インサイダー情報にかかわるような業務上の案件、特に相手先の会社名自体が明らかになるとまずいような場合は、案件名をコードネーム(暗号)で呼びます。
このコードネームは、取引完了または没になるまでずっと使い続けるので、ネーミングのセンスが問われます。
よくあるのが相手先の会社名や商品名をもじったりするものですが、あまりにばればれで暗号になっていないようでは困ります。
たとえばトヨタ自動車との取引に「レクサス」とかまんま商品名をつけたり、「高木株式会社」を「ハイツリー」と単に感じに英語を当てはめただけ、というのではだめです。
また、文字を置き換えてアナグラムにするというのもあります。 これはうまくはまるとかっこいいですけど、「YAMAHA」を「HAYAMA」にしたくらいではまるで「ギロッポン」でこれも暗号になってません。
いちいち考えるのが面倒くさいのでシリーズものにしているという会社もあります。
たとえば宝石で「ダイヤモンド」「ルビー」「パール」・・・とか。
これは投資ビークルのネーミングではよくあります。
コードネームや投資ビークルの名前はなんだかんだいっても使い続けていると慣れてくるので、だんだん違和感はなくなってくるのですが、忘れた頃になってネーミングが妙なネタになってしまうということもあるので注意が必要です。
「湖」シリーズにしたときに「猪苗代」とか「浜名」ならいいんですけど「阿寒」がデフォルトしたらアカンだろう、とか。 実際使うのはカタカナ名前なものですから。
(ちなみに湖シリーズというのは昔提案したことがあったのですが、どさくさにまぎれてラムサール条約に指定されている由緒あるここを使おうと言い出すに違いないと勘ぐられ、没になったことがあります←悪ふざけという点では信用がないw)
たとえば、いろいろ話題のFCレジデンシャル投資法人の3/25日付 資産の取得に関するお知らせに、物件の取得先として「ポイヤック・プロパティー合同会社」「オーブリヨン・プロパティー合同会社」というのが出てきます。
それぞれ親会社のファンクリがアセットマネジャーをやっている利害関係人取引なのですが、5大シャトーの名前を付けるあたり、ファンクリが物件を仕込んだ頃はずいぶん鼻息が荒かったことが彷彿とされます(でも、6件目以降はどうするつもりだったんだろう)。
まあ、こんな感じで、調子に乗ってとか言われかねないわけです。
もうひとつ、上場審査時から粉飾決算をして上場廃止から一気に破産になってしまったFOI(参照)という会社があります。
これなんかIPOのプロジェクト名に上のフレンチつながりで"foie gras"などと付ければ社名もこっそりはいっているし粉飾さえなければちょっと気の利いたネーミングだったと思うのですが、粉飾が明らかになった挙句の果てに肝硬変でご臨終になってしまうと、最初からグルだったろと言われても仕方のない状況になりかねません。
ホント、小さいことなんだけど結構大事だったりします。