日々の恐怖 3月20日 石の家(3)
会社に戻るといきなり社長に俺たちは怒られた。
コウさんが激怒して会社辞めるって飛び出した。
「 お前たち何したんだ!」
って怒られたけど、俺たちに分かるわけがない。
だから社長に、
「 あの石のある蔵を壊そうとしたらコウさんは怒り出して、いきなり帰ったんでわかりません。」
て言ったら、社長は俺たちを突き飛ばすようにダンプに積んだ石の所に行って、
「 早くこれを運ばんか!」
って怒鳴り始めた。
本当に訳がわからなかったけれど、社長の言う通りに応接間にその石を社員総出で運んだ。
そして社長は、それを応接間のソファーの上に置かせた。
それから暫くして、社長はその石にお茶を出したり話しかけたりするようになった。
俺たちと社長の息子は気持ち悪いと思ってたけれど、何も言わなかった。
1週間くらいしたら、社長が突然、
「 息子に跡を継がせる。」
って言いだした。
息子にしても本当に突然だったみたいで、会社はしばらくバタバタした。
しばらくろくに仕事できねえだろうなと思って、俺はバイトをしばらく休むことにして、沖縄に2週間旅行しに行った。
帰ってくると会社はすっかり新体制で動いてた。
息子に、
「 社長は・・・・?」
って聞いたら、石と一緒に遠くの実家に行っちゃって、連絡しても満足に帰ってこないって言っていた。
「 あの石、やばいもんなのかな?」
って息子に聞いたら、息子もそう思ったらしくて、あの民家の近所の人に聞いたみたいだ。
それによると、過去2人あの蔵で死んでるということを聞かされたと言った。
一人はその家のご主人、もう一人は全く知らないその街のものですらないオッサン。
二人共、事件性はなかったみたいだけど、って話だった。
それから数ヶ月して俺もそこをやめちゃったから、その後前社長がどうなったかは知らない。
ただあれから10年以上たったけど、会社はまだ続いてる。
というか息子がうまくやったのか、新しいビルを建てるくらい儲かってるみたいだ。
” やっぱりあの石ってなにかヤバイ、もしくは不思議なもんだったのか・・・・?”
なんて、ふと思ったりする。
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