大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

四枚の写真 11月30日 P23

2014-11-30 23:25:58 | _7,四枚の写真
四枚の写真 11月30日 P23 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 11月29日 P339

2014-11-29 16:47:23 | C,しづめばこ
しづめばこ 11月29日 P339  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 11月28日 事の顛末

2014-11-28 16:43:28 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 11月28日 事の顛末



 昔、八王子市の安アパートに住んでいた。
間取りは6畳2間と台所。
車が1台やっと通れるくらいの街灯も無い細い道沿いにあって、正面は寺の墓地。
裏手は野原。

 親の仕事の関係で茨城から八王子に引っ越した際、新居に運びきれなかった荷物、家具類を保管しておくためだけに借りたアパートなので、間取りやら住環境やらは全く考慮に入れていない。
駅からバスで20分、バス停からその暗くて細い道を更に徒歩20分かけて、ようやくたどり着けるようなそんな所。

「 人が住まないと部屋の傷みが早いので、完全な無人の倉庫として利用するのはやめてくれ。」

という大家さんからの要請もあり、そこに俺が住むことになった。
2間のうちのひとつを荷物スペースとして、もう1間を居住スペースとして。

 築30年くらいのボロアパートなので、雰囲気はちょっと不気味な感じ。
壁も薄いし、設備も古い。
 夏は窓を開けて寝ていると、翌朝部屋中に線香の匂いが充満している。
向かいが墓地だから煙がこっちにも流れてくる。
けど一人暮らしの自由さを手に入れられる魅力の前には、そんなことは小さな問題だった。


 ある夜、サークルの飲み会があり、その後俺の部屋で飲み直そうと友達数人を連れて帰った。
2間のうちの居室の方で皆で車座で飲んでいると、そのうちのひとりが、

「 トイレを貸して欲しい。」

と言った。
 そいつにトイレの場所を教えてまた飲み始めた。
しばらくしてトイレから戻ってきた彼は怪訝そうな顔をしている。

「 どうした?」

と聞いてみた。

「 あれ・・・、彼女さんは??」
「 ん・・・、何の事・・?」

他の友人が言った。

「 お前酔っ払ったのか?
最初から俺達しかいねぇじゃんか!」
「 いや、そうなんすけど、トイレ入ってたらみんなの笑い声が聞こえてきて、その中に女の人の声が混ざってたから、てっきり彼女さんが遊びに来たのかと思って・・・・。」

 その後、何度か人を泊めることがあった。
そのうちの一人は寝ている最中に金縛りにあったと言い、もう来なくなった。
別の一人は、やはりトイレに入り、出てきた時に、

「 このトイレ、なんか上手く表現できないけど、嫌な感じがする。」

と言っていた。
 また別のやつを泊めて、翌朝部屋の外まで見送った。
翌日、そいつが俺に、

「 実はその時言えなかったんすけど、玄関越しに見えた部屋の奥に女の人が見えたような気がして・・・。」

といった事もあった。
 そんなことが続々起こった。
立て続けに、いろんな人にこんな事を言われると気味が悪い。
 確かにトイレの電球はしょっちゅう切れる。
酷い時は1週間で3回切れたこともあった。
でも、俺自身は何も感じないし、変なものを見たことも無い。
 風呂に入っている時にバタバタと走り回る足音を聞いたこともあったけど、それは多分隣室の子どもの足音だろう。
 仲間内で、

「 お前、よくあんなところに住んでるな。」

と言われるようになったけど、特に俺に実害が及んでいないので気にはしなかった。
ただ、当時付き合っていた彼女がその話を聞き、怖がってどう誘っても部屋に来てくれなくなったのには参った。


 そうこうするうちに俺は就職し、会社の寮に引っ越した。
そのボロアパートには、入れ替わりでちょうど結婚を決めた弟夫婦が当面住む事になった。
置きっぱなしの荷物や家具類はすべて処分する事にした。
 ある日、もうあの怖い噂のあるアパートじゃなくなったということで、俺の入居した寮の部屋に、彼女が泊まりに来た。
 夜寝ていたときのこと。
彼女が金縛りにあったらしい。
目は開くものの体は動かせない。
声も出せない。
 目だけを動かして隣で寝ている俺を見ると、俺はいびきをかいてぐっすりと寝ていたそうだ。
すると玄関部分と部屋を仕切る扉がゆっくりと開き、女の人が部屋に入ってきた。
 その女はゆっくりと布団に近づき彼女の枕元まで進んできた。
そこでしばらく立ち尽していた女は、急にガクッと体を折り曲げ彼女の枕元に顔を覆いかぶせてきて、彼女の顔を覗き込んだ。
 そして、

「 あなた、誰?」

と一言。
その後消えていった。
 その女が消えてすぐに金縛りが解けたらしく、俺は彼女にたたき起こされて事の顛末を聞いた。
そして彼女から、

「 で、あの女誰よ!」

と責められた。
そんなこと俺が聞きたいです。










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四枚の写真 11月27日 P22

2014-11-27 18:46:28 | _7,四枚の写真
四枚の写真 11月27日 P22 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 11月25日 P338

2014-11-25 19:22:06 | C,しづめばこ
しづめばこ 11月25日 P338  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 11月24日 我が家の妖怪

2014-11-24 19:27:31 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 11月24日 我が家の妖怪



 専門学生の頃に深夜専門でコンビニのアルバイトをしていた時期がある。
ある日の深夜1時頃に駐車場の掃除をしてたんだが道路を挟んだ向こう側のほうで、何か乾いた物を引き摺る、

「 カラカラカラ・・・・。」

って言う音が聞こえてきた。
 最初は、

“ こんな時間に、酔っ払いが木の枝でも引きずって歩いてんのかな?”

と軽い感じで捉えてたのだが、通り過ぎて行ったと思ったら、また戻って来てと往復を繰り返していることに気づいた。
しかも移動スピードが徐々に加速していて明らかに在り得ない速度で移動している。
 流石に気持ち悪いなと思ったが、勤務時間はその日は深夜3時までだったから駐車場掃除はそこそこにして店内に戻ってバイトを続けていた。
 それで、勤務時間も終わって店を出たのだけれど、その時には音も止んでいたので、

“ まあ、あれは気のせいだったんだ。”

と思うことにして、自転車に乗って家に帰ろうとした。
 しかし、少し店を離れた辺りで、俺の後ろの方からまた、

「 カラカラカラ・・・・・。」

って聞こえてきた。
 びびって少し早めに自転車を漕ぐが、音は明らかに俺に付いてきている。
俺の家はバイト先の店から10分くらいしか離れてないから、

“ ここは、むしろ焦って行動した方が危険だ。”

と思って、早めに、でも慎重に自転車を漕いで行く。
それでも、音は俺から10m以上は離れてはいるが、ぴったりと付いて来る。
 家の近くの所まで来て、あと角を3つ曲がったらすぐに家につくという距離まで来たとき、1つ目の角を曲がった途端、音は急に俺の真後ろまで接近した。

「 カラカラカラ・・・・・。」

という音が、

「 ガラガラガラ・・・・・・。」

と大きく背後で鳴り響いた時は、流石に全身から鳥肌が立った。
 緊張はピークにまで達していたけれど、もう家まであと少しという所まで迫っていたから、振り返りたい気持ちを必死で堪えて、とにかく自転車を漕ぎ続け、家の門が見えた時には、すぐさま中に飛び込んだ。
家までついたという安心感か、びびりながら振り向いた先には、拍子抜けだろうが何もいなかった。
 その次の朝には家族に深夜にあったことを話して笑われた。
母からは妖怪ガラガラとか、変な名前を付けられたそれは、家族の間で暫く茶の間を賑わす話題になっていた。


 それから、4年くらいたったときのことなのだが兄(長男)から唐突にこんな話をされた。

兄「 あの当時にさ、お前には言えなかったことがあるんだけど、実はその音は俺も聞いてるんだよね。
大分昔なんだけど次男(これも兄)にさ、

『 何か気持ち悪い音が聞こえるから、一緒に聞いてくんない?』

って言われて、一緒に部屋で外の音聞いてたら、確かになんかお前が言ってたような音が聞こえて、二人して気持ち悪いなって話してたんだわ。」
俺「 ちょ、言えよ!」
兄「 だって、うちの周りで聞こえてたんだぞ、そんなこと言ったら余計びびらすだけだと思って言えなかった。」

どうも、そいつは随分前からうちを狙っていたみたいです。
ちなみに、今でも数年に一回くらいは聞こえて来ます。









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四枚の写真 11月23日 P21

2014-11-23 20:29:45 | _7,四枚の写真
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しづめばこ 11月21日 P337

2014-11-21 18:16:07 | C,しづめばこ
しづめばこ 11月21日 P337  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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四枚の写真 11月18日 P20

2014-11-19 19:52:28 | _7,四枚の写真
四枚の写真 11月18日 P20 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 11月17日 墓の道

2014-11-17 19:48:24 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 11月17日 墓の道


 長野在住のHさんの話です。
その話は、Hさんが母親から聞いた話です。
 母親が小学生の頃、徒歩で1時間ほど歩いて学校に通っていた。
その途上に、1つ山を通る。
何の謂れもない普通の山だ。
 ある日、いつものように帰宅途中だった母は、その山で見慣れない道を発見した。
普段から同じところを通っているのに、

“ こんな道なんか、あったっけ?”

などと思いながら、気分でその道を通った。
 その道を歩いていると、不思議と幸せな気分に包まれた。
一本道がずっと続き、しばらくすると出口が見えた。
その先には見知った光景が広がっていた。
 ふと、背後が気になり振り返ってみると、なぜ今まで気づかなかったのかという程の無数の墓が並んでいる。
恐らく放置された墓で、草がぼうぼうに生えていた。
 急に怖くなった母は走って家に帰り、それを祖母に報告したが、

「 そんなところ、近所にある訳ないでしょ。」

と一蹴された。
 更には、普段1時間かけて帰ってくるはずが5分で帰ってきてしまったようで、

「 勝手に早退したな!」

と怒られてしまった。
 そこで、母も意地になって祖母を引っ張って、もときた道を探すも、当然ある訳もなく、

「 嘘をつくな!」

と、なおさら怒られて家に戻った。
 翌日、念のために先日入ったはずの山道を探してみても見つからず、結局その幸せな気分に浸れる墓場は、一度見たきりだったそうだ。
母親はHさんに、そんな昔話を懐かしそうに語ったという。









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四枚の写真 11月16日 P19

2014-11-16 21:58:19 | _7,四枚の写真
四枚の写真 11月16日 P19 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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しづめばこ 11月15日 P336

2014-11-15 22:46:38 | C,しづめばこ
しづめばこ 11月15日 P336  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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四枚の写真 11月13日 P18

2014-11-13 19:36:03 | _7,四枚の写真
四枚の写真 11月13日 P18 、大峰正楓の小説書庫でUPしました。


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日々の恐怖 11月12日 タコさんウインナー

2014-11-12 18:04:08 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 11月12日 タコさんウインナー



 俺は新聞の臨時配達員っていうのをしてて、結構色々な地域に飛ばされる。
当然、大概は何事もないんだが、稀にやっぱり不思議な経験をしたりする。
 今回は千葉へ行ったんだが、いつものように依頼を受けて新聞販売店へ向かい、いつものように仕事の段取りを終えた。
田舎だと聞いてたから面倒な場所かとも思ったが、配達することになった区域は普通の住宅街で楽な仕事だった。
専業(正社員)の人達も気さくで、遊ぶところがない以外は何も問題がなかった。

 それで一週間経った位だったかな、配達にも完全に余裕が出てきたところで問題が起こった。
問題とはいえ大したことじゃなくて、新聞屋をしていればよくある問題だ。
あるアパートに住んでいるお客様がドアポストから新聞を抜かなくなって、新聞が溜まり始めた。

 俺は三日間新聞がポストから抜けていなかったところで、その区域を担当している専業の人へ報告をした。
こうなると販売店ごと対応に若干の違いはあるけど、今回はまずそのお客様へ電話していた。
でも、当然と言えば当然だけど、お客様は電話にでなかった。
 それじゃ次はどうするか、そこの販売店の対応は、手紙を入れて配達は続けることだった。
通常通りに配達をして、前日の新聞が抜けていなかったら回収、そして当日の新聞をポストへ。
手紙には、回収した新聞は当店で保管しているので、必要なら電話してくれればすぐ届けます。
 俺は内心で面倒だとは思ったが、そういう指示が出たなら仕方がない。
翌日の配達時に手紙をポストへ入れ、当然のように抜けていない前日の新聞を回収した。
まあ、そこまではよかったんだが、そのまた翌日の配達時(手紙を入れた翌日)に不思議なことが起こった。
 いつものように階段を上がり、例のお客様の部屋のドアを見ると、やっぱり前日の新聞が抜けていない。
ほんと面倒だなぁと思いながら、ドアポストに刺さってる前日の新聞を抜くと、すぐ異変に気が付いた。
 新聞の丁度半分、ドアポストの中へ入っていた側に、沢山の切り込みがあった。
説明が難しいんだが、タコさんウインナーを想像してもらえばいい。
あれって下半分に切り込みを入れる。
 新聞は板状っていう違いはあるがそれと同じで、ポストに入って外から見えなかった部分に、切り込みが沢山入っていた。
俺がそれを見て思ったのは、この客は新聞取りたくないんじゃねぇの?だった。
 よくある話だが、契約してサービス品を貰うだけ貰った挙句、ごねて契約をなかったことにしようとする輩がいる。
この客は、新聞を意図的に抜かず、更にこんなことをして喚く類の奴なんじゃないか?
 どうしようかとも思ったが、とりあえず下半分が切り刻まれた前日の新聞を回収して、手紙と当日の新聞を入れた。
 そして、その日の夕刊時、区域担当の専業へ今朝のことを報告すると、こんな答えが返ってきた。
そこのお客様は、ずっとうちの新聞を取ってくれている人だし、集金の滞納も一度もない。
とりあえず、毎日こっちも電話するから、指示通り回収、配達をし続けてくれ。
まあ、そう言われたら仕方がない。俺は臨時配達員、指示に従うことにした。

 それから月末まで十日間くらいか、ずっと回収、配達を続けていたが、やはり前日の新聞は同じように切り刻まれている。
本当に大丈夫なのか、もう配達しなくていいんじゃないか、と専業へ言おうと思っていたところで事態が動いた。
 その日の夕刊時、出勤すると区域担当の専業が挨拶をしながら俺のところへ来て、こう言った。

「 あの新聞抜けてなかった○○さんいたでしょ?
亡くなってたみたいだから即止めでよろしく。」

聞けば、なんでも月の始めくらいにはおそらく亡くなっていたとのこと。
 死因はまだ分からないが、玄関のところで倒れていたみたいで、心臓の発作か何かじゃないかということらしい。
 俺も、

「 あぁ、それじゃ新聞抜けるわけないっすよねぇ。」

とか言ってたところで気が付く。
 いやいやいや、待てって、死んでたから新聞抜けなかったのはいいとして、新聞が切り刻まれてたのは?
というか、ドア一枚隔てたとこに死体あったのかよ、と。
 まあ、多少嫌だとは思ったが、俺に何か害があったわけでもないし、それから一週間くらいで新人の専業が入り、俺は帰ることになった。
とりあえず夏じゃなくてほんとに助かった。











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日々の恐怖 11月10日 電球

2014-11-11 21:50:57 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 11月10日 電球



 今住んでいるマンションは交通の便も良く、居心地は結構いいので機嫌良く住んではいる。
しかし、借りた当初から、部屋に一人、玄関に一人、借主で無い方が同居している気がする。
入居してから気が付いたが、そんなものいたら下見の段階で他のマンション探していたとは思う。
 その二人のどちらも、もう人というよりは霞の様な状態で動くこともなく、意思もないのか、ただそこにいるだけのようで、害は無いと思う。
でも、玄関にいる方は若干まだ人の形をしている感じがして、何もしてはこないのだが少しだけ困ったことが起こってしまった。
 それに気付いたのは、引っ越して2日程で玄関の電球が切れたことが発端だったのだけれど、

“ 古い電球のままだったのか?”

と新しい電球を買ってきて取り替えても、また1日程で切れてしまう。
次は、

“ ワット数、間違えたか?”

と思い確認するが、その点は問題ないのに替えても替えても3日ももってくれない。
 これ以上はお手上げなので、大家さんに電話して事情を話すと、すぐに業者の人を手配してくれた。
ところが、

「 点検しても異常は見当たらない。」

と言われ、新しい電球を取り付けて、

「 これで駄目なら、また連絡を下さい。」

と言って帰ってしまった。
 結局、業者さんが取り付けてくれた電球も次の日には切れていた。
そうなるともう原因は、目の前にいるかろうじて人の形を保っている存在だろうなと思った。

“ ああ、明るいの嫌いなんだな・・・・。”

と諦めて、もう玄関の電球は切れたまま放置することにした。
 遊びに来た友人達にも、

「 玄関の電気切れてるよ。」

とよく突っ込まれるが、こればっかりは説明しようがないので、壊れてるとだけ伝えていた。
 2年程した頃、いつの間にか玄関にいた方がいなくなっていることに気が付いた。
もうその頃は、すぐに気付けないくらい存在が薄くなっていたんだと思う。

“ お・・・!?”

と思って、さっそく電球を取り替えてみると、1週間どころか半年たっても切れる気配がない。

“ やっぱり、幽霊らしく明るいの苦手な方もいるんだなぁ・・・・。”

と、改めて思いました。
 ちなみに、玄関にいた人よりもさらに存在感が薄かったはずの部屋にいる方は、今も絶賛同居中です。









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