大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 5月30日 ブチの猫

2017-05-30 20:37:23 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月30日 ブチの猫





 メーカーの下請け会社で、トイレとかユニットバスとかの修理をしている。
お盆の終わり頃、ある家のトイレを修理するために訪問した。
すぐに修理は出来そうで安心して、トイレドアを開けたまま作業してた。
 すると後ろから、

「 裏口も見てください。」

と声をかけられた。
 年配の夫婦だけかと思っていたが、ハタチくらいの女の子がカーキ色のカッパを着てずぶ濡れで立っていた。
しかも、片手には食べかけたおにぎり。

「 あ、はい、裏口…ッスか?」

娘さんかと思い、

「 雨降ってきたんですね。」

と言うと、女の子は、

“ コクッ。”

と頷き2階に上がって行った。
 修理が終わり奥さんに、

「 治りました。
あの・・、裏口も見てって娘さんに聞きましたけど・・・・。」

と言ったら、奥さんに、

「 娘・・・・?」

と聞き返された。

「 はい、カッパ着ておにぎり・・・・。」

と言いかけて、ふと居間の横の和室を見ると、仏壇横に女の子の遺影がかかっていた。
仏壇には、おにぎりと卵焼きが置かれていた。
 結局奥さんと裏口を開けて確認すると、花壇の辺りにブチの猫が倒れていた。
奥さんが旦那さんにその話をすると、

「 すみません、お盆ですから・・・・。」

とだけ言われた。
昨日数年ぶりにその家に点検に行くと、ブチはその家で飼われていた。
 あのときは、外に出てみると雨は降ってなく、道路もカラカラで暑かった。
たぶん自分が見たのは霊なんだろうけど、よく書かれてる“白い服長い髪に青白い顔”ではなく、肩くらいの髪の毛の、頬っぺたの血色がわかるような普通の女の子だった。
遺影の写真より元気そうな感じで、今でも何だか信じられない。













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日々の恐怖 5月28日 睡眠撮影

2017-05-28 19:47:54 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月28日 睡眠撮影





 ありきたりな話かもしれませんけれど、お暇な方がいたら聞いてやってください。
睡眠撮影って言うんですかね。
自分が寝ている所を撮影するという行為をしたんです。
撮影するきっかけは、引っ越した先で金縛りにはじめて遭遇して怖かったからです。
 金縛りの内容ですが、虚ろな意識の中で上を向いて硬直していて人の気配が耳元でしていて、

“ シャー、シャー、シャー、シャー。”

という音が、リズミカルに連動して聞こえるんです。
 息も絶え絶えで、その音に怯えながら金縛りが終わって起きると時刻は朝5時です。
出勤の2時間前という中途半端な、嫌がらせのような時間に目覚めてしまいます。
 そこで実家から通販サイトで親父が買ったカメラを拝借してきて撮影してみたんです。
寝ている間に私の周りを徘徊しているのは何なのか知りたかったのと、引っ越すための理由探しのためにです。
変なものが映っていれば親父に泣きついて、引越し費用をもらおうと思ってました。
 しかし実際に映っていたものは、お笑いにもならない私の寝相の悪さでした。
睡眠から2時間ほど経過してから私はうつ伏せになり、何故か15分ほどクロールをはじめます。
 その日は泳いでいる夢なんて見なかったハズなんですが、曖昧な記憶の中で聞いた、

“ シャー、シャー、シャー、シャー。”

という音が、そのクロールの音だったという確認をしました。
 そして、15分ほどクロールをして終わったら5分ほど休憩してまたクロールをはじめます。
その連続でした。
息もそりゃ絶え絶えになるはずです。
ずっ~とうつ伏せでクロールしているのです。
 三日間撮影したのですが、すべて同じような内容でした。

“ なぜこんな恥ずかしい映像を三日間も撮影したか?”

という疑問が残るかもしれません。
 6時間前後の映像を見れる時間が無かったから、日課として撮り続けただけです。
こんなに寝相が悪いとは思っていなかったのです。
 そしてこの映像は、中身を消し忘れてカメラを返却した私のミスのせいで、実家でDVD-Rに焼かれ永遠にネタにされています。














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日々の恐怖 5月27日 奇妙な体験(6)

2017-05-27 19:55:37 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月27日 奇妙な体験(6)





“ もう、やめてくれ!”

心の中で叫び続ける。
 動画の再生時間は、まもなく終わりに近づいている。

“ すべてが見える前に終われ!”

と念じた次の瞬間、信じられないものが画面に映った。
 画面の端から

“ ぬっ!”

と現れた人影が、ビデオのスイッチを押して録画を停止させた。
 その画面に映った、録画を停止させた人物は、他ならぬ俺だった。
画面に現れた俺は、無表情のままカメラに手を伸ばし、スイッチを押した。

“ 俺が・・・?”

それを見た俺はもはや恐怖と混乱が頂点に達し、そのまま気を失ってしまった。
 気づいたら、PCデスクに突っ伏したまま朝を迎えていたが、モニタ上のフォルダには、動画ファイルと謎のファイルがそのまま残っている。
 夢ではなかったのだ。
正直、そのファイルを再生する気には2度となれず、動画を消去した上にカメラもその後処分してしまったのだが、その日は気分が悪く会社も休んでしまった。
 あの時、俺が見たものは一体何だったのか?
足元の布団からゆっくりと出てきたあの顔は、何だったんだろう?
録画を停止させたのはまぎれもなく俺だったが、そんな記憶はない。
だとしたら、布団で寝ていたのは一体誰だったというのか?

そして不思議なことに、あれ以来俺は一度も金縛りに遭っていない。












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日々の恐怖 5月25日 奇妙な体験(5)

2017-05-25 19:08:18 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月25日 奇妙な体験(5)





 硬直してから3分、画面は変わらないままだが、何かおかしい。
画面の中の俺は、不自然に腕を空中に静止させたまま動かない。
 そして、その状態を見ているうちに気がついた。
寝てる俺の足元の布団の中から、何か黒いものが出てきているのだ。
あまりにゆっくりとした動きのため気づかなかったのだが、明らかに俺の体じゃないものが俺の足元から出てきている。
 やがてそれは、黒い部分のほかに白い部分も見え始めた。
注意してよく見ると、どうやら髪の毛と額のようだった。

“ 人の顔か・・・?”

 人の顔らしきものが、俺の足元の布団からゆっくりと出てきている。
それに気づいた瞬間、俺は不安になった。

“ もう動画を見るのをやめようか・・・。”

そう思ったが、当然、動画を見るのをやめられない。
 手がガタガタ震え始めた。
停止ボタンをクリックすることも出来ない。
起きながらにして金縛りに遭っているかのように、体の自由が利かない。
 そして、ついにその顔は半分近く布団からせり出し、目が完全に見えている。
その両目はまったく生気がない。
その目が、カメラ越しにこっちを見ているように見えた。
 そのうち、映像からミュンミュンミュンという金属的な音や、ピシ、バシという破裂音も聞こえ始めた。
俺は、

“ このまま、これを見続けて大丈夫だろうか・・・・。”

そして、

“ あの顔が全部出てしまったら、どうなるんだろうか・・・?”

と思った。












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日々の恐怖 5月23日 奇妙な体験(4)

2017-05-23 18:56:13 | B,日々の恐怖






  日々の恐怖 5月23日 奇妙な体験(4)






 その後、ずっと早送りを続ける。
その間、ベッドで寝ている俺は時折寝返りを打ったり微妙に動いているだけで何の変化もない。
 動画の4分の3過ぎたあたり、つまり開始から3時間経ったあたりまで早送りしたが何の変化もない。
しかし、昨日の感覚的に、このあたりで金縛りにあったんじゃないかと予想を立てて、この辺りから通常再生にする。
 動画開始から3時間半を過ぎたあたりで、異常が起こった。
先程来と変わらぬ寝返りをうとうとした俺が、寝返りを打つちょうど真ん中あたりで画面が固まった。
 具体的に言うと、右手が空中に浮いた状態で画面がそのままになってしまった。
 
“ あれ・・・?”

と思って画面をよく見ると、再生自体は続いている。
経過時間を表す数字も、変わらず進み続けている。
 しかし、画面の中の俺だけが不自然に腕を空中に静止させたまま、一時停止のように動かないのだ。

“ もしかして、これが金縛りなのか?”

あまりの予想してなかった展開に当惑した。

“ 金縛りとは脳の錯覚ではなかったのか?”

実際に体が硬直するものだとは思いもしなかったので、どう捉えていいのかわからないまま、動画は再生を続ける。











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しづめばこ 5月22日 P495

2017-05-22 19:44:55 | C,しづめばこ




 しづめばこ 5月22日 P495  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”







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日々の恐怖 5月21日 奇妙な体験(3)

2017-05-21 19:40:28 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月21日 奇妙な体験(3)




 
 通常、保存された動画は“通し番号・拡張子”となる。
フォルダ内には、数日前から消さずに撮りためた動画ファイル数個と、昨日撮った動画ファイルだけがあるはずだったが、フォルダ内には“ssggggg34333333333333”、“B9めn項sSもp懺れ履水”のような、メチャメチャな名前のファイルが30個くらいあった。
 拡張子もない。
ダブルクリックしても当然開けない。
 ファイルサイズはそれぞれ3KB~550MBくらいまであったが、ためしに動画と同じ拡張子をつけてダブルクリックしてみても再生されない。
仕方なく、ちゃんと“通し番号・拡張子”となってるファイルを開くことにした。
 通し番号が一番新しいものが昨日撮った映像だろう。
更新日時も、今朝になっている。
 再生が始まり、部屋が映し出される。
角度的には、ベッドで寝てる俺の足元の斜め上から俯瞰で撮っている形だ。
画面の下が一番手前になり、俺の足側、画面の上が一番奥になり、俺の頭側ということになる。
 しばらくは何事も起こらなさそうなので早送りをする。
ここで、

“ あれっ・・・?”

と思った。
 この動画の総時間が画面の右下に表示されているのだが、4時間ちょっとしかない。
寝た時間から考えると、7時間くらいあるはずなのだが、妙に短いのだ。













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日々の恐怖 5月20日 奇妙な体験(2)

2017-05-20 19:33:36 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 5月20日 奇妙な体験(2)





 この状態を保つのにも疲れてきて、もうそろそろいいだろうということで、最後の仕上げにかかった。
今回、金縛りに遭うことのほかに、自分の中である計画があった。

“ 金縛り中に思いっきり叫んでみたらどうなるか?
金縛りの最中、思いっきり叫ぶその様子を外から見たらどう見えるのか?
本当に叫んでるのか?
それとも叫んだと思っただけで実際には叫んでないのか?”

 それが知りたかったので、俺は金縛りの最後に全身全霊を振り絞って、

「 うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

と叫んでみた。
 確かに自分では叫べたと思った。
叫んだと同時に力を使い果たし、意識が遠のいて、気がついたら朝になっていた。
 妙に体がだるい。
あれだけ気力を振り絞ったのだから当然だともいえる。
本当なら撮った映像をすぐにでも見たいところだが、とりあえず仕事に出かけ、帰ってきてからビデオを見ることにした。

 仕事から帰宅し、いよいよ昨日撮ったビデオを見る。
楽しみだが、まあ恐らくただ自分が寝てる姿が映し出されているだけだろう。
叫んだところがどう映ってるのかが気になるところだ。
 カメラをPCに繋ぎ、ファイルを確認する。
ここでちょっとおかしなことに気づいた。












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日々の恐怖 5月17日 奇妙な体験(1)

2017-05-17 19:20:48 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月17日 奇妙な体験(1)





 以前、一度だけどうにも奇妙な体験をしたことがある。
金縛りというものは多くの人が経験してると思うが、あれは脳の錯覚で、本当は寝ているだけなのに、起きていると脳が勘違いをしてしまうために起こる現象なのだと一般的には言われていて、俺も全くそうだと思う。
 じゃあ、金縛りが起きた時、実際にその様子を他者的視点から見たらどう見えるのか。
俺はそのことに興味がわき、実際に自分の寝姿をビデオに撮ることにした。
 寝る前にカメラをセットし、寝てる間に金縛りに遭ったと思ったら、朝起きてビデオを確認するという段取りだが、そう都合よく金縛りに遭遇することもなく、始めてから2ヶ月くらいは空振りの日々が続いた。
 そして、ある日の夜、ついにそのときが訪れた。
その日は特に疲れたということもなく、今日も空振りだなと特に期待せず眠りについたのだが、眠ってから、感覚的に4時間後(自分の中では夜中の3時くらい)に金縛り直前特有の嫌な感覚が襲ってきて、直後に意識が覚醒したと思うと同時に体が硬直、

“ ついに来たか!”

という興奮と、冷静になろうとする感情が入り乱れる。
 今回の目的は、金縛りになることもそうだが、この状態をいかに長く持続させるかが重要だ。
長時間金縛り状態を保たないと、ビデオを見たときにどこがそれだったのかわからない可能性が高いからだ。
 俺はリラックスしすぎないように手や体を動かそうとしながら、

“ やはり動かないな・・・。”

などと妙に冷静な状態を保つことができ、金縛りになってから5分くらいは経った感覚があった。













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日々の恐怖 5月14日 紅茶(6)

2017-05-14 19:30:05 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月14日 紅茶(6)





 そしてYが、ちょうど軽トラの真後ろにまわり込んだとき、突然、軽トラのエンジンが掛かる音がした。

「 え・・・・?」

まさかと思ったが、雨の中軽トラが地響きを立てて動き出した、しかもバックに。

「 うわっ!」

Yは慌ててバシャバシャ水を蹴りながら、後ろに逃げた。
 しかし、軽トラは下がってきた。
Yが真後ろにいるのが分かっていて、あえて下がってきた。
それで、Yはパニックになった。
 そのとき、逃げるYの目に、こちらに近づいてくる車の明かりが飛び込んできた。
Yは下がって来る軽トラを避け、それに向かって必死で走った。
 今度こそ本当に、保険会社のロゴの入った大型車だった。
軽トラはYを追うのをやめ、前方にすごい速さで走り去って行った。
軽トラのナンバーを確認するほどの余裕はなかった。
 Yは雨の中倒れこんで、保険会社の救助スタッフに抱き起こされた。
保険会社のスタッフ2人も、Yをひき殺そうとする軽トラをちゃんと見ていた。
 Yの車は何もされていなかった。
窓ガラスが粉々に割られていたとか、扉が外されていたとか、シートがズタズタにされていたとか、タイヤがすべてパンクさせられていたとか言うことも何もなく、雨の浸水被害だけで、人為的な損壊は本当に何もなかったそうだ。
 だから、あの男が雨の中で何をしていたのかは全く不明。
病院で検査を受けたが、あの謎の紅茶も、毒だとか睡眠薬が入っていたとかいうことも何もなく、本当にただの紅茶だったようだ。
 一応警察に、男の人相なんかも話したらしいけど、指名手配犯にそんなヤツはいない。
近くにあるらしい刑務所でも、その日は脱走犯とかいなかった。
 別にその辺りは事故現場でもなく幽霊が出るとかでもないし、引ったくり未遂があった程度だったようだ。
それでも、車のシートに置いてあったカバンの財布から、現金を抜き取られていることもなかった。
 だから本当に、あの青年が何者で、何が目的なのか分からない。
何故Yをひき殺そうと、突然バックしてきたのかも謎だった。
そして、ちょっと気味の悪い事件だったこともあるけれど、その後何故か保険会社はYに解約して欲しいって言ってきたと言う話だった。













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日々の恐怖 5月12日 紅茶(5)

2017-05-12 18:56:51 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月12日 紅茶(5)





 Yは意を決して外に出てみることにした。
さっき男が貸してくれたレインコートを羽織ろうかと思ったけどやめた。
 車から降りると、水嵩は膝下まで来ていた。
Yは恐る恐る軽トラの周りを一周した。
男に鉢会ったら間違いなく悲鳴を上げただろうが、会わなかった。
 その時、携帯が鳴った。
保険会社からだった。

『 あ、Yさん大丈夫ですか?』
「 はい。」
『 あの、あと10分ほどで救助スタッフ到着するそうなので、もう少しの辛抱です。
大丈夫ですか?』
「 あんまり大丈夫じゃないです。」
『 あの、念のため警察にも通報を入れたので、それもそちらに向かっていますので・・・。』
「 私は、この場にいたほうが良いんですか?
それとも、逃げた方が良いんでしょうか?」
『 あの、実はですね・・・。』
「 はあ・・・・?」
『 Yさんが現在いらっしゃる近辺、事件がときどきあるそうなんですよ。』
「 え?」
『 その辺り、いつもなら夜中に巡回のパトカーなんかもいるらしいんですが、今夜は台風でそれもないので、十分に気をつけてくれ、とのことでした。』
「 ええっ・・・・・?」

そして、電話は不安だけを残して、

“ ガチャ!”

と切れた。
 電話が切れて一人取り残されたYは、車内に戻る気にもなれなかった。
それで、念のため、もう一度軽トラの周りを一周してみることにした。
男の姿が忽然と見えなくなったことが、とにかく不安だった。










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日々の恐怖 5月11日 紅茶(4)

2017-05-11 19:26:42 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 5月11日 紅茶(4)




 保険会社の社員の話では、Yの元に来た男は服装や車両の特徴も、自社スタッフとまったく異なるという。
通常、豪雨時の応援には、最低2人以上のスタッフを派遣することになっているし、暖かい紅茶のサービスなんていうのも行っていない。
 Yはわけが分からなくなった。
保険会社の社員も同じくわけが分からないようで、

『 現地に向かっている筈のレスキュースタッフと連絡を取ってみて、現状を確認し次第、再度連絡します。』

と告げ、Yの返事も聞かず、電話は切られてしまった。
 Yは暫く放心したが、自分の置かれている状況を整理すると背筋が凍った。
前方のYの車両の脇で、何か作業をしている風なレインコートの影。

“ あれは一体誰なのか?
保険会社のものではないとしたら、今自分が乗せられているこの軽トラは何なのか?
この紅茶は何のために飲まされたのか?
ここから逃げた方が良いのか?
助けをまった方が良いのか?”

Yは混乱する頭で考えた。
窓の外を見ると、一時期よりは雨は弱くなっていた。
もし、逃げ出せるとしたら今がチャンスなのかもしれない。

“ でも、どこへ・・・?”

しかも、足場は最悪だ。
 考えが纏まらないまま、ふと前を見ると、男の姿が見えない。

“ あれっ・・・・?”

と思い、フロントガラスの結露をぬぐってもう一度よく見たが、やはりさっきまでいた筈の、男のレインコート姿が見えない。

“ どこへ行ったんだろう・・・・。”












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しづめばこ §31 冥闇 5月10日 P494

2017-05-10 19:48:05 | C,しづめばこ



 しづめばこ §31 冥闇 5月10日 P494  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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しづめばこ §31 冥闇

2017-05-09 20:37:01 | C,しづめばこ



 しづめばこ §31 冥闇 近日中にアップします。



小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 5月8日 紅茶(3)

2017-05-08 21:32:30 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月8日 紅茶(3)





 あったかい。
湯気と共に良い香りが車内に立ち込めた。
 猫舌なので、紅茶をちょびちょび舐めるように飲んでいると、携帯が鳴った。
画面を見ると、保険会社からだった。
 Yは、

“ レスキューが無事着いたかどうかの確認だな。”

と思い、電話を取った。

『 あ、Yさん、○○社です。
ご状況いかがですか?』
「 あ、どうも~。」
『 実はですね、大変申し訳ないのですが、△△道が波浪警報のため現在通行止めになってしまっていて、Yさんがいらっしゃる地点まで、大きく迂回していかなければならないため、スタッフがそちらに着くまでに、最低あと4、50分は掛かってしまうと思われます。』
「 ・・・え、・・・・?」
『 もしもーし?』
「 ・・・・・・。」
『 もしもーし、Yさん、大丈夫ですか?』
「 あの・・・。」
『 はい。』
「 あの、スタッフの方、もう着いてます。」
『 え?』
「 10分まえくらいに・・・男の、若い人。
私、もう車両から引っ張り出して貰いました。」
『 え、本当ですか?』
「 ええ。
今、紅茶をいただいて・・・。」
『 紅茶?』

会話がなかなかかみ合わない。
 保険会社の社員は、矢継ぎ早に質問をしてきた。

『 そのレスキューは何時頃来たか?
どんな車両で、どんな人相で、どんな服装で、何人来て、どんな対応をしたか?』

Yは答えながら、携帯を握る手に汗がにじんでいくのを感じた。
 不安から、自分がだんだん早口になっているのが分かった。
保険会社の社員は、

『 Yさん落ち着いてください。』

と言った後、一呼吸置いてこう告げた。

『 ・・・あの、・・・それは、・・・本当に当社のスタッフでしょうか?』












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