大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月30日 コンビニ(6)

2024-06-30 12:34:38 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月30日 コンビニ(6)





 そこまで話して作業に入った俺は、

” どうやら、あいつ、生きているみたいだし・・・。
それにしても、呪い殺す話は、どうなったのかな?
ま、違う方向からのバチはあたったみたいな気もするけど・・・。”

と思いつつ、客も退けた深夜に件の出来事をオーナーに作業をしながら聞いてみた。

「 いや実は、大体5時過ぎに来るおばさんがいて・・・・。」

そこまで言うとオーナーの顔つきが変わった。

「 何!?あのおばはんまだ来とんか!?この店!!」
「 いや・・・、え?知ってんすか?」
「 何時頃や!来んの!?」
「 5時、過ぎぐらいっす」
「 もうすぐやん・・・・。」

オーナーはおもむろに豚まん二つを袋に取りだすと、

「 後捨てといて!!
食いたかったら食ったらええし!!」

そういうと、雑誌コーナーの写真週刊誌と共にバックに大急ぎで消えて行った。
 仕方無く一人で淡々と作業をこなしていると、

” ピポピポ~ン。”

来客を知らせるチャイムが店内になり響く。

「 いらっしゃい、ま・・・・。」

あのおばさんだ。
 いつものようにカゴに水風船を詰めている。
しばらくしてレジに来た。

「 合計で○○円になります。」

しかし、代金が出て来ないので顔を上げた。

「 っ・・・!!」

俺は言葉を失った。
何故か顔が泥だらけで、おばさんはニヤニヤ笑っている。
おもむろにおばさんは、レジ横に置いてある割り箸を掴むとマイクのように持ち、

「 ややご~、悲しいややご~、仕事をしておくれ~♪」

と、自作っぽい気味の悪い歌を歌い出した。
ボ~然と立ちつくす俺の目の前で割り箸を置き、ニタニタ笑ってこう言った。

「 兄弟がいっぱいいるからねぇ。
気ぃつけんとな。」

 相方は頭も良かったし、人当たりもいい。
おもしろいし遊びも知っている。
ルックスも良いし、仕事の要領も良い。
その反面どこか人を見下したような感覚があり、特に女に対してはそうだった。
その報いを受けたのかどうかはわからない。
その後、相方はどうなったのかは知らないし、一切連絡は取って無い。
オーナーに聞いても、

「 気にするな。」

の一点張りで何も教えてくれない。
いまだにそのおばさんは、うちの店に来ては相変わらず、

「 子供がねいっぱいいるんよ。
機嫌のええ時はいいんやけどね。」

と、訳のわからない事を呟いている。

おばさんの言う呪いで相方に天罰が下ったのかどうかは知らないが、
最近何故か、やたらと大量のライターまで買うようになった。








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日々の恐怖 6月20日 コンビニ(5)

2024-06-20 15:49:25 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月20日 コンビニ(5)





 俺は相方に質問した。

「 で、どうなったの?」
「 おばはんと一緒にトンネル往復して・・・。
なんか途中でお菓子バラまいてましたね。
頭おかしいっすよ。」
「 それからなんとも無いの?」
「 全然。
俺小さい頃はそういうの見えてた気ぃするんすけど。
あのおばはんは、多分偽物っすよ。」
「 あのおばさんがよく言う兄弟って、その幽霊のことなんかな?」
「 さぁ・・・・。
中華まんもう捨てます?
どうせ売れないでしょ?」
「 食っていいよ、10時間以上経ってると思うけど。」

だそうで、俺が、

「 それ、やばいんじゃないか・・・・?」

と相方に聞いてもヘラヘラ笑ってるだけ。
本人が何とも無いと言うのだし、多分そのおばさんも怖がらせるつもりでやったんだろうと思っていた。

 それから数日経って、その相方とのシフトの曜日になったが、時間になっても相方が来ない。
いつもは一時間前ぐらいに来て、店内の雑誌をバックに持ち込んで読んでいる奴だったんだが、
その日に限って5分前になっても来ない。
 俺が、

” おかしいなァ~?
なんで来ないんだ?
ひょっとして、あいつ、呪い殺されたとか・・・・。”

と思いつつ、電話しようかと思った矢先、オーナーがひょっこり顔を出した。

” 丁度いい、聞いてみよう!”

俺はオーナーに聞いてみることにした。

「 あれ?オーナー、どうしたんですか?
えっと、○○は?」
「 あ~、あの子なぁ。
辞めた、というかクビにした。」
「 えっ!
店内不正ですか?」
「 いやなぁ・・・・。
なんか、あの子に孕ませられた女の子の親が怒鳴り込んで来てなぁ。」
「 あらぁ・・・。」
「 そうこうしてたら、二人組の若い姉ちゃんが入って来て。
その片割れが、
『 ここに○○言う奴おるやろ!?そいつ出せ!!この子赤ちゃん出来たんや!!』
と・・・。」
「 奇跡のバッティングですね・・。」
「 そしたらTちゃん(休日の昼間に入ってるバイトの女子高生)が泣き出してなぁ。
『 ○○君、私と付き合ってんのにぃ~!!!』
やとさ・・・。」
「 そうなんですか、あいつ。」
「 んで、とりあえずあいつ辞めたことにして客帰らせて・・・。
あいつに電話して、今日付けでクビ、と。」
「 大変ですね、オーナーも。」
「 何を他人事のように。
ワシ腰やってるから、レジしかやらへんで。」
「 ハァ!?ちょっ!!」










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日々の恐怖 6月13日 コンビニ(4)

2024-06-13 21:05:36 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月13日 コンビニ(4)





 それから数日経ったある日、そのことを相方に聞いてみた。

「 え!?行ったのお前!?」
「 ハイ暇だったんで、バイクで。」

おでんの具を仕込んでる俺の斜め前で、相方はホット飲料を補充しながら普通にそう答えた。

「 よくやるね。
で、おばさんいたの?」
「 いませんでした。
帰ろうかと思って振り返ったらババア登場。」
「 怖っ!!」
「 さすがにビビリましたよ。」
「 で、どうなったの?」

コンニャクの水切りをしながら、俺は背中で相方の話を聞いていた。

「 よう来たね。
私はあんたが今日ここに来ることを分かっていた、なんちゃら、かんちゃら・・・。」
「 気味悪りぃな。
で、トンネルがなんちゃらっては・・・・?」
「 あぁ、それなんすけどね。
俺も初めて知ったんすけど、ホントにトンネルがあったんすわ。
多分、昔に使われてたかなんかじゃないですかね?」
「 どうしたの、それから?」

浮かんでくるコンニャクをつつきながら、興味津々に俺は聞いた。

「 おばはんが言うにはですね、そのトンネルは・・・。」

 以下、相方がおばさんから説明された事を掻い摘んで説明すると、そのトンネルはその昔、
配送のトラックが主に使っていたトンネルで、ある時人身事故が起こった。
で、後はお決まりのパターンで、それ以来幽霊が出るとの噂が立った。
 しかし、当時そのおばさんは、そのトンネルを通らないことにはかなり迂回して通学せねばならず、
どうしても使う必要があった為、霊感のあるという近所のお婆さんに親子で相談した。
すると、おばさんはお婆さんから、

「 あそこは霊の溜まり場になっている。
トンネルに一人で行って、入り口で頼みなさい。
今はあなた達の居場所だが、元は皆のもの。
私は通学に使うだけだから、騒ぐ事は無いし悪さもしない。」

と言われたそうだ。
 おばさんは、言われた通りにすることにした。
その旨を、お婆さんに伝えると、お婆さんはおばさんに向けてこう告げた。

「 霊達は、
このトンネルを通る時は声を出さないように、また、通る時は必ず一人で通るように。
もし、お前が声を出せばお前を呪い殺す、誰かと通れば傍にいるものを呪い殺す。
そう言っている。」

おばさんはその言い付けを頑なに守っていたそうだが、ある日、貧乏をバカにする同級生の女の子に我慢が出来ずに、
トンネルのことを教え、連れて行ったそうな。
結果何も起きずに笑われて終わりだったそうだが、数日後にその子は病気になり、やがて亡くなったと。

そんなことがあって以来、そのおばさんは気に食わないことがあると、
そのトンネルに人を連れて行っては呪い殺して来たそうだ。










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日々の恐怖 6月9日 コンビニ(3)

2024-06-09 09:16:31 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月9日 コンビニ(3)




そんな事を考えてポカーンとしていると、相方がおばさんに向かって、

「 怖いことですか~?
良いですねぇ、僕好きですよそういう系統。
でも、おばさんが住んでる所の方が怖いですよ。」

そういって左の方向に指を指した。

「 おばさんの家、○○でしょ?」

○○というのは、いわゆる店の近辺にある大きな施設の事で、
日曜の昼間は、決まって付き添いの人と一緒に老人がお買いものに来る。

「 おい、お前な・・・・・。」

さすがに焦った俺が相方を咎めようとすると、おばさんが、

「 あんたトンネル連れて行く。」

急にそう言いだした。
 それに対して相方は、

「 ハァ?トンネルっすか?心霊スポット??
 まぁ、いいっすわ。
 ○○に電話入れるから。
 おばちゃん、そこおっちんしとき。」

と言って、電話の子機に向かって歩きはじめると、おばさんは財布から二つ折の紙をレジに置いて出ていってしまった。

「 お前なぁ・・・・。
これ、おばさんなんか置いていったぞ。」
「 お、ラブレターっすか?
ついに熟女キラーの境地に辿り着いた俺を褒めて下さいよ。」

相方は相変わらず軽口を叩きながらその紙を開いた。
横から覗きこむと、ミミズが這ったような線で地図らしきものが書いてあった。









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日々の恐怖 6月2日 コンビニ(2)

2024-06-02 10:09:23 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月2日 コンビニ(2)





 バックから相方が出て来て、俺のレジ補助につく形で、おばさんのお買い上げ商品を袋詰めをし出した。
突然、おばさんが相方に話し掛けた。

「 あんた初めて見るねぇ。」
「 あ、○○と言います。
いつも一応店の中にはいるんですょ~。」

相方はかなり明るい奴なので、いつもの調子で、悪く言えば馴れ馴れしい口調で話し出した。
 俺が、

「 ○○円になります。」

と言うと、おばさんは財布から1万円札を取り出してレジに置き、相方を見てこう言った。

「 あんた、怖いもん見た事ないやろぅ。」

突然のおばさん強い口調に、俺も相方もギョッとした。
相方が、怪訝そうに、

「 ハイ・・・?」

と答えると、

「 いっぱい、いっぱい悲しい。
あんたあかんよ。」

店員二人沈黙。

「 うちが喋り出したら皆そんな顔しよる。
うちが日本語使えへん思てるんちゃうか?」

相方が俺の方を見て、人差し指をコメカミ辺りに当ててグリグリやり出した。

” このおばはん、やっぱ頭おかしいっすよっ!”

そういうジェスチャーだった。
 俺は同意する事も咎める事も出来ず、おばさんに目線を移した。
おばさんは続ける。

「 あんた、怖い思いしなあかん。
気ぃつけた方がええよ。
いっぱい兄弟おるから。」

また兄弟の話しだ。

” 兄弟ってのは一体なんなんだろう。
自分の親戚の事か子供の事か、はたまたヤクザの親分の嫁さんだったりするのだろうか?”













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