俺は、薄暗くなり始めた辺りを見回した。
この位置からは、川の両側の土手で視界は遮られ、外の景色は見えない。
川底は、人気の無い殺風景な河原が広がっているだけだ。
上には曇った空しかない。
“ ヤバイな・・・。”
俺は、このまま闇夜に吸い込まれて行くのだ。
“ もう、日が暮れる・・・・。
日が暮れたら、絶対、何かがやって来るんだ。
歌だ、歌だ、えっと・・・・。
きっと、今は、仲間を呼びに行っているのだ。
いや、今は、歌う歌を考えなきゃ・・・。
そのうち、得体の知れないものが、ワンサカ、ワンサカ・・・・・・。”
俺の頭の中では、ゲゲゲの鬼太郎の妖怪がいっぱい現れる。
そして、手を繋いで輪を作り、俺の周りを笑いながらグルグル回る。
“ ううっ、ヤメろ、ヤメろ、このォ~!!
ここで、俺の人生終わってしまうなんてヤダな・・。
あ、“人生いろいろ”とか、どうかな・・・・。
目玉いっぱいあるヤツとかも来るかな・・・?
えっと、確か名前は“百目”とか言ったかな・・・。
えっと、出だしは何だったかな・・・・?
えっと、あ、思い出した!
ヽ( ・∀・)ノ
チャラララ~、チャラララ~♪
チャラララ~、チャラララ~♪
チャラララ~、チャラララ~♪
チャラララ~、チャラララ~♪ ヽ(´∀`)ノ
♪ 死んでしまおうな~んて・・・・・・♪ Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン!
うっ、これ、ヤバイヤバイ、マジヤバイ。
出だしからヤバイ。
えいキックじゃ! ヽ(#゜Д゜)ノ┌┛Σ(ノ´Д`)ノゲシッ!
俺は、まだ、死にたくないぞ。
止めだ、止めだ。
短い人生だったなんてとんでもない。”
河原の冷たい風が俺の頬を舐めて行く。
“ 百目の長い舌でペロッと舐められて、うまそうだとか言われたら、どうし
よう。
どうしよう、どうしよう・・・・。
マズイぞ、とてもマズイぞ・・・・・。
そうだ、俺はとても不味い、それに、便所で手を洗っていないし、バイキン
だらけだって言わなきゃ・・・・。
えっと、歌、歌・・・・。”
俺は、支離滅裂な状態で、歌う曲を考え続けていた。
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