一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『私の中のあなた』

2010-05-10 | キネマ
自分の人生を選択することと、周囲の人々の善意や愛情が必ずしも(往々にして)両立しない、ということを、反則に近い巧みな状況設定で描いた映画。

白血病の姉を救うために、ドナーとして適合するような遺伝子操作によって生まれ、出生直後の臍帯血の提供をはじめとして輸血や骨髄移植など姉の治療のためにさまざまな協力をしてきた妹が、余命わずかな姉を前にして腎臓移植の手術を受けることを拒否して両親を訴える・・・という話です。


兄弟姉妹に対する親や周囲の善意や愛情が結果的に人間関係を難しいものにしてしまうことは、ここまで極端でなくても病気や障害やはたまた勉強の出来不出来家業を継ぐ継がないというような状況でもあります。
 
この設定であればこそ、家族愛・兄弟愛の相克を純粋な形で描くことができ、キャメロン・ディアスという演技派というよりはストレートさが持ち味の俳優のキャスティングも納得できます。

少ない登場人物に明確な人物造形を割り振ったところや(子役は上手なのは当然として、父親がいい味を出してます)、ラストシーンに畳み込むストーリー展開の巧みさもあわせ泣かせます。
一方で現実は浮世のしがらみがたくさん絡んでくるので、逆に悩みが深かったりするんだよな、などということもついでに考えさせられました。


(以下ネタばれあり)

ところで題名の「私」と「あなた」が誰を指すか、また"My Sister's Keeper"という原題はいまひとつぴんとこなかったのですが、原作の小説ではアナは交通事故死し、アナの臓器はケイトに移植されてケイトが生き続け大人に成長するという展開のようです(参照)、それなら題名も腑に落ちます。



コメント
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