大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

四枚の写真 12月31日 P29

2014-12-31 21:10:50 | _7,四枚の写真
四枚の写真 12月31日 P29 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 12月30日 P345

2014-12-30 18:02:21 | C,しづめばこ
しづめばこ 12月30日 P345  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 12月28日 キジムナーのいる風景

2014-12-28 18:59:34 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 12月28日 キジムナーのいる風景



 数十年前の話、小学校に行くかいかないかの頃だった。
父の実家が鹿児島南端の某島で、爺さんが死んだというので葬式に行った。
飛行機で沖縄経由で島に行き、父と激似の島民というか葬儀屋に案内され、はじめてその実家へ。
 確か2月で、寒くは無いが、イメージしていた南国には遠く、曇りでどんよりしていた。
当時福岡に住んでいたので、親戚は会う人みな初対面で、ちょっと居場所が無かったのを覚えている。
 そこの風習は土葬で、甕に入れるために爺さんが仰向けだが足をちょうど正座する状態でそのまま寝かされていた。
弔問客は皆、爺さんのひざに触る。
 婆さんは、方言というか外国語というか、何を言っているか分からないが、どうやら、ひざに触ると爺さんが喜ぶとのこと。
死体に直に触るのをはばかれてか、タオルがかけられている。
まあ、そんなこんなで酒盛りなども経て、こちらでいう通夜はお開きになった。


 南方の島の家というと、風通しの問題なのか、ほぼ畳敷きの広場といった風情だった。
よく見るとふすまの敷居もあり、普段は部屋が区切られるようだが、人が集まるということもあり、ふすまは全部取り払われ、長い縁側から大きな部屋に仕立てられていた。
そんな広間で、爺さん共々みんなで雑魚寝していた。
 縁側のほうは雨戸が閉められ、うっすらとした常夜灯だけの夜、遠くから海の音が聞こえる。
20人ほどの親戚一同との雑魚寝で、なんとなく寝付けず悶々としていた。
 何時だったか分からないが、多くの人が寝静まったと思われる頃、急に、雨戸、窓、玄関その他を誰かが、いや、大勢の人が叩き出したのだ。

“ ドンドンドンドン、ガシャガシャガシャガシャ。”

外から声は一切せず、ひたすら大勢の人が叩いている。
 当然周りは何事かと起きだすのだが、ザワザワするだけで、騒ぐものもおらず、みな妙に冷静だった。
すると婆さんが一人でずかずかと雨戸に寄り、ガラリと開け放ち、

「 ひえ・・、んしう・・・・!」

と、何やら方言でわめき散らした。
 どうも怒っているようだった。
すると音はピタリと止み、みな安心したようにすぐに寝入ってしまった。
 なんだか夢の続きのようで、思わず婆さんに、

「 何・・・・?」

と聞いてみた。
 婆さんは方言で優しげに頭を撫でながら何か言っていたが、言葉が分からない。
そばにいた親戚の女の人が通訳してくれたのは、次のような内容だった。

「 あれはキジムナーだ。
爺さんに会いに来たけれど、もう夜遅いから明日にしてくれ、と婆さんが追い払った。
キジムナーは、特に何もしないから寝ていいよ。」

それを聞いて、

“ 水木の妖怪辞典で見たキジムナーだ!”

とすぐに思い当たった。
それで安心して、そこからすぐに寝入ってしまった。


 翌朝は葬式で、おそらく島中の人が来たと思われる人出だった。
神主が来て葬式が執り行われ、長い行列の中腹に甕が担がれ、出て行ったのを見送った。
子供がそれについていけなかったのは、それも何かの風習だろう。
 後で島を散歩すると、砂浜の脇の小高い丘に小さな神棚が転々と置いてある。
海からの風を避けるように、草むらの脇に無秩序に並んでいる。
どうやらその下に甕が埋まっているようだ。
数年後に掘り出して、のど仏だけを墓に納めるらしい。
それには父だけが参加した。










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四枚の写真 12月27日 P28

2014-12-27 18:08:37 | _7,四枚の写真
四枚の写真 12月27日 P28 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 12月26日 P344

2014-12-26 20:49:35 | C,しづめばこ
しづめばこ 12月26日 P344  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 12月24日 別荘の掃除

2014-12-24 20:48:22 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 12月24日 別荘の掃除



 なんでも屋に勤めているKさんの話です。

 オカルトというほど怖くはないかもしれませんが、一家心中のあった別荘の掃除がありました。
ただ、血糊がべったりとかはありません。
死体とかそういうのは特殊清掃といって、衛生的に安全な手順を踏んだり特殊な薬品を使うため、うちみたいななんでも屋では引き受けないのです。
 依頼人はN県のリフォーム屋さんです。

「 一家心中のあった家の片付け掃除をしてほしい。
家具や調度品など一切全て運び出して、そちらで処分してくれ。」

 新聞にも載った大きな事件だそうで、地元の職人たちからは気持ち悪がられて、全て断られたとか。
4tトラックとワゴン車で、社長+バイトを含めて4人の合計5人で向かいました。
 20年程前に事件があって以来、誰も管理していないので、庭は雑草というより雑木林のようです。
まずは我等とバイトで、鎌と草刈り機で雑草を刈り取ります。
社長は軽く手伝います。
穴を掘って雑草を燃やしながら別荘の中へ。

 別荘の中は、ネットで見る廃墟とか廃屋そのもの。
事件のあった日付のまま、家具や調度品全てが残されてました。
それらを、とにかく家の外に運び出す。
その途中、家鳴りが凄いのなんのって。
家のあちこちから、

“ ビシィ!ギシィ!バァン!”

と鳴り響く。
 急激に外の風を入れたからだろうと思いこもうとするものの、さすがに怖い。
ワゴン車のCDで、社長の80sディスコをガンガンかけながら作業しました。
 1日目はこんな感じで終りました。
日暮れと共に里に帰り、宿屋に泊まる。
 宿屋に帰ると、そこのおばちゃんが頼んでもいないのに、 あの事件はこうだった、ああだった、と詳細に教えてくれるんです。
夫婦2人、幼い子供2人が無理心中したって、いらない情報インプット。
おかげで社長を除く全員が、その夜は怖い夢を見たり金縛りに遭いました。

“ さすが、社長は偉いなァ・・。”

とは思ったものの、鈍感なだけかも・・・・。


 次の日は、全員早起きして朝07:30から現地入り。
とにかく早く終わらせて、明るいうちに帰りたい一心。
 家鳴りは昨日ほど酷くなかったので、

“ やっぱり昨日のは、気圧とか湿度の関係だったんだろうな・・・。”

なんて思いつつ作業していたら、なぜかカラスがグワァグワァとうるさい。
 その上、パタパタ…、とスリッパで駆け回る音が何度も聞こえる。
我々は全員がゴム底の安全スニーカーだから、パタパタ音なんかするわけがない。
 壊せる木製家具やカーペット類を庭の穴で燃やしていると、一人のバイトが、突然、

「 炎の中に子供が見えた!」

とか半狂乱状態になる。
 しかし、社長がエッチな話を始めたら空気が軽くなったような気がしたんで、俺たちもバイトくんも、とにかく卑猥な言葉を絶叫しながら作業を終わらせました。
それで、バイトくんのギャラは、2日拘束で16,000円+出張手当で計20,000円。
俺たちも、特別手当が出ました。

 後日談としては、子供が見えたと半狂乱になったバイトくんが、その後、毎晩のように金縛りに苦しみ、お祓いをしてもらったとか。
 作業中は寡黙だったバイトくんは、ずっと我慢していたんですね。
途中で我慢できなくなって、半狂乱になったようです。
 それまで知らなかったのですが、バイトくんは実は霊感持ちで、

「 作業中、ずっと血だらけの中年夫婦が、我々を睨んでたんですよね。」
「 真っ白な煙みたいな子供が、作業中の我々の周りを楽しそうに駆けていた。」

と、後で告白しました。
そして、バイトくんは、

「 お祓いでバイト代が消えた!」

と文句を言っていました。
それで、俺は実害はなかったけれど、以後、その手の現場は絶対にお断りすることに決めました。










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四枚の写真 12月16日 P27

2014-12-16 19:30:12 | _7,四枚の写真
四枚の写真 12月16日 P27 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 12月15日 P343

2014-12-15 19:09:52 | C,しづめばこ
しづめばこ 12月15日 P343  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 12月14日 戸襖が開く

2014-12-14 20:53:45 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 12月14日 戸襖が開く


 今からざっと50年前の話なワケだが、実母が東京で下宿していた。
その名の通り、普通の一軒家の2階に間借りで、大家は遠縁の叔母で、住み始めてしばらくしてソレは始まった。
 夜中に戸襖が開く。
今もそうだけど、やたら眠りの浅い母はちょっとした物音でも起きる。
それこそ衣擦れの音でも起きるくらいだ。
 戸襖が敷居を滑る音で、どうも起きたらしい。
もっとも初日から起きたかはわからない。
 それが毎晩続いて、最初こそ、

「 ああ、○○叔母さんのご主人かな?」

と思っていたそうだ。
それは、戸を開けて、そこに佇む人が男だと分かったからだ。

“ 遠縁の嫁入前の娘を預かってるから、様子見に来てるのかな?”

と母は思ったらしいが、それにしては、

“ なぜ声もかけないのか?”
“ なぜ、「 ○○叔父さん?」という母の問い掛けに答えないのか?”

と訝って、遂に叔母に聞いた。

「 毎晩様子を見に来るけど、どうしてなの?」

それを聞いた叔父と叔母の顔色が、取り繕いようもない程に一変した。

「 何時くらいか?」
「 開くのは戸襖だけか?」
「 女じゃなく男だったか?」

色々聞かれた後に教えてくれたのは、以前間借りしていた若い男の話だった。
 何度も旧帝大を受験して、何度目かに落ちた後、その部屋で首を吊ったそうだ。
物静かで真面目な人だったらしい。
 母は言った。

「 まだ、勉強しに帰ってきてるんだね。」

コレを聞いた自分は真っ先に、

「 すぐに引越ししたんだよね?」

って聞いたら、

「 東京引き上げるまで、ずっとそこに住んだ。」

と言った。
 ビビリな自分の、

「 なんでよ??」

の質問に、母は即座に答えた。

「 だって、お母さんその人になんにも悪いことしてないもん。
恨まれる筋合いないし、出てきても襖開けるだけだし、そのうち慣れたし。」

ヘビで気絶するくせに。











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四枚の写真 12月12日 P26

2014-12-12 20:28:22 | _7,四枚の写真
四枚の写真 12月12日 P26 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 12月11日 ランチ

2014-12-11 18:55:40 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 12月11日 ランチ



 姉と2人でランチ行こうと歩いていた時に、私の靴ひもがほどけていたのに気付いた。
それで、電柱脇でしゃがんで姉に待ってもらおうと声をかけたら

「 そこじゃなくてコッチ!」

って、3メートルくらい離れた道路標識の脇に連れて行かれた。
 そこで靴ひもを結んでいたら、すごい衝撃があって尻もちをついた。
見ると、さっきしゃがんだ電柱に車が激突していた。
すごいビビって、救急車呼ぶだとか何も思い付かなくて呆然としてたら、姉ちゃんが、

「 さっさと行くよ。」

って促して来る。

「 けが人いないし、お腹すいてたし、警察来るのなんか待ってられないし、待ったりした場合は事情聴取とかで、さらに時間取られるに違いないから、さっさと行く。」

って言われた。

“ 放って行くのか・・・・。”

と驚きはしたんだけれど、他の通行人が119だか110だかに電話してるようだったので、

“ 私達にできることも無いよな・・・。”

と思って、姉に従った。
 半分腰抜けた状態で姉に手を引かれつつ、気になったので聞いてみた。

「 何で分かったの?」
「 野性の勘。」

姉が野性でなかったら、無事じゃ済まなかったと思います。











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しづめばこ 12月10日 P342

2014-12-10 19:25:37 | C,しづめばこ
しづめばこ 12月10日 P342  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 12月9日 昔の話

2014-12-09 18:58:23 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 12月9日 昔の話



 故郷では初盆に舟を海に流す風習がある。
精霊流しと似てるけど別の行事である。
幼児なら寝そべることができそうな大きさの木製舟で、新しい白装束とわらじ、盆菓子や果物などを入れて、舟の周囲に枠を組んで、多数の小提灯で飾り立てる。
 流したときに提灯の火が燃え移って炎上したり舟が沈むととても縁起が悪いので、提灯の飾りつけには細心の注意が必要になる。
縁起が悪いとされているだけで、特に何かが起こるわけじゃない。


 俺が小さい頃に、祖母が亡くなったので舟を流すことになった。
我が家は祖父が器用な人だったので、流し舟は業者に注文するのではなく祖父が設計して造り、わらじも祖父が手編みしたものが入れられた。
 当日、波止場には漁船が来て、流し舟を海に浮かべる作業をしていて、当時は漁師だった父もその作業を手伝っていると聞いていたので、近くへ見に行きたかったけれど、母に、

「 危ないからウロウロしないで。
海に落ちたらどうするの。」

と叱られて、しっかり手を握られていたため見に行けなかった。
だから真っ暗な海を流れていく舟を眺めていた。
 提灯で薄ぼんやり輝いていて綺麗だったんだけれど、よく見たら他家の舟上で何か物色している黒い人影に気づいた。
 俺は思った。

“ 盆菓子や果物を食べてるんだな・・・。”

しばらくすると、人影は軽い身のこなしで別の舟に飛び移った。
 物色して欲しいものが見つからなかったのか、腹いせに提灯を叩いたから、その舟の提灯が大きく揺れて、火が燃え移って炎上した。
真っ黒で表情は見えないけれど、なんとなく人影が笑ったように感じられた。
 ここで俺は、やっと、

“ なんで真っ黒なままなの・・・?”

って気づいた。
 提灯の火に照らされたら普通は姿が見える。
でも、人影は黒いシルエットのままで、俺は急に怖くなって、

「 舟に誰かいるよ。」

って母に訴えたんだけれど、

「 いるわけないでしょ。
乗っていたら海に浮かべる前にわかる。」

と笑われた。
 どうやら母には見えていないらしかった。
でも人影が祖母の舟に跳び移って、わらじを手に取った途端に、

「 えぇ!?」

って、びっくりしたような顔をした。
後で聞いたら、母には空中にわらじが浮き上がったように見えたらしい。
 俺には、人影がわらじを手にとって履きたそうにしてるように見えていた。
冷静に考えたら、人影がわらじを手にとっても、位置的にわらじを目視するのは提灯に阻まれて無理だったはずなんだけれど、そのときは人影がわらじを掴んでいることが確信できた。
 怖くて声に出せないけれど、心の中で、

“ お爺ちゃんが、お婆ちゃんのために作ったんだから、ダメ!”

と思っていたら、なんでだか人影がこっちを見た気配がして、舟底にわらじを叩きつけ、そのまま怒ったみたいに提灯も叩かれた。
 でも、提灯は少し揺れただけで、蝋燭の火は燃え移らなかった。
祖父が頑張って組んだ枠に、しっかり繋がれていたからだと思う。
 何回か叩いていたけれど、やっぱり燃えなかったのが悔しかったのか、人影はピョンピョン舟を飛び移りながら遠ざかっていった。


 それだけのことなんだけれど、小さい俺にとっては怖かった思い出です。
そして、

“ あれは自分の舟を用意してもらえなかった無縁仏だったのかな・・。”

とも思いました。
 今では環境保護がどうのこうのってことで、舟には何も積んではいけないことになったので、あの人影が来ても、もう何も食べられないし着物や履物も手に入らない。
そう思うと、少しだけ可哀想な気がします。










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四枚の写真 12月8日 P25

2014-12-08 18:33:35 | _7,四枚の写真
四枚の写真 12月8日 P25 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 12月6日 P341

2014-12-06 18:04:20 | C,しづめばこ
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