東北大学大学院農学研究科牧野周教授、石山敬貴助教らの研究グループは、岩手大学農学部および国際農研との共同研究で、遺伝子組換え技術によって光合成の炭酸固定酵素ルビスコが約1.3倍量に増強されたイネ(ルビスコ増強イネ)を作出し、東北大学内にある隔離水田ほ場において収量評価試験を行った。その結果、ルビスコ増強イネは、同じ窒素施肥量において、玄米収量が最大で28%増加した。高い窒素利用効率と光合成の機能改善により、穀物の増収に結び付いた実例は、世界で初めてである。この研究成果は、世界的な食糧危機回避と地球環境保全に大きく貢献するものと評価されている。本研究の成果は、2020年2月18日、国際科学誌「Nature Food 1巻2月号」に発表。
今世紀半ばには、世界の人口は100億人に達すると言われている。国際連合食糧農業機関は、人口の急激な増加と中国やインドなどの経済発展に伴う食生活の変化が、穀物の需給バランスを逼迫させ、世界的な食糧危機を到来させると警鐘をならしている。一方で、人類は1960年代に「緑の革命」と呼ばれる穀物の短稈種の開発に成功し、多量の窒素施肥に依存する食糧増産を図ってきた。しかし、多量の窒素施肥は、地球生態系の富栄養化や河川・海洋・大気汚染などの原因となり、大きな社会問題となっている。今後、さらに穀物の増収を図るためには、単に高い収量性を示す穀物を育種するのではなく、同じ窒素施肥量に対してもより高い収量性を示す「窒素肥料の利用効率の高い穀物」を開発する「第二の緑の革命」が求められる。
本研究では、稲品種、能登ひかりを親品種に遺伝子組換え技術を用いて、炭酸ガス同化を担う光合成酵素ルビスコが約1.3倍量に増強されたイネ(ルビスコ増強イネ)を作出した。日本においては、遺伝子組換え技術を用いて作出された穀物を野外のほ場で栽培するには、文部科学省および環境省から承認を得なくてはなりません。数年におよぶ生物多様性評価試験を行い、その後一年間両省の審査を経て、「ルビスコ増強イネが他の生態系へ影響を与えない」との判断が下され、2016年4月に、ほ場における栽培が承認された。承認後の2016年から2019年までの4年間、宮城県農政部の視察のもと、厳密に管理された東北大学の「遺伝子組換え植物隔離ほ場」で栽培試験を行った。なお、日本の大学機関および文部科学省管轄の研究機構の中で、「遺伝子組換え隔離水田ほ場」を所有するのは東北大学附属川渡フィールドセンターのみです。
その結果、10 g N m-2(10 kg N/10a)以上の窒素施肥区において、親品種の能登ひかりと比較してルビスコ増強イネの玄米収量が17%から28%増加した。詳細な収量構成要素および生化学的解析を行った結果、組換えイネの葉のルビスコ量およびその活性が増加し、それに伴い光合成速度の向上が観察された。この光合成機能の改善が、組換えイネの登熟歩合および稔実籾数増加につながり、収量増加に結び付いたことがわかった。
この研究の学術的成果は、自然環境下のほ場において、遺伝子組換え技術を用いて作出された穀物の光合成機能の改善が、収量増加に結び付くことを実証した世界で初めての報告である。また、この研究の社会的意義として、本研究で使用したルビスコ増強イネは、遺伝子組換え技術を用いて作出されているため、すぐに農業現場に応用することはできないが、光合成の増強が新しいイネの新品種の開発に応用できることを示したことである。さらに、世界的な食糧危機回避と地球環境保全に貢献する研究成果と高い評価を受けている。
◆用語解説
〇「緑の革命」と「短稈種」
1960年代、人類の主要作物であるイネとコムギにおいて、短稈育種が行われた。人間の背丈ぐらいあった両作物は腰の高さぐらいまで小型化された短稈種の開発に成功、短稈種は倒伏に対して耐性を持ったことから、多量の窒素施肥を可能とした。今日までのイネとコムギの増収は、短稈種の導入による多肥に依存したもので、緑の革命と呼ばれている。ハーバー・ボッシュ法の普及により、空気中の窒素から安価なアンモニア肥料が生産可能となった背景も見逃せない。多量の窒素施肥は、葉の窒素含量を増加させ、その窒素含量の増加によって光合成能力を増大にさせる効果があり、同時に穂数や籾数の増加効果もあるため、イネやコムギの増産に直接結びつくものであった。
〇ルビスコ
光合成のCO2固定を触媒する酵素で、現在の大気CO2濃度では、植物の光合成全体の速度を決定していると考えられている。一般的に植物の葉の可溶性タンパク質の50%ほどを占め、地球上で最も多く存在するタンパク質であると推定されている。
朝から昼頃まで、雨が降りそうな曇り空、午後からは晴れて、お日様が顔を出した。
散歩で見つけた”プリムラ・ジュリアン”のミニミニ花園。
”プリムラ”はサクラソウ科サクラソウ属の耐寒性一年草で、世界で500種以上あると言われるほどに種類が豊富であり、花色も橙・黄・赤・・桃・白・青・紫などと多色である。プリムラの代表的な品種としては、プリムラ・ポリアンサ、プリムラ・オブコニカ、プリムラ・マラコイデスなどがあり、プリムラ・ジュリアンはポリアンサとシュリエの交雑種。
プリムラ・ジュリアン
(Primula juriana hybrid)
サクラソウ科サクラソウ属
耐寒性一年草
ポリアンサとシュリエの交雑種の小輪矮性品種
開花時期は12月~4月
花は径3cm~7cm
花色は橙・黄・赤・桃・白・青・紫など
今世紀半ばには、世界の人口は100億人に達すると言われている。国際連合食糧農業機関は、人口の急激な増加と中国やインドなどの経済発展に伴う食生活の変化が、穀物の需給バランスを逼迫させ、世界的な食糧危機を到来させると警鐘をならしている。一方で、人類は1960年代に「緑の革命」と呼ばれる穀物の短稈種の開発に成功し、多量の窒素施肥に依存する食糧増産を図ってきた。しかし、多量の窒素施肥は、地球生態系の富栄養化や河川・海洋・大気汚染などの原因となり、大きな社会問題となっている。今後、さらに穀物の増収を図るためには、単に高い収量性を示す穀物を育種するのではなく、同じ窒素施肥量に対してもより高い収量性を示す「窒素肥料の利用効率の高い穀物」を開発する「第二の緑の革命」が求められる。
本研究では、稲品種、能登ひかりを親品種に遺伝子組換え技術を用いて、炭酸ガス同化を担う光合成酵素ルビスコが約1.3倍量に増強されたイネ(ルビスコ増強イネ)を作出した。日本においては、遺伝子組換え技術を用いて作出された穀物を野外のほ場で栽培するには、文部科学省および環境省から承認を得なくてはなりません。数年におよぶ生物多様性評価試験を行い、その後一年間両省の審査を経て、「ルビスコ増強イネが他の生態系へ影響を与えない」との判断が下され、2016年4月に、ほ場における栽培が承認された。承認後の2016年から2019年までの4年間、宮城県農政部の視察のもと、厳密に管理された東北大学の「遺伝子組換え植物隔離ほ場」で栽培試験を行った。なお、日本の大学機関および文部科学省管轄の研究機構の中で、「遺伝子組換え隔離水田ほ場」を所有するのは東北大学附属川渡フィールドセンターのみです。
その結果、10 g N m-2(10 kg N/10a)以上の窒素施肥区において、親品種の能登ひかりと比較してルビスコ増強イネの玄米収量が17%から28%増加した。詳細な収量構成要素および生化学的解析を行った結果、組換えイネの葉のルビスコ量およびその活性が増加し、それに伴い光合成速度の向上が観察された。この光合成機能の改善が、組換えイネの登熟歩合および稔実籾数増加につながり、収量増加に結び付いたことがわかった。
この研究の学術的成果は、自然環境下のほ場において、遺伝子組換え技術を用いて作出された穀物の光合成機能の改善が、収量増加に結び付くことを実証した世界で初めての報告である。また、この研究の社会的意義として、本研究で使用したルビスコ増強イネは、遺伝子組換え技術を用いて作出されているため、すぐに農業現場に応用することはできないが、光合成の増強が新しいイネの新品種の開発に応用できることを示したことである。さらに、世界的な食糧危機回避と地球環境保全に貢献する研究成果と高い評価を受けている。
◆用語解説
〇「緑の革命」と「短稈種」
1960年代、人類の主要作物であるイネとコムギにおいて、短稈育種が行われた。人間の背丈ぐらいあった両作物は腰の高さぐらいまで小型化された短稈種の開発に成功、短稈種は倒伏に対して耐性を持ったことから、多量の窒素施肥を可能とした。今日までのイネとコムギの増収は、短稈種の導入による多肥に依存したもので、緑の革命と呼ばれている。ハーバー・ボッシュ法の普及により、空気中の窒素から安価なアンモニア肥料が生産可能となった背景も見逃せない。多量の窒素施肥は、葉の窒素含量を増加させ、その窒素含量の増加によって光合成能力を増大にさせる効果があり、同時に穂数や籾数の増加効果もあるため、イネやコムギの増産に直接結びつくものであった。
〇ルビスコ
光合成のCO2固定を触媒する酵素で、現在の大気CO2濃度では、植物の光合成全体の速度を決定していると考えられている。一般的に植物の葉の可溶性タンパク質の50%ほどを占め、地球上で最も多く存在するタンパク質であると推定されている。
朝から昼頃まで、雨が降りそうな曇り空、午後からは晴れて、お日様が顔を出した。
散歩で見つけた”プリムラ・ジュリアン”のミニミニ花園。
”プリムラ”はサクラソウ科サクラソウ属の耐寒性一年草で、世界で500種以上あると言われるほどに種類が豊富であり、花色も橙・黄・赤・・桃・白・青・紫などと多色である。プリムラの代表的な品種としては、プリムラ・ポリアンサ、プリムラ・オブコニカ、プリムラ・マラコイデスなどがあり、プリムラ・ジュリアンはポリアンサとシュリエの交雑種。
プリムラ・ジュリアン
(Primula juriana hybrid)
サクラソウ科サクラソウ属
耐寒性一年草
ポリアンサとシュリエの交雑種の小輪矮性品種
開花時期は12月~4月
花は径3cm~7cm
花色は橙・黄・赤・桃・白・青・紫など
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