褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 アメリカン・ドリーマー 理想の代償(2014) 石油業界の闇

2023年07月29日 | 映画(あ行)
 本作は夢が溢れるようなタイトルが付けられているが、原題はA Most Violent Year。直訳すれば『最も暴力的な年』といったところ。さて今回紹介するアメリカン・ドリーマー 理想の代償だが、1981年のニューヨークが舞台。この当時はまだ俺は愛くるしい小学生だったのだが、すでにこの頃からニューヨークは治安が悪いと聞かされていた。本作を観ていてもニュースが流れるシーンが非常に多いのだが、その中で聞かれるのが多くの発砲事件。それも日常茶飯事的に発生していたことを映画はリアルに伝えてくれる。
 まあ、暴力が日常茶飯事的に行われ、目にしたり、被害に遭ったりするような世界において、まずは自分の身を守るために銃の一丁ぐらいは持っておこうか、なんて思ったりするのが普通のような気がするが、本作の石油会社を経営する主人公は銃を持つことを極度に嫌い、また石油を運ぶタンクローリーの運転手にも銃を持たすことは許さない。それによって自社のタンクローリーが強奪され、何万バレルかの石油の損失に頭を悩ませながらも、銃を持つことには絶対に反対。しかしながら会社を成長させようとすればするほど、嫉妬を買い損失が酷くなる。理想と現実のギャップを主人公がどうやって埋めていくのかというのが本作の大きな見所だろう。

 暴力には非暴力でなんて、偉大なるインドの指導者であるガンジーを思い出させる主人公の悩みと葛藤のストーリー紹介を。
 1981年のニューヨーク。移民であるアベル(オスカー・アイザック)は石油会社を立ち上げて10年ほどになるが既に成功者として知られていた。しかしながら、彼は更なる会社の成長のために、イーストリバーに面している石油貯蔵庫がある土地をユダヤ人から買おうとする。そして全財産を頭金として突っ込み、残りは銀行からの融資で賄おうとしていた。
 ところがその途端に、自社のタンクローリーが襲撃されて石油ごと持ち逃げされる事件が連発する。物流組合の会長や会社の経理を担当している妻アンナ(ジェシカ・チャスティン)からは違法ながらもドライバーの自衛のために銃を持つことを提案されるが、何の疾しいことのない健全なる会社運営をすることを信念とするアベルはその案を却下。アベルはその対策として検事に話を持ち掛けるのだが、何と会社の脱税や価格操作を指摘されてしまい、挙句の果てには家宅捜索まで受けてしまう始末。
 しかも、そのことがライバルの同業者達にバレて話が広まり、しかも銀行からの融資も止めれてしまいそうになってしまい・・・

 他社のライバル同業者達とは一線を画して公明正大 に取り組み、健全に会社を運営することを信念としていたのに、まさかの不正追及を食らってしまう展開は、ただ今お騒がせ中のビッグモーター社を思い出してしまった。正直なところビッグモーターの前社長の会見はなんだか更なる疑念が深まったが。
 しかし、本作で描かれる石油業界のドロドロとした利権絡みの出来事が当たり前のように描かれていることに驚く。石油を売るだけなのに銃撃されたり、銃を持った男に家宅侵入されてしまう等の嫌がらせの数々。そんな世界において自衛のための銃を持つことを拒否し、そんな悪質な業界の中で公正な競争にこだわるアベルのやり方は、一見ひ弱すぎる態度に思える。そんな男が最後に究極の選択を迫られることになるのだが、その行動は果たして是か非か。生きるか死ぬかの弱肉強食のアメリカ社会の厳しさを観ていて思い知らされた。
 俺みたいに常に自分の信じるモラルに従って生きていくことに息苦しさを感じている人、アメリカ社会の厳しさを見たい人、ビッグモーターの前社長の会見に怒りを覚えた人、自分の働いている会社が不正をしていることに気付いている人等に今回は映画アメリカン・ドリーマー 理想の代償をお勧めに挙げておこう

 監督はJ・C・チャンダー。まだ監督作品は少ないですが長編デビュー作品のマージン・コールはお勧め







 
 
 

 

 

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