日々の出来事 3月25日 精神科医 ミルトン・エリクソン
今日は、ミルトン・エリクソンが亡くなった日です。(1980年3月25日)
ミルトン・エリクソンは、アメリカの天才的な精神科医で心理学者です。
また、アメリカ臨床催眠学会の創始者でもあり、精神療法に催眠を利用しました。
そして、“ミルトン・エリクソンに治してもらえなければ、もう治してもらえる場所はどこにもない”と言われたほどの有名な心理療法家でした。
ミルトン・エリクソンの言葉“治療に抵抗するクライエントなどいない、柔軟性にかけるセラピストがいるだけだ”に表されるように、治療法は非常に柔軟で、“利用できるものは何でも利用する”をモットーに、精神療法の“魔術師”と呼ばれていました。
ミルトン・エリクソンが精神医学の世界に入った切っ掛けは、自身の身体障害であるポリオ・色覚異常・失音楽症があげられます。
特にポリオについては、17才の時に目を除く全身が麻痺したことから、後の家族療法に繋がる家族観察や、自身の体を動かすことから幼児の身体的発達過程への理解などを得、それらは患者を診る伝説的な観察力を獲得して行く素地になりました。
そして、1928年、ウイスコンシン大学で心理学修士と医学博士を習得して卒業、ウェイン郡立総合病院を経て、ミシガン州立大学の臨床心理学教授となり、この過程で得た膨大な症例の知識を持ち患者の治療にあたりました。
症例、21才の女性の悩み
ミルトン・エリクソンのもとに一人の女性がやってきて話しました。
“ 私は、一人の友達も無く、一人住まいで、器量も良くないので結婚もできません。
これまで、一人のボーイフレンドも出来ないし、結婚して家庭も持てないし、希望もありません。
これ以上、生きていけないダメな女だと思います。
でも、自殺する前に精神科の先生にお会いしようと思ったのです。
三ヶ月の間、先生にお任せします。
これで、状況が変わらなければ、お終いです。”
エリクソンは、女性と話している中で女性を観察しました。
女性は可愛かったのですが、髪は解れて乱れ、、不似合いなブラウスとほころびたスカートを身に着け、靴も汚れて磨かれておらず、話をするとき前歯の隙間を手で隠し、これまでの生活を語りました。
女性は建設会社の秘書をしていましたが、社会生活がなかったし、デートもしたこともありませんでした。
でも、女性が会社の水飲み場に来ると、いつも女性の会社のある男性が姿を現します。
女性はその男性に魅力を感じており、男性も交際を申し込みましたが、女性は無視し、一言も口を利きませんでした。
そして、今、女性は独り暮らしをしており、両親は既に亡くなっていました。
エリクソンは女性に二つの提案をします。
“ あなたはどうせ転落しつつあるのだから、最後の飛躍をしてみるといいかもしれませんね。
一つ目の提案は、銀行預金をすべて使うことです。
趣味の良い服を選ぶのを手伝ってくれる特別な店に行き、髪をきちんとしてくれる特別の美容院に行くことをすれば、銀行預金をすべて使うことが出来るでしょう。
二つ目の提案は、前歯の隙間から水を吹き出し、30cm先まで正確に飛ばせるように練習することです。”
女性は、バカバカしいとは思いましたが、“三ヶ月の間、先生にお任せ”と言った手前、帰宅してから水を吹き出す練習を重ねました。
一週間ほどで、女性は服装を整え徐々に魅力的になり、歯の隙間からうまく水を吹き出せるようになりました。
そして、エリクソンは女性にイタズラをする課題を与えます。
“ 次の月曜日、例の男性が水のみ場のところに現れたら、走って行って口一杯に含んだ水を男性めがけて吹き出し、廊下を一目散に逃げて下さい。”
女性はそんなことはできませんと断りましたが、“下品なことだけどちょっと面白いかも”と思い直し、最後の飛躍のために、それをすることに決めました。
月曜日、女性は新しい服を着て髪をセットし、水飲み場に来た男性に水を吹き出し、廊下を一目散に逃げて行きました。
男性は“チクショウ!”と言いながら女性を追い掛け、驚いたことに女性を捕まえるとキスをしたのです。
次の日、女性がこわごわ水飲み場のところへ来ると、男性が電話ボックスの後ろから飛び出してきて、水鉄砲で女性に水を掛けました。
その次の日には、二人は一緒に夕食に出掛けることになりました。
女性は、この一部始終をエリクソンに報告しました。
エリクソンは言いました。
“ あなたは私によく協力してくれました。
以前の服装はよくなかったが、今は素敵に着こなしています。
以前は歯の隙間を利点としてではなく、欠点として考えていました。
あなたは、変わりました。”
3ヵ月後、女性は男性と結婚したことを載せた新聞の切抜きをエリクソンに送って来ました。
さらに、1年後には、赤ちゃんの写真を送って来たのです。
ミルトン・エリクソンは述べています。
“ 医者になろうと思ったのは、昔、8才のとき、ひどい歯痛になりましてね。
家庭医のところに行って、そのお医者さんが歯を抜き、痛みを和らげてくれて、それだけじゃなくて、でっかい5セント硬貨をくれたんです。
なんだか自分が世界一金持ちの、最も幸せな人間になったような気がしましたね。
その場で私は、大きくなったら医者になって人々を幸せにしてあげるんだ、と心に誓ったんです。”
ミルトン・エリクソンから学んだ、もしくは、影響された精神科医は非常にたくさんいます。
Milton Hyland Erickson
☆今日の壺々話
精神科Q&A
質問1385番 彼女に突然別れを告げられました
質問
私は20歳代の男性です。
将来を約束して2年間付き合った彼女に突然別れを告げられました。
その彼女は、すぐに別の男性と付き合っています。
2日前まで、愛していると言ってくれていました。
彼女の全てを愛し、信じていました。
私は、もう何を信じていいかわからなくなり、ご飯がのどを通らなくなり、5日間水分だけで過ごし、すごくやせてしまい、何もやる気がおきなくなりました。
しかし、仕事には行かなければいけないので、気力を振り絞って、外へ出ています。
彼女を殺してやりたい、自分も死にたいという衝動に駆られるときもありますが、なんとか抑えています。
いったいどうしたら良いのかわからず、希望も見出せません。
なにか方法はありますでしょうか?
誰にも相談していません。
つらくてたまりません。
答え
これは失恋です。
失恋を医師に相談するのは間違っています。
自分で解決してください。
精神科Q&A
Q: 38歳の弟のことです。
もう7~8年、定職に付かず家にいます。
以前から、姉である私に対して、幼稚な嫌がらせをしたりしていましたが、最近はそれがエスカレートしております。
私の部屋と弟の部屋は、本来続き間ですが、襖を閉め家具を置くことで分けております。
建具では、壁のような防音効果は無く、お互いの立てる物音が、全て筒抜けになります。
平日の弟は、私が起きる時間より1時間~30分早く、大音量で目覚ましをセットして起きます。
私が起きて階下へ降りると、後から降りてきます。
私が二階へ上がると、直ぐに二階に上がって来て、私の部屋の前で気味の悪い声を上げて笑い、自分の部屋のドアを勢いよく閉めます。
朝の支度で、何度も二階と一階を行き来する時も、その度に同じくついてきます。
洗面所を使うと、直ぐ後に洗面所を使います。
手が汚れたりして洗いに行くと、直後にまた弟が手を洗いに行きます。
仕事から帰り、夕食を摂っていると、キッチンに近い洗面所で、ゲエゲエと気持ちの悪い音を立てながら、歯磨きをしにきます。
食欲の無くなる音なので、磨き終わってから食べようかと席を外すと、歯磨きを止めて、再び私が食事を始めるとまた歯磨きに来ます。
私よりも先にお風呂に入りたいらしく、常にタイミングを見ています。
私の直前に入った時は、お湯をかき出して変わりに水を入れていたり、とても入れないくらいの熱湯にしたりと、嫌がらせをします。
夜中にお風呂に入り二階に上がると、電気の消えている一階のどこかで弟が待っており、直ぐに二回へ上がって来て、気味の悪い笑い声を上げていきます。
夜中に水を飲みに一階に行き部屋に戻ると、こっそりつけて来ていた弟が一階から上がってきます。
私が休もうと電気を消すと、それまでテレビを見て笑っていても、直ぐに電気を消して、バタバタと一通り大きな音を立ててから眠るようです。
私の休日には、いつにもまして早起きし、早朝から大音量でラジオをかけます。
私が起きるまで、ラジオは止めません。
それでも起きないと、掃除機をかけはじめます。
なるべく大きくて嫌な音が出るように工夫しているらしく、ガラスの上をキイキイさせながら何十分も掃除機をかけたり、同じ場所を1時間以上掃除機で吸っていることもあります。
ドアも、壁にかけてある物が弾むほどの勢いで開け閉めします。
私が完全に起きると、音は止みます。(私は耳栓を使っています)
そして私が休みの日だけ、布団を干します。
物干し竿を全部使い、ありとあらゆる物を干し、私の物が干せないように塞いでいきます。
雨上がりでも干しています。
またある日は、天気が良くても布団を干しません。
私が干していると、網戸に張り付くようにして見ており、また気味の悪い声を上げて笑います。
私が掃除機をかけていると、急いでやって来てその廊下に座り込んで動かなかったりします。
他にも、毎日細々とした嫌がらせを沢山受けています。
今は、完全に無視して暮らしていますが、いつまでもこんな事を続けていると、私の方がおかしくなりそうです。
無視していても、何かが弟を激高させて、激しく殴られたり首を絞められたりした事もあります。
家に男性は弟しかおらず、誰もいさめる事ができません。
他に、蚊に刺される事を異常に嫌い、夏は家中蚊取り線香を炊いて歩いています。
これだけの異常行動をするのは、統合失調症などの精神病なのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
回答: 事実がこのメールの通りだとすれば、あなたのおっしゃるように、弟さんは統合失調症の可能性があると思います。
しかし、どうもこのメールの内容は解せないところがあります。
弟さんが統合失調症で、あなたに対して何らかの妄想を持っていると仮定しますと、ここに書かれているように、あなたの行動を監視し、いちいちそれに合わせて嫌がらせをするという手の込んだ形は、ちょっと考えにくい行動です。
しかも長い期間に渡ってあなたがそれを無視してそれなりに生活をされているというのも想像しにくいところです。
そして、「○○が自分の行動を監視し、いちいちそれに合わせて嫌がらせをする」というのは、統合失調症の方の典型的な被害妄想の訴えでもあります。
まさかとは思いますが、この「弟」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。もしそうだとすれば、あなた自身が統合失調症であることにほぼ間違いないと思います。
あるいは、「弟」は実在して、しかしここに書かれているような異常な行動は全く取っておらず、すべてはあなたの妄想という可能性も読み取れます。この場合も、あなた自身が統合失調症であることにほぼ間違いないということになります。
精神科の料金って客舐めすぎだろ
5分話して2000円って。
まあ高いよね。
「誰にも相談出来ない貴方にこの私がわざわざ時間を取ってお話するのだから高いのは当然でしょう?」
あ、たしかにその通りなんだけどムカつくわ。
ぶん殴っていい?
障害者手帳持てばほとんどタダじゃなかったか。
警察手帳の次に使える手帳だから取っておけよ。
生徒手帳しか持ってないわ。
自立支援なんたらっての取ったか?
取ると診察量は500円くらいになるぞ。
誰でも取れんの?
診断書だっけ。アレを取って役所で手続き取ればおk。
一年に一度更新しなきゃいけないから少し面倒だけど。
って言うか病院で説明受けなかったか?
受けなかったなら今度行く時先生に聞くといいかも。
ちなみに俺はうつ病(感情障害)で取れた。
自立支援のデメリット知らない馬鹿が多いな。
教えてくだちー。
保健にほとんど入れない。記録として残したからな。
精神科だけならなんとかなる。
自立支援申請すれば1割負担になる。
所得低ければ無料になる。
それは行政による。
おれは手帳で地下鉄乗り放題だわ、住民税ないだとかで楽すぎワロタ。
地下鉄怖くて乗れないけど。
薬のほうが安いってどういうことだよ。
4週間1030円有難いです。
診療も薬代だと思えば別にいいだろ。
「この頃調子いかがですか?」が治療になるとは思えんけどまぁいいや。
それに意味がないと思うなら行かなけりゃいいんじゃね。
無料あるいは価格が安いと問題が長期化する。
これが理由。
良くなってきてるって言われ続けて三年なんだけど……。
なんか薬漬けにされてる気分だ。
仕事はまだドクターストップかかってるから出来ねぇし……。
診察?ってどういう話するんだ。
「どうです調子は?何か困ったことありますか?薬どうします?次回いつにしましょう?」
うちの先生は、無理しない程度に働けって言う。多分、珍しい方なんだろうな・・・。
うつなのに24時間勤務とか、こなしてるの俺位だろ・・・。
珍しいけど働いた方がいいわ。
家で薬飲んで寝てても空白期間伸びるだけやで…。
薬漬けで仕事に食らいついてるのも珍しくないよ。
お前らの言う精神科ってちゃんと脳の検査とかして分泌異常とか神経の損傷とかもしくは発達不足とかそういうちゃんと明確に原因を特定して治療してくれてるの?
最近ってとりあえず薬出して薬漬けにしとくような治療が多すぎて笑えないんだけど。
原因が特定できないのに治療はありえないぜ。
全くしてくれないな、多いんじゃない?してくれないの。
大抵はないよ。
原因とか朧げにしか分かってないけど、事実効果ある薬もあるから群がってるってだけ。
専門の病院行けば受けられる。
うつは知らないけど神経症も糖質も根治はまだ無いはずだよ。
対処療法として薬出してんのが現状じゃないか。
あと生活指導とか。
逆に考えて、まずは精神科ではなくて他の科を当たって、それでも原因が特性できない場合のみ精神科へ行くべきと思う。
鬱や糖質のような症状がでる病気なんていくらでもあるからね。
それを糖質だと診断されてSSRIなんて飲まされたら、目も当てられないから。
でもわざわざ精神科医目指すのは奇特なヤツらだろ。
相手によっちゃどうでもいい話延々と聞かされたり、変なヤツの相手したり。
警察より面倒な仕事かと。
客を金ヅルと考えればそんなことどうでもいいだろ。
適当に診断基準に当てはめて薬を飲ませりゃいいんだから。
他の科と違って誤診かどうかわかりにくいしな。
そうやってまず患者が医師を疑ってかかれば良くなるものも良くならないよ。
それに精神科医は決して楽じゃない。病態も目に見えてQOL改善も大きい科のほうが精神的には相当楽。
それはあくまで人間としての良心がある場合でしょ。
医者を仕事と割り切って考えた場合は精神科は楽。
手術もしなくていいし、設備投資だって他の科と違ってレントゲンとか撮る機械いらないし。
良心捨てたって、つかみどころのない症状や話の通じない患者に毎日向き合うのは医師本人にそれなりのモチベーションないとなかなか無理だよ。
個人的な悪い思い出でもあるの?
実際自分の父親も、精神科に掛かったけど悪くなることはあってもよくなることはなかったしなあ。
かかったことで悪くなったわけではないと思う。
治療可能な器質的異常がないから精神疾患として扱うものだし、治る前提ではないよ。
それでも命にかかわらなくたって人のメンタルって生きる上で一番ってくらいに大事だからなんとか向き合いたいって医者もたくさんいるから、いつか関わることがあれば信頼・協力してあげてください。
そういうのがわかりにくいのが恐ろしいところだよ。
悪くなったら副作用なのか、それとも治療が悪いのかとか。
患者側だって不安だよね。
そういう不安を抱いたら迷わず医師に打ち明けて、一緒に検討できれば良いと思う。
ただ「悪くなったら」の答えとして一番多いのは病状の悪化だってことは覚えておいて。
過敏性はいないの?>>特に下痢型。
この前過敏性って診断されたばっかだけど何型とか全然わからん。
あれってあなたは何型ですって言われるもんなの?
症状読んでもいまいちピンとこない。
というか、今貰ってる薬が入眠剤だけど、ちゃんとSADの診断して欲しかったな。
太る副作用は予め言って欲しかった。
マジで着る服が無くなった
痩せたいけど薬飲んでる限り痩せないような気がして
結局ダイエットも出来てないし
ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
あの、
トフラニール25mg
フルボキサミンマレイン酸塩25mg
デプロメール25 25mg
メトドリン2mg
パキシル10mg
ファモチジン20mg
ガスター20mg
ネルロレン「10」10mg
マイスリー10mg
どれが太る副作用の薬なのか教えて鬱な人!
その薬だけ省いて飲む。
省くな、全部のめ。
じゃないと治らんのだから。
しかし、パキシルは悪評高いよね。
トーシロが勝手にやめていいような薬じゃないってことをしっかり理解しろよ。
いい加減飲むときもやめる時も医師の指示に従え、じゃないと副作用ヤバいぞ。
カウンセリングは無意味。
ただの雑談。
でも考え方は以前よりマシになってるけど。
それが効果の一つだよ。
カウンセリングはカウンセラーが相談者の問題を解決するためのものじゃなくて、本人が自分の問題を向き合って整理したり扱えるようになるのが大事だから。
あとは医療連携の場合は医療者側が状況をより詳しく知る手段でもある。
カウンセリング50分5000円だったは、申し訳なさ過ぎワロタ。
カウンセリングでは話を真摯に聞いてくれるだけだったな。
こうアドバイスや考え方を一緒に考えてくれると思ったら、まぁ、心が軽くなったからありがとうなんだけどね。
精神科いく人でもっとも軽い症状はどのくらい?
夜ねむれない。
精神病は、精神薬が作り出す病気だと思うよ。
本当のうつ病や糖質なんて、滅多にないと思うよ。
いや、別に甘えとか医者が勝手に病名を付けてるとかじゃなくね。
脳梗塞とか低血糖とか症状としてうつ病みたくなる病気なんていくらでもある。
生活リズムがよくないのが1番いかんな。
病は気からって言うしな。小麦粉でも処方されて飲み続けたら治るかもな。
私的に漢方はプラシーボって思ってる。
治験ってやった事あるけど、偽薬と薬飲み比べて薬効確かめるけどね。
楽だしお勧めのバイトだね。
長期休暇中の大学生には良いと思うよ。
副作用で頭のスイッチ入って食欲出るよね。
俺はアルコール飲んだような、と表現してる。
なんというか自分が気にしていないストレスを感じてるんだなーと。
ランニングが良いと聞くけど、難しく考えすぎて詰む。
食欲の完全な不振から、ビールのみてぇーまで回復してきた希ガス。
夜19時くらいにコンビニ行ってくるくらいのノリの外出なら職質されない
人前でご飯食えないのも、今ではどーでも良くなってきた。
そもそも薬飲んだら治るってわけじゃないだろ。
症状への対策なんだからさ。
治るというか、社会性のある状態まで戻すだよな。
日記はつけてるけど毎日は無理。
一週間に一度1行くらい書いてる。
愚痴専用と普段用に分けてやってるけど、過去の自分と今の自分を比べると発見があって一種の認知療法だよ。
ちなみに愚痴専用は日にちが経ったらページを捨てるようにしてる。
日記というか、紙に書くのは一種のストレス解消らしいな。自分も問題の原因や対処法を書いてるけど落ち着くわ。
精神科は長引くからねー。
心の病を薬で治す違和感とかね。
エビデンスとか。
そういうもんかね。
人は払ったお金の分だけ安心するからね。
「これだけ高い金出してるんだから効果が無いわけない!」ってね。
カウンセリングもそうだし、防災とかもそう。
精神科医
伯父さんは地元の病院で精神科医、というより、
『薬とかの治療で治せない患者さんの話し相手になって、症状を精神的な面から改善させる』みたいな仕事をしてた。
カウンセラーって言葉を使えばわかりやすいかな。
親父とは二人っきりの兄弟ってこともあったんだろうけど仲が良くて、よくうちに遊びに来ては、まだ小学校1,2年くらいだった俺と遊んでくれたり、やっぱお医者様だから羽振り良かったのか、お小遣いくれたりして本当大好きな伯父さんだった。
で、その伯父さんに最後に会った時のこと。
今から4年前の冬休み、だからちょうど時期的には今頃だな。
その年の4月から地元を出て札幌の高校に行っていた俺は、母さんから、
「 ××さん(伯父さん)も来るから、お正月くらい帰ってきなよ。」
って言われてて、どーせ大掃除手伝わされるんだろマンドクセとか思いながらも、母さんの栗きんとんと伯父(およびお年玉)目当てに、久しぶりに帰省してきた。
伯父さんはいつものように客間に泊まってたんだけど、挨拶しに行ってまずびっくりした。
俺の記憶の中の伯父さんは、やせ気味の貧乏神ライクな親父と対照的に、100キロくらいありそうな縦も横もでっかい人だったんだが、それが親父以上にガリガリになってた。
髪もぼっさぼさで、ものごっつアウトローな感じに。
まあ、その時は、
「 どーしたの伯父さん。めっちゃかっこよくなってんじゃん。」
とか言って笑ってたけど。
その夜、飯食ったあとに、なんか解らんけど親父が風呂行って、母さんが台所に引っ込んでーって、居間で俺と伯父さんだけになった。
最初は昔話とか『おまえ札幌でちゃんとやってるか』的なこと聞かれたりとか、ふつーに話してたんだけど、ふと伯父さん真顔になって、
「 今、子供の声聞こえたか?」
って。
伯父さんは酒ダメだったし、別にふざけてるとか俺を脅かそうってわけでもないっぽい雰囲気だったので、ちょっと怖くなりながらも(当然ながら我が家で最年少は俺)、
「 聞こえんかったよ。」
って言うと、
「 そうか、やっぱりな・・・。」
って哀しそうな顔でこんな風に言うんだよ。
「 伯父さんさ、最近聞こえるんだよ。
どこにいても、子供の声がいろいろ命令して来るんだよ」
伯父さんの仕事は前述の通りなんだけど、その病院ってのが医療施設というより、もはや『本気で重症な奴の隔離場』みたいなとこで、建ってるのは山の中だし、窓には全部鉄格子がはめてあるようなとこなんだよ。
いつか患者が逃げたってニュースやってたから、それでテレビに出たのを見た人もいるかも。
それで、そのカウンセラーの仕事自体も紙一重なところがあって、電波が移るっていうの・・・?
あんまし真面目な人だと、電波さんの話をちゃんと聞きすぎて、影響受けて自分もいろいろ支障をきたしちゃったり、ってこともよくあるらしい。
伯父さんの話だと、同僚の女の人が一人、
「 音波が脳に刺さるのが見えてきた。」
とか言って、自分ちで首吊っちゃったってことが、その頃あったんだって。
他にもいろいろ話してくれたけど、『音波が脳に刺さる』ってフレーズだけやたら印象に残ってる。
「 俺もそろそろかなぁ。」
って伯父さん、空元気ってのとも違う感じで、妙に楽しそうに笑ってたよ。
で、伯父さんおもむろにテーブルにあがってたみかん掴んでさ、
「 見えるか?」
って。
「 何が?」
「 くっつき虫(だったか)だよ。
ほら、またにゅるにゅる出てきてるだろ。
白いのにゅるにゅるうごめいてるだろ。
何食べようとしてもこいつら出てくんだよ。
食ったら身体乗っ取られちゃうよ。」
伯父さんがここまで痩せた理由もそれだったという。
ろくに飯も食えてないっつってた。
近頃は寝るのもつらいとも言ってた。
寝てる伯父さんを、天井から誰かが見てるんだって。
最後に、
「 ごめんな。」
って言って、伯父さんは居間を出て行った。
でも、そういえばその時はまだ、俺は伯父さんが怖い話をして脅かしてやろうとしたんだと思ってた。
次の日、家族の誰も起きる前に伯父さんは帰ったらしい。
布団も片づけてなくて、本当に着の身着のまま、まるで何かから逃げるように。
母さんの話では、その後は電話とかしても全然つながらなくなっちゃったらしい。
その一ヶ月くらい後に、伯父さんは事故で亡くなった。
中央分離帯に突っ込んだらしいんだけど、葬式の時、親戚からこんな話を聞いた。
伯父さんは自殺だったんじゃないかって。
見てた人が証言したらしいんだけど、伯父さんの車、地面が凍ってたわけでもない道路で今までまっすぐ走ってたのを、急に自分から分離帯に突っ込んだそうだ。
よく解らないんだけど、そーいうのを勉強してる専門家なら、自分がそろそろやばいってこととかもわかるもんなのかね。
なら伯父さん、自分がイッちゃう前に、最後に親父やお袋や俺に会いに来てくれて、それで廃人になる前に自分で命を絶ったのかなー・・・なんてさ。
ま、それで終わってれば綺麗な話なんだけどさ、親父が葬式の後、帰りの車でぽつりと、
「 そういや、アレは事故の前の日だったんだな。
夜中に留守電入ってて、それが兄貴だったんだよ。
なんか気持ち悪くて消しちゃったんだけど、あの病院って子供もいるのかな。」
親父の話だと、伯父さんのメッセージは酔ったような声でたった一言、
『 俺、命令されちゃったよ。』
それで、その声に隠れるように、子供っぽい声が聞こえてたらしい。
そんな兄が死んだのネタに怖い話するような局面でもないし、本当のことなんだろうけど・・・ 。
親父は今も元気なので、別に電波受信したりはしてないようですが。
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