大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

しづめばこ 6月29日 P381

2015-06-29 19:03:59 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月29日 P381  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月28日 田中さん(2)

2015-06-28 17:21:34 | B,日々の恐怖


  
   日々の恐怖 6月28日 田中さん(2)



 分譲開始当時、図のH・I・L・Mの各区画は路地状敷地形態(不動産業界では敷延物件と呼んでいます)と言って、他区画に比べて不整形な土地であった為、他区画よりも販売価格を安く抑えて売り出されました。
不景気の世の中ですから、質より価格を選ぶ顧客は多く、この現場内でもH・I・L・Mの各区画はすぐに買い手がつきました。
 M宅の引渡しから半年程経ったある日、M宅のご主人が2階の納戸で首を吊って亡くなっているのが発見されました。
会社をリストラされて一家は離散し、残ったのは数千万の住宅ローンのみで追い詰められての自殺だったのでしょう。
 悲しいかな、このご時世を考えればよくあることですが、M宅は親族の要望で売主業者を通してエンドユーザーへ売却する運びとなりました。
完売前の分譲地内でこのような事件が起こることは、売主業者としても相当な痛手だったようで、当時、担当の田中さん(仮名)も長期戦を覚悟しなければならないと溜息をついていました。
 そうは言っても、それから1年も経った頃には、G・N・Q・R区画とM宅を除く区画は買い手がついていたのですが、この頃から分譲地に住まわれているいくつかの家庭に立て続けに不幸が起こり始めました。
 まず、L宅でボヤ騒ぎが発生しました。
幸い死傷者も出ず、被害も周りに及ぶほどのものではありませんでした。
次に、I宅のご夫婦が離婚され売却する運びとなり、J宅では奥様が交通事故で亡くなられました。
 すべて偶然なのかもしれませんが、こうも立て続けですと、さすがに不気味過ぎるとのことで、分譲開始から2年を経過した頃、売主業者から私の勤めている会社にG・N・Q・R区画の販売委託の話が持ちかけられ、現在に至ります。
 そのような現場でしたが、私達としては、取り立てて特別視することもなく、いつものように物件を調査し、現地や周辺環境の確認する運びとなりました。
分譲地内の居住者宅を訪問した際、S・T区画には2区画を同時に購入して整骨院を開業した先生が住んでいるのですが、気さくな方だったのでお話を伺ってみたところ、

「 M宅に隣接している家でばかり不幸が続いているような気がして不気味だよねぇ。」

と笑っていました。









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しづめばこ 6月27日 P380

2015-06-27 22:31:08 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月27日 P380  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月26日 田中さん(1)

2015-06-26 19:42:15 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 6月26日 田中さん(1)



 不動産屋さんに話を聞く機会がありました。

 お話させて貰ってもよろしいでしょうか?
自覚している限り、霊能力はゼロに等しいと思っている私が先日体験した話です。
少し状況を整理したいので前置きが長くなってしまいますがお許しください。
 私は埼玉県の不動産屋で働いています。
取り扱っているのは売買の仲介であり、広告媒体等に掲載する為に物件を調査し、現地写真を撮影しに行くのも仕事の一環になっています。
 とあるデベロッパーが新築分譲した全20棟の大きな現場があるのですが、この現場が今回体験したお話の舞台となります。
 現場の配置は下記のようなかたちになります。
行間等がメールでずれて見づらくなってしまったらすみません。


──────────────  北
┐ ┌ ┬ ┬ ┬ ┬ ┬ ┐ ┌ ↑
│ │A│B│C│D│E│F│ │
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│ ├ ┴ ┴ ┼ ┴ ┴ ┤ │
│ ├ - ┐ │ ┌ - ┤ │
│ │G   │H│I│   J│ │
│ ├ - ┼ ┼ ┼ - ┤ │
│ │K   │L│M│   N│ │
│ ├ - ┘ │ └ - ┤ │
│ ├ ┬ ┬ ┼ ┬ ┬ ┤ │ 
│ │ │ │ │ │ │ │ │
│ │O│P│Q│R│S│T│ │
┘ └ ┴ ┴ ┴ ┴ ┴ ┘ └
┐ ┌─────────┐ ┌


案の定、思い切りずれてますね。
すみません。

 新築分譲とは言っても、販売が開始されたのは3年ほど前からの売れ残り現場です。
立地条件も申し分なく、価格帯も適正な現場である為、1年もあれば完売するだろうと誰もが見込んでいた現場でしたが、図のN・Q・R区画は未だに買い手がつかず、売主業者も頭を抱えている状況です。
 ではどうして買い手がつかないのか?
それはこの現場が“出る”と噂される現場だからなのです。










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日々の恐怖 6月24日 フワフワ

2015-06-25 14:28:21 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 6月24日 フワフワ



 10年くらい前の話です。
大学4年間、親戚の不動産屋の紹介で、繁華街の雑居ビル屋上のプレハブに住んでいた。
プレハブなので冬寒く夏暑かったが、約18畳部屋でシャワー付、駅徒歩6分で月3万円だった。
 安くて良かったのだが、変なものを月に一度か二度見るのには困った。
屋上の3分の1ぐらいがプレハブを占めていて、あとは給水タンクと庭みたいになってるのだが、その庭みたいな空間に、夜中の2~3時になると、変なものがユラユラ踊っている。
 西洋の幽霊みたいな、ぼんやり光る白いシーツを被った人型のものがフワフワする。
屋上を浮かびながら、それがゆっくり円を描く。
 初めて見たのは、引っ越してから2週間ぐらいした夜のことだった。
非常階段から不審者が忍び込んだのかとバットを持って、

「 こらっ!」

と声をかけたが、そいつはこっちを振り向くと、じわーっと消えていって終わりだった。
それで、この世のものじゃないとわかって、やっとビビったぐらいだった。
 うちに泊まって見た友人も2人いる。
1人は、夜中にトイレに起きた時に見て、

「 どちらさん?」

と声をかけたら消えてしまったようだ。
 もう1人は、これが見たくて何度か遊びに来てて、4度めに見た。
声をかけずに見てたら、ずーっと周ってて、友人がタバコに火を付けた瞬間に消えた。
 ちっとも怖くはないんだけど、気持ち良いものじゃないんで、屋上に粗塩ぶちまけてみたり、日本酒ぶちまけてみたり、色々したけれど効果は無かった。
 親戚の不動産屋に話してみたら、

「 だから、安いんだよ。
でも、害はないだろ?」

で終わりだった。
 そのうち、出てくる周期が、満月か新月の日だとわかったんで、その日は早寝してた。
飲み屋で知り合ったオッサンに、話の序でに相談してみたら、

「 それがいるから、他のが来ないんだろ。
ぐるぐるしてるだけで害がないなら放っておいたら・・・。」

と言われた。
 実際、そのプレハブに住んでた4年間は、特に実害も無く平穏な日々だった。
それも驚くぐらいに怖くない奇妙な経験だった。











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しづめばこ 6月23日 P379

2015-06-23 22:30:57 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月23日 P379  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月21日 知らない誰か

2015-06-21 18:37:20 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月21日 知らない誰か


 ある日の深夜、Aは友人に金を貸しっぱなしだったことを思い出し電話をかけた。
深夜に電話をかけて金の催促なんて非常識だけどAはその時金に困っていて、もしすぐ返してくれるならなかなかの大金が返ってくる予定だった。
 電話をかけた、と簡単に言うもののAはその友人と重大な連絡を取る機会が無かったため基本はLINEやSkypeで会話していた。
 そのため普通に電話をかけるのは初めてだった。
LINEやSkypeが使えない時用にメモってあった電話番号を見ながらキーパッドに入力してかけた。
 数回コールしたのち、低く通った声で、

「 もしもし?」

と友人が出た。
 Aは友人が電話に出るなり金を返せとまくしたてた。
すると友人、今日買い物のついでに金を下ろしたから今すぐ返せる金が手元にあると応答した。
 それならいいかと安心したAはいつも通り友人とくだらない話を開始した。
話題はセブンイレブンのコマーシャルでやっていた食べ物になり、

「 あれ美味そうだよな~。」

と何気なくAが言ったところ、友人は、

「 じゃあさ、俺の家の近くに毎回品切れ率が低いセブンあるからさ、そこ寄るついでに俺の家来いよ。」

 Aは、それは名案だと思い支度をして、携帯片手にチャリを漕いだ。
友人の家の場所を忘れたと言うと電話で案内してくれるとのことだった。

「 真っ直ぐ行ったら突き当たりにパーキングエリアあるだろ?
そこ右に出て大通りまで。」
「 弁当屋あった?
じゃあさ、そこの横に細い道あるから入って、近道になるから。」

Aは、友人の指示が的確で分かりやすかったこともあり、家の場所を思い出してきた。
 しばらくチャリを走らせているうちに完全に思い出す。
もう電話の案内はいいなと思い、一言言って電話を切った。
 友人宅に到着した。
しかし、部屋が暗い。

“ あいつあの短時間で寝たのかな?”

と思い呼び鈴を連打した。
 すると友人が全く予測していませんでした、と言わんばかりの不機嫌な顔で出てきた。

「 何だお前!?
時間考えろよ!?
ふざけんな!!」

Aも言い返す。

「 お前が今から金返すっていうから来たんだろうが!!!」

友人は、

「 は?金?
ああ、返してないな。
 けど、俺そんなこと言ってないぞ?
第一、お前に電話してないし。」

その言葉を聞いて不思議に思ったAは携帯を出して、通話履歴を見た。
やはりそこには友人の電話番号がある。
この履歴を友人に見せてはい論破した。
そう思っていたのもつかの間、衝撃の事実が友人の口から飛び出した。

「 いや、あのさ、俺が自分の電話番号覚え間違えるってことは無いと思うけどさ、お前この番号違くね?」

 Aは段々怖くなってきたので、友人に念のため携帯で確認するよう頼んだ。
やはり番号はAがメモを間違えて取っていたことが発覚した。
つまりあの電話は完全に間違い電話だったらしい。
 一連の流れの後、友人は恐怖に怯えているAに優しく声をかけた。

「 まあ、あのさ、お前が間違い電話かけた相手もたまたま金の件に心当たりがあったんだろ。
すげえ偶然だな。
 金はさ、悪い。
今週中には返せるから。」

しかしAの恐怖心は収まらない。
理由を友人にまくしたてるA。

「 だって!だってな!
俺、間違い電話の相手に自宅からここまで案内してもらったんだぞ!!」

 その一言で友人もゾッとした。
事実ならば、Aの家どころか友人の家も何者かに割れているからだ。
 そしてAは電話に怯えている。
その理由は、自分にかかってくる電話に出たら、またあの友人に似た低い声のヤツが出るかもしれないという予感がするからだ。









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しづめばこ 6月20日 P378

2015-06-20 19:03:27 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月20日 P378  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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しづめばこ 6月18日 P377

2015-06-19 12:48:57 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月18日 P377  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月17日 墓参り

2015-06-17 17:57:13 | B,日々の恐怖


  日々の恐怖 6月17日 墓参り


 これは祖母から聞いた話だ。
大昔、父方の祖母には2歳離れた兄(俺の大伯父)がいた。
その大伯父が、山一つ越えた集落にいる親戚の家に、両親に頼まれ届け物をしに行った。
山一つと言っても、子供の脚で朝一に出発すれば夜には帰って来られるくらいの距離だ。
歩き馴れた山道で、大伯父はいつも朝一に出て、夕方ちょっと過ぎには帰って来ていた。
 しかしその日は、夜を過ぎても大伯父は戻らなかった。
向こうの親戚の家に厄介になっているのだろうと、両親はあまり心配もしていなかったが2日経ち3日経ったところで、そろそろ畑仕事も手伝ってもらいたいからと、親戚の家に大伯父を迎えに行った。
 ところが、大伯父は親戚の家にいなかった。
いないどころか、来てもいなかった。
 慌てた両親は、自分の村と親戚の集落の人に頼んで、両方から山狩りをした。
しかし、大伯父は発見されず、行方不明として処理をされた。
祖母10歳、大伯父12歳の夏だった。


 そして、月日は流れ、俺がまだ鼻たれ坊主で、ファミコンが出るちょっと前の夏休みのことだ。
当事小4だった俺は、友達3人と一緒に、朝から山へクワガタを取りに行った。
 その辺りの山は、一族(と言っても、親父を含めその兄弟)で所有している山だ。
だから、普段からよく遊んでいた。
迷った事は一度もなく、その日も奥へ奥へと進んで行った。
 最初のうちは、四人仲良く虫を捕っていたが、やはり虫の大きさで争いが起こり自分だけででっかいの捕ってやる!となり、それぞれがバラバラに虫捕りを始めた。
木を蹴飛ばしたり、登ってみたり、根元を掘り返してみたり、夢中になって虫を探していた。
 太陽も真上になり、お腹も減ったしそろそろ一度戻ろうかと辺りを見回すが、自分が何処にいるのか分からない。
まあ、小さい山だし、下って行けばそのうち知ってる場所に出るだろうと、斜面を下って行った。
 ところが、日が傾きかけても一向に下山できず、歩き疲れるわ腹は減るわで、歩くのを辞めその場で泣き出した。
すると、突然目の前に男の子が現れた。
本当に突然だ。
パッと現れた。
 それに驚きながらも、人がいたことに安心した。
見た感じも、自分よりも少し大きいくらい。

「 なんだ、迷子になったのか。」

短くそう言うと、その男の子は俺の手を引いて歩き出した。
 手を引かれながらお互い自己紹介をし、話をしながら少し歩くと見覚えのある道に出た。

「 ここまで来れば、分かるな?」

その言葉に頷き、

「 ありがとう。」

と言うと、

「 ○○(祖母の名前)によろしく。」

と、男の子はまた山に戻って行った。

“ 何でまた山に・・・?”

と不思議に思いつつ、暗くなっていく中、家に帰った。
 家に帰り、実家の隣に住んでた祖母に今日あったことを話した。
すると、最初に話した内容を、祖母が俺に話してくれた。
そして次の日、祖母に連れられ墓参りに行った。


 さらに月日は流れ、去年の夏だ。
小5の息子が、夏休みと言うこともあり、家でダラダラと過ごしていた。
 そこに、暑さでイライラしていたのか、俺の嫁から外で遊べとカミナリが落ちた。
昼飯を食べたあと、仕方なく息子は3DSを握りしめ自転車に跨がり、友達が集まっているであろう、図書館へ行こうとした。
 ところが、何を思ったのか、息子は自転車に乗って件の山へ向かった。
名前を呼ばれたからと後で言っていた。
それから夕方になった。
しかし、17時になっても息子は帰って来ない。

“ 友達のところで時間を忘れて遊んでいるのか・・・?”

と、あちこちに電話したがいない。
町内も探してみたが、全然見付からなかった。
 19時になっても戻って来なかったので、警察に捜索願いを出そうとした時、やっと帰ってきた。
 怒鳴る嫁を尻目に、息子が俺に言ってきた。

「 ○×君(大伯父の名前)が、たまには墓参りに来いって怒ってたよ。」

その名前を聞いて、昔の記憶が蘇る。
この30年忘れていた。
 さらに息子は、

「 昔助けた恩を忘れたか!って言ってた。
パパ、山で迷子になって鼻水垂らしながら泣いてたんだって?
ダセェ~!」

固まる俺に、嫁が、

「 どうしたの・・・?
○×君って、誰よ?」

と矢継ぎ早に聞いてくる。

「 まぁまぁ・・・・。」

とお茶を濁し、晩飯を食べて久しぶりに息子と風呂入って詳しく話を聞いた。
 息子曰く、家を出たら、山の方から何度も自分を呼ぶ声が聞こえた。
何だろうと思って行ってみたら、着物みたいの着た、見たことない男の子がいた。
 一緒に遊ぼうと言うから遊んだ。
そしたら、パパの事を知ってるみたいで、いろいろと昔の話を聞いた。
 よくこの山で遊んでた事、迷子になって鼻水垂らしながら泣いてた事、親に反発して山でタバコ吸ったけど、気持ち悪くなってゲロ撒き散らした事、などなど、おおよそ、俺が山でした事を色々と聞いていた。
 話が面白く、聞いたり質問したりしていたら、帰りが遅くなってしまった。
合流したとこまで送ってくれて、最後に、

「 ○○がうちの孫は誰も墓参りに来ないと嘆いている。
助けた恩を忘れていないなら、○○の墓参りに来い!」

って言ってた。
 その話を聞き、

“ そういや、ばぁちゃん死んでから墓参り一度も行ってないな・・・。”

と思っていたら、その夜、夢に大伯父が出てきた。
 12歳の姿の大伯父に正座させられ、小さくなりながら説教をされた涙目の40男の俺は情けない。
次の日、遅まきながら嫁と子供達を連れ墓参りに行った。










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しづめばこ 6月14日 P376

2015-06-15 11:49:11 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月14日 P376  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月13日 勝った子供

2015-06-13 17:46:44 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月13日 勝った子供


 去年の夏に起きた話です。
当方普通の30代サラリーマンで、家族は妻と小学生の子供2人です。
 丁度1年前の8月初旬に、仲良くしてる家族とキャンプに行ったんです。
相手家族もうちと同じで、夫婦に子供2人の4人。
合計8人でのキャンプでした。
 そのキャンプ場では、テント2張と山小屋1件を借りました。
テントはそれぞれの夫婦で1張ずつ使い、子供たちは山小屋で寝る事にしました。
 山小屋は普通のベッドが2つと、ロフトベッドが2つありました。
夜は山小屋で8人で遊んで、子供が寝たら親たちはテントに引き上げて寝るということにしました。
 子供たちを山小屋に連れて行くと、どちらの家族の子供たちも珍しいロフトベッドに寝たがりました。
無理もありません、子供は珍しいものが大好きですから。
 そこで、ジャンケンをして勝った2人がロフトベッドを使い、負けた2人は普通のベッドで寝ることにしてジャンケンをさせました。
何回かのジャンケンの後、うちの長男と友人家族の下の子がロフトベッドを使うことにきまりました。
 その後は特に問題もなく、川遊びやバーベキュー、花火や山小屋に帰ってのトランプなどで、11時近くまで8人で過ごしました。
 11時近くなり、さすがに子供たちも眠そうになってきたので、入浴や着替えをさせて、11時半頃に子供たちは床に着きました。
その後我々大人たちは酒を飲み続けた後シャワーを使い、12時半頃にそれぞれのテントに引き上げて寝ました。

 翌朝7時半頃、起きて山小屋の子供たちのところへ行きました。
するとうちの長男が、不思議なことを言うのです。

「 昨日の夜、寝てるとき、何度もふとんを足元から引っ張られたんだ。」

“ えっ?”

と思いました。
 そして、やはりロフトベッドで寝ていた友達の子供も言うのです。
寝ているときに、何度も、

「 ボクのだよ・・・、ボクのだよ・・・。」

って声が聞こえた、と。
 不思議に思いました。

“ 下に寝ていた子たちか、それとも部外者か?”

しかし、下の普通のベッドに寝ていた他の2人の子供は、何事もなく朝まで熟睡していたそうです。
 何か奇妙な気もしましたが、特に実害があったわけでもないので、そのまま朝食をみんなで食べて、その後の予定をこなすうちに、その子供たちの奇妙な話は忘れていました。
 しかし、旅行から帰った翌日、友人から電話を受けたのです。

「 おい、変なのがあったから、うちに来てくれ!」

友達の家に行くと、

「 これを見てくれ。」

と、ビデオを見せられました。
 友達はキャンプ中、ホームビデオをずっと撮っていたのです。
それを再生していました。
 すると、山小屋に入って、子供たちがベッドを決める場面が映っていました。
4人の子供たちが、

「 よーし、じゃあジャンケンで決めるよ!
最初はグー、ジャンケン、ポン!!!」

とジャンケンをした場面です。
 もちろん4人でのジャンケンですから、最初の1回目は全員がチョキを出したのであいこになり、2回目、3回目とジャンケンが続いていく様子が映っていました。
 友達が私に言いました。

「 おい、分かったか?」
「 うん?よく分からないけど・・・?」
「 じゃあ、もう1回巻き戻すから、画面の右下をよーっく見てろよ。」

そこで、もう一度巻き戻して再生された画面の右下を注意深く見つめました。
 すると、よーく画面を見ると、右下にうっすらと霞むようにですが、白い手がグーを出しているのです。
4人の手のはずですが、その1回目のジャンケンだけ、手が5本あったのです。
 おそらくですが、ふとんを引っ張ったり、

「 ボクのだよ・・・。」

とつぶやいたのは、その白い手のジャンケンで勝った子供が、自分の場所だと主張したのではなかったかな、と思いました。
 その後は特に何もなかったのですが、1年経って友達と今年の夏の予定を話していたときに、去年の出来事を回想した次第です。











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日々の恐怖 6月12日 出られない

2015-06-12 19:21:03 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 6月12日 出られない



 2か月ほど前のある晩に、友人から電話がかかってきた。

「 部屋から出られなくなったから助けに来てくれ。」

と言われた。

「 何かあったのか?」

と聞くと、

「 出口が分からない、迷った。」

との事だった。
 俺は冗談だと思って、

「 何言ってんだ、お前?」

と返しても、すごい真剣な声でお願いされるもんだから、仕方なく友人の住むアパートへ行った。
 それで、アパートに着き、インターホンを押しても反応が無く、鍵もかかってなかったので、ドアを開けて中に入った。
中は見たところも特に変わったことはない。

「 おい来たぞ!」

と大声で話すと、友人から、

「 助けてくれ。」

との返事があった。
 何か事故でもあったのかと、すぐに部屋の方にいくと、友人が部屋(リビング)の真ん中でポツンと立っていた。

「 おい、ふざけんなよな!」

と友人に言っても、

「 本当に出られないんだ。」

との一点張り。

「 何ともねえだろ、外に出てみろよ。」

と言うと、友人は部屋から出た。
 友人の部屋は2LDKで、リビングと寝室が繋がっていて、2つの部屋も玄関に続く渡り廊下からも入れるような作りだ。
 友人は玄関の方に向かったと思いきや、いきなり曲がって寝室に入っていって、また、そこからリビングに戻ってきた。
友人は真っ青な顔しながら、また、部屋からでると、またぐるっと回って部屋に戻ってきた。
 流石に俺も、

「 お前、ふざけてんじゃねえぞ!」

とキレ気味で言うと、友人は、

「 本当に分からないんだ。」

と言ってきかない。
 どうやら様子がおかしいので、俺は友人を家から連れ出した。
これはただ事じゃないと思って、どうしようかと悩んで、とりあえず俺の家に泊めることにした。

 翌日、会社を休んで、とりあえず友人を病院に連れていった。
診断の結果、脳梗塞とのことだった。
命には別条はないようだが、しばらく入院が必要とのことだった。
脳に異常があると、ああも奇妙な行動を起こすものだと、個人的に怖かった。




 うちの親父の運転手も同じ症状を呈した。
毎日通ってる自宅→会社への道なのに、ある日急に同じ道をグルグル回り出し、

「 道が分からない、どこにいるのか分からなくなった。」

と、自分の頭をバンバン叩いて泣き出したそうだ。
親父が心配して精密検査を受けさせたら、アル中+軽い脳梗塞だったらしい。










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しづめばこ 6月11日 P375

2015-06-11 19:35:38 | C,しづめばこ


しづめばこ 6月11日 P375  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 6月10日 影

2015-06-10 18:53:49 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月10日 影


 俺、最近、沖縄に出張したんだけど、妙な体験したから話します。

 沖縄本島南部に支社作るからって、短期間アパート住まいだった。
夜中にタバコ吸おうと、外に出た。
歩いて5分くらいの場所に街灯一つ、販売機が3つ並んでる所がある。
周りは畑って状態。
 コーヒーを買い、自販機の前に座りタバコに火を付ける。
何時ものパターン。
ボーっとしながら月や、街灯、自販機の反射で座ってる自分影を見てた。
座ってるから、ごみ袋にボールのせたような影一つ。
 5分くらいして、またタバコに火を着けた。
これ吸ったら帰って寝ようと思い、何気なく自分の影を見たら横にもう一つ影がある。
同じように座ってる影。

“ あれ・・・?なにこれ??”

って、感じで固まってしまった。
 10秒くらいして、2つの影にもう1つ加わった。
今度の影は立ってる状態。
挟まれた感じに。
 両方からスゲー視線を感じる。
それも、すぐ側から。
 固まった状態のままでも目を動かした範囲に誰もいない。
この雰囲気に耐えれなくなりダッシュで家に逃亡した。


 後に、地元の従業員にこの話したら、

「 あー○○さん、□□地区っすよねー。
あっちは戦争の時の防空壕とか見付かってないのが沢山あるんすよ。
見つけて欲しくて出てきたんじゃないすかー?」

「 ○○さんの行く販売機の裏の畑に小さな慰霊碑気付かなかったです?
ありますよ~。
20年くらい前、ここ山と畑だったんですが、人骨が数十体出てきたりした場所ですし・・。」

「 今年も戦中の遺骨収集ありますよ、参加します?」

こんなのばかり言われた。
慣れてる沖縄人が怖い。









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