一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『シェフを「つづける」ということ』

2015-11-19 | 乱読日記
1990年代後半から2000年代初めに日本から大量の若手料理人がイタリアに修行にわたった。
石を投げれば日本人に当たる、とか、シェフ以外はすべて日本人というレストランもあったなどと言われた時代だった。
その2002年にイタリアに渡った料理人を現地で取材して本にした著者が、10年後の彼らを取材した本。

イタリアで修業したとしいても、人数が多いので帰国後には激しい競争が待っている。もちろん日本でも毎年料理学校を卒業する若者がいるわけで、その中でシェフとなり、店を続けてることができているのはごく一部だろうという著者の予想に反し、多くの料理人がシェフを続けていた。
その中の15人の10年間の軌跡と現在をまとめている。

確かに最近はターミナル駅だけでなく小さな駅にもこじゃれたレストランを見かけるようになっている。
自宅の最寄駅は飲食店が比較的多いが、一方で入れ替わりも激しい。
1年持てば軌道に乗るのだろうが、1年を乗り切れない店も多い。
また、競合店の出現などで3年目くらいからさびれていくところも多い。

そういう中で、本書は自分のスタイルを持ちながら店を続けているシェフを取り上げている。

業界的には成功者の部類に入るのだろうが、それでもスポンサーとの意見の相違など、様々なハードルを乗り越えて現在に至っていることがわかる。
特にオーナーシェフになると、料理だけでなく経営から労務管理まですべて自分でやらねばならず、その中で試行錯誤しながら今のスタイルにたどりついた経緯が(そしてそこから先に何を目指そうとしているかが)描かれている。

自分のようなサラリーマンはこういうプロフェッショナルを見ると「好きじゃなきゃやれない」「自分にも才能があればなぁ」などと無責任なことを言うが、「好きなだけではできない」ところを乗り越えてきた人々の話は迫力がある。



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