一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『稼ぐまちが地方を変える 』

2015-11-26 | 乱読日記

高校生の時に早稲田商店会の活性化に携わったことをきっかけに、街おこしビジネスに取り組んでいる著者が、町おこし、地域活性化について「誰も言わなかった10の鉄則」を書いた本。

冒頭の早稲田商店会の活動がどのようにして成功し、何をきっかけに暗転していったかのエピソードが一番印象的。

「10の鉄則」については、ビジネスの立ち上げ全般に共通する部分もある(その意味では変なビジネス本よりは理屈っぽくないし実践的でいい)が、やはり一番大事なのは補助金依存の危険性のところだと思う。  

 税金は、そもそも最初から事業性がない社会制度のためにあります。補助金を入れた瞬間に、その事業は本来の機能を失い、誰も対価を支払うような取り組みではなくなり、補助金なしには継続できない状況にまで追い込まれてしまいます。  
 補助金は事業メニューというものがあり、「こういうことをやれば補助金をあげます」と使い道がもとから規定されています。そうすると、補助金をもらうことが目的化して、みんなが役所の推奨する取り組みばかりするようになります。
 しかも、補助金のメニューは、他の地域でうまくいった事例をそのまま他の地域に導入する前提になっており、「同じようなことを、補助金を使って真似してください」と言っているようなもの。つまり、他の地域の枠組みのコピーを推奨しているにすぎないわけです。

行政、特に国や県の施策は、もともと行政自体にアイデアがないから、どこかの成功事例を「全国(全県)展開する」というものが多い。
それは一概に行政の責任だけではなく、「ウチにもあれが欲しい」という圧力をかける議員や首長の存在も大きいのだが、そうすると、日本どこをとっても金太郎飴のようなことになってしまう。

地方活性化については著者のいうとおりであるし、最近のインバウンド観光客の増加をうけた「観光立国」についても、かえって外国人観光客にとっての魅力を減じてしまう結果にならなければいいと思う。

 

コメント
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