東京工業大学 元素戦略研究センターの沈基亨大学院生、金正煥助教、細野秀雄栄誉教授らは、近年、新たな発光材料として注目を集めているペロブスカイト型ハロゲン化物を用い、低電圧駆動で超高輝度のペロブスカイトLED(PeLED)の開発に成功した。電極からのキャリアの注入と発光層内での移動の両方を促進するという新たなアプローチでLEDの高性能化を達成した。研究成果は、7月30日(現地時間)に米国応用物理学会「Applied Physics Reviews」に掲載された。
要点
高性能ペロブスカイトLED実現に向けた新概念を提案
新アモルファス酸化物半導体で、励起子をペロブスカイト層内に閉じ込める
5Vで500,000 cd/m2の緑色発光素子を実現
開発したアモルファスZn-Si-Oは、CsPbX3の伝導帯下端よりも浅い位置に伝導帯下端を持つことで励起子の閉じ込めが可能で、しかも高い電子移動度により効率的な電子注入が期待できる。この指針により作製されたCsPbBr3の緑色発光素子は2.9 Vで10,000 cd/m2、5 Vで500,000 cd/m2に及ぶ低電圧超高輝度を実現した(電力効率は33 lm/W)。さらに赤色発光素子では20,000 cd/m2の世界最高輝度が得られた。この成果はPeLEDの実用化に向けた新たな方向性を提案するものである。
CsPbX3は発光中心となる励起子の束縛エネルギーが小さいので、非発光型遷移が起こりやすく、低い発光効率の原因と考えられていた。そのため量子閉じ込め効果を持つ低次元の発光材料が専ら研究されてきた。しかし、低次元材料は電子や正孔が動きにくく、電流注入での発光効率が高くなりにくいという問題が生じる。今回の研究ではCsPbX3を発光層とし、これに適した電子輸送層を用いることで、電極からのキャリア注入と発光層内での移動の両方を促進する新たなアプローチでLEDの高性能化を狙った。
◆用語説明
〇ペロブスカイトLED(PeLED)
ペロブスカイト構造を持つCsPbX3発光材料からなるEL素子のこと。
〇CsPbX3(X=Cl、Br、I)
通常のぺロブスカイト構造をとる物質で、太陽電池材料としてよく研究されている。
〇cd/m2
カンデラ毎平方メートル、国際単位系(SI)における輝度の単位。
〇lm/W
ルーメン・パー・ワット。全光束を消費電力で割った数値。1ワットあたり、どれだけの光束を発生させることができるかを示す特性値。
〇非発光型遷移(消光)
子と正孔が再結合すると発光するが、欠陥や不純物があると、再結合のエネルギーが発光以外のエネルギーとなり発光に至らない。
〇量子閉じ込め効果を持つ低次元の発光材料
電子、正孔、あるいは正孔と電子が対になった励起子が0、1あるいは2次元のポテンシャルのなかに閉じ込めることができる発光材料。電子と正孔の再結合によって発光が生じるので、高い発光効率が得られる。
〇蛍光量子効率(PLQY)
外部から光をあてることで発光する効率で、発光する光子の数/あてる光子の数。
〇励起子束縛エネルギー
励起子は電子と正孔が対をつくった状態(励起子)から電子と正孔に解離させるのに必要なエネルギー。
〇電子親和力
真空準位から測った伝導帯下端(最低非占有分子軌道)までのエネルギー差。
〇エネルギー準位
電子の軌道が持つエネルギー。
〇0次元的電子構造
電子の存在する場所が原子の大きさと同じくらい狭い領域になっており、「点」と見做すことができるような構造のこと。
〇Cs3Cu2I5
発光するサイトであるCu-Iが0次元的に閉じ込められている結晶。青色発光し、90 %という高い蛍光量子効率を示す。
〇エネルギーアライメント
真空準位を基準に伝導帯の底と価電子帯の頂上のエネルギーを様々な物質で並べたもの。異なる物質を接触したときに電子や正孔がどちらに移動するかが判断できる。
◆ペロブスカイト構造
ペロブスカイト構造は、結晶構造の一種である。ペロブスカイト(perovskite、灰チタン石)と同じ結晶構造をペロブスカイト構造と呼ぶ。例えば、BaTiO3(チタン酸バリウム)のように、RMO3 という3元系から成る遷移金属酸化物などが、この結晶構造をとる。
理想的には、立方晶系の単位格子をもち、立方晶の各頂点に金属Rが、体心に金属Mが、そして金属Mを中心として、酸素Oは立方晶の各面心に配置している。酸素と金属Mから成る MO6 八面体の向きは、金属Rとの相互作用により容易に歪み、これにより、より対称性の低い斜方晶や正方晶に相転移する。
これにより、この結晶の物性が劇的に変化する。例えば、対称性の低下により、モット転移を起こし、金属Mのサイトに局在していた価電子がバンドとして広がることができるようになったり、金属Mのサイト同士のスピン間の相互作用による反強磁性秩序が崩れ、常磁性に転移したりする。この歪みによる相転移は、温度の上昇による金属Rのイオン半径の増加や、金属Rサイトに不純物原子を導入することなどでコントロールすることができる。
マントル内部のペロブスカイト
数十GPaを超える超高圧の環境では、ペロブスカイト構造は非常に一般的な構造である。この構造には、原子を稠密に詰め込むことができるためである。地球内部における主要な化学組成である MgSiO3 は、地下約660kmから約2,700kmのマントル下部において、ペロブスカイト構造をとっていると考えられる。この MgSiO3 を、125GPa、2,500Kという超高圧高温環境下におくと、ポストペロブスカイト構造と呼ばれる、より原子が稠密に詰め込まれた相に転移することが明らかにされた。地下約2,700kmより深いマントル最下層では、MgSiO3 はポストペロブスカイト構造をとっていると考えられる。
今日の天気は曇り、時々晴れ。夕方から夜に雨の予想。この雨が大災害の雨となりません様に。
散歩道沿いのお庭で”ハマギク”が咲いている。花はマーガレットに似た白花である。茎は木質化して越冬し、春先に新しい茎を伸ばし、秋にやや大柄な白い花を咲かせる。葉はやや肉厚でへら型、表面には光沢がある。
”ハマギク”は、1属1種の日本特産種であり、学名は、”Nipponanthemum nipponicum ”、英名は「Nippon daisy」である。自生地は、青森県から茨城県にかけての太平洋側の海岸と言われる。花壇綱目(江戸時代初期の園芸書)に、”ハマギク(浜菊)”の名があり、その頃から栽培されていたと思われる。
ハマギク(浜菊)
別名:吹上菊(ふきあげぎく)
学名:Nipponanthemum nipponicum
英名:Nippon daisy
キク科ハマギク属
耐寒性多年草 、茎・枝は木質化する
葉は肉厚で艶があり、縁に波状の鋸歯がある
丈は30cm~90cm
開花時期は9月~11月
花はやや大きめ(径6cm位)で、日本的な清楚な白い花
◆花壇綱目
江戸時代の園芸家水野元勝の著書。3巻、1664年脱稿、1681年刊、1716年に再版。
日本最初の園芸書。花卉(かき)200余種についてその形状や栽培法を記述したもの。
要点
高性能ペロブスカイトLED実現に向けた新概念を提案
新アモルファス酸化物半導体で、励起子をペロブスカイト層内に閉じ込める
5Vで500,000 cd/m2の緑色発光素子を実現
開発したアモルファスZn-Si-Oは、CsPbX3の伝導帯下端よりも浅い位置に伝導帯下端を持つことで励起子の閉じ込めが可能で、しかも高い電子移動度により効率的な電子注入が期待できる。この指針により作製されたCsPbBr3の緑色発光素子は2.9 Vで10,000 cd/m2、5 Vで500,000 cd/m2に及ぶ低電圧超高輝度を実現した(電力効率は33 lm/W)。さらに赤色発光素子では20,000 cd/m2の世界最高輝度が得られた。この成果はPeLEDの実用化に向けた新たな方向性を提案するものである。
CsPbX3は発光中心となる励起子の束縛エネルギーが小さいので、非発光型遷移が起こりやすく、低い発光効率の原因と考えられていた。そのため量子閉じ込め効果を持つ低次元の発光材料が専ら研究されてきた。しかし、低次元材料は電子や正孔が動きにくく、電流注入での発光効率が高くなりにくいという問題が生じる。今回の研究ではCsPbX3を発光層とし、これに適した電子輸送層を用いることで、電極からのキャリア注入と発光層内での移動の両方を促進する新たなアプローチでLEDの高性能化を狙った。
◆用語説明
〇ペロブスカイトLED(PeLED)
ペロブスカイト構造を持つCsPbX3発光材料からなるEL素子のこと。
〇CsPbX3(X=Cl、Br、I)
通常のぺロブスカイト構造をとる物質で、太陽電池材料としてよく研究されている。
〇cd/m2
カンデラ毎平方メートル、国際単位系(SI)における輝度の単位。
〇lm/W
ルーメン・パー・ワット。全光束を消費電力で割った数値。1ワットあたり、どれだけの光束を発生させることができるかを示す特性値。
〇非発光型遷移(消光)
子と正孔が再結合すると発光するが、欠陥や不純物があると、再結合のエネルギーが発光以外のエネルギーとなり発光に至らない。
〇量子閉じ込め効果を持つ低次元の発光材料
電子、正孔、あるいは正孔と電子が対になった励起子が0、1あるいは2次元のポテンシャルのなかに閉じ込めることができる発光材料。電子と正孔の再結合によって発光が生じるので、高い発光効率が得られる。
〇蛍光量子効率(PLQY)
外部から光をあてることで発光する効率で、発光する光子の数/あてる光子の数。
〇励起子束縛エネルギー
励起子は電子と正孔が対をつくった状態(励起子)から電子と正孔に解離させるのに必要なエネルギー。
〇電子親和力
真空準位から測った伝導帯下端(最低非占有分子軌道)までのエネルギー差。
〇エネルギー準位
電子の軌道が持つエネルギー。
〇0次元的電子構造
電子の存在する場所が原子の大きさと同じくらい狭い領域になっており、「点」と見做すことができるような構造のこと。
〇Cs3Cu2I5
発光するサイトであるCu-Iが0次元的に閉じ込められている結晶。青色発光し、90 %という高い蛍光量子効率を示す。
〇エネルギーアライメント
真空準位を基準に伝導帯の底と価電子帯の頂上のエネルギーを様々な物質で並べたもの。異なる物質を接触したときに電子や正孔がどちらに移動するかが判断できる。
◆ペロブスカイト構造
ペロブスカイト構造は、結晶構造の一種である。ペロブスカイト(perovskite、灰チタン石)と同じ結晶構造をペロブスカイト構造と呼ぶ。例えば、BaTiO3(チタン酸バリウム)のように、RMO3 という3元系から成る遷移金属酸化物などが、この結晶構造をとる。
理想的には、立方晶系の単位格子をもち、立方晶の各頂点に金属Rが、体心に金属Mが、そして金属Mを中心として、酸素Oは立方晶の各面心に配置している。酸素と金属Mから成る MO6 八面体の向きは、金属Rとの相互作用により容易に歪み、これにより、より対称性の低い斜方晶や正方晶に相転移する。
これにより、この結晶の物性が劇的に変化する。例えば、対称性の低下により、モット転移を起こし、金属Mのサイトに局在していた価電子がバンドとして広がることができるようになったり、金属Mのサイト同士のスピン間の相互作用による反強磁性秩序が崩れ、常磁性に転移したりする。この歪みによる相転移は、温度の上昇による金属Rのイオン半径の増加や、金属Rサイトに不純物原子を導入することなどでコントロールすることができる。
マントル内部のペロブスカイト
数十GPaを超える超高圧の環境では、ペロブスカイト構造は非常に一般的な構造である。この構造には、原子を稠密に詰め込むことができるためである。地球内部における主要な化学組成である MgSiO3 は、地下約660kmから約2,700kmのマントル下部において、ペロブスカイト構造をとっていると考えられる。この MgSiO3 を、125GPa、2,500Kという超高圧高温環境下におくと、ポストペロブスカイト構造と呼ばれる、より原子が稠密に詰め込まれた相に転移することが明らかにされた。地下約2,700kmより深いマントル最下層では、MgSiO3 はポストペロブスカイト構造をとっていると考えられる。
今日の天気は曇り、時々晴れ。夕方から夜に雨の予想。この雨が大災害の雨となりません様に。
散歩道沿いのお庭で”ハマギク”が咲いている。花はマーガレットに似た白花である。茎は木質化して越冬し、春先に新しい茎を伸ばし、秋にやや大柄な白い花を咲かせる。葉はやや肉厚でへら型、表面には光沢がある。
”ハマギク”は、1属1種の日本特産種であり、学名は、”Nipponanthemum nipponicum ”、英名は「Nippon daisy」である。自生地は、青森県から茨城県にかけての太平洋側の海岸と言われる。花壇綱目(江戸時代初期の園芸書)に、”ハマギク(浜菊)”の名があり、その頃から栽培されていたと思われる。
ハマギク(浜菊)
別名:吹上菊(ふきあげぎく)
学名:Nipponanthemum nipponicum
英名:Nippon daisy
キク科ハマギク属
耐寒性多年草 、茎・枝は木質化する
葉は肉厚で艶があり、縁に波状の鋸歯がある
丈は30cm~90cm
開花時期は9月~11月
花はやや大きめ(径6cm位)で、日本的な清楚な白い花
◆花壇綱目
江戸時代の園芸家水野元勝の著書。3巻、1664年脱稿、1681年刊、1716年に再版。
日本最初の園芸書。花卉(かき)200余種についてその形状や栽培法を記述したもの。