日々の恐怖 1月23日 リサイクルショップの得体の知れない物たち
リサイクルショップで働いてるんですが、結構得体の知れない物が入ってきます。
例えば、
・刃が錆びててルミノール反応が出ちゃった長ドス。
・タンスの地板に切り刻んだ写真と護符が釘で見えないくらい滅多打ち。
・分厚いアルバムなんだけど、写真が何枚焼き増ししたんだってくらいに同じ女性の同じ写真がギッシリ貼られたアルバム。
・女性用の大人の玩具に男の写真が貼り付けられてるヤツ。
・「お爺さんを買ってください」って言って、骨壺を持ってきたおばちゃん。
・墓石を持ってきて、「ごめんなさい、これは買い取れないです」って言ったら、「使用済みにしたら買い取ってくれるのか??」とか聞いてくるおじさん。
そんなこんなで、変な物や事を上げだしたら幾らでも上がっちゃうです。
それで今回の本題なんですが、倉庫で見つけた時に起きた出来事を。
一応一般のお客様の買取時は、買い取れる物、買い取れない物を分けさせてもらって買い取るんですが、業者買取の場合は一括買取で、店に出せないものはこっちで処分するってやり方なんです。
業者さんのは一回の持ち込みの量が多いから、一旦倉庫に入れて、スタッフが多い時とか手が空いてる時に選別するって感じ。
その日はダンボールで15箱ほどが積み重なってて、もぅ本当('A`)←こんな顔しながら選別してたと思う。
その中から出てきた物って言うのが壺。
蓋のある壺なんだけど、見た目以上に中身がやばかった。
蓋が御札で押えつけられてて、あーやべーもんだな・・・とは思ってたんだけど、仕事だから中を確認しないといけない。
御札を剥がして、何かの接着剤なのか蓋と壺がくっ付いてるのを、工具で少しずつ剥がしてたんだけど、どうせ売り物にはならないのは判ってたから、接着部が剥がれた所から強引に蓋を外して中を見た瞬間、何かの顔がこっち見てるのがわかって、思わず「ウワッ!!」って叫びながら、片手で抱え込んで剥がす格好だったので、手から滑り落ちて割っちゃった。
割れた中から出てきたのが、爬虫類だの・虫だの・干乾びて何かわからない生き物とか、全部干物っぽくなってました。
あとは御札写真っぽいものが入ってました。
こちらも中で水分を吸った後グチャグチャになって干乾びたのか、原形をとどめてませんでした。
(お払いとか神社に持ってけって思うでしょうが、出る毎に持っていってたら、財布と私の生活が干からびてしまう、無論経費で落ちるはずが無い。)
“うげぇ!”って思ったのと同時に、他のスタッフに見せて反応を見たいって言うwktk感が膨れ上がって、
「 ちょっとちょっと、こっち。」
って小声で声掛けて、
「 何~?」
って感じで来たスタッフに
「 凄い物出てきた!」
って言って、付いてくるスタッフを見てテンションが一気に急加速。
そのスタッフは見た瞬間、“なんぞこれ??”って感じで怪訝な顔をしながら首をかしげて、顔を近づけた瞬間、
「 ・・・ん、・・・・・・・うぎゃぁ!」
って・・・。
その声を聴いた瞬間、何か今日の仕事をやり遂げたって言う達成感と共に、
「 なっ!凄いだろ!!」
って言う爽快な一言と、満面の笑みを差し上げたんですが、思いっきり胸を叩かれた。
私、一応上司なのに・・・。
そのスタッフも他のスタッフに同じ思いをさせたかったんだろう。
他のスタッフを呼んでは同じ事が・・・。
それを全スタッフで繰り広げて、結局、最後に私が片付けて不燃ごみで捨ててきました。
ただ一つ気になったのが、壺の中から私を見てきた顔が、爬虫類やらの顔のサイズとは異なっていたのに、掃除したときには無かったっていう事でした。
その日はそれで片付けを済ませ、通常業務→閉店の〆業務を終えて、買い取った商品を修理したり綺麗にしたりだので、家に帰ったのが深夜の2時くらい。
家についてからは、風呂に入って、次の日も8時半には出社しないといけないので速攻で布団に入って爆睡。
どれくらい寝たのかわからないですが、急に脳が動き出したようにパッと目が覚めて、目を開けた瞬間、何かが顔の前にあったんですが、それが何かがサッパリ理解できず。
(寝てる位置は、壁に頭側の布団をくっつけて寝てるので、頭上には何も無く見上げれば天井しか見えない。)
その何かと焦点が合ってなかったので、眉間に皺を寄せながら細目で見たりして、何なのかを探ろうとジックリ見てて、私の目の丁度上の方でパクパク何か動いていて、それが口だって理解すると直ぐにわかりました。
人の顔。
「 うわっ!」
て我に返って、反射的に避けようとしたんだけど体が動かず。
“ なんだコイツ!!!!”
って心の中は疑問符だらけ。
距離は1mも離れてないくらいで、寝ている私の頭上から、椅子に座った状態で腰を屈めて覗き込んでるくらいの距離でした。
口を一定の間隔でパクパクさせてて、多分女性だと思う。
息は感じられず、目はずっと開けたまま。
目は大体普通の大きさなんだけど、黒目部分しか無い感じ。
ただ焦点が合わず、ハッキリした顔立ちはわかりませんでした。
豆電球で照らされてる程度の暗い部屋なのに、顔が妙に青白く、光ってる訳でも無いのに顔があるのがわかる。
かなり不気味でした。
体が硬直して身動きが取れないけど、何かする訳でもなく相手は口をパクパクさせたまま動かない。
“気持ち悪っ!”て思いながら、“体動け!”ってもがいてたら、頭の中に直接声が響くって表現が正しいのか、耳から聞き取るのとは違う感じで、
「 指が動けば大丈夫。」
って、親が子供に優しく言う感じの声が聞こえて、何故かその言葉は正しいって、必死に指先を動かそうとガムシャラに意識を指に込めてました。
ピクッて指先が動いた瞬間に体全体が動くようになったんで、すぐに飛びのくように離れて警戒して見ると、壁から頭だけ出た女性が、こちらをヌゥ~っと見上げてきました。
で、体が動くようになって五感が戻ったのか、女性が口をパクパクさせてたんじゃなく、延々、
「 違う・・・違う・・・違う・・・。」
って言ってたんです。
警戒しながら、どれくらい対峙したかわからないんですが、急に見上げられた状態のまま壁の中に消えてしまいました。
少しの間呆然としながら外を見たら、若干明るくなってて、脱力感と共に数時間後には仕事に行かなきゃ・・・、っていうゲンナリ気分。
その日、スタッフにその話をしたんですが、周りのスタッフはビビる人・笑う人それぞれで、今現在私を含め何か起きたっていう事は特にはありません。
壺と関係があるかはわからないですが、その日の内に起きた出来事なので合わせて書きました。
たまに見えるって言う事はあるんですが、毎回どんなに近くで見えても、ピントのズレたカメラのように見え、何故ココにいるのかとか、この人の名前は○○で△△を訴えてるとか、そんな事は一切判らないです。
ただ、いつも見える時や嫌な感じがする時は、体の何処かが叩かれたように痛くなったので、何も前触れも無く見えたのはそれが初めてでした。
補足としては、年度末とかに仕事が仕事なのでスタッフ全員で集まって、忘年会と合わせてお清めに行ったので、大丈夫かなと思ってます。
続きです。
変な客や変な物です。
変な客です。
去年の12月の中旬の出来事で、22時過ぎでした。
入り口のドアに張り付いてこちらをジーッと見てるおじさんで、顔は笑顔と言うより狂喜に近い顔、目を見開き眺めている方が。
入り口に行って、
「 何か御用ですか?」
と聞くと、
「 買い取って欲しいものがあるんだけどさぁぁぁぁ!!!」
「 ごめんなさい、もう閉店しちゃってるので営業時間内にお願いできますか?」
「 おーまーえーのぉぉおぉおぉぉぉ命だよぉぉぉぉおおぉお!!!」
って叫びながらドアをガンガン叩いて、
「 死ねぇぇグギィィイ~、死ねぇぇえぇぇぇええぇギヒィ~、ぐひひぃぃいぃぃい。」
と奇声を上げ、明らかにヤバイ。
目は見開き若干血走り、涎を垂らし無精髭、服装はセーターにチノパンにスニーカー、頭はボサボサで、中肉中背で歳は40は過ぎていると思います。
一言で言うなら、素の状態でも近づきたくないタイプ。
警察に連絡すると2~3日潰れてしまう上に、日常業務にも支障をきたす。
正直面倒です。
放って置いて帰る訳にも行かず、嫌悪した顔を見せるのも腹立たしいので、スタッフとヒーターを入り口前に持っていき、椅子に座りながらタバコをプカプカ、温かいコーヒーを飲みながら談笑して待機。
23時前になると、おじさんも飽きたのか帰っていきました。
2日目
また同じように昨日のおじさんが張り付いていたので、スタッフと一緒に、買っておいた肉まんをかじりながら、おじさんを無表情で凝視。
なかなか帰らないので、一度コーヒーを入れてきて、更におじさんの前でコーヒーを飲みながら無表情で凝視。
3日目クリスマス
フツフツ怒りと言うか狂気と言うか。
頭の中にもう一人の私が出てきて、今日はクリスマスだよーっと満面の笑み。
次の瞬間、ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユーっと、フルメタルジャケットのハートマン軍曹の声が・・・。
何も言わず、買い取った商品の山から模造刀を引っ張り出し、抜き身の模造刀を持ちながら入り口の方に行ったら、さっきまで奇声を上げてたおじさんが、えっ?って顔になりながら、口をガクガクさせて猛ダッシュで逃げていきました。
他のスタッフが言うには、『超笑顔でした~!』の一言。
私がでしょうか・・・???
その後、そのおじさんが現れる事は二度とありませんでした。
サンタさんだったらごめんなさい。
プレゼント欲しかったです。
変な客です。
ブランド品を数個、指輪など高価な物を持ってきた30後半の女性で、
「 ここに新しい旦那も売ってれば良いのに~。」
「 いやぁ・・・売ってたとしても中古ですよ?」
「 あら、中古のほうが輝く男もイッパイ居るでしょ?」
「 中古屋に売られる旦那さんなんて、問題がある旦那さんばかりですよ。
売られてる旦那さん探すより、売られてない新しい旦那さんを捕まえた方が良いと思いますよ。」
「 それもそうねぇ、良い男が売りに出たら教えてくれる?」
「 うちは生物扱ってないんで、出ないと思いますよ~。」
「 あら残念ねー。」
っと談笑してたのですが、数週間後に、
「 新しい旦那さん!」
って言って連れてきた女性。
「 早くないですか?」
と笑いながら言うと、
「 うん、目星は付けてたの。」
っと爽やかに・・・。
『古い旦那さんはどうした?』とか、『その人は、今現在も他の人の旦那さん?』とかは考えないようにしました。
女性って怖い・・・。
変な物です。
ちょっと怖いものでは、見た目は普通の西洋の女性の油絵なんですが、後書きされた形跡があったので慎重に削ってみると、顔部分だけが思いっきり崩れていて、目玉がそのまま涙のように垂れ、口は半開きの絵に。
「 うわっ!!」
サインの部分も上書きされていたので慎重に削ると、英語で『お前は死ね』っと筆記体で書いてありました。
持ち込んできたのは40代前半の女性の方で、何度か来店して顔を覚えていたので何となく話を聞いてみたら・・・。
「 やっぱり、あの絵変だった?」
「 ちょっと変でした。」
「 うちに飾ってたとき、いつもあの絵の視線が怖くて、主人と喧嘩しながら持ってきたのよ。」
「 何処で買ったんですか?」
「 フリーマーケットで主人が貰ったんだけどねぇ。
絵は変じゃないのに、その売ってた人が差し上げます差し上げますって。」
主人もタダでくれるなら貰います、って喜んで貰っちゃってたのよ。」
「 そうなんですか~。」
「 それで、あの絵何か変だったの?見せてよ!」
「 うーん見ない方が良いですよ。」
っと笑いかけたのですが、
「 えーちょっと気になるじゃない。怖いものでも無いんでしょう?」
「 うーん怖いと思います。」
「 え?・・・一応見せてもらっても良い?」
「 止めておいた方が良いですよ。」
と何度か言ったのですが、好奇心が前に出ちゃってるのか、見たくて仕方が無いと言った感じ。
それで、倉庫に置いてあった絵を見せたのですが、その女性、見た瞬間、絶句しながら涙を流し、速攻旦那さんに、だと思うのですが電話してました。
電話口では顔を真っ赤にしながら、激怒を通り越して般若や鬼に近い表情。
体からは殺気と言うか、目に見えるんじゃないかと感じられるほどのオーラを出しながら怒声。
正直、その絵よりも女性の方が怖かったです。
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