大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

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C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 6月30日 歪み(2)

2017-06-30 20:05:03 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月30日 歪み(2)




 その日を境に爺さんすら兄に声をかけなくなった。
それから2年して大学進学のために兄は一人暮らしになった。
大学卒業の時に連絡は寄越したものの、それ以来連絡はこず、連絡手段もなく兄は行方不明になった。
 たぶん兄は自発的に行方をくらましたと思う。
婆さんを無視し続けた頃くらいから、家にいる事に嫌悪感を持ち始めていたそうだ。
 お釈迦様が現れたとき、爺さんは恐怖したのではなくて、声を出そうと思っても出なかったので、今話しかけてはいけないんだと本能的に感じたそうだ。
 元々船乗りだったのもあり、水の神様に昔助けてもらったとかで家にも色々祀ってあったような人だった。
 信仰深い人がそういうものを見るとそう思い込んでしまうのか、はたまたウソなのかはわからない。
ウソをつくような人でも無い人から、耳からお釈迦様と聞いたとき、ちょっと笑ってしまった。
 父親からの虐待については、兄以外はみんな大丈夫だった。
原因もハッキリしてて、兄は父に反抗的だったからだ。
 俺とか妹とかは理不尽な事を言われてもわからんから、ふんふんって聞いてるんだけれど、兄はそうじゃなかった。
最初の虐待があるまでは兄も聞き流してたけど、最初の虐待があってからはほとんど父を無視していた。









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日々の恐怖 6月28日 歪み(1)

2017-06-28 21:06:13 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 6月28日 歪み(1)




 爺さんから聞いた話だ。
父からの虐待がひどすぎたために、爺さんが兄を引き取る事になった。
 当時、兄は14歳だった。
兄が出て行ってから、俺は兄とは話したことが無い。
そして、今現在も行方不明だ。
 兄は、嫌がらせが好きな婆さんとよく喧嘩をしていた。
部屋にいる時は勉強をしているから話しかけないで欲しいとか、ご飯は自分で作るし貯金があるから構わないで欲しいとか、そういったことで、喧嘩になる事があったそうだ。
 しかし、人が嫌がることをやりたい婆さんはそれをやめなかった。
気を散らすようにわざと大声で叫びながら部屋の戸を開けたり、阪神が勝ったとか高校野球はどこが勝ったとか、お風呂に入ってても大声で兄に話しかけ、嫌がる事を続けたようだ。
 そのうち兄は説得を諦めて婆さんを無視するようになり、爺さんが婆さんを止めるようになった。
 ある日、糖尿病の通院で爺さんがおでかけするついでに、兄に何か買ってやろうと部屋に入った。
 爺さんが、

「 病院へ行くけど、たまには一緒に出かけないか?」

と声をかけるが、兄は聞こえていなかった。
机に向かって勉強するばかりで全く反応しなかった。
 聞こえていないと思った爺さんが、もう一度兄に声をかけようとした時、兄の耳からお釈迦様が出てきて爺さんは喋るのを止めたそうだ。









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日々の恐怖 6月27日 コールセンターの事件(4)

2017-06-27 19:29:51 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 6月27日 コールセンターの事件(4)




4)後ろにいたヤツ


 これが個人的に、マジで一番怖かった話です。
ここのトイレが人感センサーみたいなので、人が入ると自動的に点灯するんだが、長時間うんこで動かないと勝手に消える。
 その後、便器に座ったまま両手を振ったりして感知させようとするんだが、何故かまったく点かない。
 結局真っ暗なままうんこを終わらせ、手探りでトイレから出た。
トイレから出ようとしたところで突然点いたので、

「 なんだ、入り口にしかセンサーがないのか・・・。」

と思って振り向いたら、後ろに人がいた。
 思わず、

「 うわっ!」

と声が出た。
 でも、そいつは一瞬で消えてしまった。
一瞬だったので詳細はわからなかったけれど、紺色の服を着ていたように思う。
 俺より後に人が入ってきたらセンサーが働くはずなのに点いていなかったから、多分幻覚か妄想かなんだろうけど、これがマジで一番ビビった。











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日々の恐怖 6月26日 コールセンターの事件(3)

2017-06-26 21:18:32 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 6月26日 コールセンターの事件(3)





3)おばさん


 これは直接俺が関係したわけじゃないんです。
コールセンターはフリーダイヤルなのを良いことに、頭のおかしいヤツが電話をかけてきたり、長時間ねばったりするヤツがいた。
 例えば、女性向けの下着の通販で、女性に対して付け心地を聞いたりサイズを聞いたりする変態から、出ると突然歌いだすおばさんとか、とにかく色々でブラックリストみたいなものがあった。
 その中で一人、ある男性に執着したおばさんがいて、他のやつがとると、

“ Aさんに変わって!!”

と指名する。
 いないとそこからギャーギャー喚いて1時間くらい粘る。
変わったら変わったで、そこからAと世間話をしようとする。
一応客商売なので無碍にできず閉口する。
 ある日、いつものようにAが対応していたんだが、Aの様子がおかしい。
目が泳いでいて、こっちに助けを求めているように見える。
リーダーに伝えて交替したらまたギャーギャー喚いていたが、とりあえずリーダーが適当に対応していた。
 Aにどうしたのか聞いたら、

「 おばさんがいきなり、

“ あんまりコンビニ弁当食べちゃだめよ。
昨日も仕事帰りに買ってたでしょ。
三日連続で同じお弁当買うのはやめたほうがいいわ。
サラダも買いなさい。
 自転車通勤はやめて歩いたほうが健康に良いわよ。
最近少し太ったみたいだし。
そろそろ、去年着ていた茶色のピーコート出したら?寒くなってきたし・・。”

とか、言ってた・・・。」

と、Aの私生活に突然口出ししてきたらしい。
しかも、すべて当たっていて、茶色のピーコートも当然持っている。
 Aがおばさんの電話の対応をしだしたのは半年ほど前からなので、ほぼ1年前に着ていたコートを知っているわけがない。
それ以外にもAの私生活を知っている話を一方的に繰返して(2年前に別れた元カノの話とか)、Aが驚いて挙動不審になった。
 たまたま近所だった可能性もあるけど、そんな偶然ってあるか?
その後、Aは仕事を辞めておばさんからの電話も途絶えた。
未だに謎の事件だった。












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日々の恐怖 6月19日 コールセンターの事件(2)

2017-06-19 09:38:43 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 6月19日 コールセンターの事件(2)





2)きらりーん


 いつものように仕事をしていると、突然、電話の向こうから、

“ きらりーん。”

みたいな音がしたと思うと、相手の声が、

「 がっげっうっばっまっ・・・・。」

みたいな変な聞こえ方がするようになった。
 上手く表現できなくてすみません。
当然聞き取れなかったので、謝って再度言ってもらおうとしたところ、突然切れた。
 周囲を見ると皆同じようなキョトンとした顔をしていて、

「 消えた・・・。」
「 きらーんって、何・・・?」

と一斉に喋りだした。
 多分、混線とかそういうのだろうと思うんだが、何せ夜中のコールセンターだったので色々考えてしまった。
その後、しばらくして普通に電話が鳴って、普通に聞こえるようになった。
 ただ不思議なことに、その注文途中で切れた客からの苦情が一切なく、その後、商品が届かないという苦情も来なかった。






          ☆6月20日から一週間ほど、休みます。

                       大峰正楓









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日々の恐怖 6月18日 コールセンターの事件(1)

2017-06-18 20:37:44 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 6月18日 コールセンターの事件(1)





 10年ほど前、夜間のコールセンターのバイトをしていた時の話です。



1)冷たい手


 まだ入ってすぐくらいの頃です。
電話の対応をしていると、背中から腰あたりを突然冷たい手で触られた気がして、振り返ると誰もいない。
これを繰返した。
 俺の様子がおかしいのに気づいたリーダーが、

「 そこ、触られるでしょ。
場所移動してもいいよ。」

と声をかけられた。
 俺が、

「 よく出るんすか?」

って聞いたら、

「 その席だけね。」

と返事があった。
 以後その席に座らないようにした。
痴女の霊だろうか?
ある種の需要はありそうな気がする。










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しづめばこ 6月17日 P497

2017-06-17 19:09:40 | C,しづめばこ



 しづめばこ 6月17日 P497  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”



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日々の恐怖 6月15日 叔母(2)

2017-06-15 19:21:33 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 6月15日 叔母(2)




 その後、叔母は借金の件が片付き、正式に離婚をした。
そして、自分で部屋を借りて仕事を始め、良い人に出会い再婚した。
しかし、子供にも恵まれたが、夫に先立たれてしまった。
 それで、叔母はその心労からか、自分も病気になってしまった。
その入院していた病院が、私の家から割と近くだったこともあり、時々見舞いに行っていたのだが、その日は珍しく化粧もしていて、

「 どうしたの?」

と聞くと、

「 今日、お客さんが来るから。」

と返事があった。

「 見舞い客?
新しい彼氏でもくるの?」

と冗談で言ったら、

「 そういうのじゃなくて・・・。」

と言葉を濁した後、

「 明日には、もう会えないと思うから・・・。」

と私に形見分けをしてくれた。

「 まさか死神でも来るの?」

とさらに冗談を言うと、

「 結構、それに近いかもね。」

と笑っていた。
 その後、私は病院を出て自宅に帰った。
その数時間後、親父から叔母が息を引き取ったと連絡があった。
叔母には何が見えていたのか、もっとよく聞いておけばよかった、とちょっと後悔してる。










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日々の恐怖 6月13日 叔母(1)

2017-06-13 19:01:56 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 6月13日 叔母(1)




 叔母の話です。
叔母は若くして結婚したんだけど、相手が借金こさえて女と逃げたため、配偶者ということで連帯保証人でもない叔母に借金取りがきたりした。
 当時は借金取りが家まで押しかけてきて、ピンポンしまくったり扉をガンガン蹴飛ばしたりして、以前の家に住んでいられなくなったので、うちに一時居候していた時期があった。
最終的に借金は、父親が間に入って旦那と連絡をとりあって色々話しあいをして決着をつけたんですが、その間、叔母と当時小学生の私達家族が一緒に暮らしていた。
 ある日、叔母が突然、

「 今日、お客さんが来るからお茶菓子買いに行こうか。」

と言い出した。
 私は、

“ 誰か来るんだな・・。”

程度に思っていて買い物に一緒にいって家に帰ってきて、母に、

「 今日、誰が来るの?」

と聞いたら、

「 え?誰も来ないよ?」

と返事があった。

“ 叔母の勘違いか?”

と思っていたところ、突然電話が鳴り、親戚が、

「 今、仕事で近所にきているんだが、時間があるのでちょっとお邪魔しても良いか?」

と連絡があった。
 もともとこちらに来る予定はあったが、時間が無いのでそちらに行く予定はなかったのだが、先方の都合で突然ぽっかり時間が空いたので、ちょっと寄ると言うことだった。
もちろん、事前の連絡はしていない、と言うことだった。
 その後もそういうことが何度かあった。
特に、未来を予知する能力があるわけでもなく、単純に突然来る来客をあてる能力だけがあるという、役に立つんだか立たないんだかよくわからない人だった。










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日々の恐怖 6月11日 心当たり(2)

2017-06-11 21:09:52 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 6月11日 心当たり(2)




 どうにも扱いに困った様子の親族たちをよそに、ばあちゃんは従兄弟の背中を精一杯さすりながら、

「 大丈夫、大丈夫。」

と声をかけ、

「 その男の夢なら、ばあちゃんも見たことがあるんだよ。」

と話し始めた。

「 ばあちゃんはね、その質問にいつもこう返していたんだ。
家の軒下の鉢植えが枯れかけている、私も世話できずにいるし、きっと長くは持たないってね。
あの鉢植えたちに、ばあちゃんも悪いことをしてしまった。
もう、そうして押し付けておくのも忍びない。
だから、いいんだよ。
もういいんだよ。」

そんな風に言っていた。
 それから何日かして、ばあちゃんは亡くなった。
あのばあちゃんの話は、俺を含め、親戚みんなどう捉えていいのかわからずにいる。
 従兄弟を安心させようと、ばあちゃんが咄嗟に話を合わせて語って聞かせたのかもしれない。
 ばあちゃんが心配していた軒下の鉢植えは、まだ無事だった数鉢を俺が預かることにした。
幸い今のところ、黒い男が夢に出てくることはないままだ。











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日々の恐怖 6月8日 心当たり(1)

2017-06-08 19:12:33 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 6月8日 心当たり(1)




 病気で入院しているばあちゃんを、親戚揃って見舞いに行ったときのことだった。
実際、ばあちゃんの容体は芳しくなく、それは見舞った全員が既に知っていた。
ばあちゃん本人がどこまで自分の状態をわかっていたかは、俺にはわからない。
 そんな時、従兄弟が急にばあちゃんにしがみついて泣き出したんだ。
それも、子供が泣きじゃくるように、わんわんと泣いた。
 みんな焦っていた。
まるで、ばあちゃんが今にも死んでしまうとでも言わんばかりの騒ぎだからだ。
 なんとか落ち着かせてなだめようとすると、従兄弟は泣きながら、

「 自分のせいで、ばあちゃんが死ぬ。」

と言い出した。
わけがわからないなりに詳しく聞いてみると、夢の話だという。
 普通の日常的な夢を見ていたら、唐突に黒い男が現れて質問をされた。
道でも尋ねるような自然さに、従兄弟はつられるように答えてしまったらしい。

「 近々、死んでしまうものの心当たりはないか?」
「 ばあちゃんのこと?」

 目を覚ましてから、

“ 何てことをしてしまったのだろう。”

と思った。
 日々病状が悪くなりつつあるばあちゃんの様子に、あの男は死神だったのではないかと思うようになり、とうとう耐えきれなくなったとのことだった。










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しづめばこ 6月7日 P496

2017-06-07 20:14:05 | C,しづめばこ



 しづめばこ 6月7日 P496  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 6月5日 前にもここに来たことあるよ

2017-06-05 21:23:42 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 6月5日 前にもここに来たことあるよ





 いまだに不思議な出来事で混乱しています。
先日の連休に、富士急ハイランドへ遊びに行きました。
 彼女と初めての遠出で楽しく一日過ごして、帰りの高速バスに向うことにしたのですが、入園口が二つあって、高速バスの待っている入園口とは別の入園口から出てしまいました。

「 間に合うかな・・・・?」

愚痴りながらも、仕方なく園内の外をぐるっと回って歩くことにしました。
 途中トンネルを抜け、高速横の道路を進んでいくと草木の茂った道が続いています。

「 大丈夫なの?」

彼女が心配そうに声をかけますが、マップを頼りに今は進むしかありません。
 しばらく歩くと目の前にフェンスがあり、行き止まりかと思い目を横に向けると下に続く階段がありました。
小さなトンネルでした。
 何故か、

“ ここへは入ってはいけない。”

と直感したのですが、彼女に手を引っ張られるようにトンネルへと入っていきます。
 中は真っ暗で数十メートル先に出口の光が見えます。
早くここから出たい一心で、強く手を握りながら、

「 戦慄迷宮より怖いね!」

なんて冗談を言ったのですが、彼女はポツリと、

「 前にもここに来たことあるよ。」

反射的にその手を離していました。

“ 彼女ではない!”

 本能的にそう感じて出口へと急ぎます。
出口へ出ると同時に、トンネルから彼女の悲鳴が聞こえます。
 彼女が勢いよくトンネルから出てきて、僕の顔を確認するや否や泣き出してしまいました。
彼女曰く、トンネルへ入るとき、自分は手を引っ張ってなんかいない、引っ張ったのは僕の方だと言うのです。
そして、僕と全く同じことを彼女も体験していたのでした。
 お互い顔を見合わせバスへと向かいます。
結局、時間に間に合わずにチケットを新たに買うことになりましたが、いまだにあの体験は何だったのか不思議に思います。
 トンネルのことを調べてみましたが、検索しても見つからないのですが、どなたかご存知ですか?
あのとき僕等に語りかけたのは、いったい誰だったのでしょうか?












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