日々の恐怖 6月13日 コンビニ(4)
それから数日経ったある日、そのことを相方に聞いてみた。
「 え!?行ったのお前!?」
「 ハイ暇だったんで、バイクで。」
おでんの具を仕込んでる俺の斜め前で、相方はホット飲料を補充しながら普通にそう答えた。
「 よくやるね。
で、おばさんいたの?」
「 いませんでした。
帰ろうかと思って振り返ったらババア登場。」
「 怖っ!!」
「 さすがにビビリましたよ。」
「 で、どうなったの?」
コンニャクの水切りをしながら、俺は背中で相方の話を聞いていた。
「 よう来たね。
私はあんたが今日ここに来ることを分かっていた、なんちゃら、かんちゃら・・・。」
「 気味悪りぃな。
で、トンネルがなんちゃらっては・・・・?」
「 あぁ、それなんすけどね。
俺も初めて知ったんすけど、ホントにトンネルがあったんすわ。
多分、昔に使われてたかなんかじゃないですかね?」
「 どうしたの、それから?」
浮かんでくるコンニャクをつつきながら、興味津々に俺は聞いた。
「 おばはんが言うにはですね、そのトンネルは・・・。」
以下、相方がおばさんから説明された事を掻い摘んで説明すると、そのトンネルはその昔、
配送のトラックが主に使っていたトンネルで、ある時人身事故が起こった。
で、後はお決まりのパターンで、それ以来幽霊が出るとの噂が立った。
しかし、当時そのおばさんは、そのトンネルを通らないことにはかなり迂回して通学せねばならず、
どうしても使う必要があった為、霊感のあるという近所のお婆さんに親子で相談した。
すると、おばさんはお婆さんから、
「 あそこは霊の溜まり場になっている。
トンネルに一人で行って、入り口で頼みなさい。
今はあなた達の居場所だが、元は皆のもの。
私は通学に使うだけだから、騒ぐ事は無いし悪さもしない。」
と言われたそうだ。
おばさんは、言われた通りにすることにした。
その旨を、お婆さんに伝えると、お婆さんはおばさんに向けてこう告げた。
「 霊達は、
このトンネルを通る時は声を出さないように、また、通る時は必ず一人で通るように。
もし、お前が声を出せばお前を呪い殺す、誰かと通れば傍にいるものを呪い殺す。
そう言っている。」
おばさんはその言い付けを頑なに守っていたそうだが、ある日、貧乏をバカにする同級生の女の子に我慢が出来ずに、
トンネルのことを教え、連れて行ったそうな。
結果何も起きずに笑われて終わりだったそうだが、数日後にその子は病気になり、やがて亡くなったと。
そんなことがあって以来、そのおばさんは気に食わないことがあると、
そのトンネルに人を連れて行っては呪い殺して来たそうだ。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。