「鈴木さん!! ハマグリさんが、鬼になっていますよ!!」
2月3日は、カトちゃんの、こんな一言から幕が開いた。
「鬼・・・?」
(私、何か、ハマグリ君を怒らせるようなこと、したっけな・・・ )
鬼になっている、と聞いて、とっさに、そう思った。
はてな・・・? とんと心辺りは無いが・・・。
「どうして、鬼に・・・?」
訳が分からず、私はカトちゃんに聞いた。
「見れば分かります」
カトちゃんは、意味深なセリフを残し、去って行った。
見れば、分かる・・・???
見れば・・ねえ。
触らぬ神にたたりなし! というし、こっちからわざわざ鬼になってるハマグリ君を探し出すこともないかあ・・・。
私はお菓子の荷出しを続行した。
その、ほんの数分後のことである。
3、4歳くらいの男の子が興奮状態で母親に喋っていたのは・・・。
「赤鬼が居たよ!赤鬼が!!」
ん・・・?赤鬼・・・って、こんなふう・・・?
その時だ。
私の視界に何か、赤いものが写ったのは!
お菓子売り場からバックへの扉は真ッすぐ、直線だ。
端から端なので、そちら側を意識して見ない限り、
荷出しで忙しい私には、何も見えないのだが・・・。
今、見えているのは、バックの扉から飛び出してきた・・・
まさしく、赤鬼
私は時間が止まったかのように、ぽかんと、静止状態でバックの扉を見つめたまま、その場に突っ立っていた。
赤いレオタードに腰巻を身につけ、
芸術は爆発だのような赤い ふわふわカツラをかぶった赤鬼が、私の方へ真っすぐにやってきた。
「にっ・・・似合う・・・ね」
今、まさに、かみなり雲に乗っかって地上へ降り立ったという風貌なのである!
実は、ハマグリ君は正真正銘、本物の赤鬼君で、
今まで人間のふりをして正体を隠していた のかもしれない。
「ホント、良く似合ってるね 雲から降りてきたみたい・・・」
他の人が この衣装を着れば、「ちょっと、変かも・・・?」
と思ってしまいそう。
或は、爆笑すると思うのだが、ハマグリ君には、似合いすぎるくらい、似合っているのである。
「皆に似合うって言われましたよ。
あんまり、良く似合ってる・・・と言われると、逆に
どうリアクションしたらいいか・・・」
う~ん、そうだろうね。
だって、似合ってるんだもん!
バックへ行くと、カトちゃんが居た。
「私、携帯持ってないから、後でハマグリ君の写真、撮っておいてね!
こんなの、二度と見られないだろうから」
知っていたら、カメラ持ってきたのに残念。
すると、カトちゃんは、
「そんなあ 怒られますよ!又、来年あると思うし・・・」
来年・・・?
来年居る・・という事は、再び留年が確定するということである。
それは、本人にとっては有難くないことだ。
そうだ! 卒業後、このまま、ここに就職したらいいよね
惣菜コーナーから、ぐったりした様子で現れたのは、つばめ君だった。
「あれ?今日は、惣菜?巻寿司を巻いてたの?」
「 はい・・・」
「おっ・・・お疲れ様」
赤鬼に扮したハマグリ君、黙々と巻き続けた つばめ君に敬意を払い、
私も帰りに恵方巻を2本買って帰った。
北北西ね。
ここ最近、体調がすぐれない私だが、(そのため更新を数日お休みしました!)
恵方巻に願いを込めた。
みんな健康で幸せになりますように!