大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道63

2008-05-31 18:23:41 | E,霧の狐道
 全国津々浦々、お稲荷さんは何処にでもある。
そのすべてが、お稲荷さんネットワークで繋がっているのだ。
そして、脇社のお稲荷さんに頼めば、お稲荷さんネットワークを伝って、お稲荷さんの大ボスに繋がるのだ。

“ それにしても、お稲荷さんの本部ってスゴイ所だろなぁ・・・。”

 俺が、お揚げのお供えで頼めば、何処からともなく脇社の辺りから煙がモクモク出て来て、周りが見えなくなる。
“おやっ、これは何だ”なんて考えていると、俺は何時の間にかワープしているのだ。
そして、煙が晴れてくると、もう、そこはお稲荷さんの本部に到着だ。
 俺はテレビゲームの大ボスが出て来る最終場面を想像した。
お稲荷さんの本部には、まわりに沢山の手下を従えた、大ボスのデカイキツネがドカンと座っている。
俺は、その大ボスを見て、その貫禄に感動するのだ。

“ おっ、スゲ~ヤツが出て来たな・・・。”

そして、大ボスのデカイキツネは、二十個ほどの狐火に照らされて、俺に優しく微笑み語り掛けるのだ。

“ よく、来たな・・・・。”

そこで、俺はキツネのイタズラを止めさせるように、お願いする。

「 あの~、お願いが・・・・・。」

そのとき、山下先生の声が聞こえた。

「 神谷、おまえ、俺に、何か、お願いがあるのか?」

俺は、ハッと我に返った。

「 いえ、何でもありません!」
「 授業中、紛らわしいことをブツブツ言うのは止めろ!!」
「 はぁ~い・・・。」



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霧の狐道62

2008-05-29 19:38:28 | E,霧の狐道
そして、5時間目、俺はようやく画期的な考えを思い付いたのだ。

“ そうだ!!!!!”

 キツネと言えば、お稲荷さんだ。
お稲荷さんに頼めば良いのだ。
お稲荷さんは、キツネのボスだから何とかしてくれるだろう。
 この町には、川を越えた山手に山住神社があって、その脇社にお稲荷さんが一つある。
あのお稲荷さんに頼もう。
少々干乾びてボロボロの脇社だけど、効力はある筈だ。

“ えっと・・・・、そうだ・・・・!”

 頼みごとをするのだから、何か、お供えがいるな・・・。
手ぶらでは、お願いを聞いてくれないだろうし・・・・。
 キツネに付き物と言えば、お揚げだな。
ちょうどいい、冷蔵庫にお揚げが半分残っている。
それに、かあちゃんが、今日、スーパーでお揚げを買って来るって言ってたし・・・。
でも、スーパーで買って来たお揚げを取り上げたら、かあちゃん激怒するなぁ・・・。
やっぱ、半分の方かな・・・・。

“ でも、半分じゃ、ちょっと、少ないかなぁ・・・?”

 お願いが、半分だけOKじゃ困るけど・・・・。
まあ、ボロボロの脇社だから、お供えもあんまり無いだろうし、半分だけでも結構喜んで貰えるような気もするし・・・。
う~ん、そうだな・・・、半分で妥協して貰おう。

“ もう、急ぎだから、半分だ!!”




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霧の狐道61

2008-05-27 19:56:30 | E,霧の狐道
 ぼ~としているから、何回も山下先生に当てられた。
先生の話を聞いていないから、受け答えがトンチンカンだ。
その度に、先生に怒られる。
その上、宿題をやっていなかったから、さらにボロクソに怒られた。
 授業中は、キツネが悪さをしに来ていないか、不安に駆られて、虚ろな眼で周りをキョロキョロ見回す。
後ろを向くと、俺と眼が合ったヤツが体を少し引く。
俺は、“エヘへ・・・”と照れ隠しに笑う。
すると、そいつの眼からは、“変なヤツ光線”が発射され、俺の脳髄に突き刺さる。
俺のとっている行動は、挙動不審者そのものだ。
そして、山下先生の怒鳴り声が、教室に鳴り響く。

「 神谷、キョロキョロするなっ!!!」

それでも、俺は考えた。

“ このままでは、いくらなんでもマズイぞ。”

 一日だったら、笑って済ませられるが、毎日、こんなことが起こると、クラスでの俺の立場が無い。
今でも、かなり危ない状態だ。

“ 何とかキツネを追い払わないと・・・・・。
 う~ん・・・。
 エサを撒いて、出て来たところを捕まえて説教するとか、
 しばくとか・・・。”

俺の脳裏に“ヘヘン!”と笑ったキツネの顔が浮かぶ。

“ ダメだダメだ・・・。
 すばしっこそうだし、捕まえるのは至難の技だ・・・・。
 それに、あいつは普通のキツネじゃ無さそうだし・・・・。
 困ったぞ、うぐぐぐぐぅ~~~~~。”

 俺は、必死になって考えた。
給食の時間も考えた。
考えながら、給食を食う。

“ ガリッ!!”

間違って金属のお皿をかじる。
そして、パンやオカズを、時々、床にこぼす。

“ ポロポロ・・・。”

その度に“変なヤツ光線”がピカピカ光って教室に乱反射する。

“ 参ったなぁ・・・・。”

俺はため息をついて、天井を見上げる。


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Photo Lounge63 隣の芝生

2008-05-26 18:57:53 |      Photo群

Photo Lounge63 隣の芝生 画像


    Photo Lounge63 隣の芝生 

           「 ・・・・・・・。」          

   
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霧の狐道60

2008-05-25 18:53:45 | E,霧の狐道
“ キンコンカンコ~ン♪”

「 あ、ヤベ~!
 チャイムが鳴ってる!!」

俺は、時間が無いので教室に急いだ。
三人も後を追って来た。
 四人とも教室に飛び込んで、椅子に座ると先生が入って来た。

“ あらっ・・・・?”

俺が、椅子に座るとクラスの何人かの視線を感じた。

“ 何か、居心地の悪い視線だな・・・。”

俺は周囲にいるクラスの連中の顔をチラチラ見ながら思った。

“ 他にも、俺が登場した夢を見た奴がいるな・・・。
 これは、マズイぞ・・・。”

規律、礼をして座ったとたんに山下先生が俺に言った。

「 神谷、先生の夢に出てくるなよな。」
「 げっ!」
「 先生が、算数のテストを作っていると、お前が現れて、聞くんだよ。

     『 何、作ってるの?』
     『 テストだよ。』
     『 じゃ、答え教えて。
      これ、あげるから。』

 それが、木の葉を出すんだよ。

     『 だめ!』
     『 それじゃ、これもあげる。』

 今度は、どんぐりだ。

     『 だめだよ。』
     『 だったら、もういいよっ!』

 それで、プッとふくれて、ぴょんって窓から飛び出して行ったんだ。
 朝から、クラスの何人かが職員室の先生の所に夢の話を言いに来たぞ。
 俺が話を聞いていない子でも、お前を夢で見た子がいるぞ。」

先生は、クラスの頷きを背景に言った。

「 お前って、ほんとにあちこち出てくる奴だな。」

俺は、立ち上がって両手を挙げ、体を前後に揺らせながら昆布の真似をした。

「 俺って、人気者ってか!」

 これは、クラスに結構受けた。
受けたのはいいが、俺は困った。
クラスの連中の白い目から発せられる“とんでもない奴光線”は、俺の背中に突き刺さる。

“ このままでは、マズイぞ・・・。”

そして、どうすればいいか、その日は授業も聞かず対策を考えた。



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霧の狐道59

2008-05-23 19:22:32 | E,霧の狐道
 俺たちは、その後、無言のまま歩き続けた。
気まずい雰囲気が漂っている。
そして、二人並んで学校の校門を通過したとき、突然、由紀ちゃんは言った。

「 先に行くっ!」

俺を残して、由紀ちゃんは校舎の方に走って行った。

“ 行っちゃった・・・。”

 俺は、溜息をついて、校門から校舎を見上げた。
校舎の真ん中から空に突き出している塔の時計が、8時半に近付いている。

“ あ、時間ギリギリだ!”

俺も、時間が迫っていたので教室に急いだ。
 靴箱で、上靴に履き替えていると、後ろからクラスの男子三人がやって来た。
三人は、口を尖らせて俺に言った。

「 おい、貴志、お前、俺の夢に出てくるの止めろよなぁ。」
「 俺の夢も止めろよな。」
「 俺んとこだって勝手に出るなよなぁ。」

俺は、三人に答えた。

「 何だよ、そんなの知らないよ。」

三人は、それぞれ見た夢を俺に話した。

「 さっき、学校に来る途中、話をしていたら、三人ともお前の夢
 を見ているんだ。
 俺は、お前に落とし穴に落とされる夢を見た。
 穴の上から、落ちた俺を覗き込んで、へへんって笑うんだ。」
「 お前、俺の大事なサッカーボールをくれって言うんだ。
 葉っぱのお金と交換だって言って。」
「 俺なんか、お前にカンチョーって、後ろからやられたんだぞ!」

俺は不機嫌な顔をして、三人に言った。

「 お前たちの夢のことなんか俺は責任取れないぞ。
 勝手に、俺を登場させるなよな!」



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霧の狐道58

2008-05-21 19:00:14 | E,霧の狐道
 俺は困った。
でも、否定しなければいけない。

「 とにかく、アリバイは、あるからねっ!」
「 そう・・・・、アリバイは一応あるのか・・・。」
「 あ、変な夢って何なんだよ?」
「 ええ~とね。
 貴ぴ~が、出てくるのよ。
  私の大事にしているオルゴールをね、“ちょうだい”って言う
 のよ。
 それでね、“ハイ”って言って、私に木の葉を渡そうとするのよ。
 “だめだ”って言うと、プッとふくれてね。
 “それじゃ、これちょうだい”って言って、私のネコの貯金箱を
 指差すの。
 それで、また、木の葉を、“ハイ”って言って出すのよ。
 “だめだ”って言うとますますプッとふくれて、“もういいや”
 って言って、窓からぴょんって行っちゃった。」
「 それ、変な夢だなぁ~。」

 俺は、誤魔化した。
でも、分かっている。

“ 絶対、あいつだ。”

俺は振り返ったキツネの顔を思い出していた。
 俺と由紀ちゃんは、並んで10メートルほど歩いた。
そして、不意に由紀ちゃんは言った。

「 でも、やっぱり怪しいわ・・・・。」
「 そんなこと無いって!」
「 う~ん・・・・?」

どうも、まだ、疑われているようだ。

“ マズイことになったぞ・・・。”



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霧の狐道57

2008-05-19 18:05:53 | E,霧の狐道
 由紀ちゃんは前を向いたまま、俺に言った。

「 何、しらばっくれてるのよ!
 昨日、お風呂覗いたでしょ!」
「 由紀ちゃんが入っていたとき?」
「 そうよ!」
「 俺が?」
「 そう!」
「 風呂の窓は、庭に面してるな。
 生垣を乗り越えたら、目の前だ。
 ムフフフフフ・・・・!」
「 何がムフフフよ!
 この変態オトコ!」
「 あっ、違う違う。
 違うって!
 俺じゃないって!」
「 ダメダメ、また、誤魔化そうとする!
 おかげで、変な夢まで見たわ。」

怒った横顔が、ちょっと恐い。
俺は、重ねて否定した。

「 そんなこと、してないよ。
 何時頃だよ?」
「 9時半よ。」
「 9時半だったら、親父と一緒にテレビを観ていたよ。
 9時から11時まで、テレビで映画をやっていたから、それを観ていたんだ。
 途中に、家から出たりしていないよ。
 嘘じゃないからね、親父に聞けば分かるよ。」

由紀ちゃんは、横目でチラッと俺を見た。

「 そう・・・?」
「 ホントだって!」
「 う~ん・・・。
 じゃ、思い違いかな・・・?」

とにかく、俺は事情を聞かなければと思った。

「 どうして、俺だと思ったの?」
「 うん、声がしたの。
 “お~い、由紀ちゃん”って。
 私がお風呂に入っていたら、お風呂の窓から聞こえたのよ。
 あの声は、貴ピ~の声だと思ったんだけど・・、変ね・・?」

もう、俺は分かっていた。

“ あいつだ!
 でも、説明しても、由紀ちゃん信じてくれないだろうなぁ・・。”



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Photo Lounge62 修理

2008-05-18 18:18:38 |      Photo群

Photo Lounge62 修理 画像


    Photo Lounge62 修理 

        「 この辺りかなぁ~?」          

   
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霧の狐道56

2008-05-17 19:25:11 | E,霧の狐道
 俺は、お揚げの件で、まだ、所々ブツブツ言う母を無視して、朝食を大急ぎで口に掻き込んだ。
そして、時間も無いので、急いで家を飛び出す。

「 行ってきまぁ~す!!」
「 うぎゃ、うご、うご、うご、・・・。」

母が何か言っているが、はっきり聞こえない。

“ ホイ、無視、無視!!”

大きな鞄をぶら下げて、元気良く玄関を出る。

“ お、いい天気!”

空は快晴だった。

“ 宿題、やったかなぁ~?”

でも、やった覚えが無い。

“ ま、いいか・・・。”

 道路を早足で歩き出す。
調子が良いと、歌も出る。

「 今日も元気だ、朝飯うまい~♪
 箸を持つ手に、チョイと、ハエ留まるゥ~♪」

くだらない歌と共に、俺は学校に急ぐ。
そして、途中、辺りを注意深くキョロキョロ見回す。

“ 今日は、キツネの奴、ついて来ていないな。”

俺は、少し安心した。
 交差点の手前で、赤信号で待っている由紀ちゃんを見つけた。

“ あっ、由紀ちゃんだ!”

俺は、近付いて行って声を掛けた。

「 おっはよっ!
 由紀ちゃん・・・!
 あれっ?」

由紀ちゃんは、俺の方を振り向きもせずに、青になった信号に従って歩き始めた。

“ おかしいな・・・?”

俺は、追いかけて行って由紀ちゃんに声を掛けた。

「 どうしたの?」



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霧の狐道55

2008-05-15 19:17:50 | E,霧の狐道
  3、10月16日(金)

 次の日、眼が覚めて朝食を食べていると母が言った。

「 あんた、お揚げ、食べてない?
 昨日、スーパーで一枚買ってきたのに、今、冷蔵庫に半分しか無
 いのよ。
 あんた、夜中に起きてカップうどんに入れて食べたんでしょう。
 カップうどんは、先週五個買って、三個残っているから・・・。」

カップうどんは、一昨日食べた。
でも、一個だけだ。
それに、お揚げは食べていない。
 俺は分かっていた。

“ あいつだ!!”

でも、少し疑問もある。

“ あいつ、カップうどんも食べるのかなぁ~?”

それでも、一応、俺が食べたことにしておいた。

「 夜中に、腹が減ったから食べたよ。」
「 食べる前に、言ってよね。
 予定があるんだから、かす汁にお揚げ入れようと思ってたんだか
 らね。」
「 悪かったなぁ~、また、買って来いよ。」
「 ああ、そうするわ。
 今日、特売日だから、特価の上、さらに5パーセント引きよ。」



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霧の狐道54

2008-05-13 19:24:37 | E,霧の狐道
 閻魔が立っていた。
閻魔はニヤッと笑って、俺の頭上にジャンプした。
俺は、走って逃げようとした。
でも、遅かった。

「 ぎゃっ!」

後ろを向いた俺の上に閻魔が降って来たのだ。
そして、俺は、閻魔に踏み付けられて地面に俯きにグシャッと倒れた。

“ これじゃ、潰れたカエルだ。”

 俺は、地面に這いつくばって背中に乗っている閻魔を振り返って見た。
閻魔は、再びニヤッと笑った。
そして、振り返った俺のおでこを土台に、右足でジャンプして空中を跳び、頭上を通過した。

「 うわっ!」 

 俺は踵を返して、這いつくばったまま、前に着地した閻魔を見た。
そこには、後ろ向きで、顔だけ振り返った小さなキツネがいた。
空中で閻魔は変身して、キツネになっていたのだ。
そして、生意気そうに“へへん!”と笑って、暗闇の中に消えて行った。


 俺は夢から覚めた。

“ そうか、今日の仕返しか・・・。
 キツネのヤツ、俺を付けて来たな。”

俺は、温かい布団の中で暗い天井を眺めていた。
そして思った。

“ まあいいか。
 動物は嫌いでは無いし・・・・。”

俺は、何を気にするでもなく、再び、気持ち良く眠りについた。
でも、そのときは分かっていなかったのだ。
明日から起こるさまざま出来事のことを・・・・。



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霧の狐道53

2008-05-11 19:25:44 | E,霧の狐道
 その日、俺は、寝る前に、ここ数日の出来事を思い出していた。

“ ウサギが出て、キツネがウロウロ・・・・・。
 以前は、こんなことは無かった・・・。
 ウサギ小屋の掃除をしてからか・・・・・。
 あと、めまいがしてから、何か変だし・・・・。”

俺は、布団の中で体をあちこち動かした。
特に異常は感じない。

“ それに、あの赤い夕日は、前に見た夕日と違うような気もするけど・・・。”

俺は、しばらく考えているうちに眠り込んだ。

 時計の音が静かに闇の中に流れている。
そのとき、俺は霧に曇った道を歩いていたのだ。
何処の道かは分からない。

“ これは、夢だな・・・。”

 俺は、夢を見ているのが自分でも分かった。
街灯の無い暗い道だ。
歩いている先は、遥か彼方まで続いている。
 俺は、とにかく道の先へと歩いていかなければならなかった。
理由は特に無い。
先に何があるかも分からなかった。
足は、不思議とスタスタ進んで行く。
 道の右も左も建物があるのかどうかも分からない。
闇に包まれた道路がボンヤリと明るく、前に真っ直ぐ続いている。
しばらく歩いていて、俺は誰かが後ろから追い付いて来る気がした。

“ ヒタヒタヒタヒタ・・・。”

足音が後ろから近付いて来る。
それは、何だか、恐ろしい奴のような気がする。

“ 後ろを見るのは恐いけど・・・。
 でも・・・・。”

俺は、後ろを恐る恐る振り返った。

“ ゲッ!!”



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霧の狐道52

2008-05-09 19:26:41 | E,霧の狐道
 俺たちは、駅前でハンバーガーを買って、川の土手を食べながら歩いて帰った。
もう暗くなり始めていたので、早歩きだ。
由紀ちゃんと俺は隣同士に住んでいる。
家に付いた頃は、もう、暗くなっていた。
 由紀ちゃんは、家の前で俺に言った。

「 じゃあね、また、明日。」
「 うん、また、明日。」

 俺は由紀ちゃんが家に入るのを見届けてから、自分の家に入った。
家に入ると、二つ下の妹の沙織が台所の扉から顔を出して言った。

「 貴志、今日、また、怒られてたでしょ!」
「 お兄ちゃんと呼べ、お兄ちゃんと・・・。
 もう、うるさいなァ。
 そんなこと無いよ~。」
「 知ってんだから!」
「 何だ、うるせ~!」
「 バ~カ!」

妹は、舌をベ~ッと出して台所に首を引っ込めた。

“ 何処でバレたんだろう?
 スパイでも居るのか・・・・。

母の声が家に響いた。

「 こらァ~、貴志、ちょっと来なさい!」

怒られたことを、妹から母に言われたようだ。
俺は、聞こえない振りをして二階の俺の部屋に退散した。



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霧の狐道51

2008-05-07 18:36:00 | E,霧の狐道
 俺は靴箱の裏から、靴を探している由紀ちゃんを呼んだ。

「 由紀ちゃん、これじゃない。」
「 裏側の靴箱に、入れた覚えは無いわ。」

それでも、由紀ちゃんは、こちらに来た。
俺は、靴箱の隅っこの一番下を指差して言った。

「 ほら、これ。」
「 うそ、何故、此処にあるの・・・・・・。」
「 寝ぼけてたんじゃ、無いのか・・・。」

由紀ちゃんは、俺の顔を疑い深く見た。

「 怪しいわ。」
「 うわっ、違う、違う。
 濡れ衣だ。」
「 だめ、怪しい。
 作文、押し付けておいて、その上、悪戯するなんて許せない!」
「 いや、俺じゃない。」
「 じゃ、誰よ。
 もう、誰もいないじゃない。」
「 そのキツネが・・・・・・。」
「 また、誤魔化そうとする。
 この前は、白黒のウサギだったでしょ。
 今度は、キツネ?」
「 ああ、もう白状する。
 白状するよ。
 俺だよ、俺がしたんだよ。
 ちょっとからかってやろうと思って。」
「 もう・・・・。」
「 ゴメン、ゴメン。
 許してくれ。」
「 じゃ、帰りに、ハンバーガー奢ってよ。
 遅くなったし、お腹減ったわ。」
「 分かった、駅前に寄ってから帰ろう。」
「 うん。」

 由紀ちゃんの機嫌は、あっという間に直った。
由紀ちゃんは、昔から食べ物で直ぐに機嫌が直る。



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