日曜日。
昨日から、棚卸しの準備をしている。
前回、とあるスーパーで、実に12年ぶりの棚卸しを経験したが、
時代の流れと進歩を肌で?感じたものだ。
昔は、まず、スタッフ二人でペアになり、ひとりが在庫を数え、もう一人が記入する。
次に、手作業で集めたデータをレジに打ち込む。
レジの人たちが黙々と打ち込んでいる間、作業を終えた売り場担当者は、ただひたすら、ロスが判明するまで待つ・・・というものだった。
ところが今は、『棚卸し』を業者さんがやってくれるという。
しかも、店が閉店した夜中。
スタッフは、バック在庫を棚卸し当日に数えればいいのである。
なんて便利になったんだー!!
前回の棚卸し前、店長が私に聞いたものだ。
「鈴木さんは、日本で棚卸しの経験は、ありますね?」
「はい、あります。かなり前ですが・・・。勝手が違うと思います、12年も前ですから」
これを聞いた花岡さん、「あなた、一体、今、何歳??」という疑問の表情で私を見た。
西村チーフは、ぷっと吹き出した。
12年前・・・チーフは・・・中学1年生???
中坊だったのか・・・私がせっせと在庫を数えていた頃は・・・。
し・・・信じられない。
私って、そんなにトシなのね!? ショック・・・。
最前線の棚卸しを今回、再び体験するわけだが、前回は、主に、副店長が準備の方はしてくれた。
「まだ、どれが乾物の商品か、分からないだろうから」
という理由で。
今回は、準備も私がすることになる。
業者さんが当日、困らないように、すべての定番商品は勿論、エンド商品、特売品各種のポップ裏にプライスカードを発注して張り付ける!
これが棚卸し前の主な仕事だ。
私は、ハンデイを手に、売り場をくまなく回った。
定番の「暮らし良好わかめ」が、まず、エンドに。
ここで、プライスカードを一枚発注。
再び歩きだすと、今度は、鮮魚のコーナー横にも竹籠に入れられた「わかめ」を発見!
「あら、ここにもある!発注2枚・・・ね」
ふりかけの方へ向かうと、先ほどのエンドの裏側のエンドにもデーン!! と、わかめ
「あれえ~、ここにも、わかめ」
定番と合わせると、4箇所に、同じ商品を出してあることに・・・。
副店長に偶然 遭遇し、「3箇所に出してあれば、3枚発注するんですよね!?」と、念の為に聞いた。
「 正解
」
何故か、副店長は、クイズに正解!一億円が当たるよ~!という番組司会者のように、嬉しそうに答えた。
「じゃ、3枚・・・・っと」
私がハンデイで「わかめ」の「発注数3」に入力すると、副店長は一気に表情が曇り、そっと?打ち明けた。
「実は・・・ですね。これ、3で発注しても、3枚こないんですよ」
「はあ・・・?なんで!?ですか・・・?」
「まず、今夜9時で、本社
の方で締め切る
でしょ、その後、又、1枚
発注して・・・」
「じゃ、今日、一枚。明日、一枚。あさって一枚・・・発注して3枚手元に届くという・・・ことですか???」
「そうです。なんなら、俺が今夜、9時以降に・・・いや、今日は、俺、5時で上がるから・・・川石さんに頼んで・・・」
なんとまあ。時代は進化したと思ったら、思わぬところに落とし穴!
そして今日。
矢木さんにも、その事を伝えると、なんと初耳だという。
3~4箇所に出されてある定番商品は、乾物だけで、5~6個ある。
売り場をウロウロする内、何度も矢木さんとバッタリ会った。
「もう・・・いやねえ。こんなデジタル時代に。調味も、あちこちに出してあるんよ。今日、一枚、明日一枚発注なんて!
メモしておかないと、忘れるわ。はははっ
・・・はあ・・
」
もう一つ、デジタル時代に、結構、アナログ的なのが、とあるスーパーで使われているラベラー。
これ、12年前と商品自体、変わらない。
ラベラーで半額処分の商品に値付けをしていると、途中で調子がおかしくなった。みんな、「最近、これ、おかしくなる!」
と、言っている。
そろそろ買い替えどきなのかも・・・?
私は西村チーフに、直してくれるように頼んでみた。
チーフは、しばらく、格闘していたが、上手くいかないようだ。
「あれ?あれ?斜めになって、出てきますねえ。
店長、これを直したんですか??
」
「はい、直しました」
「それで・・・直ったんですか??」
「 はい!」
「 他のラベラーを使った方がいいかも・・・」
結局、諦めたのだった。
アナログな物を直すのは、一つ??世代が上の店長の方が、きっと、お得意なのである。
「店長へ。
ごめんなさい。
私、また、ラベラーを壊しました。
西村チーフに頼んでみましたが、彼も直せませんでした。
店長しか、直せないようです。
余計な仕事を増やして申し訳ありません。
鈴木より」