今日はちょっと昔話をします。
ぐっちゃんが本格的に釣りを趣味にしたきっかけとなった出来事です。
20数年前、ぐっちゃんは金沢の大学に通っていました。
夏休みに愛知県の実家に帰省してみると、2本の見慣れない竿がありました。
1本は7.2m軟調子のヘラブナ竿、もう一本は3.6m軟調子のヘラブナ竿に、
Uガイドとリールシートを付けた「中京竿」と呼ばれる竿でした。
こんな竿を買うのは、我が家では親父しかいません。
「どうしたの?この竿」
「ああ、あきらさん(親父の農業友達です)に薦められて買ったんだがね(尾張弁、訳:薦められて買ったんだよ)」
「欲しけりゃやるで、使ってみりん(三河弁、訳:欲しければあげるから、使ってごらん」
話を聞くと、7.2mはメバル用、中京竿はチヌ(黒鯛)用とのことです。
親父は友人に誘われて、竿を買って出かけてみたものの、メバル釣り1回で挫折してしまったようでした。
思わぬ形で中京竿を手に入れたぐっちゃんは、
名古屋港や衣浦湾のチヌ釣りについて調べました。
目印と、針にガン玉を直接打ち付けた「針オモリ」を使った
落とし込み釣りがこの地方の主流です。
市販品もあるのですが、目印も針オモリも自作しました。
そして、ぐっちゃんはチヌ釣りデビューします。
場所は、中京地方の落とし込み発祥の地といわれる、
「衣浦西堤」です。
駐車場に車を止め、中部電力武豊火力発電所の中を15分ほど歩くと、
堤防の付け根に到着します(中部電力が釣り人に開放しています)
全長1.2km、先端まではさらに15分ほど歩きます。
もともとは伊勢湾台風の水害を機に、高潮防波堤として作られた堤防です。
外側は3mほど高くなっていて、写真のあたりは広いですが、途中からは幅が30~50cmほどしかありません。けっこう命がけです(汗)
はじめてでへっぴり腰になりながら、見よう見まねで落とし込みをやってみました。
ベテランは0.6号くらいの細ハリスを使いますが、ぐっちゃんは自信がないので1号です。
誰も釣れていない中、ただひたすらカラス貝を付けた針オモリを落とし込みます。
突然目印が横に走り、反射的にあわせると、すごい衝撃が体に伝わってきました。
なんと、初日からチヌをかけてしまいました。
しかも、びっくりするぐらい強烈な引きです。
柔らかい中京竿と、1号のハリスのおかげでかなりの時間やり取りをしました。
キラリ、と銀色の大きな魚体が見えるところまで引き寄せました。
が・・・
プッツン。
切れてしまいました。1号のハリス。
ドラグの調整もままならない素人ゆえの失態です
「コラ、ばかやろう!」
横から大きな声。ベテラン釣り師です。
「お前、何号のハリスつかってるんだ!?」
「い、1号です・・・」
「1号!?太いじゃねえか!」
どうやら、細すぎるハリスを使ってばらしたと勘違いしたようです。
「逃がすなよ。1人が逃がすと、魚が警戒しちゃって食わなくなるから、
かけたら責任を持ってあげろよな」
「・・・すみません(だって初めてなんだもん…)」
「それにしても、いまのヤツ、でかそうだったな、残念、残念…」
そうなんです。でかかったんですよ、マジで。
この堤防で、いろんなサイズのチヌを経験したからこそ言えますが、40cmは軽くオーバーしていたと思います。
それが一発目のチヌ。
そりゃ、バラしますわ(涙)
結局、この1匹を取り逃がしたのが、ぐっちゃんの心に火をつけました。
毎日のように衣浦西堤に通って、落とし込み釣り三昧…。
でも、その後まったくあたりがなく、連日ボウズです。
夏休みも残り少なくなったある日、衣浦西堤に通った回数が20回近くになった頃、
やっと待望の30cmのチヌを取り込むことに成功しました。
最初のバラシと待望の1匹、これがぐっちゃんがチヌ釣りにはまったきっかけです。
いろいろな場所でさまざまなチヌ釣りをやってきたぐっちゃんですが・・・
それでも、関東に転勤するまで、
ぐっちゃんのホームグランドは衣浦西堤だったのです。
それが、こんな張り紙…
2012年2月29日をもって、衣浦西堤は地上から行くことのできない堤防となりました。
このブログでは、これからぐっちゃんの経験してきたチヌ釣りを、
いくつか紹介していきたいと思っていますが、
その筆頭であった衣浦西堤がこのタイミングで閉鎖されてしまったのも何かの縁でしょうか。
幸い、今のぐっちゃんにはゴムボートGucchan号があります。
以前、衣浦西堤で釣りをしているときに、船外機付ゴムボートでやってきて、
われわれが届かないパイル周りを落とし込みで狙う釣り師を見たことがあります。
ぐっちゃんがゴムボートを意識するようになったきっかけでした。
今なら、その気になれば、ぐっちゃんがその立場になれるわけです。
機会があれば、Gucchan号で衣浦西堤とその周辺へ行ってみようと思います。
当然、堤防にも周辺にも釣り人はいないわけで(渡船が始まるかもしれませんが)
警戒心のなくなったチヌが入れ食いになるのでは…
そんな都合の良い妄想をして、寂しさを紛らわせています。
衣浦西堤よ、今までありがとう。
合掌~!