褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 大人は判ってくれない(1959) 自伝的映画

2024年09月28日 | 映画(あ行)
 映画界に一時代を築いたヌーヴェルバーグと呼ばれるフランス映画。その代表的作品が今回紹介する映画大人は判ってくれない。本作を観ると自分の少年時代を思い出させるような作品になっている。本作はヌーヴェルバーグを代表するフランソワ・トリュフォー監督の自伝的映画であるのだが、自分の少年時代を描いている。俺なんかは自分の少年時代の自伝なんかは恥ずかしくて本に書いたり、映画に撮ったりすることを憚られるが、この監督は本作の後も自伝的映画を撮り続けることになる(アントワーヌとコレット 二十歳の恋、夜霧の恋人たち、家庭、逃げ去る恋)。
 本作はこの監督の長編デビュー作品であるのだが、さすがは天才監督は少年時代から、何をやらせても優秀だったんだろうと思いきや、本作に登場する主人公であり、トリュフォー監督の分身でもあるアントワーヌ少年(ジャン=ピエール・レオが演じる)は、なかなかの不良ぶりを見せてくれる。時々、噓偽りを演じて自分自身を善人に見せる人間を見掛けるが、トリュフォー監督はアントワーヌ少年を通して、馬鹿正直に自分の少年時代を描いた。

 それではこの天才監督は少年時代をどのように過ごしたのか。簡単にストーリーの紹介を。
 地元の小学校に通うアントワーヌ少年(ジャン=ピエール・レオ)は、先生に目をつけられているために授業中に悪さをしたら直ぐに見つかってしまう。学校では勉強はできないし、家に帰っても両親の仲が悪く、その巻き添えを喰らったりで、少年にしては辛い毎日を送っている。そんなアントワーヌ少年の慰めは映画。映画を観ている時だけは日頃の辛さを忘れることができる。
 しかし、相変わらず学校生活は辛く、家に帰っても辛いことだらけ。学校をサボりがちになり、家出を繰り返し、ついには悪友と盗みを働くようなり警察に捕まる。すっかり両親から見放されたアントワーヌ少年は鑑別所での生活を強いられることになるのだが・・・

 トリュフォー監督は自分の初年時代を全く見栄を張ることなく描いている。学校の勉強はできない、いたずらはする。学校はサボり、その理由が母親が死んだからと大噓をつくのだが、この辺りは笑ってしまった。しかも、親の金をパクるだけでなく、重たいタイプライターを盗んでそれを売ろうとしたりで悪ガキもいいところ。しかし、同情できるのは両親の教育がまるでなっていないこと。特に母親のダメっぷりも描かれていて、これではマトモな少年生活を送るのは難しいと感じたりさせられる。
 他にストーリー以外の部分で語ると、アントワーヌ少年が護送車で送られる時に涙を流しながらパリの夜景の街並みを眺めるシーンがあるのだが、冒頭のシーンをしっかり覚えていると少しばかり感傷に浸れる。
 そして、ラストシーン。これが見る人によって見解が分かれると思うのだが、まだまだ幼いように見えていたアントワーヌ少年の力強い表情から観る者は何を考えるか。俺なんかはアントワーヌ少年の自立する覚悟の現れだと想像した。
 ロクな少年時代を送れなかったことに後悔している人、フランソワ・トリュフォー監督と聞いて心が躍る人、ヌーヴェルバーグと聞いて興味が惹かれた人・・・等に大人は判ってくれないをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したフランソワ・トリュフォー監督。西部劇タッチを感じさせるピアニストを撃て、奇妙な男女の三角関係を描いた突然炎のごとく、シュールな設定が面白い華氏451、監督の映画愛を感じさせるアメリカの夜、イザベル・アジャーニーが綺麗で情熱的なアデルの恋の物語あたりがお勧めです




 
 
 


 
 

 


 


 

 

 

 
 



 

 

 
 

 

 
 

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2 コメント

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鉦鼓亭へ (ディープインパクト)
2013-10-01 08:33:52
 コメントありがとうございます。ラストシーンは余韻が残りますね。あの少年のラストシーンだけで色々な解釈ができますからね。なるほど大人の入り口か。確かにそうかもしれないですね。
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Unknown (鉦鼓亭)
2013-10-01 00:24:02
 ディープインパクトさん、こんばんは!

仰るように、ラストシーンがいいですね。
観る人にとって、いろんな意味に取れる、優れたラストシーンだと思いました。
(実にフランス映画らしい)

ちなみに、僕が思ったのは、
束縛から逃れて、ようやく自由な大人の世界の入口へ来てみたけど、
「どうせ向こうも、ここと大差はないんだろう」
と、急に醒めてしまった・・・。
こんな感じです。

映画に出てくる回転ドラムのような遊具。
昔、遊園地にあって、
「怖そうだけど、そのうち一度乗ってみたい」
と思ってたんですが、中学になる前に無くなってしまいました。(笑)
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