面白かった。
進歩的市長が進める行政サービスの民間委託の象徴としてのプロジェクトのエンジニアが誘拐された。警察のサイバー犯罪捜査官に捜査官が過去に冤罪で逮捕したハッカーが絡みながら、誘拐の裏にある巨大プロジェクトの闇に挑む、というストーリー。
行政サービスの民間委託、システム開発業界の重層下請け構造、マイナンバー制度やその前にあった住基カードのシステム上の問題、個人情報保護法の限界など、最近のタイムリーな話題を精緻なミステリーに仕上げていて一気に読ませます。
作者はソフトウエア会社に勤務しながら第一作を電子書籍で自費出版したのがデビューのきっかけだったそうですが、業界事情に詳しいだけでなく、4冊め(電子出版の時代ではもはや「冊」ではないのかもしれませんが)の長編小説である本作では、文体に変な生硬さもなく、システム開発の現場の実情や個人情報保護の実態がリアリティをもって迫ってきます。
マイナンバーの配布が開始され(そういえばまだ通知も来ていないな)、CCCへの図書館委託も話題になる中、また「ITゼネコン」「IT土方」などという言葉もあるように建設業界に例えられる重層構造の話はここのところの基礎杭をめぐる話も想起されるなど、タイムリーな一冊です。
進歩的市長が進める行政サービスの民間委託の象徴としてのプロジェクトのエンジニアが誘拐された。警察のサイバー犯罪捜査官に捜査官が過去に冤罪で逮捕したハッカーが絡みながら、誘拐の裏にある巨大プロジェクトの闇に挑む、というストーリー。
行政サービスの民間委託、システム開発業界の重層下請け構造、マイナンバー制度やその前にあった住基カードのシステム上の問題、個人情報保護法の限界など、最近のタイムリーな話題を精緻なミステリーに仕上げていて一気に読ませます。
作者はソフトウエア会社に勤務しながら第一作を電子書籍で自費出版したのがデビューのきっかけだったそうですが、業界事情に詳しいだけでなく、4冊め(電子出版の時代ではもはや「冊」ではないのかもしれませんが)の長編小説である本作では、文体に変な生硬さもなく、システム開発の現場の実情や個人情報保護の実態がリアリティをもって迫ってきます。
マイナンバーの配布が開始され(そういえばまだ通知も来ていないな)、CCCへの図書館委託も話題になる中、また「ITゼネコン」「IT土方」などという言葉もあるように建設業界に例えられる重層構造の話はここのところの基礎杭をめぐる話も想起されるなど、タイムリーな一冊です。