大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

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☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 9月30日 家に出る(3)

2019-09-30 10:52:47 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月30日 家に出る(3)



 兄が24~26歳まで住んでた曰わく付き物件がある。
台所にはお婆さん、居間には影の集合体が家の中を徘徊する、よく分からない物体のいた一軒家だ。
 一軒家なのに家賃は3万だ。
本当に気持ちの悪い家だった。
 引っ越した当初、耳鳴りと金縛りにしばしば襲われたらしいが、兄は、

「 共存して行こうぜ!」

と訴え続けたらしい。
 次第になくなる耳鳴りと金縛り。
最終的には、兄は、

「 見えない家族みたいなもんだよ♪」

と言い放った。
 自作のお仏壇みたいのを作って、朝晩にごはんを上げていた。
引っ越す時、非常に寂しそうだったのが印象的だった。
 兄は、

「 寂しがり屋の俺が一人暮らしできたのは、あいつらのお陰だ。」

って言っていた。
 
 実家での話に戻る。
先にも書いた建て替えた家、あまりにも気持ちが悪いので、結局みんな自然ともう一軒の家に移ってしまった。
 だかしかし、曰わく付き物件から帰った兄は、ここぞとばかりにその家で生活を始めた。
この家でも金縛りにあったらしいが、やはり、

「 共存しよう!」

で言いくるめたらしく、何事もなく暮らしてる。








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しづめばこ 9月28日 P567

2019-09-28 18:11:57 | C,しづめばこ


 しづめばこ 9月28日 P567  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 9月27日 家に出る(2)

2019-09-27 20:00:40 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月27日 家に出る(2)




 暫くは何事もなく過ごしてたけど、気づいたらいつも何か視線を感じる様になった。
飼ってた犬は部屋に来ると吠えるし、猫は壁とにらめっこして退室した。

“ 嫌だなぁ・・・・。”

と思っていたんだが、その事を友達に話したら、

「 隣の部屋に、なんか居るんじゃね?」

との事だった。
 友達を説得してその部屋を見て貰うと、置いてあった日本人形と夫婦達磨が、綺麗に私の部屋の方に向いていたとの事。
 怖いから親に別の所に移して貰った。
祖父にその事を話したら、建てた条件が悪いからだと何故か私が怒られた、涙。

 今はその家に住んでないけど、いつ行っても空気が気持ち悪いし、2階は行くに行けない空気たっぷりだし、最悪な実家です。
 兄は普通にそこで暮らしてるから凄いと思う。
兄曰わく、

「 なんか居るから、1人じゃないって思えて寂しくないからいいよ♪」

との事だった。

 兄が中学の時の話。
壁から顔がはえてきたらしい。
 だかしかし、兄は裏拳で顔面を攻撃。
壁の顔は消えた。
 でも壁に穴が空いた。
そこに何を思ったか、お気に入りのエロ本の1ページを貼り付けた。
未だに実家の壁は卑猥だ。






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日々の恐怖 9月25日 家に出る(1)

2019-09-25 17:39:24 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 9月25日 家に出る(1)



 小6の時、実家の二軒並びに建ててあったうちの一軒を建て替えた。
図面を見て祖父は大反対した。
 祖父は、

「 水場と玄関の位置が悪いから変えろ。」

と言っていたと思う。
だかしかし、父は祖父の話を無視して家を建て替えた。

 家が建ちあがり、初めて部屋を与えられたものの、なんだか1人の部屋が嫌で、姉と8畳の洋間で過ごす事にしたんだが、その部屋にしてから暫くして、姉が金縛りにあった。
 足首を掴まれて引きずられたらしい。
感触もリアルに、体と布がすれる感じがしたらしい。
次の日に足を見たら、綺麗に掴まれた所に手形があった。

 その数日後、次は私が金縛りに。
なんだか息苦しくて、息苦しくて目をあけたら、肘から下だけしか見えなかったけど、自分の首を絞めてる2本の腕があった。
 真っ暗は怖いからテーブルランプをつけていて、体が見えないなんて有り得ない状況なのに、見えたのは肘から下だけだった。

 次の日、私の首にも手形が。
手形が消えるまで学校を休んだ。
 流石に洋間は怖いから、別々に6畳の部屋に移ったが、私の部屋の隣が洋間。
私達が使わなくなってからは、軽く物置状態になった。






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日々の恐怖 9月23日 盗聴器の声(3)

2019-09-23 10:34:06 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月23日 盗聴器の声(3)




 その捜査の中で、犯人は不思議な供述をしました。
それは、盗聴記録の中に、彼女の部屋に毎晩1時半頃に男が帰宅し、

「 ただいま~、帰ったよ~。」

と言葉を掛けたと言いうことです。
しかし、声を掛けられた彼女は無言のままだったようです。
 その後も朝彼女が出勤するまでその男との会話は一切なく、出て行った感じも無いので不思議に思ったとあったそうです。
 警察も録音記録からその声を確認しており、彼女にも聞かせたところ、彼女自身は思い当たる事もないし聞いた事もない声なので、心底怖がってしまって引越しをしてからお祓いも受けました。
それはいったい誰だったのでしょうか。

 その後数年経ち、彼女は無事に結婚をして今では幸せな2児の母となりました。
でも彼女曰く、旦那さんが、

「 ただいま~、帰ったよ~。」

っていう声が、絶対に当時聴いた録音された声と同じなんだけど、それってどう言う事なのかって首を傾げていました。
 大手企業のエリートサラリーマンのご主人ですが、普段は温和で家族想いの良いパパ、でも彼に会う度に、

“ あ~、あの声ってこんな声だったんだぁ~。”

と考えてしまいます。








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しづめばこ 9月21日 P566

2019-09-21 21:43:19 | C,しづめばこ


 しづめばこ 9月21日 P566  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 9月18日 盗聴器の声(2)

2019-09-18 19:18:50 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月18日 盗聴器の声(2)




 何故なら直感的にその部屋を紹介した不動産屋の担当者を疑っていたので、外してしまうと犯人との経路が途絶えてしまうと思っていたからです。
 それに電波の届く範囲を考えれば、一々車で盗聴をしに来るか、近くに住んでいて普段は録音しているかのどちらかしかないと思うけど、彼女が他の物件を気に入っていたにも関わらず、4箇所あった物件から何故かその物件を強く勧めてきて、その物件に限り家賃の値引き交渉するとか、凄く積極的だったと聞いていたので、多分その物件の近くに住んでいたら間違いなくそいつが犯人と推測し、そこの地元警察に相談しました。
 そして警察は3日後くらいに容疑者をその不動産屋と断定して任意同行を求めたところ、

“ 盗聴をストーキング目的に行い、実際にストーキング行為を行った。”

と言う事を認めたので家宅捜査、受信用無線機と録音機や彼女の通勤時の写真や休日の深夜コンビニで買い物をしている彼女の写真、彼女の捨てたゴミの一部、彼女のプライバシーに関わる事を記録したノート等が見つかり“ストーカー規制法”に基づき送検で一件落着しました。






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しづめばこ 9月16日 P565

2019-09-16 11:34:39 | C,しづめばこ


 しづめばこ 9月16日 P565  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


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日々の恐怖 9月15日 盗聴器の声(1)

2019-09-15 11:09:55 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月15日 盗聴器の声(1)




 10年以上前ですが、仲良くしてた職場の同僚(女性)が、引越しをして2日後くらいから無言電話や送り主不明の手紙がドアポストに入れられるようになりました。
 その手紙の内容から、引っ越ししてからの彼女の行動が正確に捉まれている様なので、ストーキングされてるんじゃないか、と相談を受けたのです。
 引っ越し3日後あたりから、電話でもそれ程多くないにせよ彼女の個人的な情報や部屋での行動内容、友人の名前などを言ってくる様になったと聞きました。
 これはやられてると判断したので、盗聴バスターなる業者を友人から紹介してもらい、その子の1LDKの部屋を、私とその子と業者3名の計5名で確認して、結果、寝室・LDK・浴室の電気コンセントケース内から、盗聴器が合計3個見付かりました。
 盗聴バスターは流石プロで、事前に全て無言(言葉のやり取りはホワイトボードにペン、ジェスチャー)で行う事を聞いていたんですが、その日は取り外し方を教えてもらい業者立会い証明書を書いてもらって外しませんでした。







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日々の恐怖 9月12日 霧が出る(2)

2019-09-12 10:57:47 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月12日 霧が出る(2)




 霧については、もう一つ話がある。
これも7年くらい前の話だ。
 母と祖母が車で一緒に出掛けていて、他の家族も家を空けていたので一人でテレビ見ていた。

「 夜九時くらいには帰る。」

と言っていた母達が戻らないまま日付が変わったので、

“ 世間話盛り上がって、帰るに帰れない状態になってるのかな・・・。”

と思っていたら、電話がかかってきた。

「 もしもし?」
『 お母さんだよ。
なんかね、帰ろうとしてるんだけど、どの道進んでも同じとこに出ちゃって帰れないんだけど・・・・。』
「 何それ、道に迷ったの?」
『 霧出てるけど、知ってる道だから迷うわけないんだけどなぁ・・・・。
どの道行っても、真ん中に床屋が見える分かれ道に着くんだよ。
さっきから右に真っ直ぐ行ったら床屋、左に真っ直ぐ行ったら床屋の繰り返しでね。
あ、また床屋だ、アハハ・・・。』
「 狐詣でやってないで早く帰る。
その床屋、もしかして営業中?」
『 うん、電気点いてるし、くるくる(看板)まわってるよ。』
「 この時間に営業してるわけないじゃん。
完全に変なのに誘われてるだろ、それ。
Uターンして戻りなよ。」

めんどくさいと言いながら、一度電話を切ってUターンした母、数分後、再び着信があった。

『 なんか霧晴れたよ~。
同じ道来たのに、さっきの床屋どこにもない。』
「 じゃあ、見たことある場所に来たら、またUターンして帰って来なよ。」
『 わかった~。
よく寄るコンビニ見えたから、そこでUターンするよ。』
「 アイス!アイス!」
『 30分くらいで帰るね~。』

“ ブツッ!”

「 ア、アイス・・・・・。」

アイスのお土産は、ありませんでした。











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日々の恐怖 9月9日 霧が出る(1)

2019-09-09 18:25:08 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月9日 霧が出る(1)




 5年くらい前かな、夜中の3時くらいに東北の山道車で走ってたら、ものすごい霧が出てきた。
 前のトラックのテールランプがかろうじて見えるって状態だったのに、トラックはかなりスピード出してるのかあっと言う間に見えなくなった。
 後ろには黒い車がついて来てたんだけど、一本道を40キロくらいで走ってるのに、ちょっと目を放した隙にいなくなってしまった。
 前後に誰もいないし対向車も来ないから、眠気覚ましに知人とイヤホンとマイク付けて通話しながら30キロくらいでゆっくり走ってた。
 その道には、それほど長くないトンネルが二つあるんだけど、トンネルが近づくにつれて通話が途切れ途切れになり、最後には切れてしまった。

“ おかしいなぁ・・・。”

とは思ったけど、くねくね道で停車するのも危なそうなので、かけ直すのはあきらめた。
 いつものように二つのトンネルを潜り抜けると、またトンネルがあった。

“ あれ・・・・?”

と思いながらそのまま潜り抜けると、また別のトンネルがある。
 5つ目のトンネルに入ると、異様に長い直線で、トンネルの出口が見えない。
10分くらい走っても見えない。
 ここまで来て、

“ ああ、これはなんかちょっと変だな・・・・。”

って思ってUターンした。

“ 出れなくなってたらやだな~。”

とか思いつつ、誰もいないのをいいことに大声で歌っていたら普通に出れた。
 出たら霧が全く無い。
車停めて降りてみたら、ひとつ目のトンネルの前だった。
 携帯で時間を確認したら4時15分過ぎ。
何がなんだかわからなかったけど、

“ まぁいいか・・・・。”

と思ってまた車をUターンさせて走ったら、今度はふたつで終わりのいつものトンネルだった。
その後何度か通ったけど、トンネルが増えたのはあれ一回きりだった。









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日々の恐怖 9月6日 空き巣

2019-09-06 18:44:37 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月6日 空き巣




 去年頭までキャンギャルとかイベコンをやっていた。
今はその世界に嫌気がさして、毎日スッピンのヲタ喪女です。
 その時の仲間の子のマンション(1k三階)が、ある日空き巣に入られた。
しかし窓の鍵が壊されて侵入されただけで取られたものは特になく、警察も不思議がっていた。
 その時は不気味だったものの、忙しかったため引っ越しはせず、不動産屋が鍵を付け替えただけだった。
 それから3ヶ月後、空き巣犯が自首してきたとの連絡が入った。
そして犯人がその子の部屋に盗聴器を仕掛けていたことが発覚し、回収された。
 いろいろ手続きを済ませたのち、犯人の親族から謝罪の手紙が来た。
その親族からの手紙と警察からの説明をによると、

・犯人は向かいのマンションの住人で、ベランダに干されている衣類からその子が若い女性で一人暮らしと断定。
・元々物取り等ではなく盗聴のみが目的。(そういう性癖があるらしい。)
・しかし盗聴を始めると、時々赤ちゃんの泣き声が混ざる。
・その泣き声が日を追って大きくなるが、赤ちゃんのいる気配などない。(もちろんその子は子供なんていない一人暮らし。)
・そしてある時から、女性が盗聴器近くでボソボソ話す声と、赤ちゃんの泣き声が定期的に聞こえるのみになった。
・とうとう夢の中に赤ちゃんを抱いた女性が出てくるようになり、怖くて自首した。

と言うことだった。
 私は、

“ それって守護霊か!?”

と話を聞いてwktkしたが、その子が不動産屋に問い詰めたところ、以前その部屋に住んでいたシングルマザーと赤ちゃんが、家財道具を残したまま行方不明になっていた。
 友達はしばらく私のところに泊まったあとすぐに引越し、今は元気にレースクイーンやってます。
嘘みたいだけどガチな話です。
ちなみに、そこは総武線沿線の小綺麗なマンションだった。










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日々の恐怖 9月2日 東京都板橋区(3)

2019-09-02 11:45:25 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 9月2日 東京都板橋区(3)




 以来、老婆の霊は出なくなった・・・・・、わけではなかった。
相変わらず、老婆の霊は出た。
 しかし、佐藤さんがみかん箱に毎日お茶を置き、ご飯を炊いたら一膳のせ、を繰り返しているうち、1ヶ月ほど経ったら老婆の霊は、痩せこけた恨めしい姿から、ふくよかな微笑みをたたえた表情になっていった。
それでも、やっぱり佐藤さんにだけは見えなかったらしい。
 やがて親父たち3人は就職試験を受け、それぞれが望む職に就き、引っ越す日が来た。
遠方に住む大家さんに話をすると、親父たちが引っ越したらその家は取り壊してしまう予定だから、特に大掃除などはしなくていい、という。
それでも2年間お世話になった部屋だからと、最終日それなりに掃除を済ませると、もう夜中になっていた。
 3人が最終電車に間に合うようにと玄関を出て、最後に揃って振り返ると、佐藤さんが、

「 あっ!」

と声を出した。

「 お前らが言っていたおばあさんって、あの人か・・・?」

“ やっと佐藤にも見えたか!”

と、親父と鈴木さんも見たが、おばあさんはどこにも見当たらない。

「 ほら、あそこ。
俺の部屋で手を振ってるよ。
ありがとう、おばあちゃん!」

そして、続いて親父と鈴木さんが見たのは、家の屋根から、

“ スゥ~。”

と上っていく人魂だった。
 人魂は、佐藤さんには見えなかったのが不思議だったそうだ。
今から30年前、東京都板橋区でのお話でした。








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