大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 11月30日 おります

2015-11-30 18:38:03 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月30日 おります



 消防団員のHさんの話です。
その日は朝早くから行方不明者のおばあさんAさん(70歳くらい)の捜索が行われた。
 いなくなったのは前日の早朝だった。
同じ敷地内に住む長男家族がAさん宅を訪れた時、朝食のご飯が炊かれた状態で炊飯器の中にあり、味噌汁もまだ温かいままだった。

“ 近所の商店まで買い物に行ったのだろう。”

程度に考え、その時はスルーしたらしい。
 しかし、午後になっても家に帰ってくる様子は無く、おばあさんの家の朝食も食べられずにそのままだった。
 夜になっても帰って来ないので警察に連絡したそうだ。
その日の夜は消防署と警察で夜間捜索が行われたが発見できず、翌朝になって俺達地元消防団、総勢120名を使っての一斉捜索が行われる事になった。
 家族の談ではAさんは足が弱く病院に通っていた。
そして、いつも押し車みたいな歩行器を使って歩いている。
だからそれほど遠くまで歩いて行けない。
日頃はせいぜい近所の小店に行く程度だった。
 家には歩行器は無く、外出用の靴(普段履きでは無く、ちょっと畏まった場に行く時履いていた靴らしい)が1足無くなっていた。
着ていた服は家族の推測で、普段来ている普通のシャツにズボンのようだった。
 それほど遠くに行けないはずなので、事故にせよ、自殺にせよすぐ見つかるだろうと思っていた。
しかし、4時間探して手がかり無し。
 地元は結構な田舎で、山の中とか海辺とか、Aさん宅の周辺を道無き道まで捜索した。
徒歩で出かけて無い可能性も考え、地元のタクシー会社、交通機関の全てに連絡したがそれらしい情報は無い。
 交通事故に遭い、加害者が死体を隠した、とかの可能性が高くなったが、警察が何処を探しても事故の痕跡は無い。
結局、二日間に渡って行われた捜索でAさんを発見する事は出来なかった。


 それから1年と少し経ち、その件も忘れかけた頃だった。
警察が作った顔写真入りの捜索願の張り紙も随分色あせ、たぶんAさんのお孫さんが手書きしたものをコピーしたと思われる、

“ おばあちゃんを探しています ”

の張り紙も文字が読めないほどになっていた。
 そんな頃、警察にAさんの目撃情報が複数寄せられた。
どれも、

「 背格好も顔も服装も、歩行器を押して歩いている姿も、Aさんに違いない。」

という電話だった。
 ところが目撃情報が寄せられる場所がバラバラで、Aさん宅の周辺から十数キロ離れた場所まで広がっていた。
 警察も情報にそって捜索を再開したが、やはり発見できなかった。
ただ一つ共通しているのは、その目撃現場の近くには必ずお孫さんが書いた張り紙が掲示してあると言う事だった。
そして、その目撃現場にあるどの張り紙にも、一番下の空白の所に鉛筆で一言、

“ おります ”

と書き足してあった。
 未だにAさんは見つかっていないし、もう家族も警察も諦めていると思う。
ちなみに、その“おります”という書き込みであるが、ガラスケースに鍵がかかるタイプの掲示板の張り紙にも書き込まれていた。
鍵は公民館の管理者が持ってるので、開けて書き込む事は難しいと思う。
“おります”の意味はきっとAさんがお孫さんに対して“いつもそばにいて見守ってるよ”と言っているんだと、勝手に自分なりに解釈しています。











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しづめばこ 11月29日 P409

2015-11-29 18:55:40 | C,しづめばこ


しづめばこ 11月29日 P409  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”




大峰正楓の小説書庫です。
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日々の恐怖 11月28日 雨(2)

2015-11-28 18:53:46 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月28日 雨(2)



 夜もふけて、深夜になる頃に酒が尽きてきた。
そこで、友人二人がコンビニに買い出しに出ることになった。
私は部屋主の友人と待機である。
 だが、5分もしないうちに買い出しに出たはずの友人たちが戻ってきた。

「 やっぱり、皆で行こう。」
「 あの女の人がまだいて怖い。」

“ そんなまさか・・・。”

住人の友人は不気味がっていたが、酒が入っていることもあって肝試し気分で行くことにした。
 階段を降りるとき、ちらっと奥の通路を覗き込むと、確かにいる。
アパートに来たときと寸分違わぬ姿で、女がぼーっと遠くを見ながら立っている。
 私たちがこのアパートに来てから、何時間が経っただろうか。
その間、ずーっと同じ体勢で同じ場所にいたのだろうか。
生身の人間だとしても普通じゃない。

“ あの女は何者だ?”

とコンビニに向かう道すがら話し合った。
 そこで、帰りに挨拶をしてみようと私が申し出た。
酒のせいで気が大きくなっていたのだ。
 ところが、帰って来てみると女はいなくなっていた。
友人たちは不思議がったが、私は内心ほっとしていた。
その日は泊まって翌朝帰ったが、特に何も起こらなかった。

 それからしばらくして、そのアパート住人の友人が引越しを考えている、と言った。

「 もう引っ越すの?早くない?」
「 あの女の人がいるんだ。」

 友人が言うには、雨の日に必ず女が通路の電灯の下に立っているらしい。
雨が上がるといなくなっているらしいが、不気味で仕方がないというのだ。
 あの女性の異常な様子を思い出すとわからなくもないが、それで引越しを考えるというのは少し大げさのような気もする。
 友人は、

「 ちょっとあの女に話しかけてみた。」

と言った。
 私は、

“ 結構、大胆なことをするなぁ・・・。”

と思った。
 内容は、

「 “こんにちわ、二階に越してきたんですけど、この前友達とうるさくしてすいません。”って話しかけた。
でも、何にも言わない。
こっちに目を向けもしない。
じーっと上のほうを見るばっかりで会話にならなかった。」

と言うことだった。
 管理会社に問い合わせもしたが、どうにもならない。
雨が降ると朝でも昼でも必ずいるという。
ぼーっと立っているだけで何をされたというわけでもない。
 だが、

「 とにかく不気味で怖いから、早く引っ越したい。」

と友人は言った。
そして、

「 あれ、幽霊じゃないよ。
ちゃんと人間だと思う。
 でも、怖くない?
雨の日にあそこで、ただ、ずーっと立ってるんだよ。
何なんだろう・・・・。」

結局、友人は半年程度でそのアパートを出てしまった。
 女の正体はわからない。
ひょっとしたらまだ、まだ雨の日にあの薄暗い電灯の下に立っているのかもしれない。











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日々の恐怖 11月27日 雨(1)

2015-11-27 18:02:14 | B,日々の恐怖




   日々の恐怖 11月27日 雨(1)




 大学時代に友人が引っ越したというので、冷やかしも兼ねて数人で押しかけることにした。
友人のアパートは、大学生の下宿先としては、

“ まぁこんなものだろうな。”

というレベルだった。
新築というわけではないが、古すぎるわけでもない。
 アパートは三階建てだった。
入り口に狭い階段があって、奥には一階の部屋につながる通路がある。
その向こうは駐輪場らしい。
友人の部屋は二階の角部屋だった。
 その日は小雨が降っていて、近所のスーパーで買い込んだ酒やつまみをぶら下げながら、友人らとそのアパートに押しかけた。
入り口の階段のところで荷物をいったん置いて、傘をたたんでいると、友人の一人が、

「 わぁっ・・・!」

と悲鳴を上げた。

「 えっ、ちょっと何?どうした?」
「 いや、ちょっとびっくりした。」

気まずそうな友人が視線で示す先、階段奥の駐輪場に続く通路を覗き込んでみると。

“ あっ・・・。”

と思った。
 薄暗い通路の電灯の下に、女が一人立っているのだ。
30代か40代くらいで長い髪をしていて、全身黒尽くめだった。
髪も真っ黒なので、駐輪場の暗闇を背にすると白い顔面が浮かんでいるみたいに見える。
 彼女はその場でじっと立ち尽くしたまま、こっちを見ている。
いや、顔と目はこっちを向いているが、私たちを見ているわけではなかった。
ぼーっと遠くを見ているような感じだった。

”これはびっくりするわ・・・。”

と思いながら、私たちは小さく会釈して彼女に謝り、二階の友人宅に向かった。
 友人の部屋に入るなり、私たちはさっきの女性の話をした。

「 何か下に不気味な人いた。」
「 怖っ、ていうか、あんなところで何してんだろうね、あの人?」
「 え、アパートの人じゃないの?」

アパートの人間なら、なぜ自分の部屋に入らないのだろうか。
そんな話をしていたら、アパート住人の友人が、

「 引っ越したばっかりなんだから、そんな怖い話するのやめてよ・・・。」

と、ぶすくれていた。
買い込んだ酒を飲んだりゲームをしたりしているうちに、すっかり女のことは忘れてしまった。










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日々の恐怖 11月26日 応急処置講習用の人形(2)

2015-11-26 20:29:21 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月26日 応急処置講習用の人形(2)



 微妙に番号違いの場所に入っていたので、探すのに手間がかかってしまった。
急いで上に戻ろうと出た瞬間、意識はしてないのに左に目がいった。

“ あれ?足が出てない・・・?”

入る前は確か、前側に足があってよく見えた。
今はそれが見えない。
 探すのに手間取ったとは言え、時間とすれば10分程度だった。

“ こんな短い間に・・、いやそもそもこんな時間に、誰が何のためにわざわざ地下まで来ると言うのか・・・?”

急に背筋が寒くなり、急いで上まで駆け戻った。


 その数日後AEDの講習会があり、そこで人工呼吸用の人形が使用された。
終わった後、庶務の同僚に、

「 ケンタ君、ちゃんと見たの初めてかも・・・。」

と話すと、

「 え?
あれはケンタじゃないよ、別の新しいヤツ。
あんな埃だらけの、もう使わないって。
第一、まんま放置してる古い人形に人工呼吸なんて嫌だろ?」

聞けば、ケンタ君はもう使われなくなっていたらしい。
少なくとも自分が夜、地下のカルテ倉庫に入る前には、既にお役目御免だったとようだ。









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日々の恐怖 11月25日 応急処置講習用の人形(1)

2015-11-25 18:03:06 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月25日 応急処置講習用の人形(1)



 病院で事務員やってたときの話です。
自分の病院の地下にはカルテ倉庫があった。
2~5年前のカルテはすべてここに収められていて、久々の患者が来るとわざわざ地下まで取りに行かなければならない。
そして、このカルテ倉庫のドアのすぐ右脇に30cmくらいの隙間があり、そこにケンタ君の愛称で呼ばれてる等身大の人形があった。
 応急処置講習とかに使う人形なのだが、いつも青いビニールシートにくるまれていて、しかも必ず足だけ見えてるという、どう見ても、

“ 狙ってるだろ!”

という置き方で安置されていた。
 かく言う自分も入職初日の案内時、ケンタ君が目の端に入ってしまい、本気で飛び退いたら課長代理のおばちゃんに笑われた。
 それで、このケンタ君だがたまに内科受付とかのヘルプで入って、地下にカルテを取りに行かせられると毎回ではないんだが、ちょくちょく向きが変わっている。
手前に足が来てたり、奥に足が来てたり、

“ 案外駆り出されてるんだな~。”

くらいにしか、その時は思っていなかった。

 そしてある日の夜勤日だった。
もう、3、4回入ってそろそろ慣れてきた頃、10時頃に急患が入り、当直医師は受けるとのことで患者検索の結果、まだ地下にカルテをがあるようなので仕方なく地下へ行った。
 さすがに夜の地下は怖いので、廊下の電気全部つけて倉庫に突入した。
入る直前、ケンタ君に心の中で、

“ こんばんわ~。”

とか言いいながら入って行く。








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日々の恐怖 11月24日 手相屋のおばちゃん

2015-11-24 18:41:11 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月24日 手相屋のおばちゃん



 大学生のKさんの話です。
私の友人で、何かっていうと占いとか手相をみてもらいに中華街に行く娘がいる。
その日も新しい手相屋を見つけたから、一緒に行こうと誘われた。
 最近、彼女は同じサークルで彼氏が出来たということで、彼には内緒で相性を確認したいとのことだった。
 鑑定士は、普通のおばちゃんだった。
ちなみに初回から7500円で、それが高いと思うんだけど、どうなのかよく分からない。
 友人が一緒に聞いていて欲しいというので、鑑定に同席した。
内容は、至って普通、性格の話とかだった。
 終わった後、立ち去る前に、

「 ちょっと貴女も・・・・。」

とおばちゃんに引きとめられる。
 メッセージカードに何か書いて渡され、

「 家に帰ってから、一人で読んでください。」

友人も御守りみたいなのを貰っていたので、

“ 簡単なおまじないのサービスかな・・・・。”

とニコニコしていた。
 彼女と別れた後、ちょっと気になってバスの中でカードを開いたら、

“ 近いうちに高熱などの症状が出るかもしれません。
その場合、恋愛に関する相談、占いには距離を置くことをお考えください。
勿論私のお節介ですので、気が向かなければ気になさらなくても構いません。”

と書いてあった。

“ 占いに興味があるのは友人の方でしょ・・・。”

と気持ち悪かったが、その2日後、本当に38度9分の熱を出しバイトを早退してしまった。   数日経ってもなかなか回復しない。

“ 暗示効果かなぁ・・・・。”

と更に気分悪くなってたら、様子を見に来てくれた当の友人が、

「 こんなときに悪いんだけど・・・。」

と言って恋愛相談を始めた。
 しかも途中で、

「 ○○って、グリーやってる?
彼氏のグリ友のアバタ(写真)、○○と似てる気がするんだけど・・・・。」

と探りを入れて来た。
 どうやら、陰で、

“ 彼氏が私とメールのやりとりしてるんじゃないか・・・。”

と思っていたようだ。
 事実無根なのでしっかり否定しておいたけれど、それより、

“ 手相屋のおばちゃんは、友人と私の間に何か見えていたのか・・・?”

と思うと、少し怖い。
 当然、鑑定中、そんな話には触れていなかった。
まぁ、友人も怖いですけど・・・。









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日々の恐怖 11月23日 すれ違った瞬間

2015-11-23 20:13:12 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月23日 すれ違った瞬間



 数年前、親父が倒れたと、実家青森の母から連絡を受けた。
翌日、バイトの休みをとり一週間ほど帰郷した。
原因は脳出血、幸い命に別状は無いとされたが言語障害と右半身麻痺で要リハビリとなった。
 一段落つき再び上京し、最寄の駅から自宅への帰り道のことだった。
ある程度交通量の多い道で、しかもお昼時ではあったが、その時歩道には俺一人だった。
 下を向きいろいろ考えながら進み、ふと前を見ると片方の足を引きずって向こうからオッサンが歩いて来る。
 いつもは何とも思わないオッサン、街に出れば一人や二人、目にするオッサンだった。
だが、親父の事もあり、今回ばかりは人ごとではなく思うところがあった。

“ 親父もこんな感じになるんだろうか、もっと酷いのだろうか・・・。”

そして、その片方の足を引きずったオッサンとすれ違う瞬間だった。

「 親孝行してないねぇ。」

そう確かに聞こえた。
 時間が止まった。
一瞬にして全身鳥肌が立った。
 あまりに咄嗟のことで、俺の口から出た言葉は、

「 は・・・!?」

だった。
 他にもオッサンは何か言っていたようだが、大型のトラックが横を走り抜け、騒音で声が聞き取れなかった。
 しかし、俺は実際はそれを聞きたくかったのかも知れない。
何故かその場にいることが怖くなり足早に去ってしまった。









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日々の恐怖 11月22日 同窓会の参加者

2015-11-22 19:33:36 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月22日 同窓会の参加者



 2年前の11月2日、中学3年生時代の同窓会を開いた。
俺は4人いた幹事の一人で、写真を撮ったり雑用をしていた。
 4人とも学年のリーダー格で参加者全員の顔と名前を知っていたので、撮った写真を写っている人数分焼いて各々封筒に入れて送る手配をしていた。

「 えっ、こいつ、誰・・・?」

酔ってじゃれあっている3人と,そいつらをを取り囲む5人の写真に名前がわからない人物が一人いた。
なんだかその場にいたような気もするが、どうしても思い出せなかった。
 同窓会は、ある旅館の宴会場で行ったのだが、会場まではご主人に送ってもらったり彼氏彼女がついてきたりはしていたが、中まで一緒に入ってくることは無かった。
 遅刻者やサプライズで呼んだ先生が後で入ってくることはあったが、俺達の知らない外部の者が入る余地はなかつた。
 だから、なおさらその人物が気になった。
しかも全く知らないわけではなく、どこかで見たようなヤツだった。
 それで、幹事全員で考えた。

「 ひょっとして、Mじゃない?」

幹事の一人が言った。
 Mとは、確か6年生の頃に転校していったヤツのことだ。
存在感の薄いヤツで、俺はほとんどしゃべったことはなかった。
 後日、幹事の一人が修学旅行の集合写真に写っていたMの写真を持っていたので、今回のMとを見比べてみた。
もちろん顔は変わっていたが鼻などの特徴から一応Mと判明した。
 そして一緒に写っていたヤツに連絡して、そいつがMだったか確認してみることにした。
一緒に写っていたヤツは見たことあるようなヤツだったけど名前聞くのも失礼だし、軽い挨拶はしたけれどしゃべらなかったとのことだった。
 そこで俺たちは、Mについて調べることにした。
交友関係がほとんどなく唯一友達だったKってヤツがいて、そいつからの情報によると、

「 6年生の2学期に埼玉に行った。
それ以外は、連絡も取っていないしまったく知らない。」

とのことだった。
 そして、同窓会に出席してたヤツの何人かに聞いたら、

・手酌でビールを飲んでいた。
・二次会はどこか聞かれた。
・変な匂いがした。
・標準語だった。
・すぐいなくなった。

これらのことがわかった。
 そして誰もMとわかったヤツはいなかった。
唯一の友達だったKも、気がつかなかったらしい。
 宴会場はトイレなどで出入りはあったものの、誰か来たら大抵は幹事の誰かが気がついていたから、なんでMに気がつかなかったのが不思議でならなかった。
 そしてその写真を撮ったのは俺だし、俺がなぜ気がつかなかったのかが不思議でならない。
少々は飲んでたものの、一応幹事だからほろ酔い程度だったからなおさらだ。
 そもそも誰も呼んでいないのに何でMが来たのか。
この同窓会は、ゆびとまやMIXI等WEBには一切載せなかった。
中3のアルバムに載っている住所録に手紙を出し、連絡が取れたヤツしか参加出来なかったはずだ。
 来た目的は何だったのか。
今どこで何をしているのか。
ひょっとしたら来てた女性の誰かと一緒になっているのかな、とも思ったがそれもなかった。
結局未だに謎のままである。










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しづめばこ 11月21日 P408

2015-11-21 19:53:32 | C,しづめばこ


しづめばこ 11月21日 P408  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 11月20日 理学部棟

2015-11-20 18:33:00 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月20日 理学部棟



 俺の後悔している話です。
大した話ではないんだが、大学時代に研究でうまくいかないことも多く、深夜ふらっと外にでた。
 大学はK大学で、俺がいたのは理学部棟で、ちょうど棟の前に座れるような場所があるんだけれど、そこでジュース買ってのんびり研究のことやら、とりとめのない妄想をしていた。
 そうしていると男が自然研の方の橋から一人やってきて、いきなり、

「 隣いいですか?」

って聞かれた。
 別に俺自身は問題ないから、

「 いいですよ。」

と答えた。
 ただ正直不気味に思った。
なぜなら他にも座れるところなんていくらでもあるし、結構夜も遅かったから。
 その時に俺は、スマホポチポチしてて丁度相手の顔に光があたって、チラッと覗いたら多少暗くて、ライトが当たっていたからか、やけに肌が黄色で凄く細い感じで、近寄りにくい印象だった。
 そう言うこともあって、隣に座ったからと言って、その男とはまったく会話をしなかった。
俺はそんなことよりも、次の先生への発表どうしようかと悩んでいたぐらいだった。
 そして時間が経ち、大学を見回っている警備員が明かりを持ってやってきた。
このときふと隣を見ると、もう男はいなかった。
 警備員は俺に声かけることなく、そのまま行ってしまった。
俺も寒かった時期だし、自分の研究室へ戻って研究を再開した。
 翌日、自然研の方へ朝ごはんを買いに行くと警察が来ていて、話を聞くと理学部棟と自然研の間の橋の辺りで自殺者が出たらしい。
遺留品の手紙と携帯とたばこがあって、どうやら橋と俺が座っていた辺りにもあったようだ。
今でも、あの時話かけてでもいたら自殺防げたんかなぁと悩むことがある。










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日々の恐怖 11月19日 妹と沖縄美ら海水族館

2015-11-19 18:20:32 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月19日 妹と沖縄美ら海水族館



 俺の実家がある町は、沖縄の水族館が有名なところだ。
昔、子供の頃、俺、母、妹(当時3歳)で水族館がある公園に行った。
母親がトイレに行ってる間、歩いたり走ったりする妹の後を追っていた。
そしたら妹がフッと消えた。
 本当に煙みたいに目の前から消えた。
何が起こったかわからなくて、呆然と立ち尽くしてたら母親が戻ってきたので説明した。
その場に居合わせた大人も消えたのを見たらしく大騒ぎになった。
捜しても見つからないので、いよいよ警察だと話していたところに迷い子の案内放送が流れた。
 慌てて迎えに行くと、ご機嫌でジュースを飲んでる妹と見知らぬ親子がいた。
その親子は関西からの観光客で、公園内を歩いてると草むらから子供が飛び出してきたので驚いたらしい。
周りに人がいないので、迷子だろうと連れてきてくれたとのことだった。
 公園内は凄い広くて、俺がいた所と妹が出てきた所は端と端で、公園内のバスに乗って移動しなきゃ厳しい距離だった。
 不思議だし説明つかないんだけれど、無事見つかって良かったと一安心した。
何故か妹は、その親子の小学校高学年くらいの男の子に懐いていた。
男の子は困っていたけれど、何とか引き剥がしてお礼言って帰った。


 それから20年経ったころ、地元を出て関西で働いていた妹が結婚した。
相手はとっても優しそうな人で皆喜んだ。
 それで、ある日妹から母親あてに電話がかかってきた。
義兄になったその人はご両親共に亡くされてるんだけど、それの片付けの延長線でアルバムを整理してたら、幼い時の自分にソックリ子が子供の頃の旦那と写ってる写真が出てきたという。
旦那に聞いても、沖縄に行ったことはあるが、その写真は覚えてないと言う。

“ お母さん何か知らない?”

との内容だった。
 母親はビックリして妹に、当時妹が消えた話をし、

「 もしかしたらその時の人達だったのかもしれないけど、他人の空似だろう。」

と言ったら、

「 とにかく写真を送るから見て欲しい。」

と画像を送ってきた。
 母親はその画像を見て仰天した。
これは間違いなく妹だと確信したらしい。
 当時、母親は裁縫に凝ってて、念願の女の子だったこともあり、よく手作りで洋服を作ってて、その時も母が製作したワンピースを着てたから間違いないとのことだった。
 その話を聞いて、その画像を見た俺は驚いた。
どう見ても妹だった。
 きっと、あまりにも妹が男の子に懐いてるから、ご両親が微笑ましくなって撮影したんだろうとの結論に至った。

「 こんなことってあるんだねえ・・・。」

と母親と話したんだが、妹が突然消えたのだけが謎だった。

“ あれっ?”

っと思った時には、もう消えていた。
あの感覚だけは、今でも覚えている。
 ちなみに妹と旦那の出会いはどこかの居酒屋で、その店がボヤ騒ぎで外に逃げたあと知り合ったらしい。










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日々の恐怖 11月18日 トイレに住んでいるヤツ

2015-11-18 19:00:39 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月18日 トイレに住んでいるヤツ



 私が高校生だったときのことです。
当時、9人家族で一戸建ての借家に二年間住んでいました。
9人家族なので、朝の7時前後にトイレが込むのは必至です。
 ある日の夕食時に母が奇妙なことを言いました。

「 今朝、トイレの灯りが点いてたから、

“ 誰か入ってるの?”

って声かけたの。
 そしたら、

“ うん。”

って返事があったんだよね。
その声がS(弟)かT(妹)か、どっちか分からなかったから、

“ 誰?S君?Tちゃん?”

って聞いたら今度は返事なくて、ドア開けたら鍵かかってなくて、誰もいなくてゾクッとしたの。」

それを聞いた家族は私も含め、

「 聞き間違いだよ。」
「 隣の犬の声じゃない?」

と聞き流しました。


 それから数日後の朝です。
私はトイレに入りたかったのですが、灯りが点いているのを見て、

「 誰が入ってる?」

と叫びました。
 すると、バサッと新聞を広げる音と共に父の声で、

「 おう。」

と返事がありました。

“ 忙しい時間帯に新聞読むな、って言ってるじゃん!”

と思いながら、

「 早く出てよ!」

と催促のためにドアノブをガチャガチャしようとしました。
 ところがドアはすんなり開き、中には誰もいませんでした。
気味が悪かったですが、用を足して学校に行きました。
 その日の夕食時に朝の出来事を話したら、私とトイレの中のやりとりを妹が聞いていました。

「 あれ、父さんじゃなかったの・・・・?」

 その後、引っ越しをして今は別の家に住んでいますが、あの家は朝の明るいときでも怖かったです。











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日々の恐怖 11月17日 何かあったんですか?

2015-11-17 18:57:18 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 11月17日 何かあったんですか?



 結構前の話、姉が大学に通ってて女性専用のアパートに一人暮らししてた。
日付が変わろうかという時間くらい、そろそろ寝ようと思ったら隣の部屋から、

「 きゃああぁぁぁぁ!」

ともの凄い悲鳴がしたそうだ。
 知らんふりもできないので、武器になりそうな風呂掃除用の短いモップを持って玄関を開けると、同じタイミングで悲鳴のした部屋の住人もラクロスのステッキを片手に飛び出してきた。
 隣人はびっくりした顔で、

「 大丈夫ですか!?」

と訪ねてきたが、それはこっちのセリフだと思った姉は、

「 そっちの部屋から悲鳴がしたので飛び出してきたんですが・・・・。」

とお互いに首をかしげた。
 お互い???と思っていたら、アパートの住人が続々と出てきて、

「 何かあったんですか!?」

と聞いてくる。
 二人とも悲鳴を聞いて飛び出してきたことをみんなに伝え、アパートの住人一同無事を確認し合うと、さっきの悲鳴はなんだったのかと首をひねった。
何があったかわからないものを考えても埓があかないし、どっかで誰かが悲鳴を上げていたのかもしれないということで、最寄りの交番に通報しその日は解散となった。
 翌日、交番からアパートを管理している不動産会社に連絡が入り不動産屋が調査に来た。
すると驚くことがわかった。
 悲鳴と思った声は悲鳴ではなかった。
姉の部屋と隣人の部屋の間でアパートが真っ二つに割れていたのだった。
悲鳴は部屋と部屋の間の鉄骨が擦れて出た音だったとのこと。
 アパート自体新築で設計に手抜きもなく、なんで真っ二つになったのかは調査結果を姉が聞かなかったからわからなかったが、もしかしたらアパートは寝てる間に崩れていたかもしれないという話だった。
 その後引越し費用や引越し先を不動産屋が全部面倒見てくれて、2~3日で引越しは終わったので、姉はラッキーとか言って済ませていました。









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しづめばこ 11月16日 P407

2015-11-16 18:20:06 | C,しづめばこ


しづめばこ 11月16日 P407  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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小説“しづめばこ”




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