大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 8月31日 バイトの人達(1)

2016-08-31 18:17:18 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 8月31日 バイトの人達(1)



 今から10数年近く前の話です。
当時バカ学生街道まっしぐらだった僕は、ろくに講義も受けずにバイトとスロットばっかりしていた。
おかげで2年生を2回やり、4年生になっても月曜から土曜までみっしり講義を受けなければならず、就職活動もできない状態に陥った。
 僕は24時間営業の飲食店の深夜スタッフとして働いていた。
22時から朝の9時まで働き、朝のパチ屋の開店に並び、モーニングを回収してから帰って寝る。
起きてからパチ屋に行き、軽く打ちながらストックの貯まり具合を確認してからバイトというローテーションだ。
その働いていた飲食店での話です。
 そこの店は、かつて火災により死者が出たことがある。
駅前のマンションの一階部分が店舗なのだが、火災以降はテナントとして入った店がすぐに撤退してしまう。
そして、当時のオーナーがマンションごと手放し、それを飲食店を経営する会社が丸ごと買い取った。
そして、一階部分で始めた店が、僕の働く店だった。
 大学生活が始まってから1週間ほどで、僕はそこで働き始めた。
そして、働き始めてから一ヶ月後、僕は深夜スタッフのチーフになった。
当時働いていた深夜スタッフの先輩達が、皆一斉に辞めたのだった。











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日々の恐怖 8月30日 よっちゃん

2016-08-30 18:27:51 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月30日 よっちゃん




 昔、オレは京都の大学に通ってて、学校が山の中にあった。
まあ、一応、道は舗装されてて店とかもある。
 んで学校近くの友達の下宿に泊まったとき、酒を買いにコンビニまで歩いて行ったんだよ。
そうすると、孫を連れたおばあちゃんが、夜中なのに山を上がってくるのが見えた。
 近所の店の人かなあとか思いつつ、なんとなく距離をとって、オレ達もコンビニ目指して上っていった。
 すると孫が話しかけてきて、えらく人懐っこい子だなあと思いながら、適当に会話してたんだわ。
すると、後方にいたばあさんがいきなり叫んだ。

「 よっちゃん!!こっちやで!!」

 ばあさんが曲がろうとしてた道はガチの山道で、その先には人家なんかない。
んでオレたちは、おかしいなあと思いながら、

「 よっちゃん、おばあちゃん呼んでるよ。」

と聞いてみた。
するとよっちゃんは、

「 ええねん、知らんおばあちゃんやから。
僕はよっちゃんと違うし。」

オレ達は最初、よっちゃんがふざけてるのかと思ってたけど、ばあさんが、

「 もう知らん!あんたみたいな子は死んでまえ!」

と言って、一人で山道に消えていったのを見て、おかしいなあと思い、よっちゃんにたずねたら、その子は全然違う名前で、近くの街のスイミングスクールの帰りに、知らないばあさんに声をかけられ、人懐っこいからついて来たそうだ。
 オレ達はとりあえず警察に子供を届けて、いろいろ事情を説明させられてから帰ったけど、あのとき会わなかったら、あの子どうなってたのかなと思う。











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日々の恐怖 8月29日 比較

2016-08-29 19:30:58 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月29日 比較




 先日、大学の同期の友人と久々に食事したときの話です。
友人は大阪に出て技術職、私は地元で病院に就職しましたが、勤めている病院は古く、度重なる増改築で構造はぐちゃぐちゃ。
たまに立ち入る旧館の方は、ちょっと薄気味悪い感じすらします。
そして定番の、誰もいない部屋からナースコール、外に誰もいないドアをノックされる、勝手に開く自動ドアなど、妙なことも数回経験しました。
 食事の途中で、

「 病院って本当にそんなことあるんだね。」

と何気なく話題に出したんです。
そしたらその友人も、

「 自分の会社にもそういう事がある。」

と聞かせてくれたのが以下の話です。

「 あのね、窓の外をおじさんが落ちるの。」

 私は、

「 ・・え?」

と聞き返しました。

「 会社が入ってるフロアがビルの14階なんだけど、その窓からまっさかさまに落ちていくおじさんが見えるんだよ。しかも定期的に。
私就職して半年ぐらいだけど、その間に3回あったかな。」
「 ええぇ・・・。
それって、自殺した人が死んでると気づかずに何回も飛び降りてるとか、そういう・・・?」
「 ううん。
何年か前に、窓拭きのおじさんが事故で落ちて亡くなったらしいの。
落ちるとき、いつも同じ青い作業服姿で、落ちる窓も同じだし。
 私は直接見えない側のフロアだからいいけど、隣の会社の人がちょくちょく見ちゃうらしくて。
新人さんとかはかなりびっくりするみたい。
落ちるのが見えたら、一応下とか確認して管理会社に連絡するんだけど、まぁ何もないよね。
ほんとに誰か落ちてたら、それはそれでやだし。」
「 絶対嫌だ、私そんな会社なら間違いなく辞める。」
「 うん、結構辞める人多いみたい。
仕事もハードだから、40代とか50代の人がいきなり亡くなったりするしね。
心臓とか癌とかで・・・。」

“ それって本当に病気のせいだけなのか?”

と聞きたかったんですが、やめておきました。
 友人は、

「 勝手に開く自動ドアとか、そっちの方が怖いし!」

と言っていましたが、個人的には絶対に落ちるおじさんの方が怖いと思います。










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日々の恐怖 8月28日 遠泳

2016-08-28 19:30:22 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月28日 遠泳




 俺、小学校の時、泳ぎ達者な叔母さんと遠泳に出たことがある。

「 危なくなったら、あたしに捕まればいいから。」

って言うし、万一に備えて浮き袋も持ってたから、思い切ってチャレンジした。
 叔母さん、俺が見やすいようにって派手な蛍光ピンク色の水泳帽被って俺の前を泳いでた。
それで、それに付いてずっと泳いでたんだけど、なんか後ろの方から俺を呼ぶ声がする。

“ なんだろ・・・?”

と思って振り向いたら、蛍光ピンクが、

「 どこ行くの!ちゃんと付いて来なさい!」

って怒ってる。

“ え・・・?”

と前を見直したら、誰もいない。

“ え?え???”

となった思い出がある。












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日々の恐怖 8月27日 ひだるい(2)

2016-08-27 18:39:11 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月27日 ひだるい(2)




 それから、約半年後、俺は再度同じ山に登った。
教えられたお堂の場所に食べ物を供えて、軽く御祈りして下山した。
 別に勧められたわけではなかったが、何故かそういう気分になって行った。
登山口の同じ店で食事に行くと、向こうも覚えていたらしく、俺がお供えをして来たと言ったら、食事を少しサービスしてくれた。
 それ以後、半年~一年の周期で変なものを見る様になり、それを機に登山に行くのが習慣になってしまった。
 変なものと言うのは、最初に見たのは、俺の部屋に漂っていたモヤ。
煙よりも薄かったが、明るい中でもハッキリと見る事が出来た。
モヤの中に、山水画の様にお堂の風景が浮かんでいたので、又お供えをしに来いという、催促の合図なのだと思った。
 大抵はモヤの形だが、一度だけ人間の形で来た事があった。
その日は父親の葬儀が終わった日で、親族が帰ってやっと一段落着いた頃、妙に喉が渇いたので台所に行った。
 家の台所と居間は繋がっていて、グラスに水を注いでいると、居間の方から視線を感じたので顔を向けた。
居間には和服の女性が一人座っており、その後ろに大勢の男性が並んで座っていた。
 それほど広くないフローリングの居間だったが、男性は数十人いたと思う。
居間の奥行きがその部分だけ広がっている様な、錯覚じみた光景だった。
目が合うと、女性が最初に深々と頭を下げて、男性も全員それに続いた。
グラスの水を一口飲むと、全部消えていた。
 消えた後にモヤが少し漂っていたので、お堂関係だと思った。
さすがに、それからすぐお供えに行く訳には行かなかったが、半年程して山に行った時に、何となく思い出していると、お堂の中から何かいい香りがして来て、誰かが中にいる気配がした。
 少しびびって確かめられなかったが、悪い気配では無かったと思う。
女性は赤地に金刺繍の立派な服を着ていたので、偉い人かも知れない。
男性は全員黒っぽい服を着ていたが、マゲは結っていなかったので、侍などでは無い気がする。
昔の人の雰囲気はあったが、いつの時代かと言われると分かりかねる。












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日々の恐怖 8月26日 ひだるい(1)

2016-08-26 20:14:32 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月26日 ひだるい(1)




 10年ほど前になるが、一人で山登りして下山する途中、突然の雨に足止めされて、でかい木の下で雨宿りをしていた。
ふと、食べ残しのおにぎりを食べながら、ボーッとしていた俺のすぐ近くで、人の声が聞こえた。
 見回したが、誰もいない。
気のせいかと思ったが、雨音に混じって、

「 左ぃ・・・、左ぃ・・・。」

と聞こえる。
 薄気味悪いので無視していると、雨が小降りになって来た。
逃げる様に木の下から離れたが、去り際に自分のいた左側をチラリと確認した。
そこには、特に何も無かった。

 登山口に着いた頃には、気のせいだったと思い始めていた。
妙に腹が減ったので、近くの飲食店に直行する。
客は俺以外におらず、時間的にも店が閉まるギリギリくらいだったと思う。
 天丼大盛りと蕎麦を注文したが、店員の様子が少しおかしい。
閉店前にKYだったかと思っていると、厨房から男性が2人出て来た。
料理は持っておらず、年配の男性の方が開口一番言った。

「 あんた、何して来た?」

“ ・・・?”

という顔をしている俺に、もう一人の中年男性の方が尋ねる。

「 山で何か変な事なかったか?」

 俺は木の下で聞いた声の事を、最初に思い出した。
その事を話すと、2人は納得した様子で厨房に戻って行った。
 しばらくして、注文の料理+山菜の定食みたいなものが運ばれて来る。
不思議に思ったが、ペロリと完食した自分にも驚いた。

 食事を終えた頃、ヨボヨボの婆さんが来店した。
客かと思っていたが、再び厨房から年配の男性が来て、俺の方に婆さんを誘導した。
 何事かと思っていると、婆さんは俺に向かって何やら祈祷をして、最後に背中を思いっきり叩いて店を出て行った。
物凄い衝撃だったが、その割りに痛みは感じなかったのを覚えている。
ただ、満腹感もあってか、しばらくは動けず声も出なかった。
 当然ながら、婆さんを店先で見送った年配の男性に、一連の出来事について尋ねた。
どうやら、俺には何かが憑いており、それがパッと見て分かったらしい。
 正体は分からないが、それは強い飢餓感を持っているのだという。
かなり昔から存在しており、婆さんはそれ専門の祈祷師みたいな役だった。
 憑かれたヤツの大半は、山中のお堂で悪さをした結果らしく、俺の様なケースは結構珍しいものらしい。
“左ぃ”ってのは左方向ではなく、“ひだるい”という方言だった。
ひもじい、腹減ったという意味と説明された。
 食事代は無料だった。
本来なら、注文分だけで2000円くらいだったのでラッキーだった。












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日々の恐怖 8月25日 快適

2016-08-25 20:35:18 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月25日 快適




 最近越して来た家族のA子は放置児だった。
越してきて早々近所の家々に上がり込み好き勝手やらかしていた。
 母親に近所が掛け合っても、

「 近所なんだから~。」

と全く取り合わない。
 自分の家もタゲ(ターゲット)られ、玄関開けて勝手に侵入しようとしてA子はその場で固まってた。

「 どうしたのー、入んないの?」

とこっちが声掛けたら、悲鳴を上げながら逃げてった。
まあ近所でも有名な幽霊ハウスだから何か見えたのかもしれない。
 その事が近所で噂になって、それ以後A子は近所に侵入する度に、

「 (私)さん家に連れてくぞ。」

と言われ、泣きながら家に帰っているらしい。
 自分も家についてはよくわからん。
他人(姑舅含む)が家に入ると必ずと家揺れたり物落ちたり水道が止まったりするけど、自分家族には何ら身体影響無いので快適っちゃあ快適かな。

 近所に越してきた放置A母子の件がおさまって来た頃に、何故か近くのマンションに住むCが突然やって来た。
このCがかなりの正義厨で、自称ご意見番のママだった。
 たまたまA母子と話す機会があったみたいで、我が家に怯えるA子の事を聞きいて、お化け屋敷=汚い=ダラ奥=ネグレクト→虐待!と思ったらしく、昨日の昼頃に児相の職員を連れやって来た。
 Cは、

「 さあ!お縄につきなさい!」

と玄関口で虐待ダメ!と説教を始める。
 とりあえず中に招くと、Cがうろうろと見回り出す。
その度にガタガタと家が揺れる。
 職員さんは話半分で来たらしく、説明したらCの勘違いをわかってくれた。
問題はCで、

「 お手洗い借りるわね。」

とトイレに行ったら、

「 ギャーッ!」

と叫び声を上げて家を飛び出して行った。
何しに来たんだよ。
 結果、誤解も解けCも、

「 お騒がせして・・・。」

と謝ってくれた。
ただ、あの時Cに何が起こったのかは、話を濁されてよくわからない。
 Cは何でもかんでも首を突っ込んで、当事者でも無いのに勝手に仲裁したがるタイプだから、

「 虐待親の真相を掴んでやる!」

と意気込んだのかもしれない?
 Cの事はすぐに近所に広まったみたいで、プライドが高いCはかなり赤っ恥かいたらしい。
そのまま大人しくしてくれてるとありがたい。
 Cじゃないけど、今の家に来た頃はよく祈祷師とか祓い屋とか胡散臭い人達が来てて、Cのようにやって来ては突然逃げ出すってことがあったりしてたから、Cも何か見たのかもね。
 実際のところ、自分の家族は全員なんとも無い&感じないからよくわからん。
やっぱり何かいるのかね?
あ、職員さんは何もなかったわけではないんだけど、家に入ってからずっと具合悪そうだったよ。












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日々の恐怖 8月24日 鵺塚

2016-08-24 18:20:19 | B,日々の恐怖




   日々の恐怖 8月24日 鵺塚




 むかし秩父の荒川上流ダム群のあたりに、イツザミという村八分にされた3戸ほどの集落があった。
その人達の間では、法律によって禁止される昭和初期まで風葬が行われていた。
 遺体を風葬する洞窟には鵺というのが棲みついており、死体の肉をキレイに食べて骨だけにしている、と言い伝えがあるそうだ。
そしてその骨を洗骨し壷に入れて洞窟に納めるが風習だったらしい。
 日本が高度成長期に入る頃、父が住んでいる地元で、戦時中に使われていた近くの防空壕から気味の悪い奇声が聞こえてくる、と噂が広まった。
 あるとき地元の若い男達3人が、酒を飲んだ勢いでその防空壕へ肝試しに入った。
男達が戻ってくると得体の知れない大きな獣の死骸を持ち帰り、

「 これが化物の正体で退治してやった。」

と地元民に勇ましく見せびらかしていた。
 だが数日後、その獣に直接トドメを刺して殺した男が突然死んだ。
そして葬儀が行われ、火葬された男の遺骨が何故かまったく残らず全て灰になってしまい、結局それで祟りだ呪いだの噂や騒ぎが大きくなり、揉めに揉めてしまった。
 それを見かねた土地の有力者が、火葬炉の火の調整の不手際よって起きたのが原因で祟りではない、という事情を説明して、遺族に弔慰金を渡して騒動を収拾させた。
 だがその後、土地の有力者は防空壕の傍に、あの獣の魂を鎮める小さな塚をひっそりと祀っている。
地元民はそれを鵺塚と呼んだが、塚がダムに沈んだ後でも公でその話をする人はいなかった。
 この話を父が亡くなる直前に聞かされ、私はよくある迷信の類と思い本気にはしていなかったが、父が他界し葬儀の最中にある事に気づいた。
父方の身内や親戚の葬儀で、骨上げをした事が一度もない事を・・・。











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しづめばこ 8月23日 P449

2016-08-23 22:30:41 | C,しづめばこ



しづめばこ 8月23日 P449  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。



小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 8月22日 エプロン(2)

2016-08-22 19:32:30 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月22日 エプロン(2)




それで、

“ 怒られる!”

と思って手を離したら、そこで目の前が又真っ暗になった。
 そこからはあまり何がどうなったのか覚えてなくて、気が付いたら病院で寝てた。
うちから1キロ弱離れた小学校の校庭で、タイヤを半分土に埋めた跳び箱みたいな遊具の陰に転がってたらしい。
 それで遊んでて失敗したか何かで気を失ったんじゃないかって言われたらしいんだけど、友達はみんな一緒に木材置き場で遊んでたら急にいなくなったって証言してて、私自身みんなと一緒に遊んでた記憶しかなくて、小学校に行ったことなんてこれっぽっちも覚えてなかった。
第一、当時の私はひとりで1キロ近くも歩いていく度胸はなかったし。
 退院してから、お母ちゃんが探しに来てくれたこと、私が近寄っても気付いてくれなくて悲しかったことを話したら、

「 確かにそのあたりを探したけど、おまえはいなかった。」

って言われた。

「 いたよー!エプロン引っ張ってたのに気付いてくれないだもん!」

って怒って、

「 あんまり引っ張り過ぎて、レースのとこ破っちゃってごめんね。」

って謝ったら、お母ちゃんが目を剥いてビックリして、本当にレースのところが破れてて、こんなふうに破れるぐらい何処かに引っかけたらしいのに、全然覚えがなくて、

“ どうしたんだろう・・・?”

って思ってたって。
だからそれ私が引っ張ったんだってば。
あれからもう何十年も経つけど、いまだに我が家の謎になってる。












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しづめばこ 8月21日 P448

2016-08-21 19:07:09 | C,しづめばこ



しづめばこ 8月21日 P448  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。



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日々の恐怖 8月20日 エプロン(1)

2016-08-20 20:10:34 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月20日 エプロン(1)




 小学校に入った年だったと思うから、多分7歳の時だと思う。
近所の仲良しの男の子や女の子5人ぐらいで、近くの木材置き場で遊んでた。
昭和の時代、あまり危険だという意識もなく、子供たちの恰好の遊び場だった。
みんな運動神経もそこそこ良くて、積み上げられた木材の上をぴょんぴょん飛び乗って移動していくような、元気な子たちばかりだった。
 私もみんなと一緒に木材の上と飛び回って遊んでいたら、ふいにスコーンと足元が抜けるような感覚があって、身体が落ちて行った。
そして柔らかい湿った土の上にドスンと落ちた。
 顔をしかめて起き上がったら、360度回りが真っ暗で何も見えない。
ここの木材置き場に穴とか洞窟とかそんなのあったっけ、とか思いながら、その時はまだ脳天気に出口を手探りで探してた。
 でもほんの少し経った時にハッと気が付いた。
なんの音も聞こえない。
仲間以外にも遊んでるグループがいたし、夕方だったからお母ちゃんが呼びに来る声なんかも聞こえてたのに。
何にも見えないし、何にも聞こえない。
 急に怖くなって、心細くて、友達の名前を順番に大声で呼んだ。
でも誰も返事してくれなくて、どうしたらいいか分からなくてワンワン泣いてた。
 泣いて泣いて、泣きつかれてゼーゼー言いながら、ブラウスの袖でグッと涙をぬぐった瞬間に、目の前がふわっと明るくなった。
 そしてお母ちゃんや近所のおばちゃんたちが、私の名前を呼んで探してるのが見えた。

“ 良かったー助かったー!”

と思ってお母ちゃんの方に駆け寄って行ったけど、私に気付かないのか、遠くを見ながら私の名前を呼び続けている。

「 お母ちゃん、早く帰ろうよ!お腹空いたー!」

って言いながらエプロンを引っ張るんだけど、全然気付いてくれない。

“ もう!早く帰らないと魔法使いチャッピーが始まっちゃうのに!”

って思って、エプロンの裾を思いっきり引っ張ったら、レースの所がビリッて破れた。












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しづめばこ 8月19日 P447

2016-08-19 21:28:58 | C,しづめばこ



しづめばこ 8月19日 P447  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。



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日々の恐怖 8月18日 狂った世相(3)

2016-08-18 18:17:22 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月18日 狂った世相(3)




それによると、A君を引き取る候補は他にもあったらしいのです。

「 じゃあ、A君は今そちらに?」

と聞くと、Bさんがニヤニヤしながら、

「 いいえ、どこも引き取らなかったんですよ。
私、Aのことずっとビデオで撮ってたんですよ。
私のこと殴ったり、暴言吐いたりするの全部撮ってたんです。
うちから追い出すときに、また親族会議が開かれたので、そこで上映してやったんです。
誰も引き取りませんよね、あれ見たら。」

母はこの時点で、

“ あれ?
この人ちょっとおかしくないかしら?”

と思ったらしいんだけど、更にBさん、

「 もちろんAもいる前で、あっはっはっはっは!」

母はどうしようか迷ったけど、思わず、

「 でも、施設に行く前はA君おとなしかったように見えたけど?」

と言うと、Bさんは、

「 だって私、それ待ってたんです。」

と言いました。

“ A君がB家に馴染むのを待っていた?
どういうこと?”

とパニクった母親は、とりあえず会釈してその場を去ろうとしたんですが、Bさんがそのまま、

「 良い気味ですよね。
Aが家出したとき、結局警察がウチにムリヤリAを置いてったでしょ、そのとき言ってやったんですよ。
どこにも居場所ないぞって、親が死んだんだから諦めろって、お前の面倒見てくれるヤツはいないって。
これから施設に行って面倒見てくれる人がいたとしても、そいつら金のためにやってるだけだからって。」

そこで母はその話に気分を悪くして、ムリヤリ帰ってきたそうです。
 母曰く、

「 あれは狂っているわ。
元からそうだったのか、A君がそうさせてしまったのかわからんけど、あれはもう完全に狂っている。」

 実は一度だけど、A君が施設から抜け出してB家に帰ってきたことがあったそうです。
もちろんBさんは一度も会わなかったそうでそうですが、もしかしてB家が引っ越したのも、A君の帰る場所を無くすためだったのかな、なんて思ったりします。











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日々の恐怖 8月16日 狂った世相(2)

2016-08-16 19:27:39 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月16日 狂った世相(2)




 そして、ここからが母から帰省時に聞いた話です。
母に、

「 そういえば昔こんな修羅場に遭遇したんだよ、お母さん何か知ってる?」

と聞くと、

「 あんたはもうここに住んでないから言っていいかね。」

と教えてくれた。
 実は子供Aは母親だと思った女性Bの養子で、B夫婦は子供がなかった。
従兄弟だかが子供を残して亡くなり、親戚から施設にやるのは可哀想だ、と半ば押しつけられたらしい。
 最初A君はおとなしい子だったそうだ。
しかし、ある時から急に反抗的、暴力的になった。
 A君は近所でも有名で、トラックが横を通ったら指さして、

「 あれに轢かれてミンチなれ!」

とか、殺す、シネは日常茶飯事で、二人が歩いてくると、

「 しねー!」

と聞こえてくるので分かった、なんて逸話もある。
みんな、もっと大きくなったらBさん殺されるんじゃないか、と心配していたそうです。
 しかし一年ほどしてAもちょっと落ち着き出したところで、急にA君は施設に入ることになった。
そのとき私は現旦那と同棲しており知らなかったのですが、A君が家出して騒ぎになったそうです。
 警察に保護されたA君がB家を親の住所として教え、Bさんが、

「 うちの子じゃないから知りません。」

と警察が連れてきたAの前で言ったようです。
 警察が、

「 いや、でもあなたの子でしょ?」

と言っても、

「 産んだ子じゃないんで、私の子じゃないんです。
赤の他人の全然関係ない子です。
うちと、この子は全く関係ありません。
よその子です。」

と、とにかくA君の真ん前でよその子を連発し、集まってきた近所の人達は唖然としたそうです。
 そしてちょっと前、B家の前に引っ越し屋のトラックが止まっているのを見た母が、Bさんに、

「 あら、お引っ越しですか?」

と声をかけると、Bさんが長話を始めた。
それが上記のA君を押しつけられた親族会議の話で、母は正直、

“ 親しくもない私に、何でそんな込み入った話をするのかしら?”

と思ったそうです。










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