私・・・恩田すみれが ふと、2段目の棚をみると、カップスターが3つ、定位置ではない場所に、転がっている。
お客さんの気が変わったのだろう。よくあることだ。
たまに、冷蔵の肉やチーズがカップラーメンの棚に放置されていることがあるが、良い子の皆さんは、冷蔵は、冷蔵ケースへ戻しましょうね。廃棄になってもったいない!
さて、放置されたカップスター3つを両手に持ち、定位置へ戻そう・・・と、
くるりと回れ右をした、次の瞬間、私は手にしていたカップ麺を転がしてしまった・・・。
なんと、そこには、坦々麺をしっかりと片手に握り締めた本社社員のおじさまが、至近距離わずか5センチに立っていたのだ!!!
「そんな・・・。緊張せんでも いいやないね! (にっ)」
この落ち着いた風貌・・・余裕のある笑顔・・・
私がイメージする狸部長そのものである!
もしや、このお方が室井課長が噂していた狸部長 では・・・?
なんと言っても、この方が坦々麺の栄えある赤いパッケージを手にすると、とっても良く似合う。
まさに、ひな壇の一番高い所が・・・。
「はっはっ・・・」
貴方は狸部長ですか?!と、尋ねるわけにもいかず、
ただ、静かに見送ったのだった・・・。
ところで、取引先からの電話は・・・?
今のところ、
無い。
坦々麺の在庫も無い。
ひな壇3段では駄目だ。
狸部長と室井課長を泣いて喜ばせるには、
5ケース入荷、ひな壇5段でなければ・・・。
私の秘かな計画は、「取引先」という予想だにしなかった
新たな「黒幕」によって、阻止!!されたのだった・・・。
この勝負、軍配は現場でも本社でもなく、
取引先!!でしたあ・・・!
この顛末を予想できた、そこの あ・な・た
貴方は今日からシャーロックホームズですっ!
しかし、何故、取引先は・・・?
単なる在庫切れ?
それとも、
取引先が作った棚を恩田すみれが勝手に棚替えしようと企んだからなのか?
何たる結末!
だが、これでいいのだ。
お店にとって、一番大切なのは、お客様。
坦々麺に限らずカップラーメンをこよなく愛する本社社員も貴重なお客様だ。彼らによって、他の店舗には無い恩恵を受けている湾岸店!
売り上げに貢献して頂いた上、チェックも厳しい。
これは、担当者にとっても御店にとってもプラスだ。
お客様あっての売り場(現場)。
現場あっての本社。
また、その逆も言える。
みんな仲良く お仕事しようね、今日も、明日も、あさっても・・・。
「我こそは、坦々麺の神様なり~」
といった風貌の狸課長にお会いできて、光栄でした!
坦々麺、ばんざい!
完