静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

第38福久丸の水揚作業を見学

2019年09月05日 09時00分00秒 | 研修・見学

50期生では初めての遠洋マグロ漁船の見学行きました。
第38福久丸です。
マグロ船は「福」のつく船名が多いですね。
社長の山田さんが出迎えてくれました。
そして案内は中村機関長。
学園の43期生です。


ちょうど、この日は珍しいマグロの水揚げ作業も見ることができました。


ブリッジ、機関場など船内を案内してもらいました。
マグロ船希望の生徒は「とても参考になった」と喜んでいました。
半年後に、この船に乗っているのかも?


マグロ船は船齢(せんれい)の高い船が多いですが、だからころ機関員は勉強になります。
新しい船は故障が少なくて、経験が詰めないからです。
中村機関長の活躍に期待です!

Eメール gyogaku@pref.shizuoka.lg.jp
ホームページ www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-940
10月のAO入試をお考えの方は、なるべく早く見学をしてください!
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.ryoushi.jp/regional/22/post_192.html
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-940/r1-opencampus.html

 園長のつぶやき
学園は大型漁船の幹部をめざします。
漁船の中で、二等航海(機関)士、一等航海(機関)士、船長(機関長)とランクアップすれば給料も上がっていきます。
そして指導される立場から、指導する立場になっていきます。

みなさんは、漁船に乗るなら幹部になりたいと思いますか?
もしかして「命令を出すだけで楽そうだ」と思う人もいるかもしれません。
実はすべての漁師が幹部になることをめざしているか?
と言えば、そうでもありません。

まず、役職に就くには海技士免許が必要です。
つまり勉強しなくてはなりません。
さらに、何年も漁船に乗っていると、役職に就くのが面倒になります。
それは責任を負いたくないからです。

ちょっと別の仕事で見てます。
学園の仕事では、私は授業を持っていません。
授業を持っている職員と比べると
「園長はブログを書くだけ」
と思う方もいるかも知れません。

他の教務職員は生徒を授業などで教えるのがメインの仕事です。
私の一番大事な仕事は責任を負うことです。
責任を負うことになるので、最終判断は園長の業務です。
仕事に対して、求めらるモノが違います。

これは漁船でも同じ。
船長、機関長になるというのは、乗組員の命を預かると言うことです。
だから、最終判断をするのは船長、機関長なのです。

今回、話しをしてくれた卒業生も20歳代で機関長になりました。
南氷洋に行く遠洋マグロはえ縄漁船でエンジンの故障は船員全員の命に関わります。
本人も機関長になるときは、責任の重さを感じたようです。

何年も漁船に乗っていると、その生活に満足してしまいます。
それなりの給料ももらえますからね。
あえて勉強までして、責任の重い仕事に就くのはイヤになるんですね。
こんな事情もあるので、勉強は若いうちにするのが良いんです。

さて、漁船では「自分の意志」で幹部をめざします。
しかし、我々のような県の職員となると、少し事情が違います。
幹部あるいは管理職になるために資格はありません。
加えて、管理職になったところで、そんなに給料が上がることもないんです。
特に我々のような技術職の場合、技術の仕事から管理の仕事に中身が変わってしまいます。
だから、管理職をめざすひとばかりではありません。
管理職の仕事は基本的に「業務の総括」だけです。
だから楽なのかというと・・・それは人によるかな?
私も一番ランクの低い管理職ですが、メンタル面では楽ではないです。

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ボンデン玉を包む網

2019年09月04日 09時00分00秒 | 実習

ボンデンは「浮き」のことです。
「フロート」のほうが分かるでしょうか?
かつてはガラス玉だったので、ボンデン玉と呼ばれました。
ガラスなので割れないようにロープでカバーをして使っていました。
今回は、そのカバーを作る練習。

現在のボンデンは樹脂(プラスチック)製なのでカバーは不要です。
でも、この技術は船で防舷(ぼうげん)材をつり下げたり、様々なところで応用できます。


きれいに球形に作れる人と苦戦する人がいました。
https://www.youtube.com/channel/UCsItlPZhzc98RK7zhYqUOow


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 園長のつぶやき
沿岸漁業の漁師が減った理由の一つは、収入が低いことです。
昔の漁村では、漁師以外の仕事が少なかったこともありますが、漁師の給料がサラリーマンより高かった。
だから、親を継(つ)ぐも多くいました。
特に戦争で漁業が中断したことで、戦後は海にウジャウジャと魚がいました。

しかし、魚探が登場し、魚がたくさん捕られてしまいました。
このため昔ほど稼ぐことができません。
一方で、交通手段の発達もあって、漁村の外に若者が働きに出るようになりました。
高卒、大卒が増えたことも、拍車をかけた要因です。

ただ、稼げたとはいえ、昔の沿岸漁業は大変だったんですよ。
船だって人力が多かったし、しかも重たい木製です。
漁場(魚が捕れる場所)までは、漕がないと行けません。

GPSも魚探もありません。
魚を捕れる場所は経験が頼りです。
天気だって、自分で予測するしかありませんでした。
水揚げだって人力です。
昔も、決して楽して稼げる仕事はありませんでした。

じゃあ、沿岸漁業に未来はないのか?
と言うと、そんなことはありません。
ただし、魚が昔ほど捕れないので、やり方を変える必要があります。
魚が捕れないと言っても、漁船の数も激減しているんです。
取る人が減れば、一人あたりの魚は増える!これはチャンスです。
新しい沿岸漁業を作り出す知恵と努力があれば大丈夫。
・・・楽して稼げる仕事ではないことは同じです。

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無線講習の予習

2019年09月03日 08時28分00秒 | 授業・講演

船で使う資格の一つが無線です。
主に使うのが海上特殊無線技士という資格。
一級と二級、さらにその下のレーダー級があります。


今まで学園では二日の講習で二級、通称(つうしょう)二海特を取得していました。
この二級は沿岸の船で使うもので、海技士が乗るような大型漁船では一級が必要です。
このため、航海の海技士試験に合格すると、一海特も必要になります。
航海士は無線のやり取りが必要ですから。


どうせ一海特が必要なら、学園で取得しちゃえ!
・・・と言うことで、今年から一海特を受講します。
講習も2日から7日に拡大。
ちょっとした英語も必要になります。
この英語が学園生には難題。


そこで研究所の調査船駿河丸の鹿島通信長が講習前に欧文受送信の特訓をしてくれました。
何をしたかというと、生徒は「あるふぁ」と聞いたら「A」と書いていきます。
様子は動画をどうぞ。




英語以外の工学や法規も難易度アップします。
でも、全員合格してもらいますよ!

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 園長のつぶやき
前回の続きですが、高知県議会の方は
「沿岸漁業に特化した漁師の学校」
をご希望のようです。

上に書いたように、無線免許も沿岸漁業なら二海特で間に合います。
海技士免許も不要で、三日ほどの講習で取得できる小型船舶操縦士でOK。
学園の授業の半分は海技士を取るためのもの。
だったら、
「学園のように一年をかけなくても半年で良いよね」
となりそうですが、はたしてどうでしょう?

海技士の授業がないと言うことは、一日中、作業実習になります。
時間によってロープだったり、網だったりに変えるにしても、一日中、集中が続くでしょうか?

また、学園では一年をかけて規律や集団生活を身につけるのに、半年では心配です。

じゃあ、一年かければ・・・と言うと、それも問題。
実習項目を倍にする価値があるのか?
もしくは、海技士の授業の時間を、漁業実習に変える方法もあります。
しかし、沿岸漁業は千差万別(せんさばんべつ)、種類が多く、作業内容もいろいろです。
「釣りコースコース」「網漁業コース」などに分ける方法もありますが、
それだけ講師も必要になります。

私としては、今の学園のやり方が一番良い気がします。
沿岸漁業に進む人は海技士の勉強は不要と思うかも知れません。
ぜんぜん、そんなことはないと思います。
漁師である以上、沿岸漁業でも船乗りの資格である海技士の知識を持つことはムダになりません。
なにより「海技試験の勉強をがんばった」という経験が大事です。
そして一年、特に遠洋航海実習は大きな思い出になるし、同期生との絆も深まります。

実際に高知県で漁師を育てる学校が実現するか分かりません。
実現すればすばらしいことだし、後を追う県も出てくると思います。
ぜひ漁師の学校がもっと広がって欲しいですね。

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救命筏(きゅうめいいかだ)講習2

2019年09月02日 09時03分17秒 | 授業・講演

救命筏講習の午後の部です。
場所は焼津漁港内の小川

漁協市場前。
始めは猛烈(もうれつ)に熱くなる発煙筒の体験です。


続いて、ロープのついた浮き輪を投げる練習。
ロープがあるので、思った場所に投げられず悪戦苦闘。

そして、実際に救命筏を展開します。


航海専攻、機関専攻別に「わかたか」から着衣水泳で乗り移りました。

テレビ局の取材があったせいか、生徒たちも張りきってやっていました。


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 園長のつぶやき
その日の夕方のニュースで救命筏講習が放送されました。
が!
残念なことに「漁師をめざす高校生たちが・・・」と紹介されました。
FNNのホームページでも、同じように書かれていました。
(翌日、テレビ局に電話したので、今では高校生は削除さています。)

実はマスコミの方も学園を高校とまちがえる方は多いんです。
通称「漁業学園」としていますが、私の名刺や、記者提供資料などは「漁業高等学園」のままだからなんですね。
正式名称も変更しないとダメかな。

見るからに高校生とは思えない28才もいたんですけどね。
今年は中学からの進学者が多いため、記者も高校生と思ったのでしょう。
https://www.fnn.jp/posts/2019082800000005SUT/201908281950_SUT_SUT
(これは修正されたものです)

先週は高知県議会の方が視察にいらっしゃいました。
高知県でも漁師の減少が深刻で、漁村の危機とのこと。
そのため「漁師になるための学校を作りたい」そうです。
ぜひ、実現して欲しいです。
学園も応援させてもらいます!

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