自宅は、建設機械置き場に隣接した小さな用水路を渡った農道沿いにあり、車は入れない。

『 お仕事、大変ですなぁ。夜勤か何かで?』

運転手が話し掛けてきたが、K子さんは疲れていたし面倒なので、

「 ええ、まあ・・・。」

などと曖昧に答えた。
 建設機械置き場に近づいたので、財布からタクシー代を出そうとしていると運転手が言った。

『 お客さん、××重機の人?』

お節介な運転手だな、いったい何が言いたいのだろうか?

「 いいえ、違いますよ。」

と強く言うと、何とタクシーは建設機械置き場を通過して行く。
ビックリしたK子さんは、

「 ああ、ここです、ここで・・・。」

そういう間にもタクシーはどんどん走って行く。

「 運転手さん、ここで良いですよ!」

ムッとしたK子さんが言うと、運転手は走りながら、

『 お客さん、火曜日にも乗ったでしょ?』

と言った。
 確かに今週はタクシーを毎晩使ったが、それがどうしたんだろうか?
訳が分からず固まってしまったK子さん。
 2~3分たったろうか、国道を走るとコンビニの灯りが見えてタクシーは駐車場へ入った。
タクシーを止めると、後ろを振り向いて運転手が言った。

『 ごめんなさい、お客さん。
でも、ちょっとあれはねェ・・・。』

運転手は名刺を取り出し、会社の電話番号はここにあるので苦情が有れば私の名前を言って、電話して構わないから、と前置きして言った。

 火曜日にK子さんを載せたのは、このタクシーだった。
初めは気が付かなかったのだが、例の××重機という名前で思い出したのだそうだ。

『 実は、お客さんの前に、男を乗せたんだけどね。』

K子さんを追い越して行ったサラリーマンだ。

『 その男がね、××重機で降りたんだよ。』

タクシーの中で、男は携帯で電話していた。
“もうすぐつくから”とか”何分後だ”とか話していたのだという。
 そう言えば、運転手はしきりに夜勤がどうの、××重機がどうのと言っていたのを思い出したが、なぜここまで通り過ぎたのかが分からない。
K子さんが尋ねると、

『 お客さんは、××重機の人じゃなさそうだし、火曜日もここまで来たでしょ。
まあ良いか、とは思ったんだけどね。』

××重機の事務所は電気点いてないし、あの男もここの社員じゃないんだろうなぁ、とボンヤリ考えていたら、道の反対側にワンボックスが一台停まっていたのに気が付いたのだそうだ。

『 4人くらい乗ってたかなぁ。
それがライトが当たるとね、サッと隠れたんだよ。
あやしいだろう。
しかも運転席にいたのは間違いなくあの男だったからねェ、何かあっても俺も怖いし・・・。』

K子さんは携帯で母親に話したのを思い出してゾッとした。

“ うん・・今駅。
タクシーに乗るから・・、××重機まで・・。”















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日々の恐怖 10月26日 耳鳴り

2013-10-26 17:59:25 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 10月26日 耳鳴り



 耳鳴りが鳴った感じがすると出現する感じです。
やや薄暗くなってきた夏場の夕方6時頃、車で帰宅途中に道端でうずくまっている男の子を見ました。
小1、2くらいでしょうか、低速で走っていたので100M先くらいから目認出来ました。
 車は歩行者を徐行するのは常識ですが、道の近くであるにもかかわらず真横を通常速で何台も素通り。
危ないというかマナー悪いなと考えたのですが、どうも様子がおかしい。
体育座りのような格好で頭が不自然に垂れ下がっている。
そして微動だにしていないのです。
 やがて私の車が近付き、その周囲を窺うとうずくまっている真横には地蔵を祭り花が供えられた祠がありました。
事故で亡くなった方を弔う地蔵です。
見た感じ半透明でも何でもなく普通の男の子と変わらない感じでした。
心の中で冥福を祈りました。

 マンションのエレベーターの扉ってガラスになって向こうが見えますよね。
これは明け方、自宅マンションエレベーターにて。
 1階よりエレベーターに乗り、ボタンを押し奥の鏡をボォ~っと眺めていて、扉が閉まってエレベーターが動き出した瞬間に扉の向こう(エントランス)からおかっぱ頭の女の子がこちらを覗き込んで来たのが鏡に写りました。
この時ははっきりと見えました。

 他にも体験はありましたがそれら全てに共通するのは、見えた瞬間、耳鳴り(水に深く潜った時に頭の中でキンキンと・・)が鳴った感じがしました。
見た時は必ず感じてます。















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日々の恐怖 10月25日 工場

2013-10-25 18:31:29 | B,日々の恐怖




      日々の恐怖 10月25日 工場




 大学のとき、プラスティックの部品を作っている工場で夜にバイトすることになりました。
そのバイト先のオンボロ工場は4階建てですが、使用されているのは1階と2階だけです。
3階と4階は十数年前までは倉庫として使われていたそうですが、現在はほとんど使われていません。
 社員さんの話によれば、景気の良いときは荷物の置き場にしていたけれど、不景気で扱うものが変わり、使うことも無くなって階段にある防火シャッターも閉めてあるとのことでした。
だから、バイト仲間が3階や4階に行くには、社員の人に防火シャッターを開けて貰わないと行けなくなっていました。
 バイトの仕事としては、特に3階や4階に行く用事は無かったのですが、辞めて行ったバイトの先輩からは、

「 ここの3階と4階は訳ありだから、行けなくしてあるんだ。」

と言う伝説が代々伝わっていました。
ところが、何故か訳ありの訳が何なのかは、伝わっていないのです。
 それで、僕も含めて今いるバイト仲間は全員そこに行ったことが無く、そこに一体何があるのか、また訳ありの訳とは何なのか、微妙な興味を持っていました。
そして、バイトのみんなは、このことについて気にはなっていたのですが、バイトの身分としては社員さんに会社に支障のあることも聞けず、モヤモヤしたまま仕事をしていました。

 ある日のことです。
1階と2階との間のみで往来する汎用のエレベーターが故障してしまって、普段ほとんど使用されたことの無い貨物専用のエレベーターが臨時で使われることになりました。
 社員さんが山積みにされた機械や荷物をどけるとその小型エレベーターは、隅っこで埃にまみれてひっそりと佇んでいました。
稼動するかどうか心配はあったのですが、電源スイッチを入れると何の故障も無くそれは扉を開けました。
 1階で貨物を積み入れ、2階に送ります。
よく見ると、3階と4階の行き先ボタンもありました。
僕らアルバイト学生はこれを見て全員が同じことを考えました。

“ これって、上のフロアに行ける唯一の手段だぞ。”

 30分間の休憩時間、社員さんの姿がなくなるのを確認して、僕達はジャンケンを始めました。
負けた者二人が三階と四階を探検してくるのです。
 Kがビリで四階、僕はその次だったんで三階を探検しなければならなくなりました。
それぞれ懐中電灯を手に、エレベーターに乗り込みました。
貨物専用なので、扉が閉まった時点から暗闇です。
 まず三階で止まりました。
僕らは息を飲み、扉が開くのを待ちました。
ひんやりしたカビ臭い空気が流れ、ゆっくり扉が開きました。
 懐中電灯で照らすと、フロアは二階とほぼ同じ作りになっているらしいことがわかりました。

「 じゃ~、お先に・・・。」

僕はKを残して恐る恐るエレベーターから出ました。

「 気をつけてな。」

Kがそう言い終らぬうちに扉は閉まりました。
そして、エレベーターは四階へ上って行きました。

 取り残された僕は、まずフロアの照明スイッチを探しました。
多分、二階と同じ場所にあるだろうと思って、奥のほうへ歩いて行ったのですが見つかりませんでした。
 とりあえず、壁伝いに歩いて探すことにしました。
ほとんどがらんどうになっていて、目を引く物と言えば山積みにされたコンテナ、埃を被った作業机、乱暴な殴り書きの禁煙の張り紙、それと、えらく古い型のエアコンくらいでした。
 壁伝いに半周ほどしましたがスイッチは見付かりません。
道路沿いの窓まで歩いて外を眺めると、いつも見ている二階からの風景とは目線が高くなったせいか、ちょっと違うようで、なんだか新鮮な感じがしました。
 窓の周辺は、月明かりで多少良く見渡すことができました。
てるてる坊主がひとつぶら下がっていました。

“ Kはいまごろ何やってるだろう・・・。”

と思ったときに、ちょうどエレベーターの扉が開き、Kが声を掛けてきました。

「 お~い、そろそろ戻ろ~。」
「 は~い。」

 エレベーターに乗り込み、社員に見つからないように僕らはそっと二階へ戻りました。
僕もKも、待ち構えていた他のバイト学生たちに、これといって話すほどの冒険譚は何も無かったんで、状況を話してもさほど盛り上がることも無く、休憩時間は終わってしまいました。
 代々伝わってきた訳ありは単なる噂だったと言うことで、バイト仲間たちは何だつまらないと言った顔をしてサッサと解散しました。

 深夜、仕事が終わり、帰り支度をしながら僕はKと先ほどの探検について、もうちょっと詳しく話しました。
Kの行った四階には中身のわからないダンボールや貨物が多少あったそうですが、やはり他には目を引くようなものは何もなかったということでした。
 僕はと言えば、印象に残ったものと言えば、禁煙の張り紙と窓際のてるてる坊主ぐらいで、幽霊の一匹くらい出ても良かったのに、とクスクス笑ってしまいました。
Kもつきあいでちょっとニヤッと笑った程度です。
 二人で工場を出て自転車に乗り、道路を渡っているときでした。
途中、Kは自転車を止め、空を見上げていました。

「 どうした?幽霊にでもとりつかれたんじゃないの?」

僕はニヤニヤしながら冗談を言いました。

「 さっき、月明かりがどうって言ってたよね・・・。」

Kがそう言うのを聞いて、僕も空を見上げ、エッ?、と思いました。
空に月は出ていませんでした。

「 今日は、新月かな?」

でも、確かに窓の辺りは明るく照らされていました。

「 じゃ~、あれは町の明かりに照らされていたのを、勘違いしちゃっただけなのかなぁ・・・。」

 確かに月を見た気もしたんですが、気のせいだったようにも思えますし、現に月は出ていませんから、そうとしか言い様がありません。
そして、道路を渡り切ったKが振り返り、工場の方を見て再び口を開きました。

「 ヤバイかも・・・。」

 彼の言う意味がはじめ良くわからなかったんですが、彼の視線の先を見たときに僕もそれがわかり、頭の中がパンクしそうになってしまいました。
道路を渡ったところで初めて高い塀で囲われた工場の三階と四階の壁が見えるのですが、そのどこにも、窓が付いていなかったのです。
 僕は、さすがにもうその工場でバイトする気になれず、そのまま辞めてしまいました。
Kも数日後に辞めたと聞きました。














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日々の恐怖 10月24日 不良

2013-10-24 18:17:49 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 10月24日 不良



 中学までいた田舎には、漫画の中でしか出てこないような不良が未だに生息していた。
ボンタン、短ラン、エナメルベルト、ツッパリ上等リーゼント、超薄い学生カバンと、身を固めるアイテムも一世代前。
しかしなんというか、どこか憎めない連中だった。
 田舎の地域密着型というか、地元の人も、

「 おうガキども、タコヤキ作りすぎたから食っていけ!」
「 ありがと、おっちゃん!」

といった感じの連中だった。
だから、高校になって田舎を離れ、町にいる不良連中を見たときに、なんて野蛮なヤツラなんだって思ったぐらいだった。
 ある日、そんな不良グループが、通学路の小道(近道の1つ)に集まって通せんぼしている。
ウンコ座りしてる連中が、その道を通ろうとしている下級生とかにガンを飛ばして遠回りさせていた。
 その中にクラスの友人がいたんで、

「 え、この先でケンカでもしてるの?」

と尋ねると、首を横に振られた。

「 Aさんが、ここ誰も通すなって。
あぶねぇからって。」

もう一人が、

「 なんか、Aさんが爺さん呼んでるってよ。」

と言った。
 Aさんと言うのは、上級生で不良グループのリーダーやってる人。
爺さんは、ウチの中学で教頭もしている地元の住職。
 そう言う連中は、少しビビってる感じ。
確かにこの小道では、ここ最近、子供が側溝に落ちて頭を怪我したり等の小さな事故が頻発していた。
 そうこうしてると、爺さんを連れたAさんがやって来た。
リーゼントの不良と坊さんの組合せは、なんとも奇妙だった。
 その2人だけで小道に入ると、爺さんの、

「 成る程なぁ・・・。」

という声が聞こえ、続けて読経が始まった。
 かなりの時間が過ぎて2人が小道から出てくると、Aさんが、

「 もういいぞ。」

と不良グループを解散させる。
爺さんもAさんに、

「 わざわざスマンかったな。」

と声をかけて帰って行った。
 それから不思議とその小道で事故は起きなくなったが、爺さんがマメに足を運んで読経し、お供え物をあげていた。
 10年経って、そのときの友人に話を聞いたんだけど、Aさんは高校受験に失敗して爺さんの寺で世話になった後、県外にある同門の寺へ修行しに行ったらしい。
友人は、

「 あのAさんがなぁ・・・・。」

と言ってたが、なんとなくピッタリだと思った。















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日々の恐怖 10月23日 牛女

2013-10-23 18:40:04 | B,日々の恐怖




      日々の恐怖 10月23日 牛女




 牛女の話です。
会社の先輩が割とオカルト話が好きな人で、同行営業の折に、停車中の車の中でそういう話で盛り上がった事があった。
 その人は俺より一回り以上歳上で、子供の時分は、所謂、見世物小屋と呼ばれる胡散臭さ抜群の見世物が、まだまだそこかしこで見られたそうだ。
そんな人であるから、俺はこの地方でも特に有名な話である牛女のことについて聞いてみた。

「 そういえば、牛女って話、知ってます?」
「 え、何、それ?」
「 知らないですか?
ほら、六甲山に出てくる牛頭の着物女って言う話なんですけど。
ここら辺じゃ有名らしいですよ?」

どうやら知らないらしい彼女に、俺はネットなんてかで見聞きした話を話してみる。
すると、先輩は少し考えるような素振りを見せて、不意に、

「 ああ、それ、違うのよ。」
「 違う?」
「 うん。
わたしが子供の頃ね、六甲山に遠足に行くことになったの。
そのことを近所のお婆さんに話したらね、真剣な顔でこんな話を教えてくれたの。」


『 六甲の山の中を歩いているとな、大きなお屋敷を見かける事がある。
だけど、そこには決して近づいたらあかんよ。
そこはあるお金持ちの別宅でな、でも今は使われておらんのよ。
 と言うのも、そこの家と言うのが、たった一代で大きなお屋敷を幾つも建てたんやけど、ある日、そこのひとり娘が、急におかしくなってしまたんよ。
気がふれたんやね。
 方々の医者に診せては見たけど、一向に良くならない。
それで、世間体もあったんやろうなあ、最後には、六甲の山の中に建てたばかりのそのお屋敷に、娘さんを隔離してしまったそうや。
 でも、身の回りの世話をする使用人も、最低限しかつけてなかったんやろ。
しょっちゅうお屋敷を抜け出して、山の中を叫びながら走り回ってたそうでなあ。
婆ちゃんも見たことは無いけど、子供の頃山の中で「ぎゃあああ!」って叫ぶ声を聞いたことあるしなあ。
何にせよ可哀想な話や。』


「 だから、それは牛女とか言うものじゃないと思うのよ。」
「 ははあ、なるほど。
でも、何でそれが牛女になったんですかね?」

問いかける俺に、先輩は、ああ、そうそう、と頷き、

「 そのお金持ちって言うのがね、何でも精肉業か何かで身を立てたらしいのよ。
ほら、当時お肉って言うと牛らしくてね。
お婆さんも、殺生が過ぎたんやろうなあ、って言ってたわ。」
「 なるほど。
肉屋の娘→牛屋の娘→牛の女。
つまり、牛女って事ですか。
でも何か、こじつけっぽいなあ。」
「 ん~。
でも、わたしの子供の頃に牛女なんて話聞いたことないしねえ。」

そう言いながら、先輩はゆっくりと車を発車させた。
とまあ、そんな内容なのだが、牛女知ってる人いる?





 六甲山に出る牛女って知ってるよ。
実際アレを見た人に話聞いたことあるよ。
牛女にも色々種類あるらしいけどね。

・走り屋の間の噂では、牛の体に女の顔(般若という話もあり)で、車の後を猛スピードで追っかけてくる牛女。
・あと、丑三つ時になると出る女の幽霊で牛女。
・最後に、女の体に牛の顔の牛女。

 私が聞いたのはこの最後の牛女の話。
体験者は友人の両親です。
 4年ほど前のお盆の頃、2人は弟夫婦と共に、墓参りのため実家に帰省した。
4人は墓参りをし、実家で夕食をすませてから帰ることにした。
 他の3人は酒を飲んでいたので、おばさんが運転手、助手席にはおじさんが、後部座席には弟夫婦が乗り込んだ。
実家を出たのは、もう真夜中近くだった。
 しばらく山道を走っていると、前方の道沿いに畑がある。

“ あれ・・?”

道路のすぐ横、畑の畦道に着物を着た女らしい人が座っている後姿が見えた。
 見た感じ年寄りに見える。
首をうなだれ、背中だけが見える。

「 こんな時間に、婆さんが畑にいるなんておかしいわね。」

後部座席の弟夫婦とそんな会話をかわし、スピードを緩めた。
 老婆はこちらに背を向けたまま、身じろぎもしない。
そして老婆の真横に来た瞬間、座っていた老婆がクルリとこちらに顔を向け車に走り寄った。
3人が悲鳴をあげる中、突然車のエンジンが止まった。
近付いて来た牛女が運転席の窓を叩いた。

“ バァーーン!!”

後部座席の弟夫婦が叫ぶ。

「 きゃぁーーっ、早く車出して!」

おばさんは震える手で何度もキーを回すが、エンジンは一向にかかってくれない。

「 なんや、なんの音や?」

助手席のおじさんが不審な顔で聞く。

「 なんや、なんでみんな騒いでるんや?」
「 なんでって、あなたには見えないの、横にいるのに!」
「 なにがおるんや、なんで止まってる?」

“ バァーーン!!”

「 牛の顔の婆さんが窓を叩いてるのよ!」
「 そんなもんおらん!」
「 いるのよ、そこに!」

“ バァーーン!!”

何度やってもエンジンはかからない。
 おじさんが苛付いて言った。

「 どけ、かわれ!」

おじさんがおばさんと席を左右に無理やり入れ替わり、運転席に移ったおじさんがキーを回した瞬間、何故か嘘のように簡単にエンジンは回りだした。

「 早く出して!」

その後、牛女は追っては来なかった。
それから里帰りの度にその道を通るが、牛女に会ったのはこの1回だけだったそうだ。

「 信じられへんような話やろ、でもこれ読んでみ。」

一緒に話を聞いていた友人(体験者の子供)が、1冊の本を差し出した。

『 太平洋戦争末期、西宮が空襲にあった。
牛ので栄えていた家が焼かれ、その家の座敷牢から頭が牛、少女の体をした物が出てきた。
“それ”は周りが見つめる中、犬を食っていた。』

時間の経過と共に、牛女もまた、人間と同じように歳をとっていったのか?
では、何故見える人と、見えない人がいたのだろうか?















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日々の恐怖 10月22日 安全地帯

2013-10-22 19:57:50 | B,日々の恐怖





    日々の恐怖 10月22日 安全地帯





 20代女性の話です。

 郊外の静かな住宅地で、近郊は事件も無く防犯にあまり気を付けずに住んでいました。
近くにはコンビニがあり、便利なので良く使っていました。
 それで、数週間くらい前、寝付けないからコンビニに雑誌買いに夜の12時過ぎくらいに行ったんだけど、その帰りにふと目の前にミラーがあったから見てみたら、30代くらいの女が立ち止まって私をみてるのに気づきました。
様子おかしいから足早に歩いてて、しかもその時ipodを爆音で聞いていました。
 で、“さっきの人まだ見てたらやだな”と思って、方耳だけイヤホンはずして後ろ向き掛けたとき、耳のそばで、

「 すいません。」

って声がしたから、ひゃってなって、振り返ったらさっきの女で、突然、

「 それって曲どうやって入れるんですか?」

って聞いてくるんだけど、夜中に住宅街で見ず知らずの人にいきなり聞く内容じゃないし、すんごい真顔で目を見開いて聞いて来るから超怖くなって、

「 わかりません。
私も人に入れてもらったんです。」

とか、わけわからないことを後ずさりしながら言ったら、

「 でも、娘のためにやってあげたいんです。
どこでそれ買えるんですか?」

って言うから、

「 で、電気屋で!!
電気屋で聞いてください!!」

って言ってしばらく走り、吹っ切ったと思って、また歩きかけたら、

「 でも、娘が・・・・・。」

って、後ろからまた声が聞こえたんだけど無視して、運良く家のすぐそばだったので全力で走り玄関に入って、少しだけ隙間空けてみてみたら、その女消えてました。

 これ数週間前の話で、つい昨日の話です。

 また夜12時前くらいかな、車でツタヤにDVD返しに行こうと思い、外に出て駐車場に入った瞬間、斜め後ろに視線感じたからふと見てみたら、その女がぼーっと立ってこっちを見てました。
 す~って寒くなって、ダッシュで車に飛び乗りロックして車を出し、なるべく見ないように過ぎたんだけど、家戻るときまじ怖かったから、家族に携帯から電話して弟と母を駐車場まで呼んできてもらいました。
そのときは、もうその女はいなかったんだけど、また現れるかもと思うと怖くて怖くて。
 つ~か、ipodなんてビックカメラ行けば買えるってことぐらい、相当年齢いってる人以外知ってるよ。
 なんで私なの。
最初の回で、家バレてるし・・・。
“Ipodはビックカメラで買えます”って書いて玄関に貼っておくか・・・。
でも、それって、近所の人から“?”って思われそうだし・・。
もう、意味わからないし怖いです。
安全地帯と思ってたんですけど、夜、出歩くのは止めることになってしまいました。














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日々の恐怖 10月21日 額縁

2013-10-21 19:21:26 | B,日々の恐怖





      日々の恐怖 10月21日 額縁





 城東区で仕事していた時だけど、飲食店を経営するにあたって結構お得な物件を見つけた。
2階は普通の大家さんが住んでて、1階がテナントなお店。
芸能人Tの焼き肉屋から近いかな。
 まぁ、食べていくには困らない経営していたんだけど、あるとき車の事故起こして、修理するために店から3分位離れた修理工場に持って行った。
近所付き合いする方ではなかったんだが、向こうはこちらを知っていたらしく、修理の人に、

「 あそこのテナントですね、大変でしょう。」

と言われた。

“ へっ?”

と思って、

「 何かあったんですか?」

と聞いたら、

「 知らないなら、それに越したことはありませんよ。」

とはぐらかされた。
 あまりに気になって、しつこく食い下がると教えてくれたんだが、過去そこのテナントは、3回経営者が変わっているらしい。
で、2人そのテナント内で首つり自殺してて、1人はノイローゼになって行方不明らしいとか。
にわかに信じられずに、そんな馬鹿な!と思ったが、不況だったんでまぁありえるかなと思った。
ちなみに、店で自殺はあれだが、自殺するような人間に俺が祟れる訳ない的思考です。

 けど、お店にいてもずっと気になって、近くの喫茶店とかアルバイトに聞いてみたら、なんか嫌な話が続々出てきた。
 一応、

・テナント借りている家は名家の類いだけど、4代位続けて男は30までに死んでいる。
・今の家主さんの子供は男3人娘一人だけど、男は全員30までに死んでいる。
・旦那も30前に病死。
・首つり自殺一人有り。

また、うちの店の3件位離れたバーに、霊感がある人が誘われた時に、

「 こんな怖いとこでは飲めない。」

と帰っていったとか・・・。
自分の店の周辺は、空襲で死んだ人を取りあえず置いておく場所に使われていたとか。

 そういえば、霊で有名な深江橋の近くだし、なんかあるのかなぁと思ったけど、商売順調で関係ないや、だった。
忙しい時は店に泊まってたけど、霊とか微塵も感じられなかったし。


 で、平和な日々が続くある日、それは起こった。
その日、オープン前に店の前を掃除していたら、パソコンのプリンターを買った大家さん(未亡人30前半?)が、プリンターを休憩挟みながら必死で2階の家に持って行こうとしていた。
しんどそうなので、

「 自分で良ければ家まで運びましょうか?」

と言ったら、

「 迷惑かけますのでいいです。」

と言われたけど、微妙な下心があったので、半ば強引に、

「 お手伝いしますよ。」

と、家まで運ぶことにした。
 2階まで運んで、

「 ここでいいです、ありがとうございました。」

とお礼されたけど、パソコンに詳しかったんで、

「 接続しますよ。」

と玄関で話していたら、その家のおばあちゃんも出てきて、少々のやり取りの後、お願いされることになった。

 で、無事接続も完了して、お礼にコーヒーを用意してくれることになって、未亡人とおばあちゃんが出て行ったあとに、尿意を催してトイレに行きたくなった。
お店でしようかなと思って、1回店に戻ろうとして廊下を通ると、半分障子が開いている部屋が目に入った。
 なんとなく部屋を障子ごしに覗いたら仏壇があり、(今思うと、仏壇かどうかはわからない)部屋の上のほうに、物故者の写真が額縁入りで大量に飾られていた。
結構壮観な並びで、さすが早死に名士の家計だなと感心して、通り過ぎようとして妙な違和感を感じた。
1個だけ写真がない額縁があったのだ。
 こういう時に、他と異質な物を注視してしまうのは人の常であろう。
ついついその額縁を見てしまい、自分は心の底から恐怖した。
朱色の墨で、自分の名前と生年月日が書いてあったのだ。
 周りを慌てて見渡すと、台所でなにかしゃべっている声が聞こえる。
黙ってさっきの部屋に戻り、急な仕事の用を思い出したことを告げて2階の家を脱出した。
それで、店に戻って身の回りのものを大急ぎでカバンに詰め、あらゆることを投げ出してとにかく逃げた。
 FC店だったために本部の方を通して、一切その大家さんに関わらずに権利関係の処理できたのが、不幸中の幸いだった。
ホテル暮らしを転々として実家にも連絡を取らなかったけど、後で聞いたところによると、最初のうちは頻繁に実家に連絡があったらしい。
今は東京に住んでいるけど、未だに怖くて大阪には帰れないし、住民票も移していない。
 地名をある程度詳しく話したことに後悔し、途中、話を続けるか迷った。
昔のことだからもう平気と軽く話し始めたけど、またビクビクする日が始まる。













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日々の恐怖 10月20日 パソコン

2013-10-20 18:22:13 | B,日々の恐怖





     日々の恐怖 10月20日 パソコン





 2~3年前に友人から聞いた話です。
ちなみに、俺はこれが起きている最中も、何回か友人から途中経過を聞いていた。
 そいつは小さな会社に勤めていて、そこでは昼休憩の時はパソコンの電源切らなきゃいけないんだって。
でも、そいつはよく忘れて、電源入れたまま飯に行っちゃってたみたい。
 んで、何回か同じことをして、そのうち気づいたのが、スクリーンセーバー使ってるのに、いつも飯から帰ってくるとデスクトップ画面なんだって。
飯の時間はみんな同じだけど、多少時間の前後があるから、自分以外にパソコンに触ったヤツがいないか聞いたんだけど、誰も触ってないんだって。
弁当持ってきてるヤツも食べる所は別らしい。
 おかしいなとは思ったけど、スクリーンセイバーって、マウスがちょっと動いただけでも消えるでしょ。
それに、残業で遅くなってうっかりパソコンの電源入れっぱなしで帰った時は、朝にはスクリーンセイバー画面だったとかで、本人もあまり気にしてなかったんだって。
 ところがある日、そいつの使ってるマウスにコーヒーだかお茶だかこぼしちゃって、掃除するのも面倒だし新しいのに取り替えようと思って、昼ついでに近くの電気屋で、実費でマウスを買うことにしたんだって。
 それで、使ってたマウスはもう捨てようと思って、引っこ抜いて置いて、その日もパソコンの電源を切らないで昼休憩に行っちゃったらしい。
ところが、新しいマウス買って昼休憩から戻ってきたら、やっぱりスクリーンセイバーになってなかったんだって。

「 設定変えてたんじゃないの?」

って確か俺は聞いたんだけど、ずっと設定は変えてなくて、その日もスクリーンセイバーは作動していたらしい。
 少し気持ち悪いなと思って、パソコンに詳しいヤツに聞いたらしいんだけど、特別変な常駐プログラムは無いし、ウィンドウズやセキュリティソフトの自動メッセージとかでもないんだって。
実際、その日もスクリーンセイバー画面にしてそのままにしてみたけど、やっぱり何にも起きなかったとか言ってた。
 それでそいつは、原因はキーボードじゃないかと思って、ワードを開いて電源つけたまま昼飯に行ったらしいんだ。
昼以外に様子見た時は大丈夫だったけど、一応長時間放置して様子見ることにしたんだって。
 そして戻ってきたら案の定、“そっそっそっそっそっそっそっそ・・・”って、画面一杯に書かれてたらしい。
それでキーボードが壊れてたってことで、キーボードも新しくしたんだって。
 それでもう大丈夫ってことになったんだけど、しばらくしたある日に、また電源消し忘れて飯に行って帰ってきたら、またデスクトップ画面になってた。
一応周りの人に聞いたけど、やっぱり誰もいじってないらしかった。
次の日にまたワード開いておいたら、また“そっそっそっそっそ・・・”って書かれているんだって。
 何か変なウィルスじゃないかと思って、徹底的に調べたらしいんだけど結局原因は分からなくて、パソコン初期化してもダメだったんだって。
しかも、その友人の使ってるパソコンだけにしか症状が出ないから、もう放っておくことにしたらしいんだ。
 それである日、またワード使っている時にそのまま飯に行って帰ってきたら、今度は“sossossossossossossossos・・・”って、画面一杯に書いてあったんだって。
その日は英語入力にしたままだったかららしいんだけど、よく見たら“SOS”って羅列して書いてあることに気づいたんだ。
 よくよく調べたら、そのビルは昔火事があって、時間は昼頃、ちょうど友人の席の窓際の所で、中国だか韓国の人が焼け死んでいたらしい。
それから配置換えして、友人の席だったあたりを応接ブースにしてお札貼っといたら、それから変なことは起きなくなったと言う話。
















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日々の恐怖 10月19日 子猫

2013-10-19 18:16:38 | B,日々の恐怖





     日々の恐怖 10月19日 子猫





 あれは俺が確か引っ越ししてからだったから、小学4年の頃だったと思う。
飼育委員で鶏小屋とウサギ小屋の掃除をして、夕暮れになっていた。
帰りに学校の裏手にある赤い屋根の遊具があった公園に、同じ委員の女子と寄って帰ったときのことだ。
 夕暮れになってばかりだというのに、なんだかずいぶんと暗い日だった。
ブランコで少しばかり遊びながら女の子と話していると、赤い屋根の遊具の中から猫の声が聞こえた。
 近寄ってみると、遊具の中に近所のスーパーにあるような野菜のダンボール箱の中に子猫が入っていた。
子猫は弱々しい鳴き声ではあるが鳴いていた。
女の子が先生の所に持って行こうと言ったので、俺がダンボールを抱えて行くことになった。

 学校についた頃には、空は夕暮れの赤色から青黒い色に変わっていた。
街灯も点いていたから、帰れば怒られるような時間だったと思う。
 既に下駄箱前の扉は閉まっていたので、非常階段から2Fに上がって、ダンボール箱を2Fのドアの前に置き、そこから職員室に行って担任の先生に事情を説明した。
先生は真面目に話を聞いてくれて、場合によっては飼育小屋で預かってもらえるよう頼んでくれると言った。
 それで先生は、まずは様子を見ようと言って、2Fのドアの前に置いたダンボール箱について来てくれた。
そして、ダンボール箱の蓋を開けて中を見た先生が、ぼそりと一言だけつぶやいた。

「 ああ・・、見つけて欲しかったんだね・・・・。」
「 えっ?」

俺は、何を言っているのかと思った。
それで、女の子と俺が顔を見合わせて、ダンボール箱の中を覗き込んだ。

「 あっ!?」

子猫が死んでいたことに驚くと同時に涙が出た。
 先生は言った。

「 カラスか何かにやられたんだろうな。
死んでから、かなり時間が経っているよ。」
「 えっ・・・。」

 確かに子猫は連れて来るまでは、弱々しい鳴き声をさせていた。
でも、そう言われれば、カラスに突付かれた痕が痛々しく残っているし、臭いもフッと鼻を突く。
 今思えば、あの状態で見つけたとき生きていたとは思えない。
それに、見つけたときには、何故か異常な状態には気付かなかった。
そのときは、ホントに普通の子猫に見えていた。
先生の“見つけて欲しかったんだね”の言葉が、今も心に残っている。














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日々の恐怖 10月18日 霊感友達

2013-10-18 18:09:18 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 10月18日 霊感友達




 昔、6年間住んでいた賃貸マンション。
よく友人が遊びに来ていた。

 みんなで酔って騒いでいたある夜、1人の友人がトイレに行こうと部屋のドアを開けたら、

「 わ~~~~!?」

と驚いてた。
何を見たのか無理やり聞き出したら、

「 ワイシャツ着て、風船みたいに膨れ上がったおじさんの背中があった。」

と。
 すると、1人の霊感のある友達が、

「 多分、霊の通り道になってるだけだから平気、悪戯はしない霊。」

とな。
平気じゃないし。
 まぁ、よくラップ音とかしてたけど、

「 あ~、老朽化してるからね・・・・。」

としか思わなかったし、

「 うるさいっ!!」

と怒鳴ると静まってたから、気にしないようにしてた。
 金縛りも度々あり、

「 わー、なんまいだ~~~!」

と、心の中で呟いてたら消えて、気がつくと朝だったり。

 引っ越しした後に、友達に聞いたら、

「 実はあの部屋、台所の隅の方に何かいる。
言うと気にすると思ったし、あなた見えてないようだし言わなかったよ。」

と告白された。
 何言ってんだ、早く言えよな、テメェ~!
6年も住んでたんだぞ。
霊の通り道になってるだけ、じゃなくて、住み着いてるじゃん!
 退去すると大家に申し出た時に、

「 家賃をもう1万少なくするから更新しない?お願い!」

と言われた意味がわかったよ。
ちなみに、その前の更新料は無料に、その前の更新時は家賃を1万下げてくれたのだ。
訳あり物件だったんでつね。













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日々の恐怖 10月17日 山犬神

2013-10-17 18:09:07 | B,日々の恐怖





   日々の恐怖 10月17日 山犬神





 俺の親戚の間では有名な話です。
姪が小6のとき、下校中にクルマから降りてきた男に腕を掴まれ、危うく連れ去られかけるという事件があった。
 姪が激しく抵抗していたら、どこからともなく仔犬が現れて、猛然と男の足に噛み付いた。
男は驚いて逃走し、事無きを得た。
仔犬は姪を送るように家までついて来た。
 話を聞いた両親は仔犬に大変感謝し、そのまま家で飼うことにした。
仔犬は真っ白だったので、当時公開されていたもののけ姫にちなんでモロと名付けられた。

 モロは成長するにつれピレネー犬のような巨体となり、相変わらず何かにつけて姪を守ろうとした。
川遊びで姪が危ない方へ行こうとすると体を張って制したり、散歩中に見知らぬ人が近づいてくると低く唸って追い払おうとした。
姪が病気で寝ているときは、一日中心配そうに添い寝していたらしい。
 あまりモロがつきまとうので、姪は少々迷惑そうだった。
周囲に、ちょっとウザいかも、と漏らしたりもしていた。

 姪が専門学校生になってしばらくした頃、家に彼氏を連れてきた。
モロはじっと彼氏を見ていたが、珍しく部屋の隅でおとなしくしていた。
彼氏は両親に、結婚の許可を得るために来たと言った。
 両親は驚いたが、姪ができちゃった状態であることがわかり、結局後日、やや渋々ながらOKの返答をした。
姪は、新居に移ればモロにつきまとわれずに済む、などと言っていた。
でも、本音のところは、モロを新居に連れて行くつもりだったようだ。
 そうして2人は結婚した。
新婚旅行に出かける飛行機の中で、姪は地上からモロがじっと見送っているように感じたらしい。
 そしてその夜、モロはいなくなった。
出入り口はどこも閉まっている状態だったので、どうやって外に出たのか未だに謎らしい。
 旅行から帰ってきた姪は、ボロボロ泣きながら町内や町中を探し回ったが、モロの姿はもうどこにも無かった。
姪は今でも、モロのハーネスを宝物のように持っている。

 この話は、親戚の間では、“ちょっと不思議な話”程度に伝えられているが、姪の旦那にとっては間違いなくオカルトであろう。
彼はちょっと遊び人風だったのだが、親戚中から、

「 ○○ちゃん(姪の名)を不幸にしたら、どこからともなく巨大な白い犬が現れ、お前の喉を食い破るぞ。」

と脅され、今日も一生懸命働いているようである。
















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