大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月27日 レクイエム 4

2023-02-27 15:22:26 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 2月27日 レクイエム 4






 それでも耳をすませて聞いていたが、その後も電話は誰も喋らずで、僕は仕方なく受話器を置いた。
その瞬間、電話が鳴った。
固定電話の番号通知には母の名前だ。

「 もしもし、どうしたん?
こんな時間まで、どこいんの?」

と僕が話し出すと、母親の声が聞こえた。
が、なんといっているかがわからない。

「 なんか電波悪いみたい。
聞こえる?
もしも~し・・・・・。」

そう僕が言うと、母の方の声が次第に聞こえてきた。

「 ・・・は、大丈夫?」
「 え?
なんて・・・??」

そんな感じで答えていると不意に地震のように地面が揺れ始めた。

「 うわ、地震かも。
そっちは大丈夫?」

と答えながらも揺れは大きくなっていく。

「 ・・・・ねんで。」

母の声は相変わらず聞こえにくい。
地震の揺れが大きくなっていく中、

” このままじゃまずい!”

と思った僕は、母親に、

「 ごめん、ちょっと机の下に行くわ!」

といって切ろうとした時、母親の声が鮮明に聞こえた。

「 なにいってんの!
あんたトラックに撥ねられて、今、救急車やろ!」
「 え・・・・・!?」

返事をした瞬間、僕の目の前には白衣の男性がいた。













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日々の恐怖 2月22日 レクイエム 3

2023-02-22 15:20:09 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 2月22日 レクイエム 3






 家に着いたら、母がいなかった。
もうすでにあたりは真っ暗で、いつもなら母は帰っている時間だ。
これはいよいよおかしいのでは。
そう思って母に電話しようとして携帯を取ろうとしてポケットに手を突っ込んだら、いつも入れているポケットに携帯がない。

” あれ・・・・?”

と思ってバッグを見てもない。

” バイト先に忘れたか、それともこの家のどこかに置いたのを忘れただけかな・・・?”

と考えて、わからなくなったので、とりあえず自分の携帯にかけてみることにした。
 今は昔、家の固定電話があったときで、その固定電話から空で覚えている自分の携帯電話にかけて耳をすませた。
どこからも、バイブ音は聞こえない。

” どうやらバイト先に置いてきたみたいだな・・・。”

と考えながら受話器を置こうとしたとき、不意に違和感を感じて、受話器を耳に当てた。
 コール音が鳴っておらず、誰かが応答している気配があった。
誰かに拾われて、通話に出てくれたのか、それともバイト先の店長か、どちらかの可能性が高い。
なんとかするべく話してみた。

「 あの~、すいません。
その携帯僕のなんですが、そちらはどなたですか・・・??」

しかし、応答がない。
 僕は耳をすませて相手の出方を伺った。
かすかに向こうの周囲の音が聞こえる。
どこかの店らしく、BGMが流れている。
クラシック調の音楽で、曲目が判別できるほどは聞こえなかった。









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日々の恐怖 2月16日 レクイエム 2

2023-02-16 16:31:55 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 2月16日 レクイエム 2





 幹線道路の車線変更をして橋を渡っていたその時だった。
陽が強くあたり視界を奪った。
思わず目を瞑ったが、時速60kmで走行中で車も多く、無理やり目を開けた。
視界は真っ白で、こんなことあるのかと思った。
しかし、徐々に視界が戻ってきてホッとして、そのまま橋を降りる方向へ向かった。
 この橋が実は昔から不思議だった。
詳細は特定されるかもしれないからぼやかすけど、橋の途中で道路のある種別が変わる不思議な道路で、それゆえに地元住民からはある愛称で呼ばれていた。
 そういった不思議な道路で、事故も多かったのでいつも警戒していた道路だった。
なんとなく事故が多いのは太陽の光が入り込むタイミングとかなのかなとか考えながら、橋を降りた。
 そこで違和感に気づいた。
その橋を降りた先の道は、いつもすごく混む。
それなのに一台も車がなかった。
最初は、

” あれ・・・・?ラッキー!!”

と思って走ったが、次の交差点でも、その次の交差点でも車どころか人一人見つけられない。
 そのまま走って家に着いた。
なんかおかしいような気がしたけど、道中見かける家の明かりはついているし、街灯も信号も付いている。
その光のみに支えられて家に着くことができた。









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日々の恐怖 2月11日 レクイエム 1

2023-02-11 13:22:25 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 2月11日 レクイエム 1





 これは僕が大学生だった時の話です。
田舎の学生といえば、基本車か原付で移動することが多く、僕も例に漏れずホンダの原付で大学やバイト先に出かけていた。
時には田舎から都市部まで30kmくらい走ったり、それを超えて海まで行ったりもした。
便利な足をはじめて手にした僕は、どこへでも行けるような気がした。
 僕は家から10kmほど離れた大型ショッピングモールの本屋兼雑貨店でバイトしていた。
理由は二つ。
自由な金が欲しかったのと、母親に迷惑をかけずに就職まで進むための資金稼ぎ。
父親を中学生で亡くした僕は、少しでもそうした負担から母親を解放したい、いわば早く自立した男として生きていく気持ちが強かった。
 田舎では仕事は少なく、給料も安い。
近所の畑の学生バイトも季節によりけりだった。
そこで少し遠方のところまで足を伸ばして働くことにしたのだ。
 バイク乗りは皆知っていると思うが、夏は暑く、冬は寒い。
当然、夏は日焼けして真っ黒に、冬は帰ったらすぐに風呂に飛び込んだ。
でもバイクに乗るのは気持ちがよかった。
風を切って走る爽快感がそれに優った。
そんな気候に悩まされる時期のあいだ、寒くも暑くもない6月にそれは起きた。
 バイト先のショッピングモールから出て帰路についた僕は、いつも通り原付で帰っていた。
日が長くなってきてそろそろ帰りもサングラスをかけなきゃな、と考えながら夕方と夜のあいだくらいの街を走った。
陽がちょうど落ちるか落ちないかの時で、道中サングラスをかけていないことを後悔したが、走行中に取り出すのも面倒臭くてそのまま走った。









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日々の恐怖 2月4日 病院関連話(20) 高校野球

2023-02-04 11:36:38 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 2月4日 病院関連話(20)高校野球






 学校の夏休み期間に高校生が入院してきた。
症状は頭痛、吐き気、腹痛。
でも検査をしても数値的には特に目立ったところはない。
が、どうしても入院したいと言う。
 まあ、しばらく様子を見ることにしたんだけど、見ていると特に辛そうな感じはない。
日中は休憩室で宿題をしていて、時々テレビを見上げる。
テレビはずっと高校野球中継なんだけど、特に見入っているという風でもない。
 ちょっと思い当たることがあり、聞いた。

「 もしかして、仮病?」

押し黙っていたのだけれど、

「 秘密にしておいてくれますか?」

少年は地元の高校で、その地域には甲子園の常連校があるのだけれど、なんと彼の高校が20何年ぶりに甲子園進出を勝ち取ったらしい。

「 すごい盛り上がりで、野球部員がいる組の生徒なんて全員応援に行くのが当然、というプレッシャーがあって・・・。
それに吹奏楽部です。
野球が弱い高校だと思ったから行ったのに・・・・。」

 彼女には痛いほど気持ちが分かったそう。
実は彼女の母校がその甲子園の常連校だ。

「 吹奏楽部だったから、メンバーでもないのに参加を強制させられた。
楽器をやりたかったから入ったのに、1年でやめた。」

 彼の高校の試合の日、また休憩室で宿題をしている。
テレビを見るとちょうど8回裏が終わったところ、2対1で彼の高校が負けている。
9回表を抑えられれば敗戦だ。
 だが、期待に反して2塁打の後、バントが成功して1アウト3塁。

「 ちっ!」

小さく聞こえた。
 次のバッターは3番、ホームランでも出れば逆転。
が、一球目を大きくスイングした瞬間、なんとバットが折れた。
バランスを崩したバッターは折れたバットの上に倒れこむように転んでしまった。
そのまま動かない。

「 ふふ・・・・。」

聞こえたような気がして見ると、宿題に目を落としている。

「 皆が皆、野球が好きってわけじゃないよね。」

彼女は言う。

「 ああいう熱狂した雰囲気ってちょっと怖い。」

少年は次の日退院した。












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日々の恐怖 2月1日 病院関連話(19) かかりつけ医

2023-02-01 21:44:42 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 2月1日 病院関連話(19) かかりつけ医






 いわゆる町の開業医(まあ町医者)を、かかりつけ医にすることを勧めている。
彼女のいるような大きな病院だとお金も高いし、何より待ち時間がとんでもなく長いからだ。
 町医者が、精密検査とかが必要と判断した時に、紹介状を持って患者が訪れる。
それで、ある患者さんが来て紹介状を読むと、

『この患者はもう手に負えない』

みたいなことが書いてある。
見たところ、足腰は悪いけれど普通のお爺さんだ。
 先生から、

「 ちょっと電話して、どういうことなのか聞いてみて。」

電話してみると、奥さんが出た。
 その病院は、先生と看護師の奥さん、あと2~3人の看護師で回している小さな病院だ。
直接会ったことはないんだけど、すごく穏やかな感じの人で、

” ああ、この奥さんにつながって良かった。”

って思った。
 それで、話を聞くのだが、なかなか話したがらない。
ちょっときつく問い詰めると、

「 あの患者さんが来ると、他の患者さんが逃げるように帰って行くんです。」
「 何か暴力をふるったりするんですか?」
「 いえ、そんなことはないんですが・・・・。」
「 どういうことなんですか?」
「 私らには見えない何かが他の患者さんには見えているんじゃないかと・・・・。」

おいおいうちは姥捨て山じゃないぞ。











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