東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木裕次教授、倉持昌弘助教、産業技術総合研究所の津田栄上席主任研究員らは、世界で初めて、IBPの個体動物としての低温耐久性と細胞保護効果について、筋肉系、神経系、そして消化器系において評価し、筋肉系にIBPを発現した場合、マイナス5℃で1日間飼育した時の生存率が野生型で7%だったのに対し、体壁筋にIBPを発現した線虫では、生存率約72%以上に上昇することを定量的に示した。凍結温度域における氷の結晶成長を抑えることで、線虫生体内へのダメージを防ぎ、個体レベルの活動を維持できることが判明した。
〇氷結晶と強く相互作用する氷結合タンパク質分子(Ice-Binding Protein: IBP)
IBPは“不凍タンパク質”とも呼ばれている物質で、1969年に南極海の魚類から発見されて以来、そのユニークな特性により注目されてきた。主な機能は、氷結晶表面に吸着し、その成長を阻害することで細胞や組織の損傷を防ぐ機能である。
これまで IBPの分子構造や熱ヒステリシスなどの特徴が明らかにされてた。一方、 低温下における個体動物の耐性や細胞機能に対するIBPの効果については、理解が進んでいなかった。そこで、個体動物におけるIBPの機能を評価・解析するため、分子遺伝学的な手法が整備された線虫C.エレガンスを利用することにしました。今回、魚類および菌類由来のIBPをそれぞれ神経、筋肉(体壁筋)、腸と部位特異的に発現させたトランスジェニック線虫を作製し、これら線虫を低温環境に曝露したときの生存率や細胞を観察することで、生体内におけるIBP 機能を評価した。
〇線虫C.エレガンス
線虫C.エレガンスの正式名称は、カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans) 、カンセンチュウ科に属する線虫の一種。今までに、3回ものノーベル賞受賞(2002年:プログラム細胞死、2006年:RNA干渉 、2008年: 蛍光タンパク質の研究)に関わっている。回数が示すように、モデル生物として広く利用されてた。全体が透明な生物で、実験材料として非常に優れた性質を持ち、多細胞生物として世界で初めて全ゲノム配列が解読された生物でもある。また、ここで取り扱う魚類および菌類由来のIBPは、本研究の発表連名者でもある産業技術総合研究所生物プロセス研究部門の津田栄上級主任研究員らによる長年のIBP研究において発見されたタンパク質分子群であり、IBP研究において、初めての生物個体への適応例となった。
今回の実験では、低温環境に曝露後の線虫生存率を観察するために、卵から成虫になるまでの3日間、24℃の寒天プレート上で飼育し、マイナス5℃または0℃の低温環境下に1日間曝露し、その後に室温に戻し、実体顕微鏡下で生存数をカウントした。マイナス5℃で1日飼育したときの生存率は、野生型で7%だったのに対し、体壁筋にIBPを発現した線虫では生存率72%と著しい上昇が見られた。また、IBPを発現した虫の方が、野生型線虫よりも多数の細胞を観察することができ、IBPが細胞損傷を防ぐ細胞保護機能をもつこともわかりました。さらに、0℃においても有意に生存率の上昇を示すことが確認され、氷結晶があまり存在しない0℃の環境においても、IBPが効果を発揮することを確認できた。
今後は、細胞中の細胞膜など、より微小な部位への発現による一層の耐久性の向上やそのメカニズム解析、他のIBP分子の利用、より小さい分子の活用の検討、遺伝子導入法を用いない分子導入方法の技術開発を進めていく予定である。
◆氷結合タンパク質分子
氷表面に結合してその成長を抑制することができるタンパク質。低温環境に生息する生物から様々な種類の分子が発見されている。魚類由来、微生物由来のものが見つかっており、それぞれ氷との結合様式など異なる性質をもつ。
◆遺伝子導入
遺伝子工学技術を利用して人為的に作製したDNA溶液を、線虫の生殖腺に微小な針を使って注入する。DNAを注入した線虫から生まれる子孫の世代では、注入したDNA由来の遺伝子をもつ線虫が生まれ、その遺伝子は代々受け継がれる。特定の細胞や組織のみに遺伝子を導入することができる。
◆生存率
線虫を低温環境で1日間飼育した後、生存している線虫の割合。生存率=(生存している個体数)÷(全個体数)により算出。線虫生死は、線虫頭部を白金線で触れたときの反応有無で判断。
◆細胞保護機能
先行研究において、IBPは氷の存在しない低温でも機能し、細胞生存率を増加させるとの報告はあるが、個体動物の生存率が向上するかどうかはわかっていなかった。また、生存率を改善するIBPの詳細な分子メカニズムについてもよくわかっていない。線虫の細胞観察では、筋細胞核に蛍光タンパク質を遺伝的に発現させ、低温環境で1日飼育後、個々の細胞核を蛍光観察し、正常な形を保つ細胞核を評価した。
◆氷結合タンパク質を発現する部位
神経、筋肉(体壁筋)、腸など線虫の特定の組織だけにIBPをもつ。
◆熱ヒステリシス
IBP水溶液における凝固点と融点の温度差のことを指し、IBPの氷結晶結合力の指標として広く用いられている。IBP水溶液中において、1個の氷結晶を入れた状態からその氷結晶が溶ける温度(融点:Tm)および結晶成長を開始する温度(凝固点:Tf)を測定し、その温度差|Tm ~ Tf|を熱ヒステリシスとして定義する。
◆トランスジェニック線虫
遺伝子導入技術を利用することで、人工的に導入された特定の遺伝子をもつ線虫の総称。
朝から晴れ。気温は最高気温26℃と夏日。風が穏やかなので、日差しが暑い。早朝の畑作業は、ミニカボチャのツルの整理、ズッキーニの受粉作業etc・・。
今日の散歩で見た、道路の植栽地に背丈1.5m程の草が生い茂り、白い花が咲いている。茎先に長さ15~25cm位の総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、長さ1.5~2.0cm程の蝶形をした淡黄白色の花を沢山付けている。昨年も同じ場所で見た・・。
花の名は”クララ”、”クララ”は日本名、外国名ではない。名の由来は、根を噛むと目が眩むほど苦く、くらくらするので眩草(くららぐさ)と呼ばれ、これから”クララ”になったと言う。
根(苦参:くじん)は消炎・鎮痒作用などがあり、漢方薬で使う。家畜の駆虫薬(寄生虫を駆除)にも使われる。
クララ(苦参、眩草)
別名:草槐(くさえんじゅ)、苦参(くじん)
学名:Sophora flavescens
マメ科エンジュ属(クララ属)
多年草
分布は本州~九州、朝鮮半島、中国
葉は奇数羽状複葉で、互生。小葉の数は15~35枚程。小葉の形は長い楕円形。
開花時期は5月~7月
花色は白から淡黄白色
花後の豆果は4~5個の種子を含み、長さ7~8cm程
〇氷結晶と強く相互作用する氷結合タンパク質分子(Ice-Binding Protein: IBP)
IBPは“不凍タンパク質”とも呼ばれている物質で、1969年に南極海の魚類から発見されて以来、そのユニークな特性により注目されてきた。主な機能は、氷結晶表面に吸着し、その成長を阻害することで細胞や組織の損傷を防ぐ機能である。
これまで IBPの分子構造や熱ヒステリシスなどの特徴が明らかにされてた。一方、 低温下における個体動物の耐性や細胞機能に対するIBPの効果については、理解が進んでいなかった。そこで、個体動物におけるIBPの機能を評価・解析するため、分子遺伝学的な手法が整備された線虫C.エレガンスを利用することにしました。今回、魚類および菌類由来のIBPをそれぞれ神経、筋肉(体壁筋)、腸と部位特異的に発現させたトランスジェニック線虫を作製し、これら線虫を低温環境に曝露したときの生存率や細胞を観察することで、生体内におけるIBP 機能を評価した。
〇線虫C.エレガンス
線虫C.エレガンスの正式名称は、カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans) 、カンセンチュウ科に属する線虫の一種。今までに、3回ものノーベル賞受賞(2002年:プログラム細胞死、2006年:RNA干渉 、2008年: 蛍光タンパク質の研究)に関わっている。回数が示すように、モデル生物として広く利用されてた。全体が透明な生物で、実験材料として非常に優れた性質を持ち、多細胞生物として世界で初めて全ゲノム配列が解読された生物でもある。また、ここで取り扱う魚類および菌類由来のIBPは、本研究の発表連名者でもある産業技術総合研究所生物プロセス研究部門の津田栄上級主任研究員らによる長年のIBP研究において発見されたタンパク質分子群であり、IBP研究において、初めての生物個体への適応例となった。
今回の実験では、低温環境に曝露後の線虫生存率を観察するために、卵から成虫になるまでの3日間、24℃の寒天プレート上で飼育し、マイナス5℃または0℃の低温環境下に1日間曝露し、その後に室温に戻し、実体顕微鏡下で生存数をカウントした。マイナス5℃で1日飼育したときの生存率は、野生型で7%だったのに対し、体壁筋にIBPを発現した線虫では生存率72%と著しい上昇が見られた。また、IBPを発現した虫の方が、野生型線虫よりも多数の細胞を観察することができ、IBPが細胞損傷を防ぐ細胞保護機能をもつこともわかりました。さらに、0℃においても有意に生存率の上昇を示すことが確認され、氷結晶があまり存在しない0℃の環境においても、IBPが効果を発揮することを確認できた。
今後は、細胞中の細胞膜など、より微小な部位への発現による一層の耐久性の向上やそのメカニズム解析、他のIBP分子の利用、より小さい分子の活用の検討、遺伝子導入法を用いない分子導入方法の技術開発を進めていく予定である。
◆氷結合タンパク質分子
氷表面に結合してその成長を抑制することができるタンパク質。低温環境に生息する生物から様々な種類の分子が発見されている。魚類由来、微生物由来のものが見つかっており、それぞれ氷との結合様式など異なる性質をもつ。
◆遺伝子導入
遺伝子工学技術を利用して人為的に作製したDNA溶液を、線虫の生殖腺に微小な針を使って注入する。DNAを注入した線虫から生まれる子孫の世代では、注入したDNA由来の遺伝子をもつ線虫が生まれ、その遺伝子は代々受け継がれる。特定の細胞や組織のみに遺伝子を導入することができる。
◆生存率
線虫を低温環境で1日間飼育した後、生存している線虫の割合。生存率=(生存している個体数)÷(全個体数)により算出。線虫生死は、線虫頭部を白金線で触れたときの反応有無で判断。
◆細胞保護機能
先行研究において、IBPは氷の存在しない低温でも機能し、細胞生存率を増加させるとの報告はあるが、個体動物の生存率が向上するかどうかはわかっていなかった。また、生存率を改善するIBPの詳細な分子メカニズムについてもよくわかっていない。線虫の細胞観察では、筋細胞核に蛍光タンパク質を遺伝的に発現させ、低温環境で1日飼育後、個々の細胞核を蛍光観察し、正常な形を保つ細胞核を評価した。
◆氷結合タンパク質を発現する部位
神経、筋肉(体壁筋)、腸など線虫の特定の組織だけにIBPをもつ。
◆熱ヒステリシス
IBP水溶液における凝固点と融点の温度差のことを指し、IBPの氷結晶結合力の指標として広く用いられている。IBP水溶液中において、1個の氷結晶を入れた状態からその氷結晶が溶ける温度(融点:Tm)および結晶成長を開始する温度(凝固点:Tf)を測定し、その温度差|Tm ~ Tf|を熱ヒステリシスとして定義する。
◆トランスジェニック線虫
遺伝子導入技術を利用することで、人工的に導入された特定の遺伝子をもつ線虫の総称。
朝から晴れ。気温は最高気温26℃と夏日。風が穏やかなので、日差しが暑い。早朝の畑作業は、ミニカボチャのツルの整理、ズッキーニの受粉作業etc・・。
今日の散歩で見た、道路の植栽地に背丈1.5m程の草が生い茂り、白い花が咲いている。茎先に長さ15~25cm位の総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、長さ1.5~2.0cm程の蝶形をした淡黄白色の花を沢山付けている。昨年も同じ場所で見た・・。
花の名は”クララ”、”クララ”は日本名、外国名ではない。名の由来は、根を噛むと目が眩むほど苦く、くらくらするので眩草(くららぐさ)と呼ばれ、これから”クララ”になったと言う。
根(苦参:くじん)は消炎・鎮痒作用などがあり、漢方薬で使う。家畜の駆虫薬(寄生虫を駆除)にも使われる。
クララ(苦参、眩草)
別名:草槐(くさえんじゅ)、苦参(くじん)
学名:Sophora flavescens
マメ科エンジュ属(クララ属)
多年草
分布は本州~九州、朝鮮半島、中国
葉は奇数羽状複葉で、互生。小葉の数は15~35枚程。小葉の形は長い楕円形。
開花時期は5月~7月
花色は白から淡黄白色
花後の豆果は4~5個の種子を含み、長さ7~8cm程
クララの名前の由来は知りませんでした。
私の散歩道では、ポツンと2本生えています。
こんなに群生しているのが不思議な光景に見えます!
目眩がするくらい苦いもの、噛んでみたいような気がしますね(^O^)