一週間ほど前、見たことがないカップ焼きそばが一箱入荷された。
「Wマヨネーズからし焼きそば」
四角い容器に入っている。
新規なのかなあ・・・それとも、割り当て??
販売通知を見てみると、「Wマヨネーズ焼きそば」があった!
でも、入荷数が全く違う。
その時、通りかかった西村チーフに聞いてみると、
「これは、丸い形の(容器に入った)焼きそばですね。Janコードも違うし」
ということだった。
さすが!
「来週までに販売通知が来なかったら、俺がバイヤーに聞いてみよう」
その二日後・・・。
同じ焼きそばが二箱入荷された時点で、ようやく悟った。
これは、多分、今も定番にある「からし焼きそば」だ。
パッケージが変わったのだ!
今のバージョンは、いかにも「からし」。
そのまま、「からし色」なのだ。
今回の新バージョンは、「Wマヨネーズ」を売りにしていて、パッケージも赤。
全く違う商品だと思ってしまったが、JANコードを確認して、納得。
思った通りだ。
坦々麺は、「何処が違うの?」 というほど、パッケージ自体は変わっていないのに。
さて・・・。このことを西村チーフに伝えたくても、なかなか会わない。
今日、やっと会えたので、その事を伝えた・・・え??
「目が真っ赤ですよ!どうしたんですか?泣いてたんですか??」
チーフの目は、涙ぐみ、トロンとしている。
もう少しで、誰かに泣かされたんですか?と聞きそうになって、言葉を飲み込んだ。
「花粉症・・・です」
花粉症・・・。そういえば、矢木さんも、一ヶ月ほど前から、花粉症で、薬を服用していると話していたっけ。その矢木さんは、今日、風邪で緊急欠勤・・・。
「だっ・・・大丈夫ですか?」
「はい。。。ありがとうございます・・・」
そして、荷出しも ほぼ終了したが、調味の定番商品で、場所が分からないものが・・・
新規の可能性もあるので、いつもは矢木さんに聞くのだが、矢木さんは、病気でお休みなのだ。
他の人に聞いてもはっきり分からない。諦めて、バックへ下げようと思ったところ、たまたま出会ったのが副店長。
「副店長、これ、何処に在るんですか?どうしても、見つけ出せなくて・・・」
「ああ、これは、醤油のコーナーで・・・七味唐辛子とか、あるでしょ?三段目の棚だったと・・・思う」
「醤油??」
そうなんだ・・・。
『中華の素』だから、カレーやマーボー豆腐の素の近辺を探していた。
どおりで見つからない筈だ。
さすが、副店長 良く覚えている。
「分かりました、凄いですね・・・・えっ??」
質問に答え始めた時は、普通だったはずなのに、
副店長は、段々涙ぐんできた。(ように見えた)
副店長も、花粉症??
その後、バッタリ出会った西村チーフに
「副店長も花粉症ですか?」
と聞いてみた。
「いや、副店長は違うと思うけど・・・」
チーフは、バックの奥深くで作業中の副店長を覗いて見ながら、
「何か、あったんかねえ・・・」
と意味深に、副店長の背中に向かって微笑んだ。
「どうして今日は、みんな泣いてるんですかね???」
冷凍食品を出しながら、高田さんは連続くしゃみをしている。
「風邪引いたんですか?」
と、心配そうな岸辺さん。
「うん、多分、矢木ちゃんの怨念よ。私だけ風邪引かせてえ~~ってね!」
「あーあ。 今頃、矢木さん、くしゃみしてるわ・・・」
と、岸辺さん。
発注をしていると、「ちょっと、すみませ~ん!」
と、お客様が呼んでいる。
高齢のおばあちゃまだ。
「お忙しいところ、すみませんねえ。お酒を取って欲しいんです。届かないから・・・」
ン?どこかで、いつだったか、聞いた事があるセリフ。
「いいですよ!どれでしょうか?」
といいながら、お酒コーナーへ・・・。
「これです。お寺にあげるんですよ。全部で10個。背伸びすれば、届くでしょうけど、腰が痛くてねえ・・・」
ここまで聞いて、確信した!
覚えておいでの方もいるのでは??
競合店がオープンしてすぐ、とあるスーパーは一時期、お客様が激減した。あの頃、暇だったので、接客は いつもにも増して、丁寧ゆっくりになったのだ。あの時、「親切にしてもらったから」と、予定より、数個多くお酒を購入して下さったお客様
今、私の目の前にいるのは、きっと、あの時の お客様だ。
約3ヶ月ぶりの再会だ
きっと、その後もご来店していただろうが、なにせ、お客さま一人ひとりを認知できるほどではない。
「お酒をお寺にお供えするおばあちゃま」って、他にはいないだろう。
再会できて、嬉しい。(^^*)
「腰が痛くて・・・」
と、おっしゃるので、つい、
「それは・・・お大事に・・・」
という言葉が出てしまった・・・。
病気ではないので、適切な単語ではないような。。。
相手は、お客様なのに、でしゃばった一言だったような。。。
言ってしまった直後、後悔しかかったが、
お客様は、じわじわと涙目になった後、
徐々に、ぱあ~っと、頬に日が差したような桃色になったまま、
私を見つめている。
店員をどんどん使って下さいませ。
こちらこそ、ありがとうございます。
最後に皆さん、お大事にね。