日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

第二章:本社からの挑戦状

2008-03-04 09:54:59 | Weblog

お菓子の荷出しを終えた、恩田すみれは、自分の担当、乾物の補充をすることにした。特に、カップラーメンは良く動く商品で、補充が間に合わないことが多い。自分の担当のところだけ、しておけばよい、というものではなく、

普段は、このように自分の担当に関係なく、入荷された定番商品を順次バタバタと荷出しする。

しかも、接客しながら。

自分の担当の補充が出来るのは、それが終了後という事になるのだ。

 

時刻は1時を回っている。この時間帯を過ぎると、2階にある本社から

続々と社員が店へ降りてくる。

休憩時間に入る為だ。

本社、すなわち机上での お仕事が主な、2階からやってくる方々は、

我々現場のような室内土方が仕事の主流の人間とは、一味違う。

やはり、本社の人間は、雛壇の一段高い所にいるような雰囲気である。

 

この日も、いつものように、本社から来た社員達がカップラーメンを選んでいく。

もうすぐ2時だ。

補充しても、補充しても、追いつかない時間帯が お昼どき。

約半分の補充を終え、残り半分の在庫をバックへ取りに行こうとしていた、

その時だった・・・。

あの声が聞こえてきたのは!

 

店長、これさあ、坦々麺、人気商品なのに

しょっちゅう

品切れしてるって、狸部長が言ってたよお~

「・・・・・

なっ・・・・なんだって!? 今、なんて言った? 

しょっちゅう・・・・ですって!?

私が知る限り、自分が担当になってから、

坦々麺が品切れしたか、しそうになったのは、

クリスマス前後に一度だけ・・・だ。

しょっちゅうとは、どのくらいの頻度の事を言うのだろうか

恩田すみれは、思わず台車から手を離し、声がした方へ向った。

そこには、室井課長の背中と坦々麺をしっかりと握りしめた

右手が・・・

恩田すみれは、室井課長の後ろ姿をしかと、見届け、バックへ下がった。

今、現在、売り場の棚には、ほぼ、いっぱいに坦々麺が出ている。

バックには、3箱も 坦々麺の在庫がある。

乾物の入荷日は、明日だ。

品切れする可能性はゼロだ!

 それにしても・・・。

しょっちゅう品切れとは、どういうことだ。

再び売り場へ戻った私が荷出しをしていると、社員さんがやってきた。

「あっ、今から休憩ですか? あの、質問があるんですけど・・。

この、坦々麺、しょっちゅう品切れしてますか?」

この際、とばかりに私は第三者に聞いてみることにしたのだ。

彼もグロッサリーで、どの担当の商品も毎日、荷出ししているのだから。

「いいや、俺は見たことないね、坦々麺が欠品してるのは。

でも、なんで??」

と思議そうに私に尋ねた。

「さっき、本社の社員が売り場の、ど真ん中で、

しかも、青島店長に向って『坦々麺は人気商品なのに、しょっちゅう品切れしてる!って、言ってたから」

すると、社員さんは、心底 驚いた顔になり、叫んだ。

ええ~っ!そんな事、言う人がおると??(・・・九州弁=いるの?)

しかも、青島店長に?

誰? それ!! 

どうしても その人物の名前と住所が知りたいようだったが、

個人情報保護法の為、伏せておいた。

本当は、『この人、  Wanted !』  

と、顔写真入りで掲示板に貼り出したいところだが。

 

名前は、知りません。でも、本社の人間です。この、緑の制服、着てましたから」

私はそう言いながら、ジャンバーを指差した。

 

たまたま、その人が これを買おうと思って来たときに、棚に出てなかったんだろうね」

と言うと、何度も、へえ~、へえ~、と繰り返しながら、棚を眺めていた。

 

今度は、カップラーメン博士のハマグリ君が、やって来た。

私は、調査を続行した。

「これ、坦々麺、しょっちゅう品切れしてる?」

何でそんな事を聞くんだ?といった表情のハマグリ君だったが、

カップラーメンのことなら、彼の右に出る人は居ないのだ。

彼は自信を持って質問に答えた。

 

坦々麺は、人気商品っすよ。 美味しいし、よく売れてます。

でも、品切れしてるのは、見たことないっすね」

この日は、ロッテンマイヤーさんから眼鏡を借りてこなかったようだが、

カップラーメンについて語る時の彼の顔は、秀才ハマグリ君だった。

それがね・・・」

私は、ことの成り行きを説明した。

 

それで、青島店長は何て答えたんっすか?」

何も言ってなかったね」

 

室井課長の声だけが、店内に、とどろいていたが、

それに対して、青島店長は、肯定も、否定も、謝りもしなかった。

その場では、ただ、黙って 室井課長の顔を じ~っと見ていただけだ。

 

ちょっと、考え込む態勢に入りかけた私を励ますかのように、

ハマグリ君は言った。

「大丈夫っすよ! 青島店長だって、真下副店長だって、

お昼には、毎日カップラーメンを買いに、ここへ来て、

見てるんですから! しょっちゅう品切れなんて って、分かってますよ!

 

そうよね。

そうだよね・・・。

商品補充を常日頃から行っている 二人のグロッサリースタッフの意見を聞いた恩田すみれは、考えていた。

これは、試練かな・・・。

本社からの挑発か?

本社現場?

挑戦状を突きつけられて、もはや黙ってはいられない。

 

ここは、日本だってば! 日本!! オーストラリアじゃないんだよお~。

暴走するなよ、君!!」

心の片隅で、理性を持て!と呟く声が聞こえたような気がした。

しかし、そんな声は無視!

恩田すみれ。三十ん?歳にして、初めて、

日本で (*注意:海外では日常的に)

ぶちっと切れたのである。

 

 続く・・・。

Comments (4)
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